初詣の心得とは
そもそも初詣はどういうもの?
初詣とは年が明け、新年を迎えてから初めて神社やお寺にお参りすることをいいます。神様や仏様に前の年の無事を感謝し、新年がよい年になるようお願いする行事です。
お正月は人気の神社に初詣に行く!とイベントのように捉えている人も多いことでしょう。しかし初詣は神仏を参拝するれっきとした宗教行事です。マナーを守ってお参りをしましょう。
初詣の起源
初詣の起源は約1000年前からおこなわれていた「年籠り」という風習であるといわれます。大みそかになると各家の家長が氏神様のお社にこもり、翌朝まで豊作や安全を祈念しました。
やがて年籠りは徐々に簡略化し、お礼参りにあたる年末詣と初詣に分かれたとされます。そして現在では年末詣の習慣も薄れ、ほとんどの人が初詣に行くのみとなりました。「初詣」という言葉が定着し、有名な寺社を参拝するのが人気になったのは大正時代といわれます。
初詣でお願い事はマナー違反?
初詣に出掛ける目的はほとんどがの人が、新しい年をよい年にしてもらえるようお願いすることではないでしょうか。しかし「初詣ではお願い事をしてはいけない」という話も聞かれます。お願い事はマナー違反なのでしょうか。
お願いはマナー違反ではないが、礼儀を忘れずに
初詣でお願い事をするのがマナー違反なのではありません。問題はお願いの仕方です。突然来ていきなり「今年一年いい年にしてください!」とお願いだけするのは失礼ですよね。まずは前の年を無事に過ごせ、今年もまたお参りに来られたことを感謝すること。礼儀と感謝を忘れずにお参りするのがマナー、という意味なのです。
初詣はいつまでに行くのがマナー?
旅行や帰省で、元日は初詣に行かれない場合もありますね。中には年末年始は仕事が忙しいというかたもいるでしょう。初詣はいつまでに行かなくてはいけないという決まりはありません。都合のつくときに参拝できれば大丈夫です。
ただし、初詣には昨年のお礼と新年のあいさつという意味合いがあるので、あまり遅くなりすぎないのがマナーです。できれば松の内、それが無理であれば季節が変わってしまう節分の前にはお参りするようにしましょう。
初詣はどこに行くのが正しいの?
基本的には、初詣は氏神様や菩提寺にお参りするものとされています。遠方の有名な寺社に行くのも悪くはありませんが、身近で見守っていてくださる氏神様やご先祖様に感謝するのも大切なことです。
初詣は1回しか行ってはいけないわけではないので、家族で氏神様を参拝したあと、友人と人気の寺社に出掛けてもマナー違反にはなりません。
初詣は神社でもお寺でもよい
初詣で参拝するのは神社がいいか、お寺がいいか迷うことはありませんか?初詣は神社、お寺どちらでもかまいません。初詣の人気スポットとして思い浮かぶ明治神宮は神社、雷門が有名な浅草寺はお寺ですね。日本人は神と仏を区別せずに信仰していた時代が長かったため、初詣の参拝先も区別されなかったのです。
宗派によるマナーの違いに注意
ただし本来は、神社は神道、お寺は仏教という別々の宗教のため参拝の仕方やマナーには少々違いがあります。次の章で詳しく解説するので、初詣でマナー違反してしまわないよう参考にしてください。
初詣の作法【神社編】
1.鳥居の前で一礼する
鳥居から先は境内で、神様の領域です。神様のいらっしゃる場所へお邪魔するという意味なので、まず一礼してから鳥居をくぐりましょう。鳥居や参道の中心は神様の通り道です。中央は避け、少し端に寄った位置で礼をします。
一の鳥居、二の鳥居といったように鳥居が複数ある場合はすべての鳥居で一礼しましょう(もちろん、多くの鳥居があることで有名な伏見稲荷のような場所は例外です)。また、帽子をかぶっていたらこのときに脱ぎ、軽く衣服を整えるのがマナーです。
帰る際にも一礼を
境内に入るときだけでなく、帰りに鳥居をくぐる前にも一礼しましょう。「お邪魔しました」ときちんと伝えるのもマナーです。
2.手水舎で身を清める
神殿に向かう前に、手水舎(ちょうずや・てみずや)で体を清めるのがマナーです。まず右手で水を汲んだら左手を清め、持ち替えて右手を清めます。さらに持ち替えたら左手で水を受け、口をすすぎましょう。口につけた左手を清め、柄杓を立てるようにして残った水で柄を清めたら終わりです。
柄杓1杯の水ですべて行うのが作法なので、水はたっぷり汲み上手に使いましょう。穢れを飲み込まないよう、口をすすいだ水は飲まずにそっと吐き出します。
手水舎がない・水が汚れている場合
神社の規模によっては手水舎がなかったり、手水舎が管理されておらず水が汚れていたりする場合があります。手水舎の代わりに水道やお手洗いを使用しても、マナー上は問題ありません。
お手洗いもない場合はペットボトルなどで水を準備して、その水で清めてもよいです。おしぼりなどで手をぬぐうことでも代用できます。手水を取ること自体よりも、神前に立つ前に少しでも身を清める、という心がけがマナーとされているのです。
3.参道を歩いて神殿へ向かう
鳥居と同様、参道の中央は神様が通るところです。神様への敬意を表す作法として、中央ではなく端に寄って歩くようにしましょう。また、中央を横切らなくてはならない場合は神殿の方向に一礼してから横切るのが丁寧なマナーとされています。
参道の左右どちらを通ってもマナー上は問題ありません。しかし伊勢神宮など、人気があり参拝客の多いところではルールが決められていることがあるので指示に従いましょう。
4.参拝する
