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【連載】釣っ食べ第26弾は「オオヤマトカマス」を天ぷらでいただく!

カマスといえば塩焼きが旨いとされているお魚です。しかし鹿児島あたりで釣れるアオガマスは水っぽくてあまり旨くありません。もっと南で獲れるオオヤマトカマスはどうでしょう。水っぽさを感じさせない天ぷらならばイケるかも。今回はオオヤマトカマスを天ぷらでいただきます。
2021年9月24日
kuma10
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カマスって美味しいの?

日本近海には何十種類かのカマスが生息しています。関東地方で干物としてよく食卓に登るのが「ヤマトカマス」で、干物や塩焼きで食されます。もともとカマスは「水っぽい」と言われ、関東ではあまりお刺身にはしません。これが南下して九州近辺に行くとその傾向はもっと顕著になり、日常的にカマスを食べる習慣すらない地域も存在します。「肉食魚は旨い」の常識にあてはまらないカマスの最高の食べ方が「天ぷら」なんです。ぜひ一度試して頂きたいと思います。

今回の釣行記

カマス狙いで午前2時の浮き桟橋

集落の釣り好きから「ムロアジ釣りをナガリに邪魔された」と報告を受けました。通常ナガリは「ダツ」のことを指すのですが、細長い魚はたいがい〇〇ナガリと呼ばれます。釣果の一部を見せていただくとそこにはカマスの姿がありました。これがアジなどの仕掛けに喰いつくとラインを切られてしまいます。何年かに一度カマスが回遊してくる年がありますが、今年はその年に当たっているようです。深夜のアジングでカマス狙いが決定しました。

特別なカマス仕掛けは無し

ダツやタチウオ、カマスなどの「ハモノ(歯物)」を相手にする時にはそれなりの装備を揃えるのが望ましいのですが、今回は通常のルアー仕掛けで挑みます。足場の良い浮き桟橋からの釣りですので、かなり強引なやりとりができますから取り込みよりも掛け易さで勝負です。ワイヤーなどの装備は無し。アジングの小さなジグヘッドでラインを切られるようでしたらミノー系にルアーチェンジして挑みます。

十五夜手前の中潮、上げ三分

1.5gの小さなジグヘッドで常夜灯のキワをゆっくり流すとまずは赤いお魚が揚がってきた。スローリトリーブだと赤いお魚ばかりになりそうなのでリーリングスピードをアップさせるとククッと大きなアタリが。フッキングを入れた瞬間にラインブレイク。確認すると3号のフロロカーボンリーダーがスパリと切られています。カマスの仕業でしょう。即ルアーをミノーに変更。食べる分だけ釣って約30分で納竿。時計を見ると午前2時。

今回の釣果はカマスが主役

全部で3種類


今回の釣果がこちら。一番大きいのがカマスですが、もちろん私が子どもの頃食べていたヤマトカマスとは違います。オオヤマトカマスと言って、関東などで水揚げされるカマスの1.5倍ほどの大きさになります。右側の赤いお魚はマツカサ。小骨が気になりますが、丁寧にお刺身にしたら最高の甘味があります。真ん中の黄色いお魚はヨスジフエダイ、島では「ヤマトベ」と呼ばれています。煮付けや味噌汁で良い出汁がでます。

ん?何かオカシイぞ

いや、ちょっと待ってくれ。明るい場所で見直すとなんだか違和感がある。マツカサの一匹がなんだかオカシイ。目がぱっちりとしていて、頭も丸い。彩りもフチが不自然に黒い。

ちょっと調べてみると、いたいた。いつものマツカサは「ウロコマツカサ」、フチの黒い方は「ツマグロマツカサ」というらしい。「食べ比べ!食べ比べ!」と嫁さんから食べ比べコールをいただいたので、お刺身に決定。

オオヤマトカマスを天ぷらに

天ぷらが似合いそうな身質です

血抜きをしてウロコを剥ぐところまでは毎度のことだけれど釣り場で済ませてあるので、後は三枚におろすだけ。頭を落とし、内臓を抜き、流水でゴシゴシと洗う。背骨に着いた固まった血液がすべて落ちたら洗浄完了。三枚におろし、腹骨をひく。血合いのほとんど無いきれいな白身。指で押すと弾力はあるが、やはり少し水っぽい感触。お刺身より火を入れる料理が似合いそう。

天ぷら用下ごしらえ

頭の先から尾の先までの長さが有に40㎝を超えるオオヤマトカマスであるから、片身を三分割、つまり6片に切り分ける。皮側と身側の両方に軽く塩をして、いつもなら15分程置くところを、今回は冷蔵庫のパーシャル機能を使って2時間ばかり寝かせる。これで水分と臭みが抜ける(ハズ)。

