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上手な剪定が、樹形維持のための基本。椿の育て方&ミニ盆栽の作り方を解説!

椿の盆栽は、開花時期に合わせて適切な剪定や水やりをすることで、美しい樹形を創り出せます。椿の盆栽の剪定方法、施肥手順、水のあげ方、置く場所など基本的な育て方を紹介!その他、初心者でも簡単にできる椿のミニ盆栽の作り方を解説します。
2021年9月16日
maa123127
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椿をきれいに成長させよう

Photo byKourilek

丸みのある花がかわいらしい椿は、庭で大きく育てる方が多い印象ですが、鉢植えやミニ盆栽仕立てにすることもできます。また、見た目の可憐さに反してとても強い樹木で育て方や作り方も簡単なので、盆栽を初めて育てる方にもおすすめです。椿の育て方・作り方を知って、きれいな花を楽しみましょう。

椿の品種・開花の時期は?

椿の品種は5,000種類

Photo byssun4u

古代から人気のある椿は、日本だけでも2,000種類以上あります。海外で品種が改良された椿も含めると、5,000種類以上もの品種が存在すると言われているのです。椿の花色は真紅のイメージですが、その他に白色や絞りと呼ばれる花色の品種もあります。

侘助(わびすけ)、加茂本阿弥(かもほんなみ)、玉之浦(たまのうら)といった一重の花が人気ですが、乙女椿やイカリ絞などの八重咲き椿も日本で有名です。自分好みの色味や咲き方を選べるのも、椿の魅力と言えます。

椿の花の開花時期

椿の大半の品種は11月から3月頃に開花しますが、品種や育てる場所、育て方や作り方によって見ごろは変わります。一例を挙げると、侘助品種は12月から3月頃まで長く咲き、唐子という絞りの色味の品種は3月頃が最盛期です。

また、9月から10月の秋口に開花する椿も忘れてはいけません。品種としては少ないですが、西王母(せいおうぼ)や初嵐(はつあらし)といった品種は9月から10月頃に開花し、長いものだと3月あたりまで楽しめます。

ミニ盆栽に向いている品種は?

椿をミニ盆栽にする場合は、一般的には小輪・中輪と呼ばれる、育て方が簡単な小さな花を付けるものが向いています。椿の中で小輪・中輪に分けられるものとしては、侘助や太郎冠者(たろうかじゃ)、黒椿、美保の関(みほのせき)などです。

一方で加茂本阿弥や岩根絞(いわねしぼり)、大虹(おおにじ)、明石潟(あかしがた)などは直径が10cm以上の花を付けるので、大輪に分類されます。ミニ盆栽にするには大きく成長しすぎるので、避けたほうがよいでしょう。

椿のミニ盆栽の育て方【基本編】

椿をミニ盆栽で育てる場合、まずはミニ盆栽としてすでに仕立てられたものから挑戦するのがおすすめです。樹形や花色、張られた苔を見て、自分好みの種類を選んでみましょう。

幹にぐらつきがない、葉に厚みとつやがある、虫がついていない椿が、丈夫な苗木の証拠です。椿はミニ盆栽の中でも育て方・作り方が簡単で、初心者向きと言われています。基本の育て方・作り方を確認して、丈夫に大きく成長させましょう。

ミニ盆栽を置く場所

椿の盆栽は日光が届く場所で育てるとよいのですが、光が当たりすぎないように注意して下さい。椿の盆栽は基本的に強い日光が当たり過ぎると、根が腐ったり葉枯れしてしまう可能性があります。園芸用の遮光ネットなどを使って日陰を作りましょう。

また、冬の時期は風が吹きすさぶ乾燥する場所に置かないように注意して下さい。乾燥は椿の蕾が落ちる原因にもなります。軒下などに置くと、適度に乾燥や風を避けられるのでおすすめです。

基本の水やり

椿の盆栽は基本的に乾燥に弱いので、用土が乾いてきたら水やりが必要です。時期によって水のあげ方を変えるとよいでしょう。3月から10月頃は、表面が湿る程度に1日に1回から2回あげます。11月から2月頃は2日に1回程度で構いません。

水分は必要とするものの、水分過多になると根の状態が悪くなります。用土の表面をよく観察し、あげ過ぎないように注意して下さい。

椿は屋外で育てるのが基本


乾燥や直射日光に注意する必要がありますが、椿の盆栽は基本的に屋外で育てるようにして下さい。日の光を適度に浴びることで苗木自体の成長が促進します。部屋の中で椿を楽しみたいという場合は、半日程度にとどめるようにしましょう。

