サンボルドー べと病 斑点細菌病 天然成分
斑点細菌病のよくある症状
病気の被害は畑全体に拡大する
植物が斑点細菌病に感染した場合、果実や葉の葉脈に沿って斑点や腐敗の症状が現れます。病気は細菌(カビ)が原因です。発症すると葉脈を通って果実や株全体、畑全土に広がり、治療が困難になってしまいます。
大切に育てていた野菜が病気を発症してしまい、ショックを受ける方もいるでしょう。しかし、対処法や予防法を学んでおけば、的確な治療を行うことができます。
茎・葉・葉脈付近に現れる症状
斑点の様子は害虫被害にそっくりです。斑点細菌病の症状は、斑点の中心部分が黄色くなり、時間が経つと周囲が茶色に変化します。症状が長引くと、葉脈に沿って葉の表面がデコボコし、奇形の症状が現れてしまうことに。
深刻な被害の場合は葉に穴を開け、植物の葉脈に沿って感染を拡大させます。植物を枯らしてしまうでしょう。葉の感染は後の生育不良につながるため、農薬などの薬剤消毒を施す必要が出てきます。
果実に現れる症状
斑点細菌病に感染しているトマトには、黄色の斑点が現れます。時間が経つと茶色く、硬くなり、カサブタのように症状が悪化してしまうでしょう。
斑点細菌病に感染しているキュウリには、果実の内側に黄色の斑点が現れます。これは果実の表面から発見することができるため比較的分かりやすい症状です。
ピーマンに現れる症状としては、果実の軸の部分から斑点が現れ、徐々に果実に広がってしまいます。
ウリ科の果実や野菜に発生しやすい
斑点細菌病はキュウリ、カボチャ、スイカやメロンなどのウリ科の植物と、レタスやピーマン、トマトに発症します。中でもウリ科の植物は全般的に斑点細菌病を発症する確率が高く、キュウリの被害が最も多いです。
キュウリのような大きな葉に斑点細菌病の被害が出ると、綺麗に葉脈に沿って斑点が現れるので、葉脈の流れがよく分かります。
症状を見極めるポイント
まずは植物の葉脈付近を見ましょう。見極めのポイントは斑点に穴が開いているか、カビの症状が現れているか、葉脈付近に症状が現れているかです。斑点に穴が開き、カビの症状が現れていない場合は、斑点細菌病と疑えるでしょう。
斑点細菌病の被害を受けた葉は、害虫の被害や、べと病、葉カビ病の症状に似ているため、見極めが難しいですね。1つの株に複数の病気が現れている場合もありますので、注意して観察してください。
斑点細菌病の対処法・治療法
発症株の治療法
葉脈周辺の病状から斑点細菌病と判断した場合、最初に行うことは発症箇所を切り落とすことです。葉や茎、果実に斑点細菌病を発症している場合は、すぐにハサミで切り落とし、処分しましょう。誤って植物の主軸を切り落とさないよう、細心の注意を払って行ってください。
また、切り落とした葉や茎、果実などを捨て忘れていると近くの植物に感染してしまうため、ハウスの外や植物から遠く離れた場所に持ち出します。
処分時の注意点
斑点細菌病を発症した葉を切っている最中に、病気の葉が土壌の中に埋もれてしまい、翌年に持ち越すことがあります。細菌が土壌内で冬を越してしまうことが、翌年斑点細菌病の発生原因になる場合も。発症すると薬剤などの農薬散布や、治療をする必要が出てくるため発病した葉や茎は放置しないようにしましょう。
ハウス栽培での対処法
斑点細菌病を発症している場所がハウス内の場合は、換気を行ってください。なぜなら、斑点細菌病を発生させる病原菌が、空気中を漂って隣の株へと拡大してしまうからです。
ハウス栽培は空気が篭りやすいため、入口や、ハウスのサイドを巻き上げ、換気を行うことが大切です。また、換気は斑点細菌病以外にも害虫対策に効果的なため、定期的に行うとよいでしょう。
路地栽培での対処法
路地栽培とは、ハウス外での栽培方法のことです。野外で栽培する場合、換気について気にする必要はありません。しかし、斑点細菌病の株が近くで生育している場合は、風で病原菌が飛んでくることもあります。病気を発症している葉は切り落としましょう。
斑点細菌病の発生原因
種子の感染が病気の発生原因に
種子から植物を栽培している場合は、種子が細菌を持っている可能性を疑います。斑点細菌病を引き起こした種から育つ株は、病気の発生原因になるため、種子の殺菌を行わなければなりません。種子感染の対処法は、消毒するための薬剤に入れたり、お湯や冷水に入れたりといくつかの方法があります。
水の過剰散布
夏場、植物に水を与えすぎると斑点細菌病の発生原因になります。高温多湿を作り出し、さまざまな病気の発生条件を作ってしまうので注意が必要です。さらに、水を与えすぎることで土壌内の肥料成分が流れ出てしまい、果実が充分に育たなくなってしまいます。
生育不良で斑点細菌病以外に、根腐れを引き起こし株の治療が難しくなる場合も。植物によって必要な水分量が違うため、多湿を引き起こさない確実な水量の対処法を実践してください。
斑点細菌病の活動温度は?
