「三本線」焼成硬質赤玉土
宮島五葉松小品盆栽/樹齢4年
ミニ盆栽お手入れセット 一重刺し子道具巻き
はじめ:五葉松盆栽の育て方を覚えよう
五葉松は葉が短く盆栽向けの松の種類
松の木の中でも葉が短く盆栽向けとされているのが五葉松です。日本固有の植物でやや荒れた地形に自生するため、幹の形もくねくねと曲がっていて芸術的なものが多く個性的な造形美も人気の植物。別名のヒメコマツと呼ばれることもあります。
五葉松盆栽の剪定時期や針金掛けなど管理方法を解説
五葉松の盆栽を育ててみたいという方へ向けて、盆栽の手入れとして初歩的な水や肥料のやり方と剪定時期や方法・自分の思うとおりの枝ぶりにするにはとても重要な、針金掛けのやり方を詳しく解説していきます。
これから五葉松の盆栽を育ててみたいとお思いの方はぜひ育て方のヒントとしてくださいね!
盆栽でも人気の高い五葉松という植物について
五葉松の基本情報
科・属 | マツ科マツ属 |
原産地 | 日本 |
英語名/学名 | Japanese White Pine/Pinus parviflora Siebold et Zucc. |
育て方難易度 | 難しい |
五葉松はどんな場所に生える植物なのか?
標高が高く岩場など過酷な状況に自生する五葉松
自生する五葉松は山地から高山地域に主に分布する植物です。主にその標高は1300-1500mの場所で最高樹高は35mにもなるといわれています。自生する場所がごつごつとした岩場であったり、急な斜面であることも多いためワイルドな松としても知られています。
五葉松はなぜ盆栽に人気なのか?
五葉松がほかの松と違う葉を持っているため
五葉松のほかの松とは違う特徴として葉が密集している・1本1本が短いということがよく挙げられます。また幹の硬さも柔軟で初心者の方でも針金掛けがしやすいという特色ももちあわせているため、盆栽にするのに適した樹木として人気があるのです。
五葉松の盆栽を育てる準備!必要なものは何か
それではまず育て方に必要なものを準備するところからはじめます。盆栽は通常の定番園芸ツールのほかにも樹形を整えるために必要なものがあるのでチェックが必要です。
五葉松盆栽の準備1.木
宮島五葉松小品盆栽/樹齢4年
盆栽用の五葉松の木を買い求めるときすでに仕立てられている盆栽を引き続き改造しながら育てるのか、1から自分で育てるのかをまず選びます。どちらの場合も育てやすいのは株元が太く根は八方に力強く張っているものが健康的で育てやすいといわれる木です。
幹だけでなく葉の長さやねじれなど吟味して、自分の作りたいイメージにあった五葉松の木を選ぶようにします。
五葉松盆栽の準備2.盆栽用の土
五葉松盆栽には水はけのよい土を使う!
「三本線」焼成硬質赤玉土
五葉松の盆栽を植え付ける用の土は赤玉土が適しています。粒の大きさバリエーションがあるので、鉢底石にも植え付け用土としてもすべて赤玉土でまかなえるのが特徴です。
市販の盆栽用の土として配合されたものは元肥を加える必要がなく便利ですが、赤玉土のみで他の土と合わせる必要がない盆栽用土は培養土よりも硬質赤玉土の方を買うのがおすすめです!
五葉松盆栽の準備3.肥料
有機肥料でゆっくり効果が長持ちする油かすを使用する
マルタ 玉肥
盆栽の肥料は油かすが適しています。できるだけバランスのよい効き目の緩やかな有機肥料を与えるようにしてください。
ミニ盆栽であればそれほどたくさんの肥料を与える必要はないだけでなく、五葉松は特に葉を伸ばしたくないということが多く肥料はごくごく少ししか使いません。たくさん量を用意する必要はないです。
五葉松盆栽の準備4.針金掛け
やわらかいアルミ線が初心者の方にはおすすめ!
