はじめに:大根の栄養と食べ方を解説
大根は栄養豊富なだけじゃない野菜
野菜を摂取するときにどのような基準で選んでいますか?美味しいのはもちろんのこと栄養が気になるという方も多いのではないでしょうか。
ポピュラーな野菜の中で水分量も多くみずみずしさとピリッとした刺激が人気の大根。大根には栄養成分だけでなく健康に役立つ効果もあります。
大根の栄養成分や食べ方講座
美味しさプラス健康も考えて大根を食べたいという方へ。大根の栄養成分とその効果的な摂取を考えた料理方法をご紹介します。いつも同じ調理方法では、栄養面で考えるとほかの人より少しだけ損をしているかも知れませんよ。美味しく健康的に野菜を摂取したいという人必見です。
栄養や効果の前に知りたい大根のこと
大根の栄養成分や食べ方講座の前に、まずは知っていそうで意外と知らない人が多い大根という植物について知ると得をすることがいろいろありますよ。分類やその特長や性質・美味しく食べられる旬の時期をご紹介しましょう。
大根の基本情報
科・属 | アブラナ科ダイコン属 |
原産地 | 地中海・中央アジア |
英語名/学名 | Japanese radish/Raphanus sativus L. var. hortensis Backer |
植物分類 | 一年草 |
大根の見た目の特長や性質
大根は日本や中国で煮物などに使われるだけでなく、ヨーロッパでもいろいろな料理に使用されます。日本では白色の種類が一般的ですが海外では特に赤・紫・黒など色付きのものがむしろ主流であつたりするのが特長。
形もいろいろある大根
主に大きく成長した根の部分を食べますが、地上にある葉にも豊富な栄養が含まれている野菜です。その形も縦長のスマートな品種から桜島大根のようにかぶのような形をしたもの、そのミニチュア版のような見た目のラディッシュなどバラエティに富んでいます。
栄養たっぷり!大根の旬の時期は
野菜は旬の時期が一番栄養も豊富で美味しいといわれています。大根のそんな旬の季節は冬。時期でいうと11-2月ころが生産量も多く値段も安定していて安く美味しいものが購入できます。
ちょうどこの寒い季節に好まれる傾向が高いおでんなどの煮物に使われることも多いのは、大根の美味しい季節に合った食べ方といえるでしょう。
大根の辛味成分イソチオシアネートとは
大根といえば栄養だけでなく部分によってはピリ辛な部分もありますね。特に大根おろしなどはそのピリ辛成分が薬味として、焼き魚やそばなどに添えられていることも多いでしょう。大根のこのピリ辛度はその細胞に大きく関係があるといわれています。
大根のピリ辛成分はアリルイソチオシアネートで、これは細胞が破壊されることによって大根の中のイソチオシアネートとミロシナーゼが混じり起こる化学反応によって生成される成分です。
固形分の大きさや経過時間で辛みは変化
辛味は細胞の壊れ具合に比例して辛くなったり辛さがマイルドに感じるようです。これは大根の中の水分に溶けているため。こまかくすりおろす・荒くすりおろすなど固形の大小・水分を絞るか絞らないかなどによって好みの辛さにすることができるでしょう。
またすりおろし後の時間の経過でもこの辛さは変わっていって、すりおろし後5分が一番辛いタイミングです。その後は時間がたつほど辛みは減っていきます。
細胞の大きさと大根の辛さ
大根おろしは素早くすりおろすことで細胞がたくさん壊れます。細胞が壊れるほど辛味成分が発生しやすいため、辛い大根おろしが作りたい人はできるだけ素早くすりおろすのがコツ。
逆にあまり辛くしたくないという方は、できるだけゆっくりとすりおろすことで細胞が壊れる量が減るため、大根の辛み成分が発生しづらくなりおすすめです。
カロテンやカルシウムなど!大根の豊富な栄養
大根の基本情報や特長・辛さの秘密についてご覧いただいたところで、早速大根に含まれる栄養とその働きについて解説していきましょう。大根には通常の野菜に多く含まれる栄養素だけでなく、体に良いいろいろなメリットがあります。
大根の栄養1.ビタミン
β-カロテン
大根の根部分は白い野菜ですが、葉の部分は緑黄色野菜に分類される1本で2つの効果を持つ植物です。緑黄色野菜の特長でもあるビタミンA(βカロテン)が豊富で皮膚や粘膜の状態を健康的に維持するのに必要です。
このほかビタミンCもたくさん含まれておりこれはβカロテンと同様に肌を整えるのに活躍してくれるメリットがあります。
ビタミンBの一種である葉酸
ほかの野菜よりと大根が少し違うのは、葉酸と呼ばれるビタミンBの一種がたくさん含まれていることです。この葉酸は血液(主に赤血球)を作るのに多く使われる栄養なだけでなく、子供の成長に大きな役割を果たしてくれます。