斑点細菌病の活動適温は、20度から28度前後です。斑点細菌病は高温多湿の場所を好んで増殖するため、梅雨の時期は注意をしなければなりません。
肥料の過剰散布
植物にとって必要以上の栄養分を与えすぎると、栄養過多になり枯れてしまい、斑点細菌病の発生原因になります。市販の土で植物を育てている場合は、土に予め肥料が含まれている場合があるため、土のパッケージを確認してください。土に含まれている養分を確認し、肥料の使用量を調節します。
斑点細菌病を引き起こす土壌の治療法
土壌に含まれる害虫を駆除する
斑点細菌病は害虫が病気の発生原因になる場合もあります。虫が好きな環境の条件は、「風の通しの悪い畑」「ジメジメしている畑」です。このような畑には害虫が寄ってきます。
さらに、夏場に多く発生するてんとう虫やアブラムシは株を移ることで斑点細菌病の被害を拡大させてしまいます。植物が虫だらけになった場合の対処法は、消毒を撒くことでしか治療ができません。害虫は見つけたときに苦情しましょう。
土壌の日光消毒で病原菌を駆除
前年も同じような症状が現れていた畑には、土壌に斑点細菌病の病原菌が潜んでいることが考えられます。その場合は「天地返し」を施すとよいでしょう。「天地返し」とは畑の土を深く掘り、日光が当たっていない土壌に太陽光を当てる方法です。
土の中にいる斑点細菌病の病原菌が日光によって殺菌され、土を掘ることによって酸素が土の中に行き渡り、根の張りがよくなる効果があります。害虫を予防することもできるため定植前に行いたいですね。
プランター栽培でも日光消毒はできる?
プランター栽培の場合は、プランター内にある使用済の土を新聞紙の上に出し、日光に当てます。土が完全に乾燥してしまっている場合は、風で飛んでしまう恐れがあるため少し水を与え、湿らせてから行ってください。日光消毒の期間は1週間から2週間くらいです。
土壌の日光消毒のデメリット
天地返しをおこなうことで、斑点細菌病などの病原菌を防ぐことができるでしょう。しかし、日光消毒にはデメリットもあります。
それは、植物にとって必要な栄養素まで消してしまうことです。天地返しは太陽の強い光で微生物も死滅するため、日光消毒後は必ず腐葉土や堆肥を与えることが必要になります。
排水性を上げる
土壌内の水分量が多いと多湿を引き起こし、斑点細菌病の発生原因に繋がることも。さらに、水分の多い場所は害虫が溜まりやすく、栽培環境を悪化させてしまうでしょう。
排水性のよい土壌条件の一つに、酸素が行き渡った土ということが挙げられます。土に適度な隙間を作るため、もともとある黒土に腐葉土や、堆肥、バーミキュライト、赤玉土を入れて耕してください。土の中の微生物が活性化し、元気のよい土になります。
保水性を上げる
何度水を与えてもすぐ土が乾いてしまうことはありませんか? 細かく砂のような土が多い畑の場合は、保水性が低いことが考えられます。
それは土が水を蓄えることができなくなっている兆候です。水不足は植物を枯らす原因になり、枯れてしまえば治療が困難になることもあります。保水性の低い畑には、腐葉土や堆肥を入れましょう。微生物が増え、土壌に水を蓄える力がつきます。
ミミズが土壌の状態を教えてくれる?
