栄養たっぷりの夏野菜ピーマンをご紹介
ピーマンはナス科トウガラシ属の一年草の果実です。広くトウガラシも仲間に入りますが、ピーマンの品種として挙げられるのは、赤や黄色、オレンジ色や緑色で、肉厚で甘い種類のパプリカ、小さな実で知られるこどもピーマンなどがあります。代表的な夏野菜で、ビタミン類が多く含まれ、夏バテ予防などでうまく摂り入れたい野菜です。
今回は、そんなピーマンの特徴や栄養成分、期待できる効能やおいしくいただく調理方法などについてご紹介します。
ピーマンの特徴的な歴史とは
ピーマンの原産地は中南米です。南米からスペインにわたり、品種改良されたピーマンが、ポルトガル人によって日本に伝わったといわれています。ピーマンは未熟な果実です。成熟すると赤や黄色などに色がつくものもあります。
ピーマンが広く日本の食卓に広まったのは1960年代以降で、食生活が西洋化していくと同時に、栄養価の高い野菜として注目されるようになりました。ピーマンは夏を代表する一般的な野菜ですが、実は日本の食卓では歴史の浅いという特徴のある野菜なのです。
日本産のピーマンが一年中食べられる理由
中国などの海外産のピーマンはよくスーパーなどで目にします。しかし、ピーマンは日本国内でも生産されている野菜です。
国内の生産地として有名なのが、茨城県、宮崎県、高知県などです。茨城県で生産されるピーマンは、夏から秋の間に収穫され、宮崎県や高知県で生産されるピーマンは冬から春にかけて収穫されます。このため、日本産のピーマンは一年中、市場に出回っているのです。スーパーなどでピーマンを購入する際、産地に着目してみましょう。
ピーマンに含まれる8つの栄養
ピーマンの100gのエネルギー量は22kcalです。三大栄養素の中では炭水化物の量が最も多いものの、ピーマンの特筆するべき栄養素はビタミン類が挙げられます。
なお、食品成分表にはピーマン類として、青ピーマン、赤ピーマン、黄ピーマンと分かれています。本稿では食卓でおなじみの青ピーマンについて取り上げる次第です。
①ビタミンC【抗酸化に働き美容の栄養として知られる】
ピーマンにはビタミンCが非常に多く含まれています。このビタミンCは、通常のビタミンとは異なり、熱に壊れにくいです。これはビタミンPという成分のおかげで、ビタミンPには毛細血管を強くする働きもあります。
なお、ビタミンCには抗酸化作用があるほか、皮膚などの生成に必要なタンパク質であるコラーゲンの生成に働き、鉄分の吸収を促し、免疫系の働きを助けるなど、さまざまな働きを有しています。
②ビタミンK【血液をコントロールして骨の成長を助ける栄養】
ピーマンに含まれている栄養素の中で、非常に多く含まれているのがビタミンKです。ビタミンKは、カルシウムを骨に定着させる働きのほか、血液の止血にかかわります。
ビタミンKは、多くの野菜やだものに含まれている成分です。通常の食生活では不足することはあまりありませんが、過剰摂取してしまうと抗血液凝固剤を処方されている方などでは問題となってしまいます。何らかの病気で薬を常用されてらっしゃる方は十分に注意しましょう。
③ビタミンB6【エネルギーの代謝に働く重要な栄養素】
ピーマンに含まれる栄養素の中で、ビタミンB6は補酵素としてアミノ酸や脂質の代謝に働きます。免疫機能を正常に維持するために働くほか、皮膚の抵抗力を促し、赤血球のヘモグロビンを合成や神経伝達物質の合成などにも作用するなど、体内でさまざまな機能を有する栄養素です。
ビタミンB6は水溶性のビタミンですが、過剰摂取による健康被害が報告されているため、摂りすぎには注意しなければなりません。年齢や性別に応じて上限量が決められていますので、ぜひこちらを参考にしましょう。
④葉酸【血液や代謝などに働き胎児の重要な栄養分】
ピーマンに含まれる栄養素の中で、葉酸はビタミンB12とともに赤血球の生成に働きます。また、さまざまな栄養素の代謝に働き、細胞を作り、再生することから、発育に重要な栄養素です。妊娠している女性は、胎児の健康のために通常よりも多く摂る栄養分で、細胞分裂や成熟に大きく働きます。
葉酸は水溶性ビタミンであるため、調理によって栄養価が損失されやすいという特徴があります。ピーマンに含まれる栄養素を活かすためには、サッと熱するなどの工夫も必要です。
⑤ビタミンE【抗酸化作用で老化を予防する栄養】