椿のミニ盆栽の育て方【剪定編】

剪定は樹形維持と開花に必須

盆栽の基本的な育て方の中で、剪定作業はとても重要です。椿の盆栽は他の樹木と比較すると成長がゆるやかですが、剪定をしないと樹形がいびつになってしまいます。定期的に剪定をすることで、均整のとれた樹形を維持できるのです。

また、椿の盆栽は剪定で余分な枝を切ることで、発芽を促進させます。バランスのよい樹形と開花のために剪定は必要な作業と考えましょう。

剪定時期

Photo byblickpixel

椿の盆栽の剪定は、樹形や枝の伸び具合に応じて1年に1回行います。基本の剪定は、開花時期を過ぎ芽が出る少し前の3月~4月頃に作業しましょう。購入したばかりであまり成長していない盆栽であれば、見送りまたは同時期1回のみで構いません。

ある程度大きく成長していて葉の茂りが気になる椿の盆栽は、9月~10月頃に再度剪定することもできます。ただし、この時期は花芽の付いた枝を間違えて切ってしまうこともあるので注意して下さい。

 

剪定に必要なもの

剪定には園芸用のはさみ、癒合剤を準備します。椿は盆栽で育てる場合枝もさほど太くならないので、初心者の方は片手型の安価なはさみでも十分です。使いやすいものを選びましょう。また、癒合剤とは簡単に言うと傷口に塗る薬です。

椿の盆栽に限らず樹木を剪定すると、切り口から雑菌が入りやすくなります。癒合剤を切り口に塗ることで雑菌の侵入予防になり、剪定による枯れも防げるのです。種類もさまざまなので、園芸店で探してみて下さい。

基本の剪定手順

椿の盆栽の基本剪定は、節の数を中心に考えるのがポイントです。盆栽の節とは、枝や葉がでている場所のことを指します。椿の盆栽の場合、目安として1つの枝に節を2カ所程度残して、不要な枝を間引くように剪定するようにしましょう。

具体的には、上に長く伸びる徒長枝や、幹に当たるように伸びる内向枝、1つの枝に5枚以上の葉を付ける過剰枝を剪定していきます。剪定する際は、なるべく枝元に近い位置で切り落とすようにしましょう。

花数を増やす剪定とは

出典:ライター撮影

椿の盆栽にたくさんの花を咲かせたい場合は、芽当たりを観察しながら剪定してみるのがおすすめです。芽当たりとは簡単に言うと、新たに芽が出る印のある場所になります。芽当たりは、太く丈夫な枝元付近を探してみましょう。

芽当たりのすぐ上で剪定することで、新しい芽に養分が行きやすくなります。元からある芽に加えて、たくさん開花する可能性が高いです。椿の盆栽は基本の剪定のみで十分ですが、たくさん咲かせたい時は、ぜひ芽当たりに注目してみて下さい。

椿のミニ盆栽の育て方【肥料編】

肥料の必要性

椿の盆栽は、肥料を施すことで養分の吸い上げ力が上がり、枝が大きく成長します。枝の付きがよくなると、花芽の成長にも繋がるのです。ただし、過剰に肥料をあげるのはいけません。椿自体が肥料やけを起こし、枯れてしまったり葉が変色する可能性があります。椿の盆栽には、適切な量・種類を守って施肥しましょう。

肥料を与える時期


椿の盆栽に肥料を与える時期は、剪定と同時期の3月~4月頃が基本です。真冬の時期は肥料の吸い上げ力も弱まるので、時期を守るようにしましょう。剪定のついでに肥料をまくようにするのがおすすめです。もしこの時期にまだ開花している場合は、すべての花が落ちてから作業するようにして下さい。

椿の盆栽におすすめな肥料

椿の盆栽におすすめな肥料は、効き目がゆるやかな緩効性と表記のある肥料です。緩効性の肥料は、椿の盆栽を1年中よい状態に保つことができます。多くの場合、盆栽には苔が張られているので、与えやすい液肥タイプがよいでしょう。

化学肥料の他に、自宅ででる油かすも活用できます。ただし油かすを使う場合は、一旦植え替えをして鉢底に施すのがおすすめです。根に付いた用土を取り根洗いをして、栄養を十分に吸い上げられるようにしましょう。

施肥をする時の注意点

椿の盆栽に施肥をする際は、まんべんなく与えるのがポイントです。偏ったあげ方をしてしまうと、1つの場所のみに養分が流れ、椿の枝の生育がうまくいかない可能性があります。

また、即効性の肥料も使用しないように注意しましょう。すぐに効く肥料を椿の盆栽に使うと、葉芽ばかりが成長し花芽が育ちません。種類と用量を守って、丈夫な椿の盆栽になるようにしましょう。

