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オニユリの育て方は?ムカゴから育てるコツや増やし方をご紹介!

オニユリは最大で2メートル以上にまで成長する大型の植物です。エキゾチックなオレンジ色の花はまるで南国の植物のような印象を見る者に抱かせますが、意外なことにオニユリは日本にもともと自生していた花。ムカゴから簡単に栽培できるオニユリの育て方をご紹介します!
更新: 2022年6月2日
石倉
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はじめに

観賞用として人気のオニユリ

オレンジ色のエキゾチックな色彩をはなつ花弁を咲かせるのがオニユリです。名前に「オニ(鬼)」が付くことから、何やら物騒な印象を抱く方も多いのではないでしょうか。ただ、この花はその名前とは裏腹に観賞用として広く栽培されている人気の植物なのです。今回は、このオニユリについて、育て方や増やし方のコツをご紹介していきます。

オニユリとは?

オニユリの形態

まず、オニユリの形態から簡単にご紹介しましょう。この花は、成長すると全長1.00m~2.00mになります。人の身長とほぼ同じ程度にまで伸びる大型の植物です。互生とよばれる形態で葉を付けていくタイプであり、深いグリーンの尖った葉を多く茂らせます。

オニユリの開花時期

花の開花期は7月から8月。空に入道雲が顔を出す時期になると、この植物は花を結び始めます。先述したように、花の色は大変エキゾチックで印象的です。褐色からオレンジ色の深い色合いの花には斑点が無数に浮かんでおり、南国の植物然とした姿をしています。

オニユリの自生地

南国の植物に見られるような強い色彩の花を結ぶこのオニユリ。もともとグアムなどの暑い地域で根を張っていた植物です。ただ、実はグアムだけでなく朝鮮半島や中国、そして何と日本にも自生していた花なのです。そのため、この花は日本の風土に適応できるだけの性質をもとから備えており、ガーデニングで栽培しやすい植物であるといえます。

オニユリの変異種「対馬ユリ」

日本に古くから自生していたオニユリのなかには、日本の風土に最適化した結果、変異した「変種」が存在します。それが対馬ユリです。「黄金ユリ」ともいわれるこの花は、その名前に負けないほどの美しい黄金色の花弁を咲かせます。

オニユリの特徴

ムカゴとは?

その大きな姿や印象的な花にばかり目が行きがちなオニユリですが、その最大の特徴はムカゴにあります。ガーデニングを趣味とする皆さんは「ムカゴ」について、既にご存知の方も多いかもしれませんね。簡単に説明させていただくと、ムカゴとは植物が栄養を保存して、その栄養を繁殖に適した形に変換し形成するコブのようなものです。

ムカゴを上手に利用する

このムカゴが葉の付け根部分に複数個、作られるのがオニユリの最大の特徴といえます。このムカゴはダークパープルを少し毒々しい色合いをしており、初見の方は「ん?」と少し戸惑いを感じるかもしれません。ただ、オニユリをガーデニングで栽培するのであれば、このムカゴは大変重要な存在といえます。

オニユリ栽培の醍醐味はムカゴにある

オニユリの増やし方について、詳しくは後述しますがこのムカゴを利用することで増やしていく方法が一般的です。ムカゴを使った植物の増やし方は、種まきや株分けなど、他の植物でもちいられる手法とは一味違う楽しさがありますので、是非チャレンジしてみましょう。

「コオニユリ」について

オニユリの近縁には、このムカゴを生成しない品種もあります。コオニユリとよばれる、オニユリよりも一回りほど小さな品種で、形態が似通っているため混同されることも多いです。コオニユリの場合は、ムカゴではなく種で株を増やしていくことになります。

高級食材「ユリ根」の正体はオニユリ?


また、オニユリはもう一つ、無視できない特徴があります。それが「ユリ根」です。ユリ根は料亭でも調理されるほどの高級食材です。加熱するとホクホクとした食感になり、独特の風味があることから多くのファンを生んでいるこの食材、実はオニユリの根がその正体なのです。ガーデニングで花を楽しんだ後は、成長した根を掘り、料理してみるのも面白いかもしれませんね。

オニユリの名前の由来と花言葉

オニユリの名前の由来とは

オニユリは漢字では「鬼百合」です。この名前の由来は、花の形状がまるで古の伝承にある「赤鬼」のように見えることにあるとされています。逆さに向いた花は重力とは反対方向にその先端を尖らせています。この様子がまるでツノを突き出す鬼のように見えたことが、名前の由来とされているのです。

