ゼラニウムの育て方/ゼラニウムとペラルゴニウム
園芸店で見かけるゼラニウムとペラルゴニウム。 よく似た植物だけど、何が違うの?と疑問を感じたことはありませんか? 実は、ほとんど同じ植物です。 大まかな違いは、花の咲く時期。 ゼラニウムが条件が合えば年中咲くのに対し、ペラルゴニウムは春から夏にかけての一期咲です。 両者とも種類が豊富で、ペラルゴニウムにはビオラに似た二色咲きもあります。
ゼラニウムの育て方/種類
ゼラニウム
常緑性の多年草 草丈:20〜100センチ 開花時期:3〜12月 寒さにやや弱い 四季咲き性で、条件が合えば一年中開花します。 一重咲き、八重咲きなど様々な花の形があり、葉に白や黄色の斑が入る品種やモミジに似た葉をもつ品種もありますので。 多くが小柄で花付きも良いので、寄せ植えにしても映えます。 4~6号鉢で出回る栄養系品種はやや大柄になり、鉢植えで楽しむほか、スタンダード仕立てにできる品種もあります。
アイビーゼラニウム
常緑性の多年草 草丈:40〜150センチ 開花時期:4〜7月、9〜11月 暑さ、寒さ共にやや弱い アイビーの葉に似た葉を持っており、茎が下垂するので、「ツタバゼラニウム」「アイビーゼラニウム」と呼ばれています。 茎が下垂するので、ウォールバスケットやハンギングバスケットに適しています。寄せ植えにすると見事でしょう。 四季咲き性ですが、高温多湿を苦手とするため、夏前に切り戻して秋から再び開花させます。
ペラルゴニウム
常緑性の多年草 草丈:20〜80センチ 開花時期:4〜7月 寒さにやや弱い 一般にゼラニウムより背が高くなり、初夏から夏にかけて開花する一期咲きです。
パンジーゼラニウム
常緑性の多年草 草丈:20〜40センチ 開花時期:3月下旬〜6月 暑さにやや弱く、寒さにも弱い パンジーのような花を咲かせることから、そう呼ばれています。 ゼラニウムよりも管理が難しく、より高温多湿に弱いため、夏越しに失敗することが多いです。近年は、花の大きなものや葉に斑が入るものなど、改良が進められています。
センテッドゼラニウム
常緑性の多年草 草丈:30〜100センチ 開花時期:4〜7月 耐暑性はあるが、寒さにはやや弱い 葉に芳香を持っており、ハーブとしても人気です。 シトロネラールという虫が嫌う成分を持っており、虫除けとしての効果もあります。 開花時期は春から初夏ですが、四季咲き性の品種もあります。 代表的なローズゼラニウムのほかに、ミント、柑橘・フルーツ系、スパイス系などさまざまな香りをもつ種類があり、オイルやお菓子の香りづけに利用されます。
ゼラニウムの育て方/置き場所
日当たりと風通しの良い場所を好みます。 丈夫な質ですが、気温が高すぎると株が弱り、花が咲かなくなったりします。夏は明るい日陰や、西日の当たらない場所の方がいいでしょう。 冬は寒冷地以外では、戸外で冬越しできます。 霜に当たると、枯れる原因となりますので気を付けましょう。 葉が落ちてしまっても、枯れていなければ、また春に回復します。
ゼラニウムの育て方/管理の方法
ゼラニウムを育てる上で気をつけることは、基本的に以下の5つです。 ・水遣りのし過ぎに気をつけること ・真夏の高温に気をつけること ・年に1〜2回、石灰質を与えること ・茎が伸びすぎたら、短く切り戻すこと ・冬越しは、霜にあてないようにすること 他にも、日々のお世話で綺麗に咲かせましょう。
花がら摘み
小花がたくさん集まって咲くので、花房がほぼ咲き終わったら、取り除きましょう。 花茎の付け根から切り取るか、横に倒すようにすると、簡単に取れます。 黄色くなってしまった葉も、取り除きましょう。
