はじめに:ストックの育て方講座
人気のアブラナ科植物「ストック」
ストックは小さい種類なら20㎝、大きく育つ種類なら80㎝ほどに育つ植物で、画像のように綺麗でかわいい花をつけるのが特徴の草花です。育て方が難しくなく、栽培初心者の方でも育てられるので日本でも人気があります。
また、香りがとてもよいため切り花としてよく利用されており、高級感のある花です。切り花として利用したい方にもおすすめできる植物となります。
栽培初心者向けにストックの簡単な育て方を解説!
ストックの育て方は難しくなく、苗からでも種からでも育てられます。苗からの栽培の方が簡単ではありますが、種からでも難しくありませんので、お好きな育て方で育ててみて下さい。
今回の記事ではストックの基本情報から、名前の由来や花言葉、初心者向けの育て方の解説、冬越しについて、ストックの種類などを網羅的に解説していきますので、ぜひ参考にしてストック栽培を始めてみて下さい!
育て方の前に知りたい!ストックについて
ストックの基本情報
学名 | Matthiola incana |
形態 | 一年草,非耐寒性,草本 |
原産地 | 南ヨーロッパ・地中海沿岸 |
草丈 | 20~80cm程度 |
開花期 | 3~5月頃 |
花色 | 黄、白、ピンク、紫 |
ストックの特長や性質
ストックはアブラナ科アラセイトウ属の草花になります。南ヨーロッパ、地中海沿岸を原産地とし、本来は多年草の植物なのですが、日本の環境で育てると夏越しが難しいため、一年草での育て方が基本です。
特徴はなんといっても可愛らしいパステルカラーの花。白やピンク、黄色などの花が咲き、一重咲きのものと八重咲きのものがあります。八重咲きのものを植えても一重咲きが交じるなど、混ざってしまうのも特徴と言えるでしょう。
ストックの名前の由来
ストックは英名で「Stock」と書きます。ストックは草丈が長くなり、また茎が太くて丈夫ですので、まさにストックのような花なのです。また、学名の「Matthiola」は、イタリアの学者の「ピエトロ・アンドレア・マッティオリ」にちなみます。
和名では「アラセイトウ」と言いますが、これは訛って付けられた名前です。葉の感触が毛織物に似ているために「ラシャ布」にたとえられ、「葉ラセイタ」と呼ばれ、それが「アラセイトウ」に変わりました。
ストックの開花時期
開花時期は春、3~5月が基本です。春時期に咲く花を育てたい方におすすめとなります。しかし、中間地であれば秋の開花を狙うこともでき、その際の開花時期は11〜5月と長くなります。
冬越しの間はやはり生育が遅くなりますので、秋に花が咲き始めても春ほどではありません。やはり3~5月に最盛期を迎えて楽しむ形となるでしょう。春に切り花に利用できます。
ストックの花言葉
ストックの基本の花言葉は「永遠の美・愛情の絆・求愛」の三つです。どれも見た目の可愛らしさから連想できる美しい花言葉となっています。また、香りが長持ちするため、「永遠」というキーワードがあります。
さらに色別でも花言葉があり、赤は「私を信じて」、ピンクは「ふくよかな愛情」、白は「密かな愛、思いやり」、紫は「おおらかな愛情」、黄色は「さびしい恋」です。贈られる際は色別の意味も含めて考えるとよいでしょう。
ストックの基本の育て方と日常管理方法
ストックの基本の育て方①苗・種の購入
ストックの育て方は種からでも苗からでも大丈夫です。初心者の方は苗からの育て方が簡単かもしれませんが、種からでも大丈夫ですので、お好きな方を選んでみて下さい。ホームセンターやフラワーショップで両方購入可能です。
苗も種も値段が安いので初心者の方でも気軽に購入できるでしょう。苗を購入する場合、葉が黄色くなっていない、蕾の多い苗を選びます。弱そうな見た目のものは避けて下さい。
ストックの基本の育て方②使用する土
使う用土は水はけが肝心です。ストックは水はけの悪い環境を嫌いますので、水はけのよい土で育てていきましょう。庭などに植え付けする場合は、植え付け前に腐葉土やピートモスを混ぜることで水はけが改善されます。
鉢植えでの育て方、または種まきから始める場合は市販の培養土を使用しましょう。草花用の培養土であれば水はけは問題ありません。ご自分で混ぜる場合は、赤玉土を6割、腐葉土を4割の割合で混ぜれば水はけのよい土となります。
連作障害に注意
ストックは一年草扱いで育てることになりますので、翌年にまた楽しみたい場合は植え付けし直すことになります。その際に気をつけたいのが「連作障害」です。連作障害とは、同じ植物を連続で栽培した時に不具合が起きることを指します。
連作障害は育てる場所や土を変えることで防げますので、翌年は違う場所で栽培して下さい。また、鉢植えであれば土を変えて育てます。前に使った土は他の植物で使って再利用しましょう。
ストックの基本の育て方③植え付けする場所
ストックは地植えでも鉢植えでも栽培できる植物です。お好きな方で育ててみて下さい。地植えのメリットは、水やりの手間が減ることです。雨水で育てられますので、庭がある方は地植えでの育て方がよいでしょう。
鉢植えは場所を移動できるメリットがあります。少し寒い地域にお住まいの方であれば冬越しの対策が必要になりますので、冬越しのために軒下や室内に移動させる必要がある場合は鉢植えをおすすめします。
室内での育て方は?
