ユーカリは観葉植物に人気
コアラやオーストラリアのイメージが強いユーカリですが、その葉の美しさや香りのよさから日本でも栽培されるようになってきました。
まったくのガーデニング初心者にはややハードルが高いユーカリですが、いくつかのポイントを押さえこまめに世話すればユーカリを観葉植物として室内で楽しめます。
ユーカリとは
ユーカリはフトモモ科ユーカリ属の総称です。多くのユーカリはオーストラリア、ニュージーランド、タスマニア島に分布し野生のユーカリは種類にもよりますが樹高50mを越すものもあり、大きな森や林を作り上げます。
オーストラリアでは先住民アボリジニが薬のように使ってきた歴史も。アロマテラピーの精油の原料に使われる種類もあります。
ユーカリは種類が豊富
ユーカリは500種以上存在し、変種や亜種を加えると1000種に迫るという説も。種類によって葉の形や好む環境、樹高、香りなどが異なるためすべてのユーカリに共通する育て方というのはあまりありません。
しかし、日本でガーデニング用に流通しているものは数ある種類の中でも日本に適応しやすいため、それらに限定すればいくつか共通する育て方のポイントがあります。
コアラが食べるユーカリはどれ?
変種を入れると1000種類にも迫るユーカリ。しかしコアラが好むユーカリはわずか20~100種ほどで、コアラによって嗜好が違います。2019年には天王寺動物園のコアラがイギリスに移送されまた。原因は餌代の高さです。コアラには日々膨大なユーカリが必要になりますが、日本でコアラが食べる種類を用意するのは至難の業でした。このことからもわかるようにユーカリは環境に敏感な植物といえます。
観葉植物としてのユーカリの魅力
栽培環境を選ぶユーカリですが、日本の環境に適応しやすい品種を使った鉢植えがガーデニング用観葉植物として近年人気です。オーストラリア現地などでは樹高は数十メートルになるといわれていますが、日本の環境で鉢植えで育てるとそこまで成長することはなく、観葉植物として管理することもできます。
ガーデニングで楽しめるユーカリの観葉植物としての魅力をご紹介しましょう。
観葉植物ユーカリの魅力①地植えより管理しやすい
ユーカリはとにかく成長の早い植物です。生育環境さえあえばぐんぐんと枝を伸ばし、庭を占拠してまったり隣家に浸食してしまうこともあるほど。しかし、それは地植えでの話で、鉢植えで観葉植物として管理するとその生育速度はゆるやかになります。
ただし、もとは高木であることには注意が必要です。本来は数十mにもなるユーカリを観葉植物として管理するのは日本の盆栽にも似ているといえるかもしれませんね。
観葉植物ユーカリの魅力②剪定で出た枝も楽しめる
ユーカリの生育時期である夏は新しい枝がどんどんと伸びます。とくに地植えの場合は生育に合わせて頻繁な剪定が必要となりますが、観葉植物として管理しているときもある程度の剪定は必要です。
この剪定で出た枝の利用価値が大きいのがユーカリの魅力。枝でリースやスワッグを楽しんだり、お風呂に浮かべて入浴剤に使うこともできます。
観葉植物ユーカリの魅力③葉の観葉価値の高さ
ユーカリが観葉植物として人気の理由はやはりその観賞価値の高さにあるといえるでしょう。ほかの観葉植物にはあまり見られない樹形や葉の質感、カラーはユーカリならでは。種類によって見た目や性質ががらりと変わるため、一種類のユーカリからはじまり、次々に別の種類を育てたくなる魅力があります。
観葉植物ユーカリの魅力④香りが楽しめる
ユーカリの清涼感ある香りが好きな人も多いでしょう。精油の原料にもなるユーカリは香りが非常に強く、種類によっては剪定するたびに葉や枝から清々しい香りが立ち上がります。
剪定した枝から葉をとって入浴剤にして楽しむ方法も人気です。
虫除けになるものも
ユーカリの特徴的な香りはシトロネラールと呼ばれる成分によります。この香りは虫が嫌う香りでもあり、ユーカリを植えているだけでも周囲の虫が減るといわれているほどです。天然成分にこだわった虫よけスプレーなどにユーカリの成分が配合されることも珍しくありません。
