ホトトギスは東アジア原産の山野草
ホトトギスの花言葉の由来はその独特な模様ではなく、暖かい季節から寒くなる季節まで長く咲き続ける開花時期とされています。4つの花言葉がありますが、いずれもさみしくなる季節にふさわしいと思える花言葉です。
東アジアに自生するユリ科ホトトギス属のホトトギスは19種類があり、日本での分布は12種で、うち10種が日本の固有種です。園芸品種も開発されているホトトギスの花言葉などについてチェックしておきましょう。(この記事は2021年9月6日時点の情報です)
ホトトギスの4つの花言葉
花言葉①:「永遠にあなたのもの」
ホトトギスの代表的な花言葉は「永遠にあなたのもの」という、なかなか重たい意味合いのものとなっています。この花言葉の由来は、ホトトギスの開花時期が、暖かい季節から寒くなり始める季節までと長く楽しめることにあるようです。
ホトトギスは夏よりも秋の季節を代表する花のため、さみしくなりがちなガーデニングを風流に演出してくれることでしょう。一方で花びらの独特な模様も相まって、情緒深さが感じられる花言葉です。
花言葉②:「秘めた意志」
ホトトギスには「秘めた意志」という、やはりなかなか重たい意味合いの花言葉もあります。この花言葉も、開花時期が暖かい季節から寒くなる季節までと長いことが由来とされています。
さらには花びらの独特な斑点模様からも花言葉のような、心の奥底にある秘めやかな気持ちが感じられるのではないでしょうか。このようにホトトギスの花言葉は情緒的で少し重いため、贈る場合は慎重に相手を選んだほうがよいかもしれません。
花言葉③:「永遠の若さ」
ホトトギスには、先の花言葉「永遠にあなたのもの」と「秘めた意志」以外に、「永遠の若さ」という花言葉もあります。この花言葉の由来もやはり、開花時期が暖かい季節から寒くなる季節までと長いことにあるようです。
一般的にホトトギスは、花びらに紫色の斑点模様が入っている種類が普及しています。この模様は一見魔法使いのようなミステリアスな雰囲気もするため、この花言葉もホトトギスにふさわしいのではないでしょうか。
花言葉④:「あなたの声を聴きたくて」
ホトトギスの花言葉には、「あなたの声を聴きたくて」という少しせつない意味合いの花言葉もあります。こちらの花言葉は、「キイジョウロウホトトギス」にあてたものです。
このホトトギスは紀伊半島に自生する種類ですが、茎が長く弓なりに垂れ下がり、黄色い花びらの内側に紫色の模様が入った花が下向きに咲く様子から来ています。他の花言葉と同じように、胸がきゅんとなる情緒的な花言葉です。
ホトトギスの誕生花
ホトトギスを誕生花とする日は次となります。9月12日・9月16日・9月19日・10月4日・10月19日・11月29日の6日です。ホトトギスの早い種類は7月~8月から開花しますが、遅くは10月~11月までとなります。
季節が深まる頃にひっそりと長く開花するため、ホトトギスの花言葉と誕生花に合った日といえそうです。ただしホトトギスの花言葉は少し重たい意味合いのため、誕生花として贈るときも注意が必要です。
ホトトギスの名前の由来・別名
ホトトギスの名前の由来
ホトトギスの名前の由来は野鳥のホトトギス(カッコウ科カッコウ属)の模様にあるとされており、特に胸の部分をご覧いただくと納得できることでしょう。野鳥のホトトギスの胸からお腹は白く、そこに黒っぽい縞模様が入っています。
濃灰色の尾羽にも模様があり、見ようによっては水玉模様に見えるのではないでしょうか。花言葉をチェックしたあとは、ぜひ野鳥と山野草のホトトギスを野鳥図鑑と植物図鑑で見比べてみてください。
ホトトギスの別名の由来
ホトトギスには「油点草(ユテンソウ)」という別名もあります。ホトトギスの若葉には油じみのような斑点模様が入るため、その特徴から、あまり風流ではないストレートな別名が付けられたようです。
斑点模様が花びらだけではなく若葉にも観られるという現象は、一部を切り取っても全体と似ている成り立ちをしているという"フラクタル概念"が当てはまりそうで興味深いですね。
ホトトギスの学名の由来
ホトトギスの学名は「Tricyrtis hirta」となりますが、Tricyrtisとはギリシャ語で"3"を示す「treis」と"曲がる"を示す「kyrtos」からなっています。これはホトトギスの外側にある、花びらの基部が曲がった3枚の"外皮花"のことを示しているのです。
