盆栽について
盆栽の魅力は鉢上の植物を観察し様子を見ながら手を加えていく過程にあります。手入れに間違いがなければ植物はいきいきと生長し花や実をつけてくれるでしょう。この植物と人間のコミュニケーションが豊かなほど盆栽は磨かれ美しい姿を現します。盆栽入門を志す方の中には、始め方が分からない、仕立て方が難しそうという方も多いようです。この記事では、初心者の方にも分かりやすいように始め方や仕立て方、手入れの基本について解説しています。盆栽は意外と簡単に楽しめる趣味であり、生きた造形品であることがわかっていただけるでしょう。
盆栽を始める前に
つくり
盆栽の入門の手引きとして、まず、樹木の姿に関する基本的な用語を説明しましょう。樹木の姿の特徴を表す部位には名前が付けられており「つくり」と呼ばれています。仕立て方に大きく関わる「樹形」は自然の中にある樹木の姿をもとに類型化されています。また、盆栽の大きさには基本となるいくつかの「サイズ」がありますから覚えておいてください。盆栽は生き物ですから型通りにはいかないこともありますが、基本とすべき樹木の姿を頭に思い描けていれば、初心者の方も意外と簡単に仕立て方に慣れていくはずです。
頭(樹冠)は樹木の最上部の枝葉部分のことで、樹木全体の輪郭や流れを決める重要な部位です。伸びた枝を根元から順番に一の枝から四の枝と数えていきます。根元から頭に向けて幹が細くなっていく様子をコケ順、地表に現れ目に見える根の張り具合を根張り、根張りから一の枝までの最も太い幹部分が立ち上がりです。
樹形
木姿を理解する上で樹形は大切な要素です。幹の立ち方で直幹・斜幹・双幹、木の先端が向かう方向で懸崖・文人木・吹き流しという名称で区別されています。また、幹が模様を描くように曲がる木を模様木、石と一体となった木は石付きと呼ばれています。
サイズ
盆栽のサイズは、一般的に盆樹の樹高で決められ、3つに大別されています。樹高10~20㎝までが小品盆栽、樹高20~50㎝までが中品盆栽、樹高50㎝以上のものが大物盆栽です。最近では、小品盆栽よりも小ぶりのミニ盆栽の人気が高まっています。
盆栽の作り方1.初心者向け樹種
草もの
盆栽の樹種は、「松柏」「草もの」「雑木類」に大別されますが、入門したての初心者向けとしておすすめなのは、剪定や水やり等の手入れが比較的簡単な草ものでしょう。草ものとは山野草や花木のことです。雑木類には「花もの」と「実もの」も含まれます。松柏とは常緑針葉樹のことで、シンパク、クロマツ、ゴヨウマツなどが代表格です。
細長い葉がそよ風にたなびき繊細な穂に小花をつけるフウチソウ、タンチョウソウはユキノシタ科の多年草で白い花をたくさん咲かせます。サギソウやタイワンオギは湿地に自生する野生ランで、どちらも生命力が強く育てやすい樹種です。
雑木類
仕立て方が簡単で育てやすい雑木類として人気なのは、成育旺盛で四季折々の風情を魅せるイチョウ、盆栽の中で最もポピュラーで季節の変化が際立つヤマモミジ、太くまっすぐな幹と独特な曲線をもつ樹冠のコントラストが印象的なケヤキの3樹種です。
花もの
花もので育てやすく見栄えがすることで人気の高いのがボケです。多くの品種があり、早咲きと遅咲きに大別され、色は赤と白が主体で1つの鉢に両方咲く咲き分けもあります。滑らかな幹肌と多彩な花色で人気なのがサルスベリです。盆栽の定番として根強い支持があるのは、ウメ、カイドウ、サクラの品種です。
実もの
実もので初心者向けで育てやすいのは、カリンとヒメリンゴでしょう。カリンは芳香のある大きな実だけでなく、美しい花や紅葉が楽しめるので人気です。ヒメリンゴは小ぶりな花と小さな果実が色づいていく様子が可愛らしく癒されます。実ものはコナシやカキ、ウメモドキが代表格になります。
松柏