天ぷらを揚げる

塩落とし用に作った水(後述)で切り身を洗い、水気を切る。天ぷら粉を溶いたものにくぐらせて熱した油に泳がせる。油の温度は高めの180°くらいではじめ、タネを投入したことによって温度が下がったらその温度(160°~165°)をキープするように火加減し表裏を2分づつくらいポメラニアン色になるまで揚げる。油をしっかり切ったらできあがり。

マツカサはお刺身でいただきます

血合いの少ない美しい身


マツカサは2種類の食べ比べをするためにお刺身に切ります。小さいのであまりたくさんは取れませんが、つるんとした血合いの少ないきれいな身です。よくタイやハナダイの身に例えられますが、個人的にはイトヨリに近い身だと感じています。弾力もあり、そのまま食べても美味しそうですが、こちらにも塩を一振りして寝かせます。2種類のマツカサですが、身質はどちらも同じように感じますが、ツマグロマツカサの方がピンクが強いようです。

お刺身用下ごしらえ

塩をして冷蔵庫のパーシャル機能で2時間寝かせ、水分と臭みを抜いたら今度は戻します。大きめのボールに冷水と塩、酢を混ぜ、その中で切り身を洗います。一見「洗い」のように見えますが、これは柵のままです。この後切り分けていきますので、旨味は流れ出しません。ちなみに戻し水は1Lの氷水に対して塩小さじ1、酢小さじ1で作っています。

水分を拭き取ってお刺身にします

キッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取ってからお刺身にします。柵が小さいので削ぎ切りにして「木の葉型」のお刺身にするのが一番ですね。

ヤマトベでお味噌汁を作りましょう

ヤマトベの下ごしらえ

ヤマトベは浮き桟橋ですでにウロコは落としているので後はエラと内臓を抜いたら下ごしらえ完了。二つに切って洗ってから、軽く塩をしてこれも寝かせておきます。

お味噌汁を仕立てる

フリー写真素材ぱくたそ

今回は先にお湯に味噌を溶いて、沸騰した味噌湯に魚をぶち込みましたが、本来ならば沸騰手前のお湯に静かに魚を入れ、ゆっくりとアク取りをして最後に味噌を溶かします。天ぷらを熱々でいただきたかったので適当な作り方になってしまいました。それでもしっかりとヤマトベの出汁が効いて美味い味噌汁になりました。フエダイ系の魚はよく味が出ますね。

今回の釣行のお供


最近はシンペンがお気に入り

得意のカヌー釣りでもランガンでも、浮き桟橋からのルアー釣りでも、最近はシンキングペンシル(シンペン)を使うことが多くなりました。とにかく泳ぎが良いのと、最近のシンペンは本当に飛距離が出ることからその使い勝手は最高です。釣りが楽になりました。いろいろ難しく考えるなら、まずはシンペンを投げてみるというのがマイブームです。みなさんも、「迷ったらシンペン」をご唱和ください。

昔使っていたルアー

余談になってしまいますが、海でのルアー釣りで一番興奮するのが「トップルアー」です。何か記事になりそうなルアーはないかなと探していたら、その昔内地にいたころにブラックバス相手に使おうと思っていた「ヘドン・ビッグバド」が出て来たので、今度使ってみようと思います。ごちゃごちゃの道具箱に25年以上も入っていたからこんなに汚いですが、実は新品未使用なんです。まさかこいつも海が初戦になるとは夢にも思っていなかったでしょうね。

天ぷら定食できあがりました

完成した「天ぷら定食」がこちら。オオヤマトカマスの天ぷらには軽く塩を振っておきました。食べる時にスダチを絞っていただきます。衣はサクサク、身はしっかりしているのに噛むとふわっとほどける上品な白身。絶品でした。マツカサは甘味レベルはどちらも同じ、旨味レベルはウロコマツカサに軍配が上がりました。ヤマトベのお味噌汁に関してはこれはもう言うに及ばず、しっかりした濃いめの出汁が出ていました。新鮮なお魚は臭みも無く美味しいですよ!

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毎週火曜日あたりに連載されている釣り記事を書いています。「あたり」というのがお恥ずかしい話なのですが、実釣を混ぜての記事のため時々記事を落としてしまいます。本当にごめんなさい。こんな私の記事ですが、興味を持っていただけたら他の記事にも是非目を通してみてください。よろしくお願いいたします。