特に妊婦がたくさん葉酸を摂取することにより、胎児の先天性異常の一部のリスクを減らすと、大変推奨されている栄養素となっています。
大根の栄養2.ミネラル
大根にはカルシウムや鉄も含まれる
野菜はビタミンだけでなくミネラルの摂取も期待できるものがたくさんあり、ほうれん草や小松菜などがその有名な作物です。しかし大根もそれに負けないミネラル豊富な野菜となっているのも見逃せません。
大根に含まれるミネラルはカリウム・鉄・カルシウムです。カリウムはむくみ予防に鉄は造血、カルシウムは骨などを作るのに必要な栄養素となっています。
大根の栄養3.酵素
キャベツに含まれる消化酵素は胃薬キャベジンの元となっていたりと、野菜と消化酵素は意外と身近な関係にあります。大根にもキャベツに負けずとも劣らない消化酵素が含まれていることはご存知でしょうか。
デンプン分解酵素(アミラーゼ)
大根には消化酵素が2種類も含まれています。そのひとつめがデンプン分解酵素と呼ばれるアミラーゼの存在です。アミラーゼは粉類やごはんを食べた後におこりやすい胸焼け状態を緩和してくれるものとして有名です。
からみ餅(大根おろしと餅をからめて食べる食べ方)やおろしパスタ(大根おろしとスパゲティをあわせる食べ方)がさっぱりしていて美味しい!と感じるのは、このデンプン分解酵素の働きのためです。
タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)
もうひとつの大根の持つ酵素がタンパク質分解酵素・プロテアーゼです。和食ではたこを大根おろしをすりこむようにして洗うことで、たこの調理前の下処理をするという技術があります。
これはこの大根の持つタンパク質分解酵素の働きで、たこをやわらかく食べやすく美味しくすることを発見した、調理人のテクニックです。たこがお好きでよく召し上がる方で、少し食感がかたいなと感じたらぜひ真似してみてはいかがでしょうか。
大根の栄養4.食物繊維
食物繊維は人の体の中で消化されずに腸まで届き便通を改善したり善玉菌のエサとなる成分のことをいいます。大根にはこの食物繊維も含まれているため、毎日のお通じが気になる・下痢と便秘を交互に繰り返すなど腸内の善玉菌の健康が心配という方には、積極的に食べることをおすすめする食材です。
大根の食物繊維はペクチン
食物繊維には水に溶けやすい水溶性と水に溶けにくい不溶性の2種類ありますが、大根の食物繊維はペクチンという水溶性食物繊維です。これは芋類や熟した果実などにも含まれるもので、水に溶けるため腸内の便の量をかさましする働きがあります。
ダイエット中など食事の量が減るため便通が悪くなる心配がある人でもお通じを排出しやすくなるため便秘による肌荒れなどを防いでくれる効果が期待できるものです。
大根で栄養のある部分をご紹介!
大根には栄養が豊富なだけでなく、いろいろと健康にありがたいかゆいところに手が届く成分がたくさん入っていて驚かれたのではないでしょうか。
しかし大根には白い部分・緑の葉の部分など場所によって栄養素も大きく変わってきます。摂取する目的別にどこを食べたら効果的なのかについても触れていきましょう。
大根の白い部分の栄養
消化酵素や辛み成分が多く含まれる部分です。また青首大根の首に近い部分は甘みが多くビタミンが豊富といわれていますので、生でサラダなどで食べるのに適している部分です。
大根の辛味成分には食物が腐敗するのを防ぐ働きもあるため、さしみのつまとして大根おろしを使うならば、なるべく辛い大根の下に近い部分を細切りにするとより効果的です。
大根の緑の葉の栄養
大根の葉は白い部分よりもビタミンが豊富な緑黄色野菜となっています。また赤血球を作る葉酸・カルシウムなどのミネラルもこの葉の部分に多く含まれる栄養であることも忘れてはいけない部分です。
葉がついた大根が手に入ったら是非この葉の部分も料理として活用されることをおすすめします。
大根の皮の栄養
大根の中で特に栄養価が高いのに捨てられてしまうことが多いのが皮の部分。中の部分と比べると固くて食感が違うため食べにくいというデメリットがありますが、上手に活用すれば皮の部分も美味しく栄養価が高いところです。
大根の皮を食べる参考レシピを後述でご紹介しますので、意識して大根をまるごと食べるようにしてみてはいかがでしょうか。
大根の栄養を効果的に摂取できるレシピ4選
最後になりますが大根の効果的で美味しい食べ方レシピをご紹介しましょう。食べにくいけれど栄養価があり調理方法が気になるという皮の部分から、美味しくいただく方法をご覧頂きます。あなたご自身や大切なご家族の健康のための献立づくりに、ぜひお役立てください。
大根の栄養摂取レシピ1.