ピーマンに含まれる栄養素には、ビタミンEもあります。ビタミンEは強い抗酸化作用を有するビタミンです。酸化とは物質が酸素と化合することで、体の酸化を引き起こす活性酸素が、体にさまざまなダメージを与えないように対抗するのが抗酸化作用と呼ばれています。このビタミンEの働きによって、老化が予防され、生活習慣病などが改善され、血流がよくなり、美肌効果が期待できるようになるのです。
なお、ビタミンEは過剰摂取ると吐き気や下痢などの症状が現れますので注意しましょう。
⑥クエルシトリン【高血圧の抑制などに働く栄養成分】
クエルシトリンとは、ピーマンの苦味を生み出す栄養成分のひとつです。これはポリフェノールの一種で、この成分と香り成分がひとつになると、ピーマンが有する苦味が生まれます。
クエルシトリンはドクダミに多く含まれる成分で、脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制するなどの働きのほか、血流を改善し、血中中性脂肪が上昇するのを抑制し、高血圧を抑制するなど、実にさまざまな生理作用がある栄養成分です。2012年に日本のタキイ種苗らが発見した新しいこの成分、ぜひ注目しましょう。
⑦ピラジン【血液をサラサラにしてくれる栄養成分】
ピーマンに含まれる香り成分であるピラジンは、ピーマンの種やワタの部分に多く含まれています。この栄養成分は、血液の流れを良くするなどの生理作用があることから、動脈硬化などの生活習慣病予防に働く重要な栄養素です。
ピーマンを調理する際、通常、捨ててしまう種やワタですが、あまり取り落とさないようにして、うまく料理に利用するようにしましょう。
⑧βカロテン【赤ピーマンに多く含まれる栄養成分】
本稿で取り上げている青ピーマンにはβカロテンあまり多く含まれていません。しかし、赤ピーマンにはβカロテンが多く含まれています。
βカロテンは、体内でビタミンAに変換される栄養成分で、皮膚や粘膜の健康に働きます。また、抗酸化作用や免疫力をアップさせる働きもあるため、こうした効能を期待したい方は、赤ピーマンを利用するとよいでしょう。
ピーマンの栄養から期待できる4つの効能
ピーマンには、栄養豊富なビタミン類が含まれています。こうした栄養素を積極的に摂ることで、体にうれしい効能が期待できるため、意識してピーマンを摂取するようにしたいです。
①抗酸化作用で健康的になる効能
ピーマンには、ビタミンCやビタミンEなど、抗酸化作用に働く栄養分が豊富に含まれています。このため、ピーマンを積極的に摂ることで、抗酸化作用に貢献し、健康的になる効能を期待することが可能です。
もちろん、ピーマンばかり食べたらすぐに健康になるというわけではありません。毎日の食生活にピーマンを摂り入れ、乱れている食生活を改善し、生活習慣を見直すことで、健康的なっていきたいです。
②皮膚が美しくなり美容に働く効能
ピーマンが有する栄養成分である抗酸化作用には、活性酸素と取り除く働きがあります。活性酸素は、老化や免疫力の低下を引き起こし、皮膚においてはしみやしわなどの原因となる物質です。
このため、抗酸化作用を持つビタミンCなどの栄養成分は、こうした症状を改善し、皮膚を健康に導くことで、美容の効能が期待できます。実際、ビタミンCが含まれた美容製品はたくさんあり、ビタミンCが美容に働くことは有名です。
③血液がキレイになりイキイキとなる効能
ピーマンに含まれる栄養成分は、血液に働く成分が豊富です。ビタミンK、葉酸、ポリフェノールのクエルシトリン、香り成分であるピラジンなど、血液がキレイになる働きがあることから、ピーマンを積極的に摂り入れることで、血液がキレイになり、イキイキとなる効能も期待できます。
ほかにも、酸っぱいと感じる酸味の成分やイワシやサンマといった青い魚、赤ワインや緑茶といったポリフェノール類なども血液がキレイになる働きを有していますので、あわせて摂取したいです。
④しなやかで強い骨を作る効能
骨に必要な栄養素とは、カルシウムやビタミンDですが、ピーマンに多く含まれる栄養成分のビタミンKもまた、骨の形成をうながす重要な栄養素でもあります。実際、ビタミンKは骨粗しょう症などの治療薬にも使われていることもよく知られた事実です。
このため、カルシウムが豊富なチーズ、ビタミンDが豊富な魚介類やきのこ類などといっしょにピーマンを載せたピザなどは、骨の健康に働く効能が期待できるレシピとなります。
