日本の代表的な漬物、ぬか漬け
ぬか漬けは、日本に古くから伝わる発酵食品です。米ぬかに塩や水などを合わせて乳酸菌発酵させたぬか床を作り、大根やきゅうりなどの好みの野菜を半日〜数日つけることで完成する漬物で、健康食品として注目されています。
肉や魚、ゆで卵などの野菜以外の食品も漬けることも可能です。半日ほど漬けた食感のよいものは「浅漬け」や「一夜漬け」、長く漬けたものは「古漬け」や「ひね漬け」といった名前で呼ばれることもあります。
好みの分かれる漬物
ぬか漬けは、好みが別れる食品の代表格ともいえます。切って食べる以外の食べ方がわからない、食感が好みではない、漬かりすぎた野菜の食感が好みではない、手についた臭いを洗うのが面倒くさいなど、どれもなかなかハードルの高い問題点です。
でも、食べ方の方法を工夫すればどれも克服できる問題点かもしれません。今、発酵食品は腸内の健康を整えて体調を維持する上で注目されています。ぬか漬けで腸内から健康になりませんか?
ぬか漬けは健康に良いのか
古くからぬか漬けは保存食として有名な漬物のひとつですが、基本的に保存食を作る時には、腐敗を防ぐために塩分が必要なため、塩分の取りすぎを気にして食べない人も多く見られるようです。
しかし、健康維持に必要なカリウムや乳酸菌も取ることができる発酵食品としても知られています。もちろん、高血圧症や腎臓病などの健康上の問題を持っている人や、健康維持のために塩分調整を行う必要のある人は食べ方には気をつけましょう。
発酵食品としての食べ方
ぬか漬けは、ぬか床に野菜をつけることで乳酸菌発酵を促し、それによって野菜に独特の風味が追加される漬物です。乳酸菌は、体調悪化の問題の原因となる悪玉菌を抑えて整腸作用を促したり、コレステロールの低減作用や老化防止といった効果があります。
漬物の他にも、ヨーグルトやチーズといったものから乳酸菌を摂取している人も多いでしょう。ぬか漬けも、食べ方を工夫して取れば健康的な食生活を促進する働きが期待できます。
注意すべきこと
ぬか漬けを家で作るときに注意する点は、こまめにかき混ぜることです。腐敗やカビを防ぐために、底からかき混ぜて表面の空気に触れている面を奥に混ぜ込む必要があります。
手にぬかの匂いがどうしてもついてしまうので、好みではない人も多いことでしょう。また、野菜から出た水分が増えてくると水っぽくなり、それも腐敗の原因となり得ます。週に一度、不要な水分を取り除いたり足しぬかや塩を足すなどの手入れは必要です。
ぬか漬けをつくるのに必要なこと
思っていたよりもステイホームが長引いているので、家での空き時間の有効活用や体調管理や健康維持のために自炊をするようになった人の中でも、ぬか漬けを始めてみようと思っている人がいるかもしれません。
漬物を毎回買っているとそれなりにコストも嵩むので、家で余った野菜で副菜を一品作れたら節約にもつながります。ぬか漬けを作る上で必要なことや食べ方、管理の方法に関する注意点、問題点をこれから見ていきましょう。
米ぬかをつかう食べ方
「ぬか漬け」という名前の通り、ぬか漬けは古来から米ぬかを使ってつけられています。糠の量に対して濃度8%になるように塩を足すのが基本です。
可能であれば食塩水を作って混ぜ込むとよいですが、測るのが難しいようであれば塩をぬかに混ぜ込んでから味噌より少し柔らかくなる程度まで水を足していく方法でもぬか床を作ることができます。一般的にぬか床を作る際には生ぬかを使う方法が一般的ですが、炒りぬかでも可能です。
ぬか床に追加するもの
基本のぬか床ができたら、風味を豊かにしたり発酵を促したり、腐敗を防いだりするために、唐辛子や干し椎茸、昆布などを加えることが必要です。唐辛子には防腐作用や辛味成分があり味にしまりがある漬物が出来上がります。
新しくぬか床を作ったら、1週間ほど野菜のくずを入れて乳酸菌を活発化させるためにいろいろな野菜を漬け込みましょう。定期的に混ぜることによって乳酸菌の力で風味が増し、食感のいい漬物が完成します。
ぬか漬けのもとをつかう食べ方
近年、自宅で手間のかかる漬物を作る家庭が少なくなってきているため、各メーカーから簡単な食べ方ができるぬか漬けの素が発売されています。袋に入っているぬか漬けの素で好みの漬物を作る方法を試してみた方もおられることでしょう。
取り出すときにはぬかに触れる必要がありますが、袋の上からぬかを混ぜることもでき、冷蔵庫保存することで毎日ぬかを混ぜる必要がない簡単なぬか漬けの素を使う方法が好みの方も多いようです。
ぬか床の代用になるもの
ぬか漬けは、実際に野菜を漬けるまでの工程が面倒なので、手軽に食べたいと思っている人には不向きな場合があります。しかし、日本人としては食卓に少しの漬物があると安心することがあるのも事実です。