このさりげなく反る曲線もまた、花言葉が示す長く咲く性質のように、ホトトギスの魅力を高めているのではないでしょうか。
ホトトギスの特徴・種類・育て方
ホトトギスの特徴
園芸分類・形態 | 山野草の多年草 |
原産地 | 日本・朝鮮や中国の一部 |
草丈 | 30~1メートル |
開花時期 | 8月~9月 |
花色 | 白・黄色・ピンク・紫 |
栽培難易度 | 初心者でも育てやすいレベル |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
適した環境 | 風通しのよい明るい日陰 |
ホトトギスは日光がさんさんと浴びる場所ではなく、風通しのよい林床、崖、岩場などで自生しています。ガーデニングではその点を考慮し、日陰でも風通しのよい場所で管理してください。
ある程度の湿度も必要なため、空中湿度が50パーセントほどになるように維持します。乾燥しやすい場所には風よけや人工芝を敷いて打ち水をするのがおすすめです。上手に栽培できれば、株分けや挿し木でも増やせるので挑戦してみてください。
全体のホトトギスの種類①
グループ | 特徴 | 主な種類 |
ジョウロウホトトギス節 | 黄色の釣り鐘型の花冠 |
・ジョウロウホトトギス・キイジョウロウホトトギス・サガミジョウロウホトトギス |
キバナノホトトギス節 | 上向きに咲く黄色の花、茎から開出毛 | ・キバナノホトトギス、チャボホトトギス・タカクマホトトギス・キバナノツキヌキホトトギス |
ホトトギス節 | 上向きに咲く白い花、茎から斜上する毛 | 日本には、ホトトギス・タイワンホトトギスの2種 |
ヤマホトトギス節 | 上向きに咲く白または黄色の、茎から斜め下向きの毛 | ヤマホトトギス・ヤマジノホトトギス・セトウチホトトギス・タマガワホトトギス |
19種あるホトトギス属は次の4グループに分類されます。第1グループは、釣り鐘の形の黄色い花冠を持つ「ジョウロウホトトギス節」となり、ジョウロウホトトギス・キイジョウロウホトトギス・サガミジョウロウホトトギスの3種です。
第2グループは、上向きの黄色い花ぶらと直角に近い角度で茎から伸びる毛を持つ「キバナノホトトギス節」で、キバナノホトトギスを始めとする4種です。第2グループは日本の固有種のみとなります。
全体のホトトギスの種類②
第3グループは白色で、上向きに咲く花と茎に斜上する毛を持つ「ホトトギス節」の5種となり、日本ではホトトギスとタイワンホトトギスの2種しか見られません。
第4グループは、上向きに咲かせる白または黄色の花と毛が斜め下に茎から伸びる「ヤマホトトギス節」の7種ですが、日本ではヤマホトトギス・ヤマジノホトトギス・セトウチホトトギス・タマガワホトトギスの4種となります。
日本のホトトギスの種類
国立科学博物館によると日本産のホトトギスは次の種類があげられます。「ヤマジノホトトギス」「キバナノホトトギス」「ホトトギス」「シロホトトギス」「サツマシロホトトギス」「イワホトトギス」などです。
山野で見かけたときは、花びらの色や形、模様などをじっくり観察して種類を確認してみてはいかがでしょうか。しかし自然公園はもちろんのことそれ以外の場所においても種の保存のため、採取しないように心がけてください。
ヤマホトトギス
ヤマホトトギスは北海道南西部から本州各地、朝鮮半島南部や中国東部に分布し、花言葉の「秘めた意志」のようにひっそりと崖や斜面、明るい林床地帯などで自生しています。
開花時期は、やはり花言葉「永遠にあなたのもの」が示すように早い種類では、暖かい季節の7月から寒くなる季節の10月頃です。ホトトギスといえば、この模様入りのヤマホトトギスを指すことが多いかもしれません。
タイワンホトトギス
花の名前にも付いているように台湾で多く分布していますが、日本では西表島の低地から標高1,900メートルまでの林に分布しています。開花時期は9月頃から11月までと遅く、花言葉の「永遠の若さ」のようにずっと咲き続けるかのような錯覚を起こすかもしれません。
