捩花とは何?読み方は?
捩花はラン科ネジバナ属の小型多年草で、読み方はネジバナとなります。根元から広く葉が生え、地下に生えている根は3~4個です。5~30cm真っ直ぐ上に茎が伸び、夏は多数の桃紅色小花を咲かせます。
捩花はいくつか種類がある
捩花はナンゴクネジバナ・アキネジバナ・ヤクシマネジバナのように、分布地域の違いによっていくつか種類があります。ナンゴク捩花は伊豆・南西諸島、アキネジバナは各地、ヤクシマネジバナはヤクシマとなります。
「分布地域が違うだけで一緒なのでは?」と思われるかもしれません。実は、開花時期が違ったり、寒さに弱かったりと違いがありました。種類によって生態に違いがあります。
紅桃色や白色の花を咲かす
花を咲かせますが、1日経つと下を向きます。色は桃紅・白と個体によってさまざまです。白い花を咲かす個体をシロネジバナと呼び、園芸愛好家に愛されています。
花弁は5枚で唇弁は1枚です。唇弁とはラン科特有の花弁で、ペロンと飛び出しています。白い唇弁と桃紅色の花弁の組み合わせが美しいです。
世界中に分布
捩花は世界に分布しています。ロシア・韓国・中国・インドなどで、日本は全土の分布です。北半球の温帯で生息しています。ラン科では珍しく身近で見かける植物です。扱いは雑草になります。
捩花の別名・由来
捩花の別名は捩摺で、読み方は「もじずり」です。他にネジレバナ・ネジリバナ・ねじり草と呼びます。学名はSpiranthesで、読み方は「スピランセス」です。ギリシャ語のsperia(らせん)と、anthous(花)を合わせたものが由来になります。
英語では「Lady’s tresses(婦人の編んだ髪)」や「Screw flower(ねじれ花)」です。らせん状の花に「編んだ髪」の表現はピッタリですね。
染料の模様が「もじずり」
福島県信夫郡シノブズリ里には、もじずりという模様の染物があります。この染物が捩花の由来で、もじずりが捩花の咲き方に似ため、もじずりと呼ばれるようになりました。この呼び名は平安時代嵯峨天皇の皇子であった源融が、言い出し広まります。「もじずり」はその後、俳句や歌で登場するようになりました。
捩花(ネジバナ)の特徴は何?
捩花について大まかに知っていただけたましたか?続いては特徴について紹介します。特徴を知ると捩花をより深く理解したくなったり、自分で育てたくなったりしますよ。
特徴➀らせん状に巻きつく花
ねじれるように、らせんを描きながらの開花が特徴になります。花茎周辺に下から順に開花する桃紅色の花が、らせん階段のようです。1つの花は5mm弱で、可愛い不思議な形をしています。一説によると、花が全て同じ方向を向くと茎が傾く為、ねじれて花を付けるようになったといわれていました。
巻き方は右巻き・左巻きの両方
巻き方は右巻き・左巻きの両方です。どちらかの方が多い訳ではなく、同数存在します。花の付き方は、染色体の遺伝子によって決まるという研究がありました。
自然界には巻き方の方向が定まっている植物が多く存在しますが、捩花は定まっていません。その理由は推測になりますが、時期・太陽の方向・風の影響が考えられます。
ねじれ方は個体によってさまざま
ねじれ方は個体によってさまざまです。先述では右巻き・左巻きのらせん状に育つとお伝えしてきましたが、中にはらせん状になっていないものもあります。また、途中からねじれている個体もありさまざまです。個体差を公園や川原で観察すると面白いでしょう。
特徴②梅雨は捩花(ネジバナ)の季節
開花時期は5~8月の梅雨の季節花といえば、紫陽花を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は捩花も含まれます。多年草ですが、繰り返し花を咲かせません。そのため「去年まで咲いていたが、今年は咲いてない」ことがよくあります。見かける頻度は多いですが、同じ花が何度も咲けず実は貴重な花です。
捩花(ネジバナ)育て方は?
ここまでで捩花の特徴を知り「実際に育てたい」と思われた方は多いのではないでしょうか。続いて、捩花の育て方について紹介します。育て方を知り育てて見ませんか?