オニユリの花言葉について

赤鬼に由来した名称を付けられた花ですが、花言葉に関しては鬼とは縁が遠い、ポジティブなものが多く付けられています。「華麗」「陽気」「愉快」「賢者」が、この花の代表的な花言葉として知られています。

オニユリの花言葉「華麗」

「華麗」という花言葉は、花の形状に由来しています。まるで、太陽の下で舞を踊るようにスカートのような形状の花を風に揺らす様にその由来があるのです。

オニユリの花言葉「陽気」

「陽気」という花言葉は、花の色に由来しています。暖色のまるで太陽のような深い色合いは見る者の心をパッと明るくしてくれます。

オニユリの花言葉「愉快」

「愉快」という花言葉は、花の形状と色、それぞれに由来しています。夏の暑い時期を楽しむように背をぐーんと伸ばし派手な形状と色の花を咲かせる様子は、苦しい時期を愉快に過ごすオニユリを象徴する言葉といえます。

オニユリの花言葉「賢者」

「賢者」という花言葉は、上記3つの花言葉とは少し由来が変わります。もともと野山に自生していた植物であるオニユリ。この花は、最大で2.00mを超えるほどの大きさにまで成長する植物です。有象無象の雑草を見下げるように花を咲かせる姿は、一般の民衆から一線を画す「賢者」のようなイメージを見る者に与えます。

オニユリの育て方①:栽培のポイント

オニユリ栽培のもっとも重要なポイントとは?

オニユリの栽培方法におけるポイントとして、もっとも重要なのは「土を乾燥させないこと」です。もともと湿度の高い地域に自生していた植物なので乾燥は大敵。土の状態には常に注意を払いたいですね。

球根やムカゴを入手しよう

オニユリを育てる際には、球根かムカゴから栽培を始めていきます。もともと天然に自生していることもある植物なので、自然のものを採取してくる方法もありますが一般的には専門店で購入するのがお手軽です。また、最近では楽天などの通販サイトからも購入できます。

オニユリの栽培を始めるなら10月から11月に

オニユリの植え付け時期は10月から11月です。夏が終わり、台風もひと段落して秋が深まってから球根かムカゴを植え付けていきましょう。

オニユリの育て方②:植え付け

植え付けの前に土作りを

平和 山野草の培養土 5リットル

出典:Amazon

オニユリを球根から育てるにせよムカゴから育てるにせよ重要なのは土作りです。この花は乾燥に弱い性質を持っているので、土は水はけと保水性を両立したものを用意しましょう。市販されている山野草用の土を使用するのがもっとも手軽ですが、もしも自身で土の配合から始めたい場合には、赤玉4、鹿沼土3、腐葉土3の割合を目安にして調整してみるとよいでしょう。

オニユリを植え付ける方法

球根の植え付け方法は、鉢植えの場合と地植えの場合とで分かれます。鉢植えで栽培を始める場合には、深さが30センチ以上の鉢を用意し、土を被せていきましょう。地植えで栽培を始める場合には、20センチから30センチほどの穴を掘り、そこに球根を置き、土を被せていきます。どちらの場合も日当たりのよい場所で管理してください。大きく成長する植物なので株同士は最低でも30センチ以上、間隔を空けておきましょう。

ムカゴを植え付けるのなら土は被せない

ムカゴの植え付け方法は、育苗用のポットや鉢を使うのが一般的です。土を敷いたポットや鉢にムカゴをのせていきます。このときにムカゴに土を被せる必要はありません。日当たりのよい場所で乾燥させないように管理していくと、ムカゴから根が伸びてきますので、この根の部分に土を被せていきましょう。

オニユリの育て方③:水やり・肥料

土の状態を把握しよう

土を乾燥させないように水やりを行う必要があります。土の表面が白んできたなら乾燥し始めた合図です。水をたっぷりと与えて土の乾燥を防ぎましょう。地植えの場合には土の状態を毎日チェックして、乾燥し始めたなら水やりをしていきます。

地上部が枯れても水やりはかかさない

オニユリは多年草で冬を越します。地上部がすっかり枯れてしまっていても、地下の球根部分はしっかりと命をつないでいます。そのため、秋から冬の間であっても水やりを欠かしてはいけません。また春に芽吹かせたいのであれば、土を乾燥させないようにきちんと水やりを行ってください。

オニユリに最適な肥料とは?