椿のミニ盆栽の育て方【害虫・病気対策編】

害虫の種類・症状

椿の盆栽に出やすい害虫は、チャドクガやカイガラムシが挙げられます。チャドクガの体長は約4cm程度で、毛虫のような見た目が特徴です。5月頃に多く出現し、椿の盆栽の葉を食害する他、人が触れると痛みや痒みを発症します。

一方のカイガラムシの体長は3mm程度と小さく、白い見た目が目印です。チャドクガと同様に5月頃に現れ、カイガラムシが付いた椿の盆栽は樹液を吸われてしまうので、少しずつ樹形が変形します。

病気の種類・症状

椿の盆栽に発症する病気としては、すす病が挙げられます。すす病はカイガラムシが媒介することが多く、蔓延するとすす形状のカビが葉や枝にでるのが特徴です。このカビが原因で光合成できなくなるので、椿は枯れてしまいます。

もう1つの病気としては、花腐菌核病(はなぐされきんかくびょう)があります。椿が開花する時期に降雨量が多い場合に発症し、花の弁に茶色の斑点が表れるのが特徴です。花が腐るので、発症した椿の花は早々に落ちてしまいます。

害虫・病気対策方法

椿の盆栽に害虫を見つけた場合は、割り箸などで取り払うとよいです。直接触れないように注意して下さい。チャドクガは幼虫だと葉裏に付くので、裏表しっかり確認しましょう。取り除いたら、園芸用の殺菌スプレーを散布しておくのがおすすめです。

椿の盆栽が病気にかかった場合は、発症場所を剪定します。病気にかかった花や葉を、落としたままにしておくのもよくありません。落とした場所から新たに発症する可能性があるので、ゴミとして処分するようにしましょう。

椿のミニ盆栽の作り方

すでに仕立てられた椿の盆栽もよいですが、盆栽の育成に慣れてきたら自分で盆栽を作ってみるのもおすすめです。1から手作りすることで、器から苔の種類まで自分好みに作り上げられます。椿の盆栽は作り方も簡単なので、ぜひ挑戦してみましょう。

<作り方1>仕立て時期

椿の盆栽を仕立てる時期は、3月中旬から4月中旬頃がよいでしょう。椿の一般的な品種は、この時期ちょうど花が落ち始めることが多いです。見ごろが終わり、次の発芽の準備に入る時期なので、植えるのにちょうどよいと言えます。

ただし、西王母など9月下旬から10月下旬に花が落ち始める品種もあります。秋口に見ごろとなる品種の場合は、10月を目安に仕立てるのがおすすめです。購入時の販売タグを確認して、植え付ける時期を判断しましょう。


<作り方2>必要なもの

椿の盆栽を仕立てる時に必要なものは、椿の苗木、園芸用はさみ、器類、用土、苔の4種類です。お好みで化粧砂もあるとよいでしょう。椿の盆栽におすすめな用土としては、赤玉土、鹿沼土、桐生砂が挙げられます。

用土の割合は赤玉土をメインとして、鹿沼土と桐生砂を少量混ぜる程度にして下さい。苔については、ぎん苔、やま苔、はい苔は水のはけもよく、扱いやすいのでおすすめです。シートタイプの苔を使うと張りやすいでしょう。

<作り方3>作成手順

具体的な作り方としては、まず器の底にネットと石を敷き、用土を1cm程度入れます。その後、椿を中心に置き用土を器の9割程度まで入れて下さい。ここで少量の水をあげるとよいでしょう。用土を湿らせたら、苔と化粧砂を置いていきます。

ここで注意したいのは、苔と化粧砂の割合です。どちらかが多すぎると水のはけが悪くなるので、半々程度にするとよいでしょう。分量に気を付けて、好きな位置に張っていけば完成です。

<作り方4>作成後の注意点

椿の盆栽を仕立てた後は、用土が乾かないように注意して下さい。作ったばかりの椿の盆栽は、弱くデリケートな状態です。水分をしっかりと吸い上げて、枝に栄養がいくように気に掛けてあげましょう。

また、仕立てた直後の強剪定はおすすめしません。まだ樹形も安定しない時期なので、剪定で負荷がかかり枯れてしまう可能性があります。過剰枝があれば落とす程度の剪定にとどめましょう。

まとめ

Photo byMuecke

椿の盆栽は、多数ある品種の特徴や剪定のポイントを知っておけば、簡単に誰でも育てられます。日光の当たり具合、水やりに気を遣ってあげれば枯れることも少ないです。優美な椿を気軽に愛でたいという方は、ぜひ椿の盆栽作り・育成にチャレンジしてみましょう。

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