農薬が効かずに気づくナモグリバエ被害
ナモグリバエはハモグリバエの一種
ハモグリバエという害虫をご存知でしょうか。葉の表面に白い線を描きながら食害していくことから、エカキムシとも呼ばれています。
このハモグリバエの仲間ともいえる似た昆虫にナモグリバエという種類がいるのは、あまりご存知でない方も多いようです。
ハモグリバエよりも種類が少なく、そのため被害対象となる作物も少ない限られたところで確認される虫というのがその理由のひとつかもしれませんね。
ナモグリバエの害虫被害や効果のある農薬もご紹介!
このナモグリバエには実は効果があると表記されている農薬はありません(2021年11月5日現在)。しかしハエ目という分類に区分されている昆虫なので、ハモグリバエと同じ農薬を使うことができます。
今回はこの少しマイナーなナモグリバエの特徴や被害の様子・効果がある農薬の種類をご紹介しましょう。
ナモグリバエの特徴!ハモグリバエとの違い
最初にナモグリバエのことを知りましょう。ハモグリバエに似ているとはいえ、れっきとした別の種類の昆虫で見た目の違いや害虫としての被害の様子も変わってくるためです。ナモグリバエの特徴や習性を知ることでより駆除・防除がしやすくなるでしょう。
ナモグリバエの基本情報
分類 | ハエ(双翅)目ハモグリバエ科 |
分布 | 日本全国 |
発生時期 | 4-11月(ただし屋内においては通年) |
体長 | 幼虫期3mm・成虫1.7-2.5mm程度 |
ナモグリバエの特徴
食欲旺盛な昆虫であるナモグリバエの幼虫
幼虫の時の体長は2-3mm。成虫になると1.7-2.5mm程度の大きさとなります。成虫の色は緑がかった灰色で、成虫が黄色いハモグリバエとの違いが顕著です。
幼虫の時の食害スピードがハモグリバエよりも早く、食欲旺盛だという意見もあります。
マメ科やキク科の植物に寄生するため、作物ならばレタスやエンドウ豆・キクの花に付くハモグリバエと思われている正体が、このナモグリバエであることも多いです。
ナモグリバエとハモグリバエの違い一覧
ハモグリバエと違い作物に蛹が交じることもあるナモグリバエ
ナモグリバエ | ハモグリバエ |
---|---|
葉の裏から食べる | 葉の表から食べる |
葉の中でさなぎになる | 葉から落ちて土中で蛹になる |
専用の農薬がない | 専用の農薬がたくさんある |
専用の農薬はないがハモグリバエの農薬が流用できる
ナモグリバエとハモグリバエの違いは、葉の中の蛹で見分けることが簡単にできます。専用の農薬がないことで、被害にあって殺虫剤を散布したけれどなかなか効果がないというところでナモグリバエ被害だと気づく人もいるといわれます。
ハモグリバエに効果のある農薬で、対応植物となっているものを使うのが一般的なナモグリバエの殺虫剤選びです。
ナモグリバエの被害と予防
ナモグリバエの被害はハモグリバエとほぼ同じですが、この昆虫特有の被害があらわれることもあります。特に野菜として手作りのネギをいただいた時に思わぬナモグリバエの痕跡があって食べるのを躊躇する場合もあるでしょう。
ナモグリバエ被害は作物として育てる時だけでなく、食材として口にする方にも影響してしまうものです。
卵から成虫まで!ナモグリバエの行動
卵から蛹を経て成虫に羽化するナモグリバエの行動サイクル
ナモグリバエは成虫が植物の葉に産卵して、その中で白く平べったい幼虫に孵化します。葉を食べながら大きくなり葉の中で黒っぽい蛹に変わります。
時期がくると羽化し、また近くの餌となる葉に産卵をすると行動を繰り返すやっかいな害虫です。葉の裏側を食害すること・餌となる植物の周りでずっといることから一度発生してしまうと、ずっと悩まされることになります。
葉の食害がナモグリバエの被害
ネギの葉に白く並んだ跡が見られたらナモグリバエの疑い
発生時期はビニールハウス栽培などでは通年となっていますが、自然界では春に多く産卵が見られます。ネギなど縦長の葉においては白い産卵痕がたくさん並んで見られることもあるでしょう。
レタスなどの葉野菜では葉の縁に近いところから被害がはじまります。葉ものには落葉が、エンドウなどの豆類はナモグリバエ被害にあうとさやの付きが悪い小さいなどがこの害虫の被害です。
ネギの葉にナモグリバエの蛹が混入していることも
この害虫の特徴として葉の中で蛹になりそこから羽化して飛び立つというお話をしましたね。このことから何らかの原因で羽化できずに蛹が葉の中にいるまま野菜として食べる機会が訪れることもあります。
プロの農家の方が出荷されるものは検査が厳しくそのようなことはあまり目にすることはありませんが、いただきものの家庭菜園などの野菜の場合は、中に虫がいた!と驚かれるでしょう。
ナモグリバエの効果的な予防法
家庭菜園でも簡単にできるナモグリバエの防除方法
予防は成虫であるハエが飛来しないようにするのが、簡単で効果のある方法とされています。畑のような大きな栽培規模の場合は、金属製の棒を逆U字にトンネルの骨組みを作り、そこに防虫網を広げ網の端を土中にしっかりと埋めてハエの侵入を防ぎます。
コンテナなど小規模の家庭菜園の場合は、大型の洗濯ネットなどで鉢ごとすっぽりくるんでしまい、その上から水やりなど行い、成虫の飛来を防ぎましょう。
ナモグリバエにも効果のある殺虫剤
最初の方でナモグリバエには専用の農薬がないという話をしましたね。そのとおりどのような農薬でもパッケージにナモグリバエという文字は見つけられません。
ナモグリバエ駆除はハモグリバエ用の殺虫剤・農薬を使うのが一般的な方法です。ハエ目というくくりで分類されている場合もあります。
被害にあっている対応植物とこのふたつのキーワードから農薬を選んでいきましょう。有名な薬剤として以下のものをご紹介します。
ナモグリバエに効く殺虫剤・農薬1.
アファーム乳剤
アファーム
ウリ科と柑橘系の果実、メロン・トマト・ナスといった作物のハモグリバエ(ナモグリバエ)被害に効果のある農薬です。使用回数や開ける時間など作物ごとに違いがありますので、使用するときはしっかりとパッケージを確認し使い方を守って使います。
ナモグリバエに効く殺虫剤・農薬2.
ダントツ水溶液
ダントツ水溶液
ハエ目の害虫に効果のある農薬です。稲・野菜・果実・茶とたくさんの作物に効果のある薬剤となっています。ナモグリバエ駆除をしたい作物がパッケージにあることを確認してから使用しましょう。
まとめ
ナモグリバエの対処方法はハモグリバエが参考になる
ナモグリバエはその被害の様子も注意深く見ないとハモグリバエと見分けが付きにくく、成虫の色こそちがえど大きさやハエの形ということでとても似ている害虫です。
使用する殺虫剤もハモグリバエのものを使うことができます。ただし対応植物でないと農薬の使用は危険であることや効果が出ないことなど、使い方には注意が必要です。
苗のうちから防除網を掛けて、大量発生しないよう予防するのもナモグリバエの対策となります!
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