観葉植物ユーカリの育て方【基本】
置いておくだけで虫よけ効果を発揮し、観賞価値も十分なユーカリ。地植えでユーカリを管理するのに比べて観葉植物として鉢植えで管理するときは少しコツが必要になります。
地植えであれば旺盛な生育スピードに負けない管理が重要になりますが、観葉植物のユーカリの場合は生育をキープするための日当たりや水やりに注意が必要です。
観葉植物ユーカリの育て方①用土
ユーカリはとにかく水はけのよい土地を好みます。また相反するようですがユーカリは水を好む植物です。乾燥したオーストラリアで育つユーカリは乾燥に強いといわれていますが、それは地中では豊かな地下水を得ているからともいえるでしょう。
つまり、地下の水脈に触れた根の先端は湿っていても、周りは乾燥しています。水持ちのよい観葉植物用の土では根腐れするため、ハーブの土など保水性の低いものをえらびましょう。
観葉植物ユーカリの育て方②日当たり
ユーカリの管理でとくに重要なのが日当たりと風通しのよさです。ユーカリは本来、陽樹と呼ばれる日当たりを好む植物。そのためさんさんと降り注ぐ日の光のもとで生育します。
室内で観葉植物として管理する場合も、天気のよい日はベランダなど日の当たる場所に出しましょう。とくに日光を欲しがる生育時期(6~8月)の真夏の時期はほぼ室外で育てるようなイメージです。
観葉植物ユーカリの育て方③風通し
乾燥しやすい場所を好むユーカリなので、日当たりと同様に風通しのよさにも注意しましょう。人の動きがない場所では空気も動きません。ベランダや玄関に定期的に出す方法を取れば日当たりと風通しの問題を一緒に解決できます。暑さには非常にタフな植物なので、春~秋の時期は外に出しっぱなしでも構いません。
観葉植物として室内に置きたい場合は定期的に外に出すのを忘れないように注意しましょう。
観葉植物ユーカリの育て方④水やり
ユーカリの管理方法で初心者がつまずきやすいのが水やりです。ユーカリに限らずすべてのガーデニングで「水やり3年」といわれるほど水やりはウェイトが大きく、植物に合った水やり方法をとる必要があります。とくに地植えと違い鉢植えは水のコントロールが難しい管理方法です。
ユーカリは乾燥と水という相反するものを一緒に好む植物。水やりを怠っているとあっという間に枯れてしまうことも珍しくありません。
注意すべき水やりのポイント
日本で流通しているガーデニング、観葉植物用のユーカリは比較的湿潤に強いですが、水やりで気を付けるポイントは「土をすぐに乾かすこと」「1度の水やりの量はたっぷりと」でしょう。とくに真夏は毎日の水やりが必要です。
葉が乾燥して先端がカールしてくるようなら水切れのサイン。要注意です。朝水やりをして次の日も土が湿っているようなら置き場所の見直しが必要でしょう。
観葉植物ユーカリの育て方【その他】
日当たりや置き場所の注意、ガーデニングの基本の水やりといった管理方法のほかに、ユーカリに必要な手入れについて解説します。鉢植えにした観葉植物のユーカリは地植えにくらべて生育がゆっくりのため、これから紹介する剪定や施肥は頻繁には必要ないでしょう。
一方、観葉植物として管理する上で必要となる植え替えは鉢植えならではの管理方法です。
観葉植物ユーカリの育て方①肥料
ユーカリの種類にもよりますが、日本でガーデニング用や観葉植物として流通しているユーカリに肥料はほとんど必要ありません。多くのユーカリは肥沃な土を苦手とするため、「なんだか生育の調子が悪い」と感じた時に安易に肥料を与えるのは避けましょう。
通常の観葉植物の場合、肥料切れは初期に検討する項目ですが、ユーカリの場合は肥料の検討よりも日当たりや水やりの頻度などを注意する方がうまくいくことが多いです。
観葉植物ユーカリの育て方②剪定
剪定の時期は冬から目覚めて生育が始まる春(3月~5月)と、生育スピードが乗ってくる真夏を避けた夏の終わりから秋ごろ(9月~10月)。春の時期に行う剪定は、これから盛大に伸び始める枝に備えるイメージで、秋の時期の剪定は真夏で伸びきった枝を整理するようなイメージでしましょう。
