立山の紅葉時期は大雪山と並ぶ早さ
立山の紅葉は、日本で最も紅葉の訪れが早い北海道の大雪山と同じく、早い地点では9月下旬に見頃を迎えることで知られています。立山の山頂から山麓までは標高差が1,975メートルもあることから、山麓では11月上旬まで紅葉を楽しめるのも特徴です。
紅葉シーズンには立山を中心に、立山黒部アルペンルートの各所で錦絵のような美しい景色が広がります。立山などのおすすめ紅葉スポットについてチェックしておきましょう。(この記事は2021年9月19日時点の情報です)
「立山」とは三つの山の総称
立山とは、北アルプス北部を構成する日本百名山の一つとなり、立山黒部アルペンルートの中間地点にある三つの山の総称です。右から雄山(3,003メートル)・大汝山(主峰3,015メートル)・富士ノ折立(2,999メートル)がそびえ、観光名所である室堂平から屏風のような美しい姿が眺められます。
立山の雄山は初級者でも2時間ほどで登れるため、紅葉時期も含めた登山シーズンには多くの観光客でにぎわう人気スポットです。
立山へのアクセス
立山の拠点となる室堂へは2ルートあり、富山県立山駅からと長野県扇沢駅からとなります。立山駅から室堂駅までの距離は24.3キロメートルあり、ケーブルカー(7分)と高原バス(50分)を乗り継いでで到着します。
反対の扇沢駅からは12キロメートルあり、所要53分です。しかし5区間を4つの乗り物と徒歩で移動する必要があります。出発地にもよりますが、早い時間帯に登山するならば立山駅からのほうが便利なようです。
立山黒部アルペンルートの詳細はこちら
立山黒部アルペンルート
- 電話番号076-481-1145
- 公式サイトURLhttps://www.alpen-route.com/access_new/access/
- 住所〒930-1405
富山県中新川郡立山町千寿ケ原(ケーブルカー立山駅) - アクセス東京から北陸新幹線でJR富山駅下車で、電鉄富山乗り換え、富山地方鉄道でケーブルカー立山駅到着。大阪から特急サンダーバードでJR金沢駅下車、IR石川鉄道/あいの風とやま鉄道乗車し、JR富山駅で下車、電鉄...
立山のスポットで変わる紅葉の見頃と特徴
立山の紅葉の見頃
紅葉は標高の高い場所から見頃を迎えるため、筆頭は9月中旬に見頃となる標高3,015メートルの立山三山です。以降は、2,400~2,300メートルの室堂や大観峰が9月下旬~10月上旬になっています。
さらに1,900~1,800メートルの弥陀ヶ原や黒部平は10月上旬~中旬、1,400~1,000メートルの黒部ダムや称名滝、扇沢は10月中旬~下旬、500メートル以下の立山駅は10月下旬~11月上旬です。
2021年は少し早め?
2021年は少し早く、9月中旬に室堂平の草紅葉が見頃を迎えました。イワイチョウの黄色やチングルマの赤、ネバリノギランのオレンジ色が美しい景色をつくっています。
立山の紅葉ピークを見逃したくない人は、立山黒部アルペンルートのホームページをこまめにチェックしておくとよいでしょう。
立山の紅葉の特徴
立山で観察できる紅葉の種類は標高の高さによって異なりますが、主に次の種類があげられます。室堂平では、赤くなるチングルマやウラジロナナカマド、ミネカエデ、ツタウルシ、黄色いイワイチョウ、オレンジ色のネバリノギランなどです。
それぞれの紅葉スポットでは、どのような植物が紅葉しているのか、種類と数を大まかにチェックしておくのも楽しいかもしれません。
立山紅葉スポット:室堂平エリア2選
紅葉スポット①登って楽しい「立山三山」
立山三山の登山口は、立山黒部アルペンルートの中間地点となる室堂です。主峰は大汝山(3,015メートル)ですが、主な登山は手前にある雄山までのピストンが多いようです。往復の歩行距離は約5.5キロメートル・往復所要時間は約3時間30分となっています。
体力があれば、紅葉の中を進む立山登山は最高の気分にしてくれることでしょう。山頂からの室堂平などの紅葉も素晴らしく、装備をして臨む登山もおすすめです。
雄山の"三段紅葉"
雄山の三段紅葉とは、山頂から山麓までの紅葉が赤や黄色、緑などの色合いが三段に分かれて観える、山岳ならではの景色をいいます。