水遣り
乾燥を好む植物です。水遣りは、土が乾いてからたっぷりあげましょう。 鉢の場合、夏は朝夕の2回水遣りを。 冬の時期はほとんど成長しないので、水遣りもさらに控えめに、乾かし気味にします。 地植えしている場合は、ほとんど不要です。
ゼラニウムの育て方/剪定・切り戻し
大きくなる品種では、鉢植えの場合バランスも悪くなりますから、毎年切り戻して剪定をした方がいいでしょう。 切り戻しの位置は節の少し上です。 しばらくすると、新しい芽が節のところから出てきます。 どの高さで剪定するかは、バランスを見て決めてください。かなり短めに切り詰めても大丈夫です。 切り戻し剪定をしたら、それを挿し木して増やしてもいいですね。
ゼラニウムの育て方/肥料について
生育が旺盛となる早春から初夏と、秋に肥料を与えます。 液体肥料を10日に1回ほどの頻度で与えてもいいですが、開花期に肥料が多いと、花茎が柔らかくなり倒れやすくなってしまうので、緩効性肥料を置き肥するとよいでしょう。 真夏は株が弱っているので、この時期に肥料を与えるのはやめましょう。 年に1回~2回ほど、有機石灰や苦土石灰など石灰質を株元に適量与えると、元気よく育ちます。 また、植え替えをした時には、緩効性肥料を元肥として混ぜておくといいでしょう。
ゼラニウムの育て方/土について
ゼラニウムは、水はけの良い、弱アルカリ性の土壌を好みます。(pH7.0〜) 赤玉土7、腐葉土3を混ぜた用土を使いましょう。 花壇に地植えする場合は、あらかじめ苦土石灰を混ぜてpHを調整しておきます。 市販の用土を利用する場合は、さらに牛糞の堆肥を1割ほど混ぜるといいでしょう。
ゼラニウムの育て方/増やし方
挿し木で増やしてみよう
挿し木とは、植物の一部(主に枝)を土などに挿して、発根させて株を増やしていくことを言います。 タネから育てるのとは違い、親木(親枝)のクローンであるので、同じ性質のまま増やして育てることができます。 品種的に貴重なものや、タネから育てる実生法では、変化が激しくて性質が異なってしまうものに向いています。 比較的簡単に増やしていくことができますし、タネから育てるよりも成長も早いです。 挿すもの(枝や葉)を挿し穂と呼び、土の方を挿し床と呼びます。
挿し木の手順:1.挿し穂を用意しよう
挿し穂に選ぶ枝は、先端に新芽の付いているものが失敗しにくくていいでしょう。 10センチほどの長さのものを用意します。 ひょろひょろと徒長したもの、葉の色が悪いものなどは避けて、元気で茎が太く、しっかりしたものを選びましょう。 先端から開いた葉っぱ4~5枚を目安に切ります。 このように先端の芽を挿し穂に使う方法を、天挿しといいます。
挿し木の手順:2.余分な葉を落とす
上の方の葉を2〜3枚残して、土に挿す下の葉を、元の方から取り除きます。手では上手く落とせないので、剪定ばさみなどを使って、茎の付け根の部分から落とします。 花や蕾がついている場合は、取り除きます。 挿し穂にするのに、開いている葉が3枚くらいが目安です。
挿し木の手順:3.切り口を切り直す
土に挿す部分の切り口を、斜めに切り直します。 茎の切り口から水分が出ている場合、土に挿した時にその部分から腐ってしまう可能性があるので、それを防ぐために日陰の場所で切り口の表面を乾かします。 一日くらい乾かせば大丈夫でしょう。 もし用意できるのであれば切り口に発根促進剤をまぶしておきます。
挿し木の手順:4.大きい葉はカットする
比較的、葉が大きい場合は、葉からの水分蒸発で発根に必要な水分を保てないため、葉を半分くらいの大きさに切ります。
挿し木の手順:5.土に挿す
