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高山に自生する、その強さが魅力。真柏(シンパク)盆栽の育て方&管理のコツも解説!

真柏の盆栽は、北海道から四国まで広く自生していた木を元に仕立てられています。石灰色と薄茶色の幹が合わさった姿、自生地によって変わる葉の形が魅力です。真柏盆栽の基本の育て方から手入れ法、肥料のあげ方まで紹介しますので、幻想的な真柏盆栽に挑戦してみませんか。
2021年9月24日
maa123127
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真柏盆栽の育て方を伝授!

真柏とは

Photo byMikeGoad

荘厳な雰囲気が魅力である真柏は、盆栽を愛する園芸家の間で広く長く人気が高い植物です。柏という漢字が使われていますが、柏とはまったく異なる種類になります。知名度が高く、盆栽を育てるならば1つは持っておきたいと言われるほど、日本のみならず外国でも有名です。

真柏のどっしりと構える幹や深緑の葉を見ると、育て方も難しいのではと考えがちですが、実際のところは初心者向き。真柏の盆栽の由縁や魅力、具体的な育て方を知って、理想通りの樹形を造形しましょう。

真柏の成り立ちとは

真柏はイブキと同種

盆栽仕立てにして使われる真柏は、イブキと同じタイプの植物です。イブキとは繊細で伸びのある葉が特徴の、庭の囲いなどに頻繁に使われる常緑樹です。真上に向かって伸びる枝葉なので、一見すると冬のモミの木と似ています。

真柏の枝葉はイブキとほぼ同じ見た目なのですが、わずかに細く触ると硬いのが特徴です。また、イブキは日本を原産とするものは少なく、外国で自生していたものを輸入していますが、真柏は北海道など日本に自生していたものが使われます。

真柏の自生地とは

Photo byMikeGoad

日本で北海道などで自生しているものを使用とお話しましたが、現在盆栽に仕立てられている真柏の中で天然自生のものは少なく、挿し木で育成されたものがほとんどです。自生していた真柏の盆栽は、希少と言われています。

1910年頃から1980年頃まで、北海道や新潟県、四国地方などで春から冬まで伐採が行われたため、素材が無くなってしまったのです。北海道では少量の真柏がまだあるとされていますが、購入するのは難しいと考えたほうがよいでしょう。

真柏の盆栽タイプとは

盆栽は大きく松柏と雑木類があり、真柏は松柏というタイプに分類されます。その名の通り松一統、真柏の2タイプが松柏とされ、盆栽の中で最も有名です。松も真柏も常緑樹で、かつ幹のどっしり感が共通点として挙げられます。

対する雑木は、葉が色づいたり落葉したり春から冬の移り変わりが魅力のタイプです。モミジや梅などがあります。松柏・雑木それぞれに魅力がありますが、松柏は見た目がシンプルだからこそ、仕立ての腕が鳴ると言えるでしょう。

真柏盆栽の3つの魅力とは

<魅力1>葉の色・形

Photo by garlandcannon

松と並んで盆栽として人気がある真柏は、まず葉の色や形に魅力があります。同じ真柏の盆栽でも、例えば北海道自生種と新潟県自生種では葉が少しずつ異なるのです。北海道自生の真柏は葉の幅が広く、色も濃い抹茶のような色味になります。

一方の新潟県自生種は葉が繊細なのが特徴で、色味も黄緑に近いです。産地それぞれで葉の形状や色味が変わるので、複数産地の真柏の盆栽を育ててみるのもよいでしょう。

<魅力2>幹の形状

真柏の盆栽は幹の面持ちも色気の1つです。販売されている真柏の盆栽をいくつか見てみると、幹が白くなったものと、薄茶色を保った幹が混ざり合ったものを見たことがあるでしょう。独特な色味の幹というのも、真柏の盆栽の特徴なのです。

真柏の盆栽の白い幹は「じん」、薄茶色の幹は「しゃり」と呼ばれます。じんやしゃりは、仕立て方によって見た目にかなりの差がでるので、自分好みの風合いを探すのも楽しいですね。

<魅力3>香り


3つ目の魅力としては、真柏の盆栽ならではの香りが挙げられます。果樹のように豊かな香りというわけではないですが、真柏の盆栽は思わず深呼吸したくなるような緑の香りです。欧州ではジュニパーという名称で親しまれており、アロマオイルに使われることもあります。春から冬まで、1年中仕立て中によい香りが漂ってくるというのは素敵ですね。

真柏盆栽の育て方【基本のお手入れ】

<お手入れ1>管理する場所

ここからは真柏の盆栽の基礎的なお手入れ方法を確認しましょう。真柏の盆栽は、日当たりのよい場所で丈夫に育ちます。夏や冬など時期に関係なく、基本的に日当たりが確保できる場所に置いて下さい。