オニユリに最適な肥料は、ゆっくりと効能が発揮される遅効性の化成肥料です。肥料を与える時期は花が芽吹き始めて栄養を欲する時期と、花が枯れて植物が弱る時期の2回あります。それぞれの時期に肥料を与えておきましょう。もともと天然に自生する山野草なので肥料の与えすぎは厳禁です。

オニユリの育て方④:病気・害虫

オニユリは頑強な植物

ユリは一般的に病害虫に弱い性質のものが多いですが、オニユリの場合は他のユリ科の品種よりも頑強な性質を持っているのでそこまで病気・害虫の対策に手間を割く必要はありません。ただ、やはり栽培品種全般の天敵となるアブラムシはこの植物にも付着します。もしも、アブラムシの姿が確認できたなら殺虫剤などを撒いて対処しましょう。

食用に適した害虫対策を

先述したように肥料の与えすぎは植物を弱らせ病気や害虫により被害を拡大させる危険を孕んでいます。また、もしもユリ根を食用とする場合には殺虫剤を使用せず茎部分にアルミホイルなどを巻くなどの方法で対処しましょう。

オニユリの育て方⑤:植え替え・剪定

オニユリの植え替え時期

オニユリの植え替えは10月前後の時期に行います。花が枯れたなら植え替えの時期が訪れた目安です。

花が枯れたなら根元からバッサリと切る

花が枯れたオニユリの茎を根元の部分からバッサリと切ります。そして、球根を土から掘り出し、植え替えをしたい場所に植え付けていきましょう。植え替えはムカゴから栽培している場合では必須の作業です。根がある程度まで伸びたなら、大きな鉢にムカゴを優しく植え替えていきましょう。


やはり乾燥は大敵!

植え替えの際に注意したいポイントは、「球根やムカゴを乾燥させないこと」です。オニユリの球根やムカゴは乾燥させすぎると発芽能力がガクンと弱まります。そのため、植え替え作業は短時間でテキパキと行っていきましょう。

ユリ根を楽しむのなら剪定を

次に剪定について解説します。オニユリの剪定は主に先述した「ユリ根」を採取する際に効果を発揮する手法です。根の部分を美味しく成長させるには、花やムカゴが成長する前に剪定によって摘んでおくのが重要です。花は蕾の時点で剪定し、ムカゴを小粒のうちにパチンと切り落としておきましょう。

美味しい自家栽培のユリ根を味わおう

きちんと剪定を施したオニユリのユリ根は花やムカゴにいくはずの栄養をたっぷりと蓄えており、とても美味しく栄養豊富な食材になります。通常、剪定は樹形や花の付け方を美しく整える目的で行われますが、オニユリの場合は「食材として活かす」ために剪定が行われるわけですね。

オニユリの育て方⑥:増やし方

初心者でも簡単にできる増やし方

オニユリの増やし方としては、ムカゴにより方法と分球による方法の2通りの方法が考えられます。ムカゴを利用した増やし方は初心者の方でも失敗するリスクが少なくおすすめです。ただし、ムカゴから増やす場合には、成長して花を付けるまでに2年から3年ほどの時間を要します。

ワンステップ上級な増やし方

オニユリのもう一つの増やし方として分球があります。分球は、球根をナイフなどの刃物で2つに分割してそれぞれを土に植え付けていく方法です。10月前後の花が落ちた時期に、球根を取り出してナイフで半分に切り分けましょう。やはり、乾燥に弱いので素早く作業を行う必要があります。

まとめ

野性味あふれるオニユリを自宅の庭で

エキゾチックな魅力があふれるオニユリは、鉢で育てても庭に地植えしても見る者の目を引きつけるとても印象的な植物です。もともと日本にも自生し、また観賞用以外にも食用としても活用されていたオニユリをガーデニングで楽しみましょう!

他のユリについて知りたい方はこちらもチェック!

「ユリ」の名前をもつ植物は、今回ご紹介したオニユリ以外にもたくさん存在します。当サイト「暮らし~の」には、それらのユリをご紹介した記事が多く掲載しています。日本国内に自生している「ウバユリ」は食べられる山菜としても有名。そして、「タカサゴユリ」は日本の原種として冠婚葬祭を彩っています。さまざまなユリについて学び、知識に幅を付けましょう!