霜ガード 10kg
スカイテック E01040防霜トンネル
はじめに:霜害とは?作物を守る対策を解説
作物に大きな被害をおよぼす冬の霜害とは
植物を育てているとよく耳にする冬越しや霜害という言葉。寒さによって起こる被害なのですが、そのタイミングが重要で特に作物の成長が早いときには霜害被害が大きいといわれています。
また霜害は冬の不都合だと思われがちですが、作物の成長に関係することから実は冬の注意点ではありません。
山形のさくらんぼ霜害は温暖化が原因?
また霜害には温暖化も大きく影響しているということはご存知でしたでしょうか。知っていそうで知らなかった霜害の起こるシステムと注意したい季節・作物への影響など。霜害に関することを詳しく解説していきます。
霜害を受けやすく気をつけなくてはいけない作物例についてもお話していきますので、自分の育てたい野菜や果実がそれに該当しないかチェックしてみて、該当する作物の場合は先手を打って霜害被害を少なくする対策をしていきましょう。
霜害とは?どうして作物に悪いのかを知ろう
まずは霜害とはどのようなもので、どう作物に影響を与えるのかというところからご説明します。霜害の怖さを知ることで山形のさくらんぼ農家の方々が霜害をいかに恐れているのかがわかり、自分も気をつけようという気持ちになるでしょう。
霜害とはどのようなものか
霜害とは時期や季節に関わらず、寒くなることで植物が凍って枯死する状態をいいます。植物内の水分が凍って細胞が水分不足になるため枯れるというシステムは、原理的には冬の凍害や寒害と呼ばれる現象と同じで季節的に呼び方が変わるだけです。
ただし季節が変わることで寒さや霜(作物が凍る)ことにより被害を受ける場所が変わります。冬場は根が凍ることにより植物の生きるか死ぬかが心配されますが、霜害は主に花芽や新芽が被害場所です。
霜害の起こりやすい季節
まず霜害が起こりやすい季節は秋と春(初夏)です。春に起こるものを晩霜害と呼び秋に起こる霜害は初霜害と呼ばれますが、名前が変わるだけで原因も症状も同じとなっています。この時期は植物も成長しようとしているときですので、より被害は深刻となってしまうというわけです。
気温が下がる季節という心配だけでなく、作物がどのような状況にあるのかによって被害規模が変わるために、被害が多く出やすい地域やそうでもない地域に差が出ます。
霜害が作物に与える被害
植物でも幹や梢などよりも花がその被害を大きく受けやすいといわれています。新しく付いた花のつぼみが霜害を受けることで、その中でもまず凍るのが雄しべで一見花が咲き霜害を受けずに生き残ったように見えても実はということも。
霜害の程度にもよりますが、花が凍って枯れる・花が枯れなくても雄しべは凍って枯死しているため受粉ができず作物に大きな被害がでるのが霜害が大きな問題とされる点となっています。
霜害はどうして起こるのか?原因について
霜なら冬の方が圧倒的に多くいろいろな地域で発生します。それでも冬の霜でたとえ被害を受けたとしても、それは霜害とは呼びません。それには以下のような原因で起こるのが霜害だからという理由があります。
霜害が起こる原因1.
作物が成長する暖かさもある
霜害と呼ばれる被害を受けてしまうのには、ある程度作物が成長していることがあげられます。まだ芽としても出ていない状態では被害を受けにくいからです。霜害が受ける一番の大きな原因は、昼間植物が芽吹くほど暖かくて夜や早朝に霜が降りるくらい気温が下がるためです。
これは地形による差が出やすいところなので、この後ご紹介する霜害が出やすい地域についてもご一読ください。
霜害が起こる原因2.
放射冷却が起こるのが原因
霜害が起こる原因は放射冷却といわれています。この放射冷却とは昼の暖かさにより、夜に多く熱が奪われて冷え込むことが特徴。ここで思い出して欲しいのが先程ご紹介した昼と夜の気温差です。これにより植物が成長していくことで、被害が出ることにほかなりません。
放射冷却が起こりやすい条件と霜害が起こるタイミングが、シンクロしがちとなっていまうのが被害を大きくする原因で、収穫のためには花や新芽が出て欲しいけれど霜害が怖いと恐れる理由です。
霜害が起こる原因3.