盆栽によっては日当たりがよすぎる場所も心配ですが、真柏の盆栽に関しては過度に注意する必要はありません。反対に日当たりが期待できない部屋の中は、春から冬まで1年中避けて下さい。日当たりがないと葉が変色したり根が弱る可能性があります。

<お手入れ2>水やりの管理法

真柏の盆栽は春から冬までいずれの季節でも水分を多く欲する植物です。用土を手で触ってみてボソボソと乾いていたら水を与えて下さい。春・夏は1日に1回から2回、秋・冬は2日に1回ほどを目安にしましょう。

また、真柏の盆栽は葉の色味も魅力の1つです。葉の変色を防ぐために、夏の時期は霧吹きで葉に水をかけてあげましょう。冬の間は特に必要ありません。

<お手入れ3>夏・冬の管理法

真柏の盆栽は、購入したばかりの小さなサイズの時のみ、夏の直射日光に注意して下さい。まだ生長の途中なので、強い日当たりがあると葉枯れを起こす可能性があります。ある程度のサイズまで伸びれば、夏は通常通り水やりを行えば問題ないでしょう。

冬の時期は発泡スチロールなどの入れ物に入れて、夜間は蓋を閉めてあげましょう。霜などによる弱りを防ぎます。ただし、冬でも暖かい地域であれば、入れ物に入れなくても問題ありません。気候によって判断して下さい。

真柏盆栽の育て方【剪定管理】

<剪定管理1>手入れ時期

Photo byBuntysmum

雅な真柏の盆栽を楽しむには、定期的に剪定をしてお手入れしてあげる必要があります。真柏の盆栽の場合、芽が動き始める時に剪定するのがおすすめです。5月頃から8月あたりまでに行うのがよいでしょう。

ただし、真柏は丈夫に成長しているものほど生長するスピードが遅く、枝葉の伸びが早いわけではありません。樹形全体を見て、枝葉に混み合いがなければ2年に1回程度でもよいでしょう。生長度合いに合わせて柔軟に対応して下さい。

<剪定管理2>徒長枝の剪定

基礎的な真柏の盆栽の剪定は、まず徒長枝から始めます。徒長枝とは盆栽の頭頂部から真っすぐ伸びている枝葉のことです。真柏の盆栽は、長い枝葉に水分や栄養分がいく習性があります。

徒長枝が伸びすぎていると、そこにばかり養分が取られて樹形が崩れてしまうのです。盆栽の形全体を見て、伸びた徒長枝は枝元から剪定して下さい。枝途中で切ると、同じ場所から生長するので注意しましょう。

<剪定管理3>芽の剪定

Photo by David Leo Veksler

美しい樹形をキープするために、芽を剪定する芽摘みも必要です。芽摘みとは名前の通り、枝葉に生長するであろう芽を取ってしまうことを指します。根の育て方がよいと、真柏の盆栽はどんどん芽を作るので、次第に葉が混み合うのです。

必要な分だけ芽を残すように、長く伸びVの形をした葉の分岐地点を指でひねるように摘んで下さい。芽摘みは、剪定はさみを使うと葉が弱ってしまうのでおすすめしません。よく観察しながら芽摘みして下さい。

<剪定管理4>トヤの剪定

基本の剪定手入れの最終段階は、トヤの剪定です。トヤとは、日当たりが悪く順調に生長しなかった古い枝葉を指します。色味が黄土色になるのが特徴です。トヤは幹の下部や、混み合った枝葉の中ほどに現れます。

放置しておくとだんだんと成長が悪くなる可能性もあります。発見した場合は枝元からしっかり切り落としてしまいましょう。トヤの場合は、基本的な剪定時期以外でも発見したら剪定するようにして下さい。


真柏盆栽の育て方【植え替え管理】

植え替え管理は必要?

Photo by ragesoss

盆栽は植え替えを必要とするものと不要なものがあります。真柏の盆栽は枝葉自体は生長が遅いのですが、根の伸びは早いです。植え替えをせず木の大きさに合わない器に植えていると、根が詰まって腐りや枯れの原因にもなります。盆栽の生長具合に合わせて植え替えをしてあげることで、より強く立派な真柏の盆栽が仕立てられるのです。

<植え替えお手入れ1>時期

植え替えお手入れの時期は、暖かくなり始める春先または秋の始め頃がおすすめです。具体的には3月下旬から5月頃、または9月下旬から10月頃がよいでしょう。真柏の盆栽は冬の植え替えも可能ですが、盆栽初心者だと難易度が高いのでおすすめしません。