松柏で一番人気は、丈夫で育てやすく風格もあるシンパクです。ゴヨウマツも手入れがしやすく安定して人気のあるマツです。青々と大きい葉や豪快な枝ぶりをもつのがクロマツ、優し気でたおやかな女性の繊細さを感じさせるのはアカマツです。
盆栽の作り方2.簡単用土作り
赤玉土
盆栽の始め方のポイントは、用土と道具、そして鉢です。盆栽の基本となる用土は赤玉土で、砂や水苔を単一または複数ブレンドして使うのが一般的です。道具については盆栽用にこだわらずに代替えできるものは使っていくようにしましょう。使い慣れた道具で作業すれば効率もいいですし経済的です。鉢は盆栽の印象に大きく影響する重要な素材であり、選ぶのが楽しみになるアイテムです。ここでは用土や薬剤について説明していきます。
赤玉土は、通気性や保水性、保湿性に優れ、扱いも簡単な用土です。盆栽で使用する赤玉土は中粒と小粒です。粒は大きいほど水はけが良いので、鉢には大きい粒から先に入れ、表土は小さい粒で乾燥を防ぎます。微粉が混ざっていると水はけの悪い用土になってしまいますので篩(ふるい)にかけて使いましょう。
砂
砂は用土の通気性や保水性のレベルを上げる役割と見栄えを向上させるために使用されます。桐生砂は水はけや通気性に優れ、松柏類をはじめ様々な盆栽用途として混合されます。富士砂は火山灰性の砂礫で通気・保水に優れているだけでなく、化粧砂として重宝されています。
水苔
水苔は、湿原に生える苔類を乾燥させたもので、吸水性、保水性に優れているとともに、鉢土表面の乾燥を防いでくれます。水持ちも格段にアップしますから、水やりが思うように出来ない時などにおすすめです。水に浸して戻し、水気を絞ってから使用してください。
肥料・薬剤・消毒
盆栽の肥料は有機質で遅効性の顆粒状のものがおすすめです。ミネラル類を含んだものを春と秋に施肥してください。ゴヨウマツは1~2月の真冬に与えます。消毒は毒性が低く希釈せずに使えるものが初心者向けです。薬剤や消毒の散布は、樹木を軽く湿らせ、気温の高くない時間帯に風通しの良い場所で作業しましょう。
盆栽の作り方3.初心者の鉢選び
泥もの
鉢は樹木と一体となって盆栽の景色を創出します。鉢の形状や色目は本当に多種多彩で、盆栽の印象をがらりと変えます。盆栽鉢は釉薬をかけずに焼いた「泥もの」、釉薬をかけて焼いた「色もの」に大きく分けられます。「変わり鉢」と呼ばれるユニークな形状の鉢もあります。
泥ものは釉薬をかけずに焼いた鉢で、低温で焼く素焼きと高温で焼く焼き締めに分けられます。独特な土質感が松柏類と相性が良く、渋みのある風情を醸し出します。土の色により、白泥、紅泥、紫泥などがあり、それぞれに趣があります。
色もの
色ものは釉薬を施してある鉢で、色合いにより、青磁、白磁、織部などがあります。また、青いまだら模様の海鼠、深みのある青紫色の瑠璃など色味は豊富です。実ものや花ものなど雑木類に合わせやすいとされ、人気が高い鉢です。
変わり鉢
変わり鉢は、ユニークな形状の遊び心のある鉢です。舟形やかご型、なすび型など意表を突くデザインが人目を引きます。奇抜な鉢に柔軟な発想でオリジナル性の高い寄せ植えをしてみるのも楽しいでしょう。
鉢選びのコツ
鉢は、樹木と相まって盆栽の品格を高めます。幹が太く力強い樹木は、深めの鉢を選ぶと安定感が増します。逆に幹が細くたおやかな樹木は浅めの鉢と合わせることで風情がでるでしょう。鉢映りは、側面やすこし離れて遠目で見ることが肝心です。
盆栽の作り方4.初心者の道具選び
盆栽の道具で、初心者の方に、これだけは揃えてほしいというのは、剪定バサミ、やっとこ、針金切り、ピンセット、竹箸の5点です。中品盆栽以上の太めの枝を切る場合は、又枝切りや根切り用のハサミをプラスしてください。初心者向けのセットを購入するという選択肢もあるでしょう。あえて高価なものを揃える必要なないのですが、何か一つでもいいものをと考えられるのでしたら、ハサミ類にこだわってください。ハサミは一番使用頻度が高く、樹木に与える影響が大きいものです。道具はお手入れや保管にも気をつけましょう。
