もっと簡単で確実にふやせるさし木・つぎ木・とり木
ボランチ トマト用台木種子
はじめに:接ぎ木苗とは?おすすめの種類も紹介
初心者向け!接ぎ木苗の知識と選び方解説
接ぎ木苗という苗の種類をご存知でしょうか。主に野菜や果樹の苗木に使われる病気にかかりやすい品種を栽培しやすくするための苗木づくりの方法です。
値段を見て接ぎ木苗とそうでない苗のどちらがよいか悩んでいる方や、作物の病気にかかりやすさを何とかしたいと思っている方は、接ぎ木苗を使うことについて検討するためこの接ぎ木苗のよさや注意点について理解していきましょう。
病気に強くなる?接ぎ木苗について知ろう!
接ぎ木苗は病気に強くなるだけでなく、少しだけデメリットや注意点・するべき作業が増えます。結論からいうと接ぎ木苗のほうが栽培は楽になりますし、病気にかかりにくくなるため収穫量も増えるでしょう。
しかし栽培にあたりデメリットも知っておく必要があります。この点もふまえて接ぎ木苗についての知識と生育時のポイント・接ぎ木苗がおすすめの作物の種類をご紹介していきます。
接ぎ木苗とは?どんなものか簡単にご紹介!
それではまずは接ぎ木苗というものについてほとんど知らないという方に理解していただくための接ぎ木苗とは?という点についてご説明します。1から接ぎ木苗について知りたいという方はぜひご一読くださいね。
接ぎ木苗とは1.2種類の苗から作られる
接ぎ木とはひとつの植物に2種類の苗を使って人工的に作る苗のことです。どうしてこんなことをするのかというのについては、接ぎ木苗のメリットで詳しく解説しています。ここではそうすることで丈夫で健康で、ほかにもいろいろなみんなが欲しがる点が多い株になるという程度に、覚えておいてください。
接ぎ木苗とは2.強い苗
植物にはかかりやすい病気があったり、成長をするために適した気温があります。そのためにいろいろな植物ごとの育て方というものが存在するのですが、接ぎ木はその植物のデメリットとも呼べる気をつけないといけない弱い部分を、修正・矯正・補正して強い株にしたものです。
接ぎ木苗とは3.野菜や果樹に多い
接ぎ木苗には単純に植物の弱点を補って強くするだけでなくて、収穫量を増やすという目的でもおこなわれます。病気に弱い花についても接ぎ木苗がおこなわれますが、よりたくさん収穫したい野菜や果樹などに接ぎ木苗の関心が高く流通量が多いのもこのためです。
自分でもできる接ぎ木苗の作り方!穂木や台木とは
接ぎ木苗は買うだけでなく自分で作ることができます。接ぎ木苗を作るのに用意するものや、作り方注意点など解説していきましょう。接ぎ木苗づくりのコツを押さえて自分なりの育てやすい苗づくりにチャレンジしてみてはいかがですか。
接ぎ木苗づくりで必要なもの
台木用の種
ボランチ トマト用台木種子
台木に使うのは台木用の種というものが売られています。これは一般のホームセンターでは取り扱いがないので、種苗会社のカタログから注文するか大手通販サイトで買える場合もあります。台木用の種はひとふくろの入数が多いのがほとんどなのでご注意ください。
種まき用の容器
接ぎ木苗づくりは種まきからはじめます。台木となる品種と穂木となる収穫したい苗の2種類を一緒に植えますが、それにはポリポットは不向きです。接ぎ木苗づくりの種まきはセルトレイでおこないましょう。
新品のカミソリの刃
茎と茎をうまく活着させるために細胞をつぶさずすぱっと切断する必要があります。切る時にははさみではなく切れ味のよい新品のカミソリの刃でおこないましょう。
接ぎ木用のカミソリというものも売られていますが、新品の刃であれば一般的なカミソリの刃でも十分です。切れ味がよいので丁寧に扱い怪我をしないよう気をつけてください。
接ぎ木用チューブや接ぎ木クリップ
接木クリップ
台木苗と穂木苗の接合部分を留めるものです。果樹の接ぎ木の場合はテープなども使用されますが、茎が細くやわらかい野菜の苗木の場合はクリップがチューブが適しています。
これも通販で簡単に購入することができるでしょう。ただしこちらも種と同様入数が多いので、余らせてしまいそうという方は知人友人とシェアする形にするようにすると無駄が出ません。
接ぎ木苗の作り方
接ぎ木苗を作る時期
接ぎ木苗を作る時期は例としてトマトをあげますが7月に収穫したい場合は逆算にして3月には作る必要がでてきますが、成功率をあげるならば暖かくなってきた4月におこなうとよいでしょう。
しかし栽培が1ヶ月遅れると成長に影響が出てきやすいので、3月にチャレンジするか4月で成功率をあげるかその年の状況からもよいほうを選んでおこなってください。
種まき
台木と穂木の種まきは台木の方を3日前くらいにおこない苗の成長をあわせるようにするのがコツです。種まきする本数は半々くらいにしてください。またセルトレイなどで2種類を一緒に種まきする場合、どちらがどちらか間違えないよう印つけも重要でしょう。
接ぎ木のやり方例1.