ホトトギス属の中で最も耐寒性に強いといわれている種類のため、やはり花言葉の「永遠の若さ」がふさわしいといえそうです。
キバナノホトトギス
キバナノホトトギスは日本だけで分布する固有種となり、花言葉の「秘めた意志」のようにひっそり九州南東部の明るめの林床で自生する希少種となります。
草丈は10~20センチメートルほどになり、花弁には鮮やかな黄色に赤紫色の斑点が散るのが特徴です。茎の先端や葉の脇にまとまったように花を1~2輪つけるのも風情があります。鮮やかな黄色のため「永遠の若さ」という花言葉もぴったりに感じられるのではないでしょうか。
キイジョウロウホトトギス
キイジョウロウホトトギスは崖から垂れ下がり、黄色い花を下向きにつける姿が他の種類とは趣が異なります。花言葉の「あなたの声を聴きたくて」は、このホトトギスにあてられた花言葉です。
垂れ下がる様子が、さみしさにうなだれながらも好きな人の声を一生懸命に聴き取ろうとする人間の姿に思えます。片思いをも連想させるなんとも切ない花言葉ですが、秋の風情にふさわしい花言葉といえるかもしれません。
ホトトギスの園芸品種
季節が深まる時期に開花するホトトギスをガーデニングで楽しみたいときは、販売されている園芸品種を栽培しましょう。古くから栽培されている「シロホトトギス」を始め、斑点模様入りのさまざまな園芸品種が流通されています。鉢植えにおすすめの「キバナノホトトギス」も人気です。
さらにホトトギスとタイワンホトトギスの交配種もあり、さまざまなホトトギスの園芸品種が出回っているのでチェックしてみてください。
シロホトトギス
昔から園芸品種だったシロホトトギスには、名前の由来にもなっている一般的な紫色の模様が入っていません。一般的なホトトギスとはまた異なる魅力があり、花言葉「秘めた意志」のように清楚な雰囲気です。しかし開花時期は長いので「永遠にあなたのもの」という花言葉もふさわしいといえます。
シロホトトギスは花の名前に白と付きますが、花弁は薄いピンク色をしており、雄しべや雌しべもピンク色をしているのが特徴です。
ホトトギス"白楽天"
ホトトギス"白楽天"はシロホトトギスと混同しやすい種類ですが、こちらの花弁は純白色をしているのが特徴です。シロホトトギスとは別の園芸品種となり、とても栽培しやすくてこぼれ種で広がることが多い種類となります。
純白色ということもあり、「永遠にあなたのもの」という花言葉が一番似合う種類といえそうです。
松風
松風は、ホトトギスとタイワンホトトギスの交配種といわれています。花に多数の大きなあずき色の斑点模様がくっきりと入るのが特徴です。立ち姿もすっきりと美しく、花言葉の「永遠の若さ」のように若々しいイメージがあります。ホトトギスとよく似ているため、間違われることも多い種類です。
ホトトギスの育て方
ホトトギスの自生地の環境は、さんさんと日光が当たる場所ではなく、少し湿った日陰の斜面や岩場、崖などです。ガーデニングでもなるべく自生地と同じ条件にする必要があります。
地植えも鉢植えも風通しがよくて明るい日陰を選んでください。ある程度の湿度が必要なため、空中の湿度を50パーセントほどに維持することも大切です。乾燥しがちな場所は風よけをつくり、周りに人工芝を敷いて打ち水をすることをおすすめします。
情緒的な花言葉のホトトギスを贈ろう!
ホトトギスの全般的な花言葉は「永遠にあなたのもの」「永遠の若さ」「秘めた意志」となり、キイジョウロウホトトギスの花言葉が「あなたの声を聴きたくて」です。全般的な花言葉の由来は8月頃~10月・11月までの開花時期の長さにあります。
花壇がさみしくなる季節、控えめに咲くホトトギスにふさわしい花言葉です。しかし情緒的で少し重い意味合いのため、贈り物にするときは相手を慎重に選んだほうがよいかもしれません。
ユリ科植物が気になる人はこちらをチェック!
ホトトギスの花の大きさは直径2~3センチメートルほどですが、ユリ科の仲間となります。ユリは斑点模様などがホトトギスと似た特徴を持ち、いろいろ興味深い点があります。ホトトギスとは違って豪華さが魅力のユリについて知りたい人はこちらをチェックしてください。

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出典:photo-ac.com