アルミ線 盆栽
ほかの園芸ではなかなか使わず盆栽には必須なものといえば、アルミ線があります。針金掛けという木の形を決める時に使いますのでこれも必ず準備しておくのがおすすめです。
色はシルバーのほか黒やブロンズがありますが目立たないようにするため黒やブロンズなど濃いめの色のものがよいでしょう。太さはミニ盆栽ならば17-24番手の中から選んでおきます。
五葉松盆栽の準備5.そのほか盆栽ツール
ミニ盆栽お手入れセット 一重刺し子道具巻き
盆栽は通常の園芸ツールだけではできない針金掛けという作業があります。アルミ線をカットする・かけたアルミ線をねじるのにやっとこやペンチなどが必要となるのが特徴です。
またこまめに剪定することにもなり、それも細かな作業となりますので通常の剪定バサミより小さめな使いやすい手にしっくりくるものを準備しておきましょう。いろいろ準備するなら簡単なセットを買い足りないものを買い揃えていくのがおすすめです!
五葉松の盆栽の育て方!剪定や針金掛けの方法
盆栽の育て方に必要なもののチェックが終わったら、いよいよ盆栽のお手入れや管理をはじめていきます。通常の植物の育て方とは少し違う部分もありますが、基本的に成長期には水やりや肥料を与えて休眠期となったら株を休ませてあげるなどはほかと変わりません。
五葉松盆栽の日当たり
盆栽が枯れる理由にもいろいろありますが、育てる植物に合わせた日当たりは育て方の基本です。盆栽の置き場所の目安は1年を通して日当たりのよいところが第一条件となります。
室内で管理する場合も最高3日を限界として屋外の日当たりのよい場所に移動するようにしてください。
日当たりだけでなく五葉松の盆栽には風通しも重要
また風通しがよいところも盆栽にとっては重要な要素です。しかし植え替えをした後はこの日当たりと風通しも真逆の環境が必要になるので、状態に合わせた管理方法に注意してください。
五葉松盆栽の植え付けと植え替え
五葉松に限らず植物の植え替えには適した時期があります。向いていない季節に植え替えをすると株を弱らせてしまい、最悪枯れる原因となってしまうことも。
五葉松を植え付け・植え替えをするなら春3-4月中旬くらいか8月の気温が低くなったころから9月上旬で、これはこの時期が五葉松の成長期にあたるためです。
植え付け・植え替え後は少しの間安静にさせてあげる
さきほど日当たりのところでも少し触れましたが、植え替えなどで根を切ったりしたあとは安定するまで株の安静が必要となります。日光も根の成長に必要なのですが水管理が難しくなるため、半日陰程度の場所に置きます。
また風が当たるのも植え替えた直後はぐらぐらとして安定しづらい原因にもなるため、数日だけでも風が当たらない半日陰に置いてください。
五葉松盆栽の日常管理
五葉松の水やりは葉水と土を湿らすふたつの方法でおこないますが、五葉松の盆栽の場合は成長期にあまり水をあげすぎると葉が長く伸びすぎて木姿が乱れる原因になるでしょう。
ほかの松の盆栽と比べて五葉松は水の管理は乾かし気味にするのが美しい盆栽づくりのコツです。目安として春や秋は1日1回。夏場で特に乾燥するような場合はケースによっては2回を限度とします。冬に関しては3-4日おきに1度くらいでもかまいません。
五葉松の施肥の方法はできるだけ少なく!時期が過ぎたら取り除く
五葉松の盆栽の肥料やりは春と夏(涼しくなった時期)におこないます。植え替えの適期と同じと考えてください。与える肥料は準備でご紹介したバランスのよい油かす。肥料分類において緩効性肥料となりますので、1回与えたらもうそのシーズン内には与える必要はありません。
もし春に置いた油かすが初夏になっても残っているようであれば、そのまま放置せず取り除くのも五葉松には大切な管理です。
五葉松盆栽に注意する病害虫と時期
病気は植物が枯れる原因ともなりますのでしっかりと予防と対策をしていきます。春から秋のあたたかい時期はアブラムシ・ハダニに注意します。冬になると越冬病害虫被害にあいやすいため木を消毒して予防していきましょう。
五葉松の病気はすす病や根腐れ病があります。どれも風通しや日当たりをよくすることで発症を抑える・被害を小さくすることができますので、剪定を含め普段からしっかりと盆栽のお手入れをして予防してください。
五葉松盆栽の剪定
五葉松は春になると新芽を出して枝や葉を増やしていきます。新芽の出方の特徴として1箇所にかたまって付くので、そのまま放置しておくと1箇所だけボリュームがですぎるという心配があるでしょう。
それを整理する意味で春(3月)と秋(10-11月)ころに剪定をしていきます。やり方の目安は枝が1箇所から複数でているもの、長くなりすぎると感じるものを詰める剪定もおこなってください。
五葉松の盆栽の手入れは剪定がメイン作業
五葉松でも通常庭植えにするのであれば、伸びてから一気に大きな剪定ばさみで切りそろえる剪定もできますが、盆栽の場合は新芽のうちから長さや数を形を考えながら手入れするのがおすすめです!