台木となる苗を下から2節くらいのところでカットします。カッターで切り込みを入れて台木の準備はできました。
ここに穂木となる栽培して収穫したい苗木の先端から葉3-5枚を残すようにカッターの葉でとがらすようにななめにカット。先程の台木の切り込みに差し込み接ぎ木クリップでとめたら接ぎ木苗づくりの作業は完了です。
接ぎ木のやり方例2.
接ぎ木の接合部分の切り方にはいろいろあります。先程のような差し込む形のほか、台木穂木両方をななめにカットしてその切り口を合わせてクリップやチューブで固定する方法も野菜の接ぎ木苗づくりではポピュラーです。
接ぎ木のやり方例3.
こちらはどちらの苗木もカットせずに上からと下からと切り込み角度を変えて入れます。切り取ってしまわないところがポイントです。切れ目を組み合わせるように入れ込んでその部分をチューブやクリップで留めてこの接ぎ木苗の作り方は完了となります。
接ぎ木のやり方例3.
台木苗をカットせず使う方法です。育てた台木苗の頂点の芽をこれ以上育たないように掻き取ります。このとき葉は取らないのがこの接ぎ木苗づくりのポイントです。
芽があった中央あたりから右か左どちらかにずらして竹串や爪楊枝などでななめに反対側に貫通するまで穴をあけます。切った穂木をその穴に挿してクリップなどで固定してください。
接ぎ木苗の作り方は難しい
もっと簡単で確実にふやせるさし木・つぎ木・とり木
接ぎ木苗づくりの準備と作り方を解説してきましたが、接ぎ木苗は簡単にできません。成功率でいうと30-40%といわれています。茎と茎を活着させるのが難しいという理由です。
難しいといわれている接ぎ木苗づくりも経験を詰むとある程度は作ることができるようになります。接ぎ木苗づくりを詳しく知りたいという方は書籍もありますのでこちらも参考になるでしょう。
接ぎ木苗のたくさんのメリットと少しのデメリット
ここまででもたくさんの接ぎ木苗のよいところをご紹介してきました。ここではそれらの振り返りも兼ねて、接ぎ木苗を使う上でのメリットとデメリットを一覧で確認できるよう、できるだけ要約して解説していきましょう。
接ぎ木苗のメリット1.
接ぎ木苗のメリットとしてまず植物が丈夫に育つという点があげられます。放置しておいても強く健康的に育つ作物に対して、わざわざ接ぎ木をするという手間がかかる作業をする意味がありませんね。
収穫物の品質や味はよいのだけれど、その分育ちにくい作物をいかに簡単に、失敗を減らして育成していけるかという目的で作られているのが接ぎ木苗です。
接ぎ木苗のメリット2.
メリット2からは具体的にどのように健康になるかという点ですが、連作障害を起こしやすい作物に対しておこりにくくしてくれます。連作障害は作物によっては少し生育が悪くなるという軽度のものから、株を枯らす病気が発生するという深刻なものまで症状はさまざま。
そのため接ぎ木苗を使いたいのはこの連作障害が強く出やすい分類。具体的にはナス科野菜に対してはかなり栽培によい効果のある苗木です。
接ぎ木苗のメリット3.