一般的には外で育てることが多いストックですが、室内で栽培することも可能です。室内で栽培する際のポイントは日当たりのよさになりますので、窓際で育てるとよいでしょう。
風通しが悪い環境を嫌いますので、風が通る環境に置いて下さい。また、エアコンの風が直接当たらないこともポイントとなります。
ストックの基本の育て方④使用する肥料
ストック栽培は肥料分が必要になります。肥料の与え方はとても簡単で、植え付けの際に元肥として緩効性肥料を混ぜておくだけです。緩効性肥料はゆっくり長く効きますので、初心者の方でも心配いりません。
緩効性肥料はマグァンプKという商品が有名です。中粒を加えておくとよいでしょう。生育状況を見て肥料が足りなさそうに見えた際は、ハイポネックス等の液体肥料も検討します。
ストックの基本の育て方⑤好む日あたり
ストックの育て方で一番のポイントとなるのが日当たりです。日当たりのいい場所が大好きな植物ですので、日光がよく当たる場所に植え付けて育ててあげて下さい。日当たりがいいと丈夫に育ち、花がしっかり付きます。
逆に日当たり不足となってしまいますと、茎が間延びし、生育が悪くなり、ひ弱な苗になってしまいます。もちろん花付きも悪くなりますので、日当たりはとても重要です。また、風通しのよい場所で育てましょう。
ストックの基本の育て方⑥植え付け
苗を庭に植え付ける場合
苗を購入したら、庭に植え付けて育てていきましょう!苗の植え付け時期は9月~11月が適しています。9月より前に植え付けると、ストックの苦手な暑さにやられてしまいますので、秋時期になってからの方がよいでしょう。
庭植えの場合は土を植え付け一週間前に矯正します。苦土石灰を少し混ぜて弱アルカリ性にし、腐葉土などを混ぜて水はけを良くしておいて下さい。また、ストックは根が傷つきやすいので慎重に作業しましょう。株間は20㎝が目安です。
苗を鉢に植え付けする場合
鉢に植え付けする場合は、苗より二回りほど大きな鉢を用意します。時期は庭植えと同様に9月で大丈夫です。鉢の底に鉢底ネットを敷いて、軽石を2段分ほど敷いて下さい。
そこから半分ほど培養土を入れて、ポットから取り出した苗を置きます。埋まるように土を追加で入れたら、最後にたっぷり水やりをします。鉢底から水が流れ出すまでたっぷり与えてください。あとは育て方に沿っていきます。
種まきで始める場合
種まきでの育て方も可能です。種まきでの発芽適温は15~20度ですので、秋時期、9月頃に種まきをしましょう。ポットに土を入れ、3~4粒ほどまいてから5㎜ほど土をかぶせて水を与えます。
種まき後は乾燥しないように注意しましょう。3~4日経つとポツポツと発芽してきます。種まき後、乾燥を避けるために新聞紙をかけ、新聞紙の上から水やりをするのもいい方法です。発芽してある程度育ったら鉢などに植え替えて育てていきましょう。あとは育て方に沿っていきます。
ストックの基本の育て方⑦病気と害虫
育て方の重要ポイントの一つが、病気と害虫対策です。ストックの場合、種まきで始めた際の「立ち枯れ病」に注意しましょう。これは種まき後に発芽したものの枯れてしまう病気で、清潔な新しい用土を使う、風通しを良くすることで防げます。
害虫はコナガやアブラムシなどのよくいる害虫がつきます。害虫を見つけたら捕殺しましょう。また、事前にアファーム乳剤やオルトラン水和剤などの薬剤を使って予防しておくと安心です。
ストックの基本の育て方⑧日常管理
9月頃の植え付けが終わったら、あとは基本の育て方に沿って管理していきましょう。最初にマグァンプなどの緩効性肥料を与えてある場合は追肥も必要ありませんので、水やりだけして管理していきます。
元肥を与えていない、もしくは肥料分が足りない様子であれば液体肥料を与えます。月に2回ほど与えるとよいでしょう。冬越し時期は肥料分は必要ありませんので、育つ時期だけ追肥します。
ストックの基本の育て方⑨冬越し方法
ストックは秋に植え付けをして冬越しさせ、春に花を楽しむ植物です。冬越しは初心者にとって育て方で最も大変なポイントである場合が多いのですが、ストックは耐寒性が高いのであまり心配はいりません。
ただし、根が凍るほど寒いと枯れてしまう場合がありますので、寒い地域に住まわれている場合は、冬になったら軒下や室内へ移動するとよいでしょう。また、株元に敷物をするのも有効です。
ストックの基本の育て方⑩水やり方法
水やりも育て方の重要ポイントです。ストックは過湿環境が苦手な植物ですので、水やりの頻度に注意して下さい。土の表面が乾いているのを確認してからたっぷり水やりをします。まだ土がさらさらしていない状態であれば、水やりを控えます。