立山では、他の観光スポットでも素晴らしい三段紅葉が観られますが、雄山山頂から眺める色のグラデーションも評判です。眼下のみくりが池やエンマ台などの素晴らしい景色は、登山者だけのご褒美といえるでしょう。
紅葉スポット②溶岩台地の「室堂平」
立山登山をしない人は、立山の眼下に広がる、立山黒部アルペンルートの立山室堂ターミナル駅がある「室堂平」の散策がおすすめです。室堂平は標高2,450メートルの地点にあり、立山火山がつくった広大な溶岩台地のことをいいます。
ほぼ平坦で整備された歩きやすい道のため、観光客にも大人気のスポットなのです。のんびり勇壮な立山を眺めながら紅葉鑑賞をお楽しみください。
ベンチでお弁当も食べられる「室堂平広場」
室堂平広場は展望がよく、室堂ターミナル駅から徒歩5分ほどの場所にあります。晴天時であれば、ベンチに座ってみくりが池や紅葉が美しい立山三山の抜群の眺めを堪能しましょう。
フワフワの綿毛に変身したチングルマ、黄葉のイワイチヨウやワレモコウなどの紅葉を眺めながら、お弁当に舌鼓を打つのもおすすめのスポットです。
深さ150mの火口湖「みくりが池」
みくりが池は、北アルプスで際立って美しいといわれている火口湖です。火口湖とは、噴火跡に雨水が溜まってできたものをいい、みくりが池は周囲631メートル・深さが15メートルもあります。紅葉シーズンには立山三山の三段紅葉が水面に映える、絶好の写真スポットです。
立山室堂ターミナル駅から徒歩約20分の場所にあり、時間があればのんびり一周してみましょう。
日帰り入浴もできる「みくりが池温泉」
みくりが池温泉は、標高2,410メートルの日本で一番高い場所にある、日帰り入浴もできる宿泊施設です。源泉は近くにある地獄谷となり、加水も加温も一切していない硫黄成分100パーセントのかけ流し。男女別の展望内湯からは立山の美しい紅葉が眺められます。
レストランでは人気の幻の魚ゲンゲや白エビの唐揚げ、紅葉の時期には温かい食事に舌鼓を打ちましょう。立山室堂平ターミナル駅から徒歩約20分です。
みくりが池温泉
- 住所〒930-1414
富山県中新川郡立山町室堂平 - 公式サイトURLhttp://www.mikuri.com/cuisine.html
- 電話番号076-463-1441
山崎圏谷も観られる「エンマ台展望台」
エンマ台展望台は、立山室堂ターミナルから徒歩約25分、みくりが池温泉の源泉である地獄谷が眺められるスポットです。燃えるような立山の三段紅葉と競演するかのように、火山ガスがもくもくと上がる景色は壮観といえます。
エンマ台展望台からは、スプーンで斜面をえぐったように観える、幅400・長さ600メートルの"山崎圏谷(やまざきけんこく)"も観られます。氷河が侵食されてできた谷で、日本では貴重な存在です。
日帰り入浴もできる「雷鳥荘」
高台にある雷鳥荘は、立山室堂ターミナル駅から徒歩約35分と少し遠く感じられますが、色鮮やかな紅葉が楽しめるルートです。地獄谷が源泉となる100パーセントかけ流しの温泉は日帰りもできます。
雷鳥荘からは、登山シーズンは色とりどりのテントが並ぶ野営指定地の雷鳥沢や地獄谷が観える絶好のロケーションです。高山植物や紅葉だけではなく、名称どおり天然記念物のライチョウを観られる確率も高くなります。
雷鳥荘
- 住所〒930-1406
富山県中新川郡立山町芦峅寺ブナ坂11国有林 - 公式サイトURLhttp://www.raichoso.com/sisetu.html
- 電話番号076-463-1664
リンドウと紅葉も美しい「りんどう池周辺」
雷鳥沢にあるりんどう池は、谷間に流れる川をせき止めてできたような池となります。池自体は地味な印象ですが、三段紅葉の立山三山はもちろん、遊歩道も染めるウラジロナナカマドの紅葉が絶景のスポットです。
晩秋の風に揺れるタテヤマリンドウやミヤマリンドウもまた、立山の風景に趣を与えています。しかし開花期は8月のため、残念ながら紅葉時期には観られません。立山室堂ターミナル駅から徒歩約1時間です。
鮮やかな紅葉に息をのむ「玉殿の岩屋」