盆栽の作り方5.仕立て方の基本
針金かけ
ここでは、盆栽の仕立て方の基本となる「針金かけ」と、盆栽の見どころのポイントになる「神」と「舎利」について説明します。針金かけは、樹木の幹や枝に針金を巻いて固定し時間をかけて美しい樹形に仕上げていくために行います。
針金は、初心者は硬い銅線よりも軟質のアルミ線が扱いやすいでしょう。仕立て方のポイントは針金を交差させないことです。太い枝を曲げたい時は太い枝から細い枝へ順に巻いていき、枝に針金を掛ける場合は幹の上下に2巻きして支点をしっかり固定してください。また、枝を下に曲げる際は、必ず針金を枝の上部分から巻きます。上に曲げる場合は逆になります。
神と舎利
老木の一部だけが腐敗し木質部が白骨化する場合があります。幹部分にそれができると舎利、枝先にできると神といいます。盆栽では、神や舎利を人が意図的に作り出します。樹皮を剥いだり枝先を裂いて作るのですが、腐らないように石灰硫黄合剤で保護します。
盆栽の作り方6.初心者の剪定入門
忌み枝
盆栽の剪定は、樹木の仕立て方の一つです。樹木の輪郭を整え、繁茂しすぎた頭の風通しを良くし、樹木の生長を助けます。植物の栄養は下から上へと向かい頭に集中します。頭のボリュームを適度に抑えることで、樹木全体にバランスよく栄養が回ることになるのです。剪定直後の樹木は寂しい印象を受けることもありますが、樹木の将来の姿を形作ることが重要なのです。雑木は芽摘みと切り返し、葉刈りが中心になり、松類は芽切りと芽かき、葉すぐりが剪定の基本となります。両方に共通なのが忌み枝の切除で、仕立て方の肝になります。それぞれ見ていきましょう。
剪定の始め方は、まず、忌み枝を見つけることです。忌み枝とは、樹形の美しさを損ない、必要な枝の陽当りや風通しを悪くする枝のことをいいます。1カ所から何本も放射状に出る車枝、枝から真上に伸びる立枝、枝から真下に向かう下り枝等があります。適宜、剪定していきましょう。
雑木の芽摘み
雑木の芽摘みは樹木の輪郭を大きくしないためと将来の枝姿のバランスを整えるために行います。樹種によって多少の違いはありますが、3月新芽が芽吹き始める頃に行うのが基本です。切り返しは、樹冠のボリュームを抑え、幹に合った枝づくりのため、新芽が硬くなり始める時期を目安に行います。
松類の剪定
葉すぐりのすぐるとは取ることを意味しています。始め方のポイントは、強い芽は少なくし弱い芽は多く残すのが基本とすることです。樹冠の外側の勢いのある芽は4~6葉、内側の弱い芽は6~10葉残してすぐります。春に出た芽を切り、切り口からの新しい発芽を促すのが芽切りです。芽かきは芽切りをした芽に2芽づつ残してかき取ることをいいます。
盆栽の基本の水やり入門
水やりのポイント
水やり入門として、ここではなるべく簡単に、基本的なことを説明していきます。水やりは盆栽の手入れの中でも最も重要な手入れで、「水やり3年」といわれるほど難しいとされています。まず、失敗しない水やりのコツは、いきなり頭から水をかけるのではなく根元から回しかけることです。その時、近い位置から樹木や用土の様子を観察することを忘れないでください。樹種や鉢の大きさ、季節で盆栽がどのように水を欲しがるかを観察することが、樹木とのコミュニケーションです。それが豊かなほど樹木は健やかに生長します。
盆栽入門したばかりの初心者の方は、まず、盆栽を鉢ごと持ち上げ重さを確認しておきましょう。適量と思われる水を与えた後の重さも覚えておいてください。これを基本に、季節や樹木の状態で微調整していきます。また、夏の乾燥時などは霧吹きでの葉水も忘れずに行ってください。
どぶ漬け