拝殿に鈴がある場合は、まず鈴を鳴らして音色で身を清めたあと賽銭を入れます。神社での拝礼の作法は二礼二拍手一礼です。まず深い礼を2回、胸の前で拍手を2回します。その後手を合わせてお祈りをし、最後に深く一礼します。
神社参拝のときの礼は正式には「拝」といい、腰を90度に曲げる深い礼をするのがマナーです。拍手を打つ時には手のひらを完全に合わせず、右手を少し引くようにします。お祈りをするときには左右の手を合わせ合掌しましょう。
神社での初詣の作法まとめ
- 鳥居をくぐる前に一礼する
- 手水は忘れずに
- 鳥居・参道の中央は神様の通る道なので端を通る
- 参拝は二礼二拍手一礼
初詣の作法【お寺編】
1.山門の前で一礼する
お寺の山門は神社の鳥居同様、神聖な境内と俗世の境界です。入る前には一礼してから中へ入りましょう。お寺では神社と違い、中央を通るべきではないというマナーはありません。山門に敷居がある場合は、敷居を踏まずにまたいで通るのが作法です。鳥居のマナー同様、帽子を脱ぎ身なりを整えてから入りましょう。
宗派によっては左右どちらの足で敷居をまたぐか決められているところもあります。事前に調べておくとよいでしょう。
参道も中央を避けなくてよい
お寺では山門だけでなく参道でも中央を避ける必要がなく、どこを通ってもマナー違反にはなりません。ただし左右の通行に決まりがあるお寺では指示に従いましょう。
2.手水舎・常香炉で身を清める
お寺での手水の仕方は神社と同じです。同様に左手→右手→口→左手→柄杓の柄の手順で清めましょう。
また、お寺によっては本堂の前に「常香炉」という大きな香炉があり、線香が焚かれています。仏教にはお香のよい香りで心身を清めるというマナーがあるためです。常香炉の煙を浴びてから初詣のお参りをしましょう。
3.参拝する
お堂の前にろうそくや線香がある場合はまず、献灯や献香をします。賽銭箱がある場合は賽銭をし、胸の前で合掌し一礼しましょう。鰐口(鈴のような仏具)があれば鳴らし、再び合掌してお祈りをします。その後手を合わせたまま一礼し終了です。
お寺では神社のように拍手を鳴らしてはいけません。礼をする深さは45度がマナーとされています。
お寺での初詣の作法まとめ
- 山門の敷居は踏まずにまたぐ
- 手水とお香で身を清める
- 拍手はNG
初詣のマナーで気を付けること
境内は聖域であることを忘れずに
神社なら鳥居、お寺なら山門をくぐった中は境内で、私たちが日ごろ生活する俗世とは別の神聖な場所です。必要以上に騒いだり、決められた場所以外で飲食したりといったマナー違反は避けましょう。
また、初詣は昨年の無事に対するお礼と、新しい年の幸いを祈念するお参りです。正装が必要とまではいいませんが、上下スウェットやジャージなどラフすぎる服装はマナーとして好ましくありません。
写真撮影には注意
有名な寺社に初詣に出掛けた記念、と写真を撮影したくなることもあるでしょう。しかし神社仏閣は気安く写真を撮っていい場所ではありません。
神様・仏様に失礼のないよう、真剣にお参りに来ている人の気分を害することのないよう、マナーに注意して撮影しましょう。撮影禁止・フラッシュ禁止の表示がないか確認することも重要です。
ペットが同伴できるか事前確認を
寺社によってはペットの同伴を禁止しているところもあります。事前に確認してから参拝に出掛けるようにしましょう。また、ペットの同伴が許可されている寺社でも、リードを短く持つ、境内で排泄させない、あまり吠えさせないなどマナーへの配慮が必要です。
お賽銭は丁寧に
お賽銭は神様や仏様への捧げもの、感謝のしるしとされます。賽銭箱に投げ入れるのではなく、手を伸ばしてそっと入れるのが正しいマナーです。
有名な寺社になると初詣に人気で人出が多く、神殿や本堂までなかなかたどり着けないこともあります。せめてお賽銭だけでも、と遠くから投げる人も少なくありません。仕方ないとはいえ、これはマナーとして好ましくないということを覚えておきましょう。
初詣でマナー違反になる行動
おみくじを何度も引く
おみくじでよくない結果が出ると引き直してしまいたくなる人もいるでしょう。しかし、これはマナー違反です。何度も引き直すのは、神仏の導きだした運勢に不満があるという意味になってしまうからです。
吉凶を気にするのではなく、内容までしっかり読んで神仏からのメッセージを受け取りましょう。書かれていることを教訓に一年間を過ごすことがおみくじ本来の目的です。
忌中の神社参拝
忌中に神社へ初詣に出掛けるのはマナー違反です。神道では死を穢れと捉えます。そのため、忌中は神社へ参拝してはいけないとされているのです。忌中とは、近親者が亡くなってから四十九日までの期間をいいます。
いっぽう、仏教では死を穢れと捉えないので、マナー違反にはなりません。初詣もご先祖様に挨拶する機会のひとつと考えられているので、忌中に初詣に出掛けたい場合はお寺に行くようにしましょう。
正しいマナーでスマートに初詣をしよう!
お参りのマナーがきちんとできている人は、とてもスマートな印象ですね。ぜひ、この記事を参考にしてスマートなマナーを身につけてください。
人気の寺社や有名なスポットに出掛けるのもよいですが、身近な氏神様や菩提寺にもお参りして、見守っていただいていることに感謝しましょうね。
初詣のお出掛け先はこちらをチェック!
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