また植え替えの頻度は生長具合にもよりますが、小さな木で1年に1回ほど、大きく育った木で2年に1回程度を目安として下さい。

<植え替えお手入れ2>道具

Photo byFree-Photos

真柏の盆栽の植え替えに必要な道具は、剪定ハサミ、用土、替えの器、器底に使うネット、苔です。替えの器は同じものでも構いません。その場合は根を短く切りそろえていきます。真柏の盆栽に使う用土は、他の盆栽と同様に赤玉土が主です。

赤玉土のみでも十分ですが、より水分や空気の通りをよくするために川砂を混合してもよいでしょう。混ぜる場合は赤玉土を7割から8割程度、川砂を3割から2割ほどに調整して下さい。

<植え替えお手入れ3>手順

真柏を取り出し、張った苔や用土を優しく取っていきます。根が複雑に絡んでいるので、下に向かってとかしてあげて下さい。その後、変色した根を切り、1番太い根は植え替える器の深さに合わせて切ります。

根の剪定が終わったら、ネットを張った器に真柏を配置し、根に絡めるように用土を掛けていきましょう。最後に水で少し用土を湿らせて、お好みの苔を張ったら完成です。植え替え後1週間程度は、幹や枝葉に変化がないか注意してあげて下さいね。

真柏盆栽の育て方【肥料管理】

肥料をあげる時期とは

Photo by osseous

真柏の盆栽は、肥料をあげることで力強い根や枝葉ができあがります。肥料をあげる時期は、6月中旬あたりがちょうどよいです。芽の生長が始まる4月初旬頃などに肥料が入ると、栄養過多状態で杉葉が出現する可能性があります。

杉葉とは、杉の木のようなとがりのある葉のことです。育て方も難しくなるので、真柏の盆栽は杉葉に要注意と言われています。杉葉を避けるためにも、時期を守るようにしましょう。

真柏に合う肥料とは

真柏の盆栽に利用する肥料は、固形タイプのものがよいとされています。固形タイプはゆっくりしっかり効くのが特徴で、肥料過多も予防できるのです。液体タイプは効くのは早いですが、持続力がないので何度もあげる必要があります。具体的なタイプは、油粕と水を混ぜ合わせた玉肥がおすすめです。

肥料のあげ方

真柏の盆栽に肥料を置く時は、特別な作業は必要ありません。用土の表面全体にそっと置いて下さい。置く分量は器や木のサイズによって差がでます。多く使ってしまうと肥料やけして、腐りや枯れの症状がでるので注意して下さい。肥料には用量記載があるので、注意事項を読んで使用するようにしましょう。


真柏盆栽の育て方【針金管理】

針金仕立てのメリットとは

真柏の盆栽の育て方の中でも難易度が高く、やりがいもあるのが針金仕立てです。真柏にかかわらず盆栽は針金が付いているものと考える方も多いのではないでしょうか。真柏の盆栽は針金仕立てをしてあげることで、優雅な枝を演出できます。

自生している真柏のようにしだれかかる枝も、針金仕立てを覚えれば再現できるのです。自分が思い描く理想の真柏を造形できるという点が、針金仕立てのメリットと言えます。

針金仕立ての手順

Photo by jeremy_norbury

まずは理想の樹形をイメージして下さい。絵に起こしてもよいでしょう。使う針金は、園芸店で盆栽用のものを購入するのがおすすめです。目安としては10番から24番程度のサイズを数種持っておくとよいでしょう。

まずは形を変えたい枝を思い描く形まで優しく曲げていきます。曲げた状態で針金をらせん状に巻いていきましょう。この時、一気に巻くのではなく、少しずつ力を入れていきます。形を変えたい位置まで巻いたら完成です。

針金仕立て時の注意点

真柏の盆栽は枝がやわらかいので、強く巻くと針金が食い込んでしまいます。そうすると枝葉の生長に影響がでてしまうので注意して下さい。また、針金仕立てをする時は、周りの葉や芽を間違えて巻いてしまわないように確認しましょう。

針金仕立ては、基本的に2年ほどで取ります。付けたままだと跡がついてしまうので注意が必要です。枝の状態を観察し樹形が保たれているようであれば、丁寧に取るようにしましょう。

まとめ

真柏の盆栽の育て方は、松柏類の中では比較的容易です。花は咲きませんが、真柏だからこその力強さが魅力と言えます。日々のお手入れで剪定、植え替えをすることで、より丈夫な神々しい真柏の盆栽を仕立てられるのです。本記事を参考に、自生真柏のような自然の剛健さを備えた真柏の盆栽を育ててみましょう。

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