実際、スーパーで買ってくるのが一番簡単で手軽な場合はありますが、家にある野菜と最低限の調味料でぬか漬けのような風味を楽しめる漬物を作る方法をご紹介します。
パン粉をつかう食べ方
パン粉と砂糖と塩を使って、ぬか漬け風の漬物を3時間ほどで作ることが可能です。ぬか漬けを家で作ることが面倒な方以外にも、外国にいて米ぬかが手に入らない方でもぬか漬け風味の漬物を簡単に食べられます。
材料はきゅうり2本に対してパン粉大さじ6、塩小さじ1.5、砂糖大さじ1.5。調味料ときゅうりをポリ袋に入れてちょっと転がしてから密封し、6時間ほど冷蔵庫に入れたら完成です。
材料 (きゅうり2本分)きゅうり2本、パン粉大さじ6、砂糖大さじ1.5、塩小さじ1.5
ヨーグルトを使う食べ方
ぬかの代用にヨーグルト?と、思われるでしょうか。でも、乳酸菌の含まれた発酵食品の代表格であるヨーグルトを使った漬物の食べ方は、意外と知られています。
作り方は簡単。ヨーグルト大さじ8に対して塩小さじ2を加え、よくかき混ぜてから好みの野菜を入れるだけ。冷蔵庫に入れておけば約1日で浅漬けになった漬物が完成です。2〜3回使い回しもできるので、ぬかの手入れが面倒だけど家で漬物を食べたい方におすすめです。
きゅうり1本(=100gでした)、大根(皮をむいて190gでした)、人参(皮をむいて70gでした)◆プレーンヨーグルト(無糖のもの)大8◆塩※小2と1/2
ぬか床の手入れ
ぬか漬けを家で始める際に1番の問題になるのは、管理の方法でしょう。ぬか床は、管理をしっかりすれば何年も持ちますが、管理を怠ると数日でダメになってしまうこともあります。
そのため、なかなか一歩を踏み出せないという人も多いかもしれません。何に気をつければ、風味のある糠漬けを作り続けることができるでしょうか?管理する上で大切なポイントをいくつかあげてみましょう。
正常なぬか床
においの変化に気づくためには、まず正常なぬか床のにおいを知っておく必要があります。正常なぬか床は、ヨーグルトのようなちょっと酸味のあるにおいで、香ばしい香りが特徴です。
ぬか漬けもヨーグルトも同じ乳酸菌発酵食品なので、同じようなにおいがするのはなんとなく想像がつくかもしれません。基本の匂いの目安を覚えておけば、異臭と感じるようなにおいにすぐに気づき、早めに対処することができます。
すっぱいにおいがする場合
ぬか漬けを始めてしばらくすると、ツーンとした酸っぱい匂いがすることがあります。正常なぬか床はヨーグルトのようなにおいと前述しましたが、さらに強いにおいがしてきたら、乳酸菌が増えすぎているサインです。
これは、乳酸菌にとって発酵しやすい環境ということですが、増えすぎると漬物がおいしくなりません。よくかき混ぜたり、塩分を足したりして、乳酸菌の増殖を抑えましょう。冷蔵庫に一晩入れるのもおすすめです。
刺激臭がする場合
ぬか床からシンナーやアルコールのような刺激臭がしてくることもよくあります。これは、腐敗しているわけではなく、ぬか床に含まれている酵母菌のにおいです。このにおいがしてきた時も、ぬか床をよくかき混ぜてあげましょう。
下から上に、全体に空気を含ませるようにまぜるのがおすすめです。そのあとは、大根やにんじんやきゅうりなど家に余っている野菜を数日間捨て漬けして、中に住んでいる菌のバランスを整えましょう。
ぬか床や漬物の塩味がきつい場合
塩を入れ過ぎてしまったりして、漬物自体の塩分が濃くなってしまうこともあります。ぬか床を少し食べてみて酸味があまり感じられなかったら、塩分濃度が濃くなっている可能性があるでしょう。
そのままでは健康に良い食べ方はできないと思ったら、流水でよく洗うことができます。それでも漬物の塩分が濃い場合でも、捨ててしまってはもったいない。まだ塩味がきついようであれば、後述するアレンジレシピに使ってしまいましょう!
こういう場合はあきらめましょう
明らかな腐敗臭がする場合は、ぬか床自体がダメになってしまっている証拠です。その場合は、ぬか漬けの食べ方を話し合う前に、残念ですが新しいぬか床を作り直しましょう。
美味しいぬか漬けの食べ方は、美味しいぬか漬けを作れるぬか床から始まります。腐敗を防ぐためにも、ぬか床の手入れはこまめに行う必要があるので、がんばりましょう。
ぬか漬けの食べ方
ぬか漬けの食べ方に関してはさまざまな意見があります。ぬか漬けは他の漬物と同様、簡単に食卓の一品としてそのまま出す食べ方がメジャーですが、漬け汁ではなくぬか床に使っているため、ぬか漬けから最大限の栄養を得るために食べ方を工夫したいと思う方も多いようです。
ぬか漬けの美味しい食べ方について、いくつか気をつけたい必要事項を見てみましょう。
洗う?洗わない?