用土の保水が良くない盆栽に簡単に吸水させる方法がどぶ漬けです。水を張った容器に鉢ごと漬け、ぶくぶくと気泡が出てこなくなるまで続けます。空気が抜けたら容器から出しください。このやり方なら根の芯まで水がしっかり浸みわたります。
季節の水やり
春は、まだ空気が乾燥していますから、根の状態をよく見て潅水の量を調節しましょう。夏は葉からも水分が蒸散しますから、1日2~3回を目安に潅水してください。冬は休眠期に入り吸水量は激減しますが、乾燥はしていますから水やりは実用です。2,3日に1回程度にします。
盆栽の植え替えのポイントと手順
植え替えのポイント
植物は、枝葉や茎、幹とともに根も成長していきます。根が健やかに育つためには通気性と水はけが欠かせません。そのために行うのが定期的な植え替えです。盆栽の植え替えの始め方は、植え替え周期の確認、用土の準備、樹木に合わせた鉢を用意することです。植え替え周期は、樹木の種類や鉢の大きさなどによって変わります。松柏類は2~3年に1度、老木なら3~4年に1度、雑木類は生長が早いので毎年植え替えてもかまいません。
ほとんどの樹木の植え替えの最適期は、新芽が出はじめる春ですが、寒さに弱い樹木は5月中旬以降に行います。用土はしっかり篩いにかけたものを準備しておきます。前日は水やりを控えましょう。根が乾いてしまうので植え替えはスピードが命です。段取りよく作業をこなすのがコツです。
植え替えの手順
盆栽入門したばかりの初心者の方に、植え替えの大まかな手順を説明します。鉢を裏返して留めている針金を切り、樹木をまるごと抜きます。竹箸で古い土を軽く落とし、根を上部、底、横の順にほぐしていきます。余分な根を切り詰めたら、あらかじめネットや針金を取り付け用土を敷きつめておいた鉢に取り付けます。表土を整え、十分に潅水したら完成です。
ミニ盆栽入門
ミニ盆栽の始め方と作り方
ミニ盆栽は、見た目の可愛さや手入れの簡単さで人気が高まり、小さな緑のインテリアとして定着しつつあります。ミニ盆栽を長く育てて楽しむコツは苗木選びといわれます。苗木は節と節の間が短く全体的にがっしりとしていて、葉の色は濃いものを選ぶのがポイントです。ミニ盆栽は持ち運びが簡単にできるため移動させがちですが、頻繁に環境を変えるのはよくありません。また、植物の基本的な生育条件である陽当たりや風通しも忘れないでください。ここでは、ミニ盆栽入門の手引きとして、始め方と作り方、剪定や水やりなどの手入れ方法について見ていきます。
盆栽よりも小さく繊細なミニ盆栽の始め方で大切なのは、置き場所と水やりです。枯れの入っていない枝ぶりの良い苗木が見つかったら、陽当りの良い風通しのある場所を選び、盆栽を木製のスノコや台の上に置きましょう。また、ミニ盆栽は水を留めておく用土部分が少ないですから、水切れは早くなります。
ミニ盆栽の剪定と手入れ
ミニ盆栽の剪定等の仕立て方や手入れの基本は盆栽と同じですが、サイズが小さい分、簡単に感じられるはずです。ただ、根や枝を扱う時の繊細さが大切になります。また、乾燥も早いですから、作業中には、濡らした水苔や木綿の布なので根を覆いながら行うなどの気配りも必要です。
盆栽の魅力と楽しみ方
盆栽の魅力は、1つの鉢上に自然の情景が切り取られ、今まさに生きた自然と向き合っているという臨場感にあります。また、観賞するだけでなく、自分の手で作り上げる過程を楽しむことができるのも大きな魅力です。盆栽入門は簡単にできます。ご紹介してきた通り、始め方や作り方、手入れに特別な才能や勉強は必要ありません。大切なのは植物と触れ合うことを楽しむことです。時間をかけて形を作り、植物の生長が健やかであれば、大きな手応えを感じることができます。盆栽の仕立て方の工夫や手入れを通して、樹木や草花とのコミュニケーションを楽しみましょう。
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