鉢植えでは水の管理が重要になりますが、地植え、庭植えでの育て方であれば雨水がありますので、水やりをすることは多くありません。晴れた日が続いた際に検討して下さい。
ストックの基本の育て方⑪植え替えについて
ストックの根は直根性というタイプです。直根性とは、根が途中で分かれずにまっすぐに伸びる性質のことで、このタイプは植え替えを苦手とします。途中で植え替えをすることのないように、最初の植え付け場所を決めましょう。
ただし、種からでも苗からの育て方でも、植え付けの際は植え替えをすることとなります。その際はなるべく根を傷つけず、ダメージのないよう気をつけましょう。
ストックの基本の育て方⑫支柱について
ストックは小さなタイプと大きなタイプがあり、小さいタイプであれば支柱無しで育てられます。しかし、高性種は80㎝ほどにもなりますので、支柱で支えてあげた方がよいでしょう。
ある程度育ってきて花が沢山付き始めたら、そばに支柱を立てて固定します。
ストックの基本の育て方⑬花がら摘み・切り戻し
花が咲いたあとは種をつけます。種を採種する予定であれば花を放置しても構いませんが、種を採る予定がない場合は花がら摘みをしてあげることで、種にエネルギーがいかず、株が長持ちしてくれます。
また、株全体の花が一度咲き終わったタイミングで根本から切り戻しをするとよいでしょう。
ストックの増やし方
ストックの増やし方は種まき
植物の増やし方は挿し木やさし芽、種が多いのですが、ストックの場合は種になります。開花後に種が取れますので、種を採りたい方は、花がら摘みをせずに待ってから採種しましょう。
春に種を採ったら、秋時期にまた植えて育てられます。
八重咲きの花は種を採れない
ストックの種は八重咲きの花から種を採れないという特徴があります。一重咲きの花から種を採り、その種からは一重咲きの花が咲くという流れなのです。また、八重咲きの種を撒いても一重咲きが交じるのも特徴です。
ちなみに八重咲きの方が葉が大きくなり、発芽が早い特徴もあります。
ストックの種類
ストックの種類①キスミー
ストック キスミー
キスミーは小さいタイプ、矮性品種です。矮性品種の中でも人気で、花色は赤や白、ピンク、パープル、クリーム色などがあります。種まき後に80~85日で開花し始め、初心者の方でも育て方は簡単です。
ストックの種類②ジュノンホワイト
ストック・ジュノンホワイト
ジュノンホワイトは大きく育つ高性種です。名前の通り白色の花を咲かせる品種で、茎が硬くよく伸び、花穂のつまりがよいのでボリュームもあります。基本的には八重咲きですが、一重咲きも出現します。
ストックの種類③ピンクメイ
ストック ピンクメイ
ピンクメイも大きく育つタイプのストックです。こちらは咲き始めが淡いグリーンで、開花が進むと淡いピンクに変わっていくのが特徴となります。一重と八重、両方とも楽しめるのでおすすめです。
ストックの種類④ハロウィンイエロー
ストック ハロウィンイエロー
ハロウィンイエローはボリュームあるクリームイエロー花を付ける品種です。草丈もよく伸びる切り花向き品種で、80~100㎝に育ちます。こちらも育て方は難しくありませんので、初心者の方もぜひ育ててみて下さい。
ストックの種類⑤ビンテージ
ストック・ヴィンテージ
こちらは草丈30~50㎝ほどの矮性品種になります。花色はパープル、ピンク、クリーム色など10色ほどあり、アンティークな色合いなのが特徴です。こちらも育て方は難しくありませんので、ぜひ育ててみて下さい。
ストックの種類⑥ベイビー
ストック ベイビー
名前の通り、小さなサイズの種類です。草丈は25~40㎝ほどになりますので、小さく育てたい方におすすめの品種となります。コンパクトですので株姿が乱れません。寄せ植えや花壇に植え付けるのによいでしょう。
まとめ:ストックの育て方は簡単!
初心者でも育て方が簡単なストック
ストックの育て方、栽培方法を解説させて頂きましたがいかがでしたか?ストックの育て方はガーデニング初心者でも育てられるレベルですので、栽培に不慣れな方にもおすすめです。
種まきからの育て方も解説しましたが、発芽するか心配な方は苗から育ててみましょう!9月以降に苗が流通し始めますので、見かけたらぜひ、今回ご紹介した育て方を参考にしながら育ててみて下さい。
ストックの育て方が気になる方はこちらもチェック!
今回はストックの育て方についての解説をお届けしましたが、暮らしーのではこの他にもガーデニングに関する記事を多数ご紹介しています。もっとガーデニングのことが知りたい方はぜひチェックしてみて下さい。

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