土壌の微生物のバランスが整っているか確かめる方法として、ミミズがいるかどうかをチェックしてみるのも面白いです。
小太りのミミズは、栄養がありすぎる畑に現れ、そもそもミミズがいない場合は栄養が全く足りていない畑と見ることができます。糸ミミズのような細いミミズがいる土を目指しましょう。
斑点細菌病を発症しない生育環境とは
連作を避けて病気を予防する
連作とは、1つの畑に毎年同じ植物を育てることをいいます。中でもウリ科の植物は連作障害を発症する確率が高いので注意が必要です。前年に、斑点細菌病を発症してない畑の場合でも、病気予防のために連作は避けましょう。
連作障害を引き起こすと、害虫の発生や、生育不良、斑点細菌病のような病気も引き起こしてしまいます。病気を対処できる微生物の働きを強めるために、完熟堆肥を使用し連作障害の対策をしてください。
栽培時に畝を作る
畝とは畑の土を盛った場所のことを言います。以前田んぼだった場所、粘土質の土壌で栽培をする場合は畝を作りましょう。なぜなら、土壌が田んぼのような粘土質の場合、雨水が土壌下まで抜けていかず、畑の至る所に水溜りができてしまうからです。
作物の茎や根っこが長時間水に浸ってしまうと、多湿の原因になりカビや病気の発生条件を揃えることにもつながります。根に適度な乾燥を与えるため、畝を作るとよいでしょう。
植物の日当たり・風通しをよくする
葉が多すぎると植物の風通しが悪くなり、害虫や斑点細菌病を発生させてしまいます。また、葉が多すぎるため株元に日光が届かず、弱々しい茎に成長する場合も。
ハウス栽培は温度管理を行わないと多湿になり、病気を引き起こすため、混み合っている葉は切り落とし、風の通り道を作ってください。プランター栽培の場合は、鉢の間隔を広げ、日光の効果で消毒や害虫防御をおこないます。
畝にマルチや乾燥させた藁を敷く
土に潜んでいる斑点細菌病の菌は、雨水やジョウロで水を与える際の、土の跳ね返りによって下葉に付きます。下葉についた菌は、葉脈や傷口を通って病気を発生させてしまうのです。
そのため、土の表面にマルチや藁を敷くことで、土の跳ね返りを防止でき、斑点細菌病の発症確率を大幅に下げることができます。ハウス栽培より、路地栽培の方が雨の影響を受けやすく、斑点細菌病の発生率が高いため注意が必要です。
斑点細菌病に効果のある農薬
サンボルドーとは
サンボルドー べと病 斑点細菌病 天然成分
病気対策のために消毒薬を使う方もいるでしょう。植物用の薬剤には沢山の種類があり病気によって、使い分ける必要があります。
斑点細菌病には消毒剤サンボルドーを使うことで病気の対処をしましょう。サンボルドーはべと病や斑点細菌病に効果的な薬剤です。
有機農産物でも使用可能な薬剤
サンボルドーはキュウリやナス、トマトなどの夏野菜にも使用できる薬剤です。
オーガニックが注目される中、植物を栽培する過程で使用される薬品が注目を集めていますが、家庭菜園では極力農薬や化学肥料は使用したくないもの。サンボルドーは天然成分の塩基性塩化銅を成分とした、有機農産物でも使用できる薬剤です。
サンボルドーでの対処法!消毒時は時期と薬剤の量に気をつける
斑点細菌病対策の消毒剤は植物が畑に根を張り、成長する栽培中期以降に散布します。農薬を使用する際に気をつけるとよいことは、暑い時期を避けること、使用量を守ることです。
雨が降る時期に被害が拡大する傾向があるため、降雨の予報がある場合には予防として散布をおこないます。サンボルドーは有機農作物での使用が認められているとはいえ、薬剤に代わりはありません。過度な散布には注意し、使用しましょう。
薬剤を使用しない場合
近年、完全無農薬で栽培に挑戦する人も増えてきました。薬剤を使わない栽培の場合は、畑やプランター内に病原菌を持ち込まないことに注意を払います。
カビなどの細菌病は感染しやすいので、植物の手入れをする前に必ず手や使用するハサミを洗うことで予防をします。
まとめ
植物が斑点細菌病などの病気や、害虫の被害を受けたら発生原因を突き止め、翌年の土壌作りの段階から治療を行うことが大切です。
病気の発生条件や、対処法、葉脈や被害の状態を知っておくと、いざとなって焦らなくてすみますね。植物の様子だけでなく、土作りから園芸ライフを楽しんでください!
土作りについて気になる方はこちらをチェック!
斑点細菌病などの病気に負けない土を作りたいと思うことはありませんか?
肥料の配合方法や、堆肥の施し方、古くなった土の対処法を詳しく紹介しています。よい土壌の条件などを学びたい方はぜひ参考にしてみてください。

土作りの基本ガイド!作り方と畑やプランターでも活かせる作り方をご紹介!
野菜つくりは土作りから始まると言われているように病気になりにくく、おいしい野菜を育てるには根をしっかり這わせることが大切になります。そのため...

ガーデニングの土作りを基本から学ぼう!土台作り入門ガイド
ガーデニングに土作りが大切なのはわかっていても、肥料選びなど何から手を付けたらいいのか悩んでいませんか?植物に合った良質な土で育てると、生長...

家庭菜園初心者でも簡単!美味しい野菜作りに欠かせない畝の作り方をご紹介!
初心者でも楽しめる家庭菜園。毎日の生長を見守れる家庭菜園の収穫は美味しさも倍増ですが、初心者でも美味しい野菜を作るには、畝の作り方を覚えると...