地植えで管理するユーカリは頻繁な剪定が必要です。鉢植えで観葉植物として管理している場合、地植えほど頻繁に剪定せずにすみます。
剪定の方法:透かし剪定
込み入った枝を整理する方法を透かし剪定と呼びます。枝と枝が重なり合っているところ、枯れている枝、今後その方向にのびられると困る枝などを整理しましょう。
ユーカリは切った枝の先端は今後伸びないため、主役として残しておきたい枝はあらかじめ決めて置き、その枝は残しましょう。ユーカリ以外のガーデニングでも透かし剪定は健康維持に重要です。
剪定の方法:摘芯
摘芯は枝の頂点を剪定する方法です。ユーカリは枝の先端(頂点)を摘芯するとその先は今後伸びません。その代わり、摘芯した枝の左右から新しい芽がでて枝の総数が増えます。
これ以上樹高が出ると困るときやもう少し株にボリュームを出したいときなどに摘芯するとよいでしょう。
観葉植物ユーカリの育て方③植え替え
植え替えの時期は真夏と真冬を避けた時期です。頻度は2~3年に1回ほど。根詰まりして生育が落ち込んだり水切れを起こしやすくなった時が植え替えの時期です。
ユーカリの根は傷みやすいため主根を傷つけないように慎重にします。一般的なガーデニング植物であれば1~2周りほど大きな鉢に植え替えますが、ユーカリは1周り大きな鉢で十分。あまり大きい鉢に植え替えると、根に対する土が多くなり過湿になりやすいからです。
観葉植物ユーカリの育て方④冬越し
ユーカリは種類によって耐寒性が異なります。日本で流通しているガーデニング用、観葉植物用のユーカリは耐寒性が強いものが多いですが氷点下は厳しいものも。そのため、購入するユーカリの耐寒性を知りその気温を下回る日は室外には出さないのがベターです。
ただし、常緑のユーカリは冬でも日当たりが必要です。そのため、冬でも日中温かい日は日当たりのよい場所に出しましょう。
初心者向け観葉植物向きのユーカリ品種3選
初心者にも◎観葉植物向き品種①ユーカリ・ポポラス
ユーカリ・ポポラスはハート形の葉とポポラスベリーと呼ばれる実が人気です。ポポラスは比較的乾燥に強いため水切れを起こしづらく初心者にもおすすめ。その一方で過湿に弱いので植え替えの際の用土選びには注意が必要です。
強い日当たりのよい場所を好むので定期的に日光に当てるとたくましく育ちます。耐寒性は-7℃前後。地植えではなにもせずに育てると20mに迫ることもあるため剪定は必要です。
初心者にも◎観葉植物向き品種②レモンユーカリ
レモンユーカリはレモンのさわやかな香りが魅力で蚊など虫よけの効果が高い種類です。湿度や降雨量が日本に似た地域を自生地とするためそれほど水やりや乾燥に注意せずとも育ちます。
用土が合えば通常の観葉植物のような感覚で育てられるでしょう。ただし、水をかなり要求するので水切れには要注意です。温暖な気候を好み耐寒性は低く0℃~3℃といわれています。冬場の温度管理には注意しましょう。
初心者にも◎観葉植物向き品種③ユーカリ・グニー
ユーカリ・グニーは小さな丸葉とミントの香りが魅力。日光不足になると枯れやすいので日当たりは重要です。観葉植物として室内で育てていても、半日は直射日光に当てたいところ。ユーカリの中でもトップクラスの耐寒性を誇り地植えであれば-20℃まで耐えるといわれています。温暖地であれば冬の時期も外に出しっぱなしでも問題ないでしょう。
高い耐寒性をもつ反面、日本の真夏の暑さはやや苦手。水切れに注意が必要です。
ユーカリは世話好きな人におすすめ
ユーカリは「生き物を育てている」という感覚を教えてくれる植物です。植物の状態や時期に合わせて手入れの方法を変えていく楽しみがあります。日差しを好むのでこまめに日に当てるのがポイント。ベランダガーデニングにも人気がありますよ。
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