そのほかの条件やそれらが重なること
雲がない日は霜害が起こりやすいです。また空気が乾燥している・風が微風であるというのも冷え込みが起こりやすい条件。雲がないと地表の熱は外へ出やすく、逆に雲があることでそこで熱が跳ね返り冷え込みを防ぎます。
乾燥度合いは雲と一緒で水蒸気が雲の変わりとなるため、風には冷たい空気と温かい空気を混ぜる効果があり気温低下を防ぐので、風がないのも霜害が起こりやすい原因となるでしょう。
霜害を対策する方法は?実例からご紹介6選
霜害は農家の方にとってはこれから収穫するべき作物の成長を阻害して、果実や野菜を枯らしてしまうとても深刻な自然現象です。非常にたくさんの対策が日本だけでなくあちこちで行われています。ここではそんな霜害対策の方法としておこなわれている方法を、実際の例からご紹介していきましょう。
具体的に霜害が起こるとされている気温
これは霜害を起こさせない目安としたいものに、気温4度という条件があります。霜というと氷点下と勘違いしそうですが、意外と霜が起こる気温は高くそのラインが4度であるからにほかならず、まずはこの気温を4度以下にしないようにするのがどのような場合でも対策としての条件になります。
霜害の対策方法1.シートなどで覆う
スカイテック E01040防霜トンネル
小規模な農業(家庭菜園も含みます)で利用可能な簡単な方法です。作物を栽培しているエリアに寒冷紗を掛けたりトンネルと呼ばれる支柱にビニールシートを掛けたものを作って内部の温度を下げないようにするやり方となっています。
掛けるビニールシートを2重にすることでより高い保温性を保つことができるでしょう。規模が小さい家庭菜園などではシートを掛ける範囲も小さくて済むので、とてもコスパがよい方法でおすすめです。
霜害の対策方法2.薪を燃やす
こちらも簡単に誰でもおこなうことができる方法です。薪を燃やす時間は夜間で火を使うことから管理者が近くに付いている必要が出てきますが、確実に空気を温めることができるので効果的となっています。
やり方もシンプルで畑で焚き火をおこなうだけ。近くに燃え移りやすいものがない場所を選ぶ・火を燃やす時にはもしものときに備え消化するものを用意して必ず人が近くにいることが必要です。
霜害の対策方法3.煙を送る
雲があると放射冷却が弱まるというお話をしましたね。煙を送ることで擬似的な雲を畑の上空に作るのは霜害にとても有効です。実際の農家でも具体的で個人でも利用可能な方法として採用されていることが多いものとなっています。
特に霜害が起こるのが常ではなくて、特に夜間の冷え込みが時々しかないという地域ではその時だけ行えばよくて、それほどコストもかからないため好まれているやり方です。
霜害の対策方法4.風を送る
放射冷却は風によっても防ぐことができるため、霜害が起こりやすく毎日のように対策する地域では霜害ファンと呼ばれる送風機を設置して常に夜間にまわして被害を防いでいます。
大規模なものでなければ個人の家庭菜園でも作成可能ですが、ある程度の高さにファンを設置する必要があること・上空の温かい空気と混ぜるため、上空まで温度が下がりすぎると効果が薄れる(ほぼ無い)場合もあるので注意が必要です。
霜害の対策方法5.水をまいて凍らせる
意外な方法ですがこちらも霜害対策としてよく行われるやり方で、冷え込む前に作物に散水をして株を凍らせる方法があります。無人で利用するためにはスプリンクラーなどの装置が必要となるでしょう。
この原理は水が凍るときに潜熱という熱を1gあたり79.7cal出す仕組みを利用しています。こうすることで作物に被害が出るとされる気温以下にならないような、一定の温度をキープすることができるためです。
霜害の対策方法6.防霜資材を撒く
霜ガード 10kg
これは特定の物質の溶剤を畑全体に散布することで氷ができはじめる温度を下げて凍らせなくする方法として、効果的で機械設置などを必要としない・個人のみで液肥を撒く感覚で簡単にできる・必要な時だけ使えるのでコスパもよいとされているやり方です。
防霜資材としていくつかのメーカーから販売されていて、通販などでも購入可能となっています。冷え込みそうな前日におこなうのが特に有効なので、天気予報などをチェックすることが必要になるでしょう。