赤玉土の小粒とバーミキュライトを同じ分量で混ぜたものか、市販の挿し芽・タネまきの土を使用します。 挿し木用の土もありますので、そちらを準備すると簡単です。 土を湿らせてから、割り箸などで土に穴を開け、挿し穂を挿します。 土に挿すのは、一節分(下の葉からすぐ上の葉までが一節)くらいです。 ぐらぐらして不安定なようでしたら、挿す時に、鉢のフチにもたれかけさせるように、斜めに挿します。 小さいポットを用意して、1本ずつ挿しても良いでしょう。 日陰で乾かさないように管理しましょう。 上手くいくと、2~3週間で発根します。
挿し木の手順:6.植え替える
発根してから、さらに1ヶ月か1ヶ月半後に、それぞれ植え替えます。 大きめの鉢にいくつか植えて、そのまま育てれば寄せ植えになります。 その後、2ヶ月ほどで開花します。
ゼラニウムの育て方/寄せ植え
ゼラニウムは挿し木で簡単に増やすことができますから、切り戻しをする時に、挿し穂を意識して剪定し、株を増やして寄せ植えを作ってみましょう。 繰り返し花を咲かせるので、グリーンを中心にした寄せ植えも素敵ですし、もちろんゼラニウムだけの寄せ植えも見事です。 センテッドゼラニウムは虫除けの効果もありますので、玄関や窓辺、ベランダなどに置くといいでしょう。
ゼラニウムの育て方/植え替え
植え付けに適した時期は、3月~4月、9月です。 鉢植えは、1~2年に一度植え替えましょう。 植え替えの時期も、植え付けと同じ春と秋です。 鉢の大きさを変えない場合は、古い土を軽く落として、伸びすぎた根を1/3ほど切り詰めて新しい用土で植え替えます。 切り戻して株が大きくなくても、土の中の根は窮屈になっていますから、根を整理するか一回り大きな鉢に植え替えるかしてください。 この時、緩効性肥料を元肥として混ぜておきましょう。
ゼラニウムの育て方/病害虫について
ゼラニウムはあまり神経質にならなくてもいい植物ですが、水遣りのし過ぎなどによる多湿が原因で、病気になることもあります。 主な病害虫についてご紹介します。
灰かび病
野菜や草花、果樹など、多くの植物に発生します。 蕾、花、葉、茎、果実など、大部分にみられるもので、初めは水がしみたような病斑ができ、病斑が広がるとそこが枯れて、やがて腐敗してカビが発生します。 低温多湿の環境で発生しやすい病気です。春先から梅雨の時期と、秋から初冬にかけての時期に、雨が多く降ると発生しやすいです。 風通しを良くし、水遣りのし過ぎに気をつけましょう。 また、水遣りは葉や花にかからないよう、株元に与えるようにしましょう。
モザイク病
ウイルスが原因で、葉や花に、モザイク状の模様ができる病気で、アブラムシなどから感染します。 感染すると、葉や株が縮小して弱くなってしまいます。 治すことができない病気なので、見つけたら取り除きましょう。
アブラムシ
アブラムシは春先から発生し、茎葉、花などについて吸汁します。早めに駆除するか、あらかじめ薬剤を散布して予防しましょう。
ヨウトムシ
日中は株元に隠れていて、夜、活動します。 葉を食害しますので、見つけたら取り除くか、薬剤を散布してください。 大きくなると、殺虫剤の効きが悪いので、幼虫のうちに薬剤を散布して予防することができます。
まとめ
ゼラニウムは、水遣りのし過ぎに注意さえすれば、そう手のかかる植物ではありません。 冬でも葉を落とすことなく彩りを与えてくれますので、まずは一株、育ててみてください。 最初からいくつも苗を購入するのもいいですが、切り戻し剪定をすると同時に、挿し木で増やして寄せ植えにして。そういった過程を楽しむのもガーデニングの醍醐味です。