秋になると昨年以前の古葉が枯れるので、それも茶色くなったものを見つけしだい剪定(枯れきったものは手で触れるだけでも落ちる)のお手入れをして美しくしておきます。
五葉松盆栽の針金掛け
五葉松の枝や幹の成長の特徴として成長速度がゆっくりである・枝や幹がやわらかいことがあげられます。成長速度が遅いのは針金かけを一度おこなったらあとは少々の手直し程度のバランスを取る手入れですむので初心者にもやりやすいメリットです。
針金掛けに適した時期とやってはいけない時期
やわらかい幹や枝は一度針金を掛けても外すと戻ってしまうため1年程度かけっぱなしにするというやり方が適しています。針金かけ時期は秋9-11月か翌年の2-3月ころ。真冬の針金掛けは樹液の動きを妨げ枯れる原因となるのでやってはいけません。
針金掛けのやり方のポイント
お手持ちの盆栽の枝ぶりに合わせて形を整えていくため盆栽ごとに曲げ方は変わってきます。ここでは基本的な曲げ方のコツを解説しますが、まずは枝が出ているところを曲げて出ている枝で動きを出すときれいに整いやすいです。
何も枝がない幹を曲げる場合でもまだは枝のところでどのような曲げをするかシミュレーションしてからその流れを強調する形にしていくとよいでしょう。
盆栽用の五葉松は自分の目で見て選ぶ!
地域によって違う!種類も多い五葉松
ひとくちに五葉松といっても日本では産地ごとにその姿の特徴は変わってきます。ほかの松と比べて葉が短く盆栽向けとはいわれますが、地域だけでなくその松の性質によって葉の長さには違いが見られるもの。
大きくは産地の北と南で違うといわれていますが、非常に多くの品種に分かれているだけでなく、品種改良などによってもさまざまな特徴のある五葉松が生まれています。
盆栽にするなら五葉松特有の葉の短さが必要
盆栽に仕立てるのには庭植えにするのと比べてコンパクトに形つくる必要がでてきます。後から葉の長さがもう少し短かったらよいのにと思ったら新しい苗を買うほかありません。
葉の短さが五葉松の盆栽の魅力であることから、健康な苗選びはもちろんのこと葉の短さも十分吟味する必要があるのです。
葉の長さ調整ができない五葉松は株の性質がすべて
これが五葉松でなくクロマツであれば短葉法という葉を短くする方法が存在します。しかし、五葉松はこの短葉法が実行できません。さらに同じ〇〇五葉松という種類でも個体差がありますから、できるだけ自分の目で確かめほかの個体と比較して葉が短いものを選ぶのがおすすめ!
まとめ:五葉松盆栽の特徴と育て方
五葉松は初心者でも手入れがやりやすい盆栽
盆栽の育て方は通常の園芸よりも難易度は高く時間も何年もかかるため、植物の育て方に慣れてきた方におすすめな樹木を楽しむ方法です。小さな鉢の中で無理をさせながら栽培するため、手入れをおこないタイミング・時期は重要となってきます。
まずは適した時期に剪定・肥料あげをおこなう育て方を守り、剪定や針金掛けで樹形を好みに整えていくと考えるとよいでしょう。
盆栽が気になる方はこちらもチェック
今回は五葉松の盆栽の育て方や管理方法について解説してきましたが、暮らしーのには五葉松以外の盆栽の育て方解説記事もあります。気になる方はこちらの記事もぜひご覧になってくださいね!

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出典:https://photo-ac.com/