日なたで育てる
捩花を育てるいは通年、よく日の当たる場所で育てます。日差しの強い日は遮光してください。日陰でも育ちますが、株が間延びするでしょう。少し氷るくらいであれば枯れませんが、霜で根が浮き上がるので、冬は霜の当たらない場所に置いてください。
生息場所は公園・芝生・川原
生息場所は公園・芝生・川原などです。理由は芝生の生息環境と相性が良いためとなります。芝生の中で生息出来る程なので丈夫な性質かと思いますが、実は栽培が難しい植物です。しかし、手順を守れば大丈夫ですよ。
肥料を与える時期は4・5・10月
肥料を与える時期は、4・5・10月頃が目安です。じっくり効果が出る、緩効性・油かす・骨粉などの有機質肥料がおすすめになります。
肥料をまく場所ですが、幹の近くは避けましょう。枝先端下の地面に散布してください。もしくは、枝先端下に深さ10cm程度の穴をほり、肥料を埋める方法も効果的です。
緩効性肥料
土は市販の培養土
土は市販のもので問題ありません。その他には、鹿沼土に堆肥を2・3割足したものか、一般的な花と野菜の培養土に赤玉土を3割足したものが利用可能です。また、草花用培養土・水苔でも育ちます。さまざまな種類を試し、使いやすいものや合うものを探してください。
鹿沼土
水やりは基本雨に任せる
水やりは基本雨に任せて問題ありません。雨が降らない場合は、1日1回水を与えましょう。冬場も土が乾いていれば、多めに水を与えてください。冬場は乾燥するので注意が必要です。
鉢に植えている場合も乾燥に気を付けてください。通常回数の水やりでも土が乾く場合は2重鉢にしたり、受け皿に砂利を敷き水が切れないようにしたりしましょう。
植え付け・植え替えの季節は春か秋
植え付け・植え替えの季節は春か秋が適しています。花が小ぶりなため、詰めて植え付けると見栄えがよいでしょう。栄養面でも単体で植えるより、他植物と一緒に植えると丈夫に育ちます。植え替えるときは根の乾燥に注意し、太い根を傷つけないよう気をつけてください。
増やし方は株分け・種まき
捩花の増やし方は株分けと種まきです。育て方の上級編になりますが、手順に沿って行えば増やせます。捩花を増やし、多彩なガーデニングを目指しましょう。
株分けの季節は春・秋
株分けの季節は、3月か9月です。新芽を1~3本付けて茎を5本目安で株分けします。そのときハサミは使用せず、自然に分かれているところを軽く引っ張るようにして分けましょう。簡単ですが傷つけないよう慎重に行ってください。
種まきの季節は夏
種まきの季節は、夏の7・8月となります。花は散り実が黄色くなると、近いうちに種が弾けて出てくる頃です。捩花は開花し種が弾けるまでの期間が短いため「気が付いたら散乱していた」ことも多々あります。確実に種を入手するためには、弾けてしまう前に採取しましょう。
採取した種はすぐに親株の根元周辺にまくと、発芽しやすくなります。
育て方のポイント
捩花の育て方を紹介してきました。続いては、育て方の中でもポイントになる内容を紹介します。育てるには少し難しい植物ですが、ポイントに注意すれば上手に育てられるでしょう。
アブラムシの発生に注意
捩花を育てる際に気をつけることは、害虫の発生です。3~5月にアブラムシが多く発生します。新芽・茎・若葉の裏などから吸汁し株を弱らせたり、ウィルス感染させたりするので見つけ次第駆除しましょう。
同時期に発生する、ナメクジやカタツムリにも注意が必要です。
鉢はプラスチックのものがおすすめ
捩花を鉢で育てる際は、プラスチック制のものがおすすめとなります。理由は水分が蒸発しにくい為です。素焼き鉢に植えると夏場水の蒸発が激しく、水やりの手間が増えます。鉢の丸洗い・処分・持ち運びに便利です。価格も手頃なものが多くあります。
プラスチック鉢
花言葉は「思慕」
捩花は7月4日の誕生日花です。花言葉は「思慕」になります。思慕とは「思い慕うこと」「恋しく思うこと」の意味です。捩花の花言葉には由来があるので、続けて紹介していきます。
「思慕」の由来は万葉集の歌
花言葉「思慕」の由来は、万葉集で詠まれた歌になります。その歌には「あなたと逢うことが無ければ、こんなに恋しく思うだろうか」という恋心を描いていました。捩花の咲く姿が、恋しい相手を思う姿と重なったのでしょう。
切ない花言葉になりますが、恋心を伝えたいときは捩花を贈りませんか。
さまざまなアレンジ方法がある
捩花は花束に加えたりアレンジが可能です。例えば、ドライフラワーに加工し、ハーバリウムやリースなどができます。自宅に飾るのもよいですし、贈り物でも喜ばれるでしょう。自宅に飾る際は生花の場合は茎を好みの長さでカットし、花瓶に挿すと存在感が出ます。
捩花の豆知識
捩花に似ている植物を紹介します。マツバウンラン・ハエドクソウ・ヒナキキョウソウ・イヌタデ・アメリカモジズリ・ミヤマモジズリなどです。分布地域や開花時期に違いはありますが、どれも茎が真っ直ぐ伸び、小ぶりな花を咲かせるのが特徴です。捩花と色サイズの違いを確かめると面白いでしょう。
食用では無い
ラン科は鑑賞用のものが多くあります。捩花は基本食べられません。毒はありませんが、苦味がします。ラン科の食用植物はバニラや春蘭などです。
捩花は苦味がある為、天ぷらは美味しく食べられる可能性があります。ただし、あくまで鑑賞用の植物なので、見かけても採って食べることは避けた方がよいでしょう。
捩花(ネジバナ)は魅力の多い花
今回はねじれながら咲く捩花について紹介してきました。開花時期や育て方のポイント、意味・由来などを解説してきましたが、いかがでしたか?特徴や花言葉などもあり、盛りだくさんの内容でした。この機会にぜひ、不思議な魅力のある捩花を育てるのはいかがでしょうか。
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