皮も余さず美味しく食べるレシピ
大根の皮 適量
ポン酢 適量(大根の皮が浸かる程度)
おろしニンニク 適量
ぶり大根やおでんなどに大根を使ったあとに出る、普段は捨ててしまうような皮の部分。旬の栄養豊富で美味しい時期なら捨ててしまうのはもったいないですね。
ポン酢に6-24時間ほど漬け込むだけで美味しいシャキシャキのお漬物になります。動画ではできるだけ大きく切った方が歯ごたえがあるとご紹介していますが、お好みや漬け込み時間に合わせてサイズも調整するとよいでしょう。
大根の栄養摂取レシピ2.
大根の葉の菜飯風炊き込みおこわ
・もち米 300g(2合)
・みりん 大さじ2
・だしの素 小さじ1
・ツナ缶 1缶
・水 250mlほど
・大根の葉 100〜120gほど
・塩 小さじ1/4
・ごま油 小さじ2
・いりごま 大さじ2
材料上から水までのものを炊飯器に入れ混ぜ合わせて炊きます。おこわが炊けている間に大根葉をよく洗いお湯で湯がいてからみじん切りに。粗熱を取ったら塩をしておきます。
おこわが炊けたら大根葉といりごまを入れてよく混ぜ合わせれば出来上がり。大根葉を炊き込まないことで彩りも鮮やかで栄養素も失われにくく、美味しく健康的に仕上がります。試食してみて塩味が不足するようであれば、最後に混ぜ合わせながら塩を足してください。
大根の栄養摂取レシピ3.
甘くて美味しい青首部分をサラダに
大根【6cmほど】
にんじん【小1本】
きゅうり【1本】
塩【小さじ2】
味の素【2ふり】
粗びきコショウ【少々】
マヨネーズ【大さじ3~4】
ごま【大さじ1】
ツナ缶【1缶】
大根を生食でいただくレシピとしてサラダを作られる方も多いでしょう。大根に何をあわせるかはそのお宅それぞれの食材がありますが、今回は赤・緑・白と彩りや栄養バランスもよい大根サラダの簡単な作り方をご紹介します。
作り方はとても簡単!冷蔵庫で保存も可能
作り方は簡単で大根(首に近い部分が生食で甘くて美味しい)・ニンジン・きゅうりをそれぞれ同じくらいの細い短冊切りにして塩をふり20分ほどそのまま漬け込みます。あとは軽く水洗いしてしぼってから調味料とごまと和えてできあがりです!
大根の栄養摂取レシピ4.
タンパク質と相性のよい大根を合わせた料理
・ぶりの切り身:2切れ
・大根:300~350g
・大根の茎:適宜
●A
・しょうがのすりおろし:1かけ
・しょうゆ:大さじ1/2
・酒:小さじ1
・しょうがの薄切り:3~4枚
・しょうゆ、みりん:各大さじ2~2・1/2(好みの濃さにしてね)
・酒、砂糖:大さじ1
・水:1カップほど
大根にはタンパク質分解酵素が入っているので魚や肉などと合わせた料理の材料として使用するのは、どちらの食感もよくして引き立て合わせてくれるためおすすめです!大根もぶりも冬が美味しい食材ですが少し作るのが面倒なぶり大根。簡単に作るレシピをご紹介しましょう。
簡単ぶり大根の作り方ポイント
ぶりは一口大に切って下味をつけておくことで煮汁に直接入れるよりも味の入りがよくなります。大根は切り目を入れておくことで煮る時間の短縮になっておすすめの方法。さらに電子レンジで下茹ですることでさらなる調理時間短縮できますよ。
煮立ったらふたをせず水分を飛ばしておくのが美味しそうに仕上げるポイント。全体的に崩れやすい具材にはできるだけ触れずひっくり返したりする必要もありません。
まとめ:大根の豊富な栄養を役立てよう
大根の栄養成分を積極的に摂取する
大根は栄養たっぷりで捨てるところがないくらいメリットたくさん!葉や皮なども余さず、全部上手に使って欲しい野菜です。冬に美味しい食材ですが通年スーパーマーケットで購入できますので、冬以外でもサラダやきんぴらにして常備菜とし箸休めとしてこまめに摂取したい野菜となっています。
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今回は大根の栄養とその働き・上手に摂取する美味しいレシピのご紹介をお送りしてきましたが、暮らしーのではこのほか家庭菜園での大根栽培やもっとレシピを知りたいという方のための大根料理レシピ紹介記事なども発信しています。栄養や大根料理が気になる方は、こちらも是非見てくださいね。

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