水分を含んだ米ぬかの中に漬けてある以上、洗うか洗わないかの食べ方の問題は避けられません。基本的には、ぬかから取り出した野菜は水で洗ってぬかをある程度もしくは全て洗う食べ方がいいでしょう。
ぬかがついているままだとぼそぼそした食感が残り、美味しい食べ方ができません。ただ、魚をつけている場合は洗うのはやめましょう。洗うと魚が水っぽくなるので、まな板などの上に置いてから表面のぬかを取り除きます。
ぬかを洗うと栄養素がなくなる?
ぬかには豊富な栄養素が含まれているため、野菜表面についたぬかを洗う食べ方は、栄養素が失われるのではないか?と思う人もいるようです。ぬか漬けは、ぬか床の塩分と野菜から出る水分の浸透圧の差によって完成するため、表面のぬかを取り除いても野菜の中に栄養分が染み込んでいます。
食感の好みの問題にはなりますが、洗う食べ方洗わない食べ方どちらも摂取できる必要な栄養素自体に変化はほとんどみられません。
おかずの一品として
ぬか漬けの王道の食べ方はやはり切ってそのまま食卓に出す方法です。浅漬けであればサラダのように食感を楽しむ食べ方ができますし、古漬けであれば細かくしてご飯に混ぜ込んで食べる食べ方もできます。
少しの量で十分なおかずの1つになるぬか漬けを、古き良き時代から伝わる日本食の代表選手としてご家庭の味として楽しんではいかがでしょうか。
ぬか漬けアレンジレシピ
ぬか漬けは、ぬか床から取り出して洗う工程の後にそのまま食べる食べ方以外にも、さまざまな食材と合わせてアレンジをする食べ方も可能です。
大根やきゅうりのぬか漬けを普段からよく食べている料理に合わせたどんな食べ方があるか、いくつかアレンジ料理の方法と食べ方をみていきましょう。ご自身でも新しい食べ方のアイディアが浮かんでくるかもしれません。
ポテトサラダ
子供も大人も大好きなポテトサラダですが、混ぜ込む野菜の一つにぬか漬けをつかう食べ方ができます。きゅうりの塩揉みや玉ねぎの塩もみを入れる方法が面倒くさいとき、好みの食感のぬか漬けを入れて代用する食べ方もよいでしょう。
ちょっと香ばしい匂いのするポテトサラダが出来上がります。大根のぬか漬けを細かく刻んで入れる食べ方なら辛みもプラスされ、サラダの味に深みが加わるので、アレンジの食べ方としておすすめです。
チャーハン
いつも作るチャーハンに食感や味のアクセントを入れるためにぬか漬けを入れる食べ方もできます。コリコリとした食感を出すために、アクセントとしてチャーハンにたくあんや高菜を入れる食べ方は王道ですが、葉物のぬか漬けや食感のある大根やにんじんの糠漬けを入れてアレンジする食べ方はどうでしょうか?
ちょっとクセのある漬物の匂いもチャーハンの香ばしさとマッチして、美味しいチャーハンを作ることができます。
タルタルソース
筆者がよくアレンジするぬか漬けの食べ方の一つはタルタルソースに入れることです。メジャーな食べ方かもしれませんが、レシピサイトを見るとタルタルソースのレシピに「ピクルス1本」と書いてある場合があります。
しかし、ピクルスこそあまり常備していない食品の一つで、それだけのために買ってくるのも面倒。そのため、ぬか床にあるきゅうりや大根をピクルスの代わりに使って食感の良いタルタルソースを作る食べ方が可能です。
ぬか漬けライフを楽しもう
いろいろな食べ方や工夫の方法を知って、ぬか漬けの食べ方にもっと興味が出たのではないでしょうか?先人の知恵がたくさん詰まった発酵食品のぬか漬けをいつもの食事の1品に追加して、体の中から健康になりましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、毎日世話をするうちに愛情が湧いてきます。自分の好みのぬか漬けの食べ方アレンジを見つけて、ぬか漬けを身近に楽しんでください。
漬物が気になる方はこちらをチェック!
日本は漬物大国なので、ぬか漬け以外にも美味しい漬物は全国各地にたくさんあります。自宅で作るのが面倒だったり難しかったとしても、好みの漬物を買ってきて、自宅でアレンジするだけでもレシピの幅がグッと広がるでしょう。
自宅で食事をすることが増えている今、ちょっと変わった漬物にチャレンジしてみることも面白いかもしれません。下記のリンクから普段はあまり馴染みのない漬物にチャレンジするヒントを探してみましょう。

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