霜害を受けやすい作物と起こりやすい場所
霜害は起こりやすい作物と気をつけなくてはいけない地域というものが存在します。その作物を育てている方や注意をしなければいけない土地の特徴について最後にご紹介しましょう。霜害対策をしようかどうか迷った時の参考にしてください。
霜害には被害を受けやすい作物がある
果樹
霜害として一番懸念されていて対策を必要とされているのが果樹への被害です。主に収穫の量を左右する花の季節に霜害が起こりやすいため、非常に注意が必要となるだけでなく畑の規模も大きくなりがちなため、対策をするにも大きなコストや設備が予想される作物の種類となっています。
また木についた花(つぼみ)に対して何かしらのアクションを起こさなくてはいけないため、高さというネックも出てくるでしょう。
アスパラガス
果樹だけでなく野菜でも霜害被害が多くでる作物はあります。その最たるものがアスパラガス栽培です。アスパラガスは何年も苗を育ててやっと収穫できるようになる野菜。霜害にあったときのショックも大きくなりがちです。
しかし果樹に比べて地表に近い部分で霜害が起こるため、簡易的なビニールハウス・トンネルなどの高さが低く設置も簡単な、一般的な施設で防げることが救いとなっています。
茶畑や麦畑
お茶は亜熱帯原産の作物であるため比較的暖かな地域で栽培されることが多いのですが、それでも霜害被害は深刻で茶畑には霜害を防ぐファンなどが設置されていることが多いです。茶畑にたくさん柱が立っていてその先に何か付いているのを見たことがある方も多いでしょう。
麦畑も同様ですが初夏・秋ともに霜害が心配される作物です。初夏は麦秋と呼ばれる実のりの季節。秋は麦の種まきの季節でせっかくのまいた種が霜の被害を受けることがあるからです。
豆類
麦と同様に秋の霜害を受けやすいものに豆類があります。まず収穫期に霜害にやられると霜降り豆という茹でた豆のような色の淡い収穫物となってしまい、見た目だけでなく豆の匂いも変わってくるのが特徴です。
種まき被害は蒔き時期で対処可能
また豆類に関しては収穫物だけでなく種まきにも影響が出るため、せっかく蒔いた豆が霜害でやられてしまうのも懸念しなければいけません。これは蒔き時期をずらすことで対処できるので、その年の天気の長期予報を利用して工夫する必要があります。
霜害は地形によって起こりやすい場所がある
霜害対策として風を送るというものがありましたね。風が吹くというのは明け方の気温の低下には影響大です。この風が起こりにくいような地形が霜害が起こりやすい地域と言い換えることができるでしょう。
具体的には盆地や小さな凹地、防風林で囲まれた場所も注意しなければいけない場所です。どれも局地的な地形であるため、同じ地域でも被害にあいやすい場所そうでもない場所に分かれるので注意が必要となります。
まとめ:霜害を知り作物の被害への対策を
霜害になりやすい作物は特に注意しよう
いかがでしたでしょうか。山形のさくらんぼの霜害でクローズアップされることも多くなってきた霜害について、どのような被害なのか・どうして起こるのかというところからその対策や気をつけたい作物・地域など網羅して詳しく解説してきました。
温かい土地だから・春になったからといって安心していられないのが霜害のやっかいなところですね。天気予報で明け方の最低気温予想などをチェックして対策準備をしておくことが大切となってきます。
霜害が気になる方はこちらもチェック
今回霜害の懸念される作物としてご紹介したさくらんぼの育て方記事や、作物だけでなく花の冬の寒さ対策など豊富な植物栽培のコツを解説しています。霜害が気になる方はこちらの冬の対策やさくらんぼの育て方も是非見てみてくださいね。

【地植え・鉢植え別】さくらんぼの上手な育て方をご紹介!おすすめの肥料情報も!
地植えでさくらんぼ栽培をする方法をお探しですか?苗木からの育て方なら簡単です。果樹であるさくらんぼの鉢植えは植え替えはいつやるのか開花時のお...

ブルーサルビアの育て方!冬越しから増やし方まで上手な手入れで長く育てよう!
ブルーサルビアはさわやかな青が夏の暑さをやわらげてくれる花です。暑さに強く真夏も元気で咲き続けてくれるのが嬉しい花。ブルーサルビアの冬越しや...
出典:https://photo-ac.com/