ピーマンの栄養を効率よく摂取する2つのポイント
①火に通すときは短時間で
ピーマンに含まれる栄養素の中で、水溶性のビタミンCは、熱にも強いという非常にすぐれた特徴があります。このため、ピーマンは火を使って調理しても、ビタミンCはなくなりません。
しかし、ビタミンB6や葉酸は熱に弱く、長時間加熱してしまうと、栄養成分が失われてしまこともあります。したがって、ピーマンを調理する際は、短時間でパッと炒めるなどの工夫が大切です。
②栄養の組み合わせを工夫する
ピーマンに含まれている栄養素をさらに効率よく利用するためには、組み合わせのいい栄養素を上手に摂り入れる必要があります。
たとえば、ピーマンに含まれる栄養素のひとつである葉酸は、ビタミンCやビタミンB12といっしょに接種すると効率がよく、ビタミンEはビタミンCといっしょに接種することで相乗効果が期待できます。こうした栄養成分の組み合わせも意識して、効率よく栄養を摂取するようにしたいです。
ピーマンを使った栄養満点レシピ
ピーマンの栄養を効率的に摂取するためには、ほかの食材との組み合わせを考えたレシピが有効です。こちらのレシピを参考に、ピーマンを日々の食生活に上手に摂り入れていきましょう。
①豚肉とピーマンの味噌炒め
材料 (2人前)
豚バラ肉カルビ用300g
ピーマン4個
塩胡椒少々
サラダ油大さじ1
●味噌大さじ2
●酒大さじ1
●オイスターソース小さじ1
●みりん大さじ1
●おろしニンニク大さじ1
●水大さじ1
ピーマンと豚肉を使ったレシピは疲労回復の効果が期待できます。ピーマンのビタミンCは抗酸化作用に働き、疲労を引き起こす活性酸素を抑える働きがあり、豚肉のビタミンB1は運動後の疲れなどを回復するビタミンとして有名です。
調理方法は、まず豚肉を炒め、細く切ったピーマンに調味料を合わせ、サッと炒めます。さらに栄養吸収の効率を高めたい方はニンニクを加えましょう。ニンニクに含まれるアリシンがビタミンB1と結びつき、栄養を逃がしません。
②なすとピーマンのおひたし
材料
なす2本
ピーマン1〜2個
めんつゆ3倍濃大2
みりん大1
おろししょうが小1/2
ピーマンとナスを使った煮浸しは、ピーマンのビタミンCとナスに含まれるポリフェノールで、紫色の成分であるナスニンが強力な抗酸化作用を生み出してくれます。作り方も簡単なので、ぜひ手軽に調理したいレシピです。ナスはヘタを切って8等分にカットし、ピーマンも同じく8等分にカットします。耐熱容器に材料をいれ、レンジで加熱してできあがります。
ナスにはカリウムが多く含まれ、体を冷やす食材としても知られています。夏の暑い日などに夏バテ予防として摂ると効果的です。
③ピーマンとチーズのピザトースト
材料 (2人分)
6枚切食パン2枚
ケチャップ適量
バジルペースト(あれば)適量
ピーマン1個
ベーコン(ソーセージでもOK)1枚(3本くらい)
塩少々
油小1
こちらのレシピは、朝食で摂り入れたいレシピです。パン食の方、ぜひ栄養満点のピザトーストで元気な朝を迎えましょう。ピーマンのビタミンK、チーズのカルシウムで骨の健康に働き、ベーコンのビタミンB1は糖質を代謝してエネルギーに変えるため、疲れを予防しとても元気になれるレシピです。
作り方は、ピーマンやベーコンなどの素材を軽く炒め、食パンに載せて、ピザ用のチーズを載せてら、トースターで温めます。朝から元気になりたい日は、ぜひこのトーストで朝食をいただきましょう。
栄養豊富なピーマンで彩豊かな食卓を
ピーマンは多くのビタミン類を含んだ野菜です。1年を通して市場に出回るため、日々の食生活の中に取り入れやすく、上手に調理していくことでその栄養成分を気軽に吸収することができます。また、ピーマンに含まれた栄養成分には、さまざまな症状に効能が期待できるため、積極的に摂取していきたい野菜です。栄養豊富なピーマンを楽しく上手に摂り入れていきましょう。
ピーマンの栄養や食べ方が気になる方はこちらもチェック!
本稿ではいわゆる青ピーマンの栄養やその効能、調理方法などをご紹介しました。もっと別の種類のピーマンや働きについて知りたいという方は、こちらの記事も参考になります。ぜひ目を通してみてください。

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