玉殿の岩屋は、クマと白タカに導かれた佐伯有頼が阿弥陀如来と慈朝上人のお告げによって立山を開山したという伝説が残るスポットです。江戸時代までは修験者の聖地とされ、のちに登拝者の宿泊所としても使われていました。大小2つの岩屋があり、祠と地蔵様が祀られてあります。
洞窟に入ることも可能で、洞窟を額縁に見立てて眺める立山も素晴らしい景色です。立山雄山方向にあり、室堂ターミナル駅から徒歩約30分で行けます。
ハイキング気分の「室堂平展望台」
標高が2,668メートルある室堂平展望台は、気楽に室堂や立山三山の絶景を楽しめる名所です。立山室堂ターミナル駅から徒歩約50分で到着するため、立山雄山の登山は自信がないけれど軽く運動をしたいという人におすすめのスポットでもあります。
室堂平展望台の先は、切り立った崖の立山カルデラの縁です。室堂平展望台からは薬師岳方面が望め、山岳地ならではの絶景の紅葉景色が見ものです。
立山紅葉スポット:大観峰エリア2選
紅葉スポット①「大観峰」の屋上展望台
標高2,316メートルの大観峰は、室堂に次いで高い場所にある紅葉の名所となります。大観峰の駅舎は崖の上にせり出すように建ち、その特徴ゆえ大観峰の見所は、3階にある屋上展望台から降車するロープウェイ、黒部湖や後立山連峰の大パノラマです。
立山黒部アルペンルート屈指の美しさともいわれており、紅葉シーズンはさらに目が釘付けになることでしょう。紅葉時期は9月下旬~10月中旬です。
紅葉スポット②:「大観峰」から乗るロープウェイ
大観峰と黒部平の間には、支柱が一本もない"ワンスパンロープウェイ"が往来しています。景観と環境への配慮からといわれており、まさにロープウェイ車中の景色は壮大としかいいようがありません。
黒部平に下りるときは、"タンボ沢"の黄色が主体の紅葉と黒部湖、後立山連峰などが圧巻の景色です。反対に黒部平から大観峰に登るときは、山頂の雪と山肌の紅葉が素晴らしい立山連峰が迫ってきます。9月下旬~10月上旬が見頃です。
立山紅葉スポット:黒部平エリア3選
紅葉スポット①「展望台」からのロープウェイ
標高1,828メートルの黒部平は、大観峰からのワンスパンロープウェイで488メートルも下がった場所にあります。そのため立山連峰を背景にした展望台は、大観峰からロープウェイが角度を付けて1.7キロメートル下ってくる、迫力の光景を眺められる名所です。
立山の三段紅葉と呼ばれる美しい景色を進むロープウェイも撮影したい人は、シャッターチャンスを逃さないようにしてください。紅葉の見頃は9月下旬~10月上旬です。
紅葉スポット②「展望台」からの後立山連峰
立山との反対側にそびえるのは、黒部ケーブルカーが貫く後立山連峰の赤沢岳(2,678メートル)や針ノ木岳などです。眼前に迫りくるような山岳地の独特な景色も、ぜひ写真に収めましょう。紅葉の見頃は10月中旬~11月上旬です。
紅葉スポット③「ロープウェイ」からの景色
黒部平からロープウェイに乗車するときは、大観峰から降りてくる時と反対のアングルを楽しめます。展望台から眺める立山の三段紅葉は、ロープウェイに乗車することでさらに迫力のある光景となるのです。
立山の東側斜面の崖にせり建つ大観峰の駅舎は、まるで岩と一体化したような感じに観えます。
立山紅葉スポット:黒部ダムエリア3選
紅葉スポット①えん堤からの「ダム湖」
標高1,470メートルの黒部ダムは、黒部平からケーブルカーで到着する黒部湖駅を出たところにある、高さ186メートルもの名所です。距離492メートルのえん堤から眺める北アルプスの山並みは、言葉にできないほどの美しさです。
さらに紅葉が見頃になる10月中旬~11月上旬は、無機質なアーチ式のコンクリートダムに色鮮やかな紅葉が映え、見事としかいいようがありません。
紅葉スポット②1,508メートルの「ダム展望台」
ダムには標高1,508メートルの展望台があり、えん堤からの外階段と黒部ダム湖駅の220段の内階段から共に約10分で行けます。立山連峰を始め、10月15日まで行われているダムの観光放水も圧巻です。
毎秒10トン以上のダムの水が霧状に放水され、時には虹もかかる素晴らしい景色を、ぜひ紅葉と共にお楽しみください。見頃は10月中旬~11月上旬です。