メリットの3つめは接ぎ木苗で栽培環境を調整できるという点です。例えば生育適温が比較的高い夏野菜を育てるにあたり、地域によっては適温になるのが遅くその結果夏も短いため収穫までの栽培が非常に難しいものもでてきます。温室などを使わなくてはならない場合も多いでしょう。
気温が足りずに生育が悪かった点を改善
しかし比較的気温が低くてもすくすく育つ種類の野菜を台木として使うことで、目的の作物に対して気温が低くて育たないという栽培環境のネックを取り除き栽培することが可能となっています。
接ぎ木苗のデメリット
接ぎ木苗に関して、自分で作るのでなければそれほど注意点やデメリットはありません。強いていうのであれば、台木の方から時々出てきてしまう枝などは育てたい作物の栄養を奪ってしまうので、見つけ次第切り払う手間があるのがデメリットといえるでしょう。
初期投資は多少かかる
苗木の値段的に高くなるところも注意点としてあげられます。しかし結果的に作物の味や見た目・収穫量を考えれば苗の時の値段の差は収穫物の価値的な意味では、たくさん採れて美味しいものをいただく投資と考えると数十円から数百円程度ですので、それほど高いものでありません。
野菜栽培におすすめ!接ぎ木苗の代表的種類
接ぎ木苗のよさはおわかりいただけたかと思います。しかし何でも接ぎ木苗にしなければいけないわけではなくて、できれば接ぎ木苗を選びたいものとそうでなくても育つものは自根苗と呼ばれる一般的な苗を安く買って育てた方がよいものがあります。最後になりますが、ここではその目安となる接ぎ木苗だと効果がでやすくて、人気が高い作物の種類をご紹介します。
おすすめの接ぎ木苗1.トマト
トマトは連作障害が起こりやすく続けて同じ場所では作れない作物です。しかし同じ場所でトマトを作りたい。連作障害が強いのでできるだけ起こさせたくないという場合に接ぎ木苗を選ぶようにするとよいでしょう。
おすすめの接ぎ木苗2.ナス
ナスもトマトと同様に連作障害を防ぐために接ぎ木苗が作られますが、もうひとつの効果として収穫量が増える(品種もある)ことがあげられます。一般的にナスの接ぎ木苗としてはこのふたつのどちらか(または両方)を目的として台木と穂木の組み合わせをしているのでおすすめです。
おすすめの接ぎ木苗3.きゅうり
きゅうりのようなウリ科植物も接ぎ木苗がよく作られます。きゅうりの接ぎ木苗の目的は、低温で育ちにくい性質を消して低い気温でも育つ台木で生育を早くするというところも重視されています。
きゅうりを何度か栽培したけれどいつも成長があまりよくないという地域にお住まいの方は、接ぎ木苗から育ててみてはいかがでしょうか。
おすすめの接ぎ木苗4.メロンやスイカ
メロンやスイカもウリ科の植物。しかしこちらの作物に接ぎ木苗を使うのは主に連作障害から起こりやすくなる病気対策となっています。
そのため接ぎ木苗を使った場合は連作障害に強い台木を選ぶこと、できればその台木の種類も毎年とはいいませんが定期的に別の種類に変えることでより健康なメロンやスイカの栽培ができるでしょう。
まとめ:接ぎ木苗で病気に強い家庭菜園を
接ぎ木苗を使った上手な野菜づくり
接ぎ木苗は病気にたいする抵抗力があがったり、連作障害がある野菜でも続けて育てることができるようになる人工的な苗木の作り方ということがおわかりいただけたでしょう。
苗の値段が自根苗よりも高いので家庭菜園ではいつでも使うというわけにはいかないかも知れませんが、トマトやきゅうりなど種類をしぼって丁寧に育てたいときには接ぎ木苗の使用を考えてみるのがおすすめの使い方です。
接ぎ木苗が気になる方はこちらもチェック
暮らしーのではこのほかにも野菜やハーブの苗木についての記事を発信しています。接ぎ木苗が作られている代表的野菜であるトマトなどの苗の選び方や使い方・植え方など栽培方法を知りたい方はこちらの記事もヒントとしてご利用ください。

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出典:https://photo-ac.com/