紅葉スポット③日本で一番標高の高い「遊覧船」
標高1,448メートルにある黒部ダム湖は日本で最も標高の高い湖となり、紅葉時期も人気の湖上遊覧船「ガルベ」が運行しています(一周約30分、大人料金1,100円)。
湖上からは紅葉の立山連峰や後立山連峰が眺められ、ダムえん堤からの景色とはまた異なる美しさをお楽しみいただけます。
ガルベ
- 住所富山県中新川郡立山町芦峅寺
- 公式サイトURLhttps://www.kurobe-dam.com/kankou/mirutanoshimu13.html
- 電話番号0261-22-0804
放水観覧ステージと新展望広場
紅葉がメインではありませんが、ダムの放水を楽しみたい人は、ダムサイトから絶好のアングルで放水を眺められるスポットで観覧しましょう。
えん堤とほぼ同じ目線の「放水観覧ステージ」と放水を一番近い場所で観られる「レインボーテラス・新展望広場」の2か所があります。
立山紅葉スポット:弥陀ヶ原エリア3選
紅葉スポット①高層湿原の「弥陀ヶ原」
標高1,930メートルの弥陀ヶ原は、室堂から富山側にある南北約2キロメートル・東西約4キロメートルに広がる高層湿原です。池塘が点在する黄色い草紅葉の湿原に、赤のナナカマドやミネカエデ、針葉樹が映えます。
木道が整備されており、美しい紅葉と北側に見える立山連峰の大日連山を眺めながらのミニハイキングをお楽しみください。周回コースとなっており、小回りルートは約1時間、じっくりルートは約2時間となります。
紅葉スポット②日本百名瀑の「称名滝」
標高1,000メートルの称名滝は、弥陀ヶ原からの水が流れ落ちる日本百名瀑に数えられる名所です。四段に折れながら落ち、上から落差が70・58・96・126メートルとなり、合計350メートルになることから日本一とされています。
荒々しい岩肌を叩きながら流れる様子は素晴らしく、特に下段の水柱は圧巻の光景です。紅葉が見頃になる10月中旬~11月上旬は、ナナカマドやブナ、ブドウなどが滝に映えるように観えます。
立山紅葉スポット:美女平エリア2選
紅葉スポット①遊歩道が美しい「美女平」
富山県側にある標高977メートルの美女平は、弥陀ヶ原の西側に位置しています。樹齢1000年を超える立山杉を始め、樹齢200~300年のブナやツガなどが生い茂る原生林帯です。
特に黄色く色づくカンバ類が美しく、2・3・4キロメートルの3ルートが整備された遊歩道では、光が当たると黄金色に輝くような樹木のトンネルが出迎えてくれます。紅葉の見頃は10月下旬~11月上旬です。
紅葉スポット②美女平駅舎の「展望台」
美女平駅には屋上に展望台があり、美しい立山山麓や遠くに富山平野を眺められる、開放感が広がる空間となっています。雲海が現れると雲の上を散策している気分になれるかもしれません。
駅舎前には、女人禁制の霊山が由来となった、男女の恋の願いを叶えてくれるという"美女杉"があります。
11月上旬まで見頃の立山で紅葉を愛でよう!
標高差が激しい立山の紅葉の見頃は、山頂が例年9月下旬となり山麓は11月上旬となっています。年によっては早まるため、立山三山や室堂平の見頃を逃したくない人は、早めに準備しておくと安心です。
標高が2,400メートル以下の地点では、9月下旬から順次見頃を迎えていきます。出かける計画を立てている人は、立山黒部アルペンルートなどのホームページで紅葉情報をこまめにェックしておくとよいでしょう。
富山周辺の宿泊施設はこちらから!
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富山県が気になる人はこちらをチェック!
立山で紅葉を楽しんだ後は、富山県での定番観光を始め一味違う観光も満喫しましょう。人気の観光地の他に、富山県の美術館めぐりや博物館めぐりもいかがでしょうか。詳しい情報が紹介されてあるのでご参考にしてください。もちろんホタルイカや白エビなどのグルメ情報もお忘れなく。
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出典:ライター撮影