大根の栽培方法とは?
煮ても焼いても、生でも食べることができる大根は、調理がしやすいだけでなく栄養豊富な野菜のひとつです。大根は春・夏・秋と植え付けることができて、家庭菜園におすすめの大根の植え方についてご紹介します。
大根の基本情報
大根は春の七草のひとつの「スズシロ」です。生のまま食べたり、煮物にしたりして食べることができる大根は、使いやすい野菜のひとつです。アミラーゼと呼ばれている酵素や、ビタミンC、食物繊維などが豊富に含まれている大根は、家庭でも簡単に栽培することができます。 ・科名・アブラナ科ダイコン属 ・学名・Raphanus sativusL. ・和名・大根(だいこん) ・英名・Japanese Radish ・原産国・中央アジア・地中海沿岸・華南高地
大根の名前の由来
大根の古い名前は「おおね」といいます。「おおね」という名前に「大根」という字があてられていましたが、のちに「だいこん」と呼ばれるようになりました。
大根の栄養
大根は生のままでも、煮込んだり焼いたりしても食べることができる便利な食材です。大根は一年中販売されていますが、冬の時期には甘味が増すというと特徴があります。大根は全国各地でいろいろな種類の大根が栽培されています。育てやすいことや、甘みがあり食べやすいことから、青首大根が主流として栽培や流通しています。
栄養
大根はアミラーゼやジアスターゼという、消化を助ける酵素が豊富に含まれています。熱に弱いジアスターゼは、大根おろしにして食べることで効果を期待することができます。また、大根はビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。
大根の栽培方法・基本的な道具
大根を栽培する場合には、土を耕したり、種まきをするための穴を掘ったりする道具が必要です。その他にも、水やりに必要なジョウロや、病害虫を防ぐためのネットなど、大根を栽培する際に必要な基本的な道具についてご紹介します。
鍬(くわ)
鍬は土を耕す際に使います。大根を植えるための畝を作ったり、土を寄せたりする場合にも使います。
スコップ
種まきをするための穴を掘ったり、肥料を乗せたりする場合に使います。追肥を行う際に溝を掘ったり、肥料と土を混ぜたりする際にも使うことができます。
ジョウロ
水やりをする際に使います。大きさや形が豊富なため、用途に合わせて選ぶことをおすすめします。
寒冷紗(かんれいしゃ)
寒冷紗とは、ポリエステル素材で作れていて、網目状のため通気性が良く、保温や保湿を保つ効果があります。寒冷紗は網目状になっているため、まくらずに水やりを行うことができます。寒冷紗は害虫から大根を守る役目をします。また、寒冷紗はトンネルがけで使用するため、トンネル用の支柱やクリップが必要です。寒冷紗はプランターでも使用することが可能です。
防虫ネット
防虫ネットとは、害虫から野菜を守るためのネットです。光を通す素材で作られているため、野菜の生育を妨げることがありません。また、通気性に優れています。防虫ネットを使用する場合には、支柱やクリップなどが必要です。
黒マルチ
黒マルチとは、土の表面を覆うポリエチレン製の黒いフィルムのことです。黒マルチを使用することで、保温や保湿が保たれる効果や、アブラムシの発生を遅らせる効果や、ウイルス病の発生を減らす効果が期待できます。黒マルチは光を通さないことから、雑草を生えにくくする特徴があります。
プランター
畑ではなく、ベランダなど限られた空間で大根を育てる場合には、プランターを用意しましょう。育てる大根の種類に合わせて、プランターのサイズを選ぶことをおすすめします。
大根の栽培方法・時期
大根は気候が冷涼な環境でよく育つため、春と秋に種まきをする植え方をおすすめします。大根の生育に適している温度は、17~20℃と考えられています。大根の生育の初期は、0~35℃と低温でも生育する特徴があります。
春
春に大根の種まきをして植え付けする場合は、3月上旬から6月下旬を目安に種まきをしましょう。春に種まきをした大根は、早ければ5月下旬から7月上旬には収穫できます。
秋
秋に大根の種まきをして栽培する場合には、8月中旬から10月上旬を目安に種まきをしましょう。秋に種まきをした大根は、10月中旬から12月中旬に収穫できます。
大根の栽培方法・植え方
大根は土の中で大きく成長します。大根の植え方はまず土を深くしっかり耕しましょう。よく耕してから大根を植え付けることで、大根の根が股のように分かれたり、曲がったりすることを防ぐことができます。
日当たり
大根は日当たりのよい場所で育てましょう。大根は気温の低さには比較的強い野菜ですが、日当たりが悪い場所では生育が遅れたり、悪くなったりする場合があります。日当たりが良い場所で育てることで、生育が良くなります。
土
大根は植え付けると土の中深くまで成長するため、土は排水性と通気性が良く、保水性も優れている土を作りましょう。大根の種まきをする2週間前までに、完熟した堆肥という肥料と、苦土石灰を散布して35cmほどの深さまでよく耕します。植え付けの1週間前には、化成肥料を散布して、もう一度しっかり耕しましょう。大根を栽培するために、畝の幅は60~70cmを目安として畝を作ります。株の幅は、25~30cmが目安です。
大根の栽培方法・種まき
大根の栽培方法で植え付ける際の種まきは、畑に直蒔きしましょう。畑がない場合には、プランターに植え付けても大根を栽培することができます。プランターで栽培する場合は、実が小振りな種類をおすすめします。
種まきの方法
大根の種まきは、深さ1.5cmの深さの穴を作りましょう。ひとつの穴に、大根の種は5~6粒ばらまくようにします。穴に種を蒔いたら、1cm程度の土をかけます。
大根の栽培方法・植え付け
大根の植え付けは、株同士の間を25~30cmを目安に間隔を開けましょう。土は良く耕しておきましょう。土の中に石や固い土がある場合には、取り除いておきましょう。土の中に石があると、根が割れたり、股になったりする原因になります。
大根の栽培方法・間引き
大根の栽培では、間引きをする必要があります。間引きは3回行うと良いでしょう。1回目の間引きは、子葉が完全に開いた際に行います。形の良い芽を3つ残して他の芽は間引きしてしまいましょう。2回目の間引きは、本葉が2~3枚の際に行います。生育が良い芽を2本残しましょう。3回目の間引きは、本葉が6~7枚になった際に行います。生育が良く元気な株を1本残しましょう。間引きを行う場合には、時期を逃さずに間引きをすることが大切です。また、間引きの際に残す株を傷めないように注意して行いましょう。間引きをした芽や株は食べることができます。
大根の栽培方法・肥料
大根は少ない肥料でも比較的失敗しにくく育ちやすい野菜です。植え付けをしたあとに、大根が急速に生育する時期に肥料が不足してしまうことで、品質を損ねてしまう恐れがあります。肥料は大根の種まきの前と、追肥を行うことをおすすめします。
大根の栽培方法・追肥
大根の栽培方法で追肥は生育の様子を見ながら、植え付けをしたあと3回を目安に行いましょう。1度目の追肥の時期は、本葉が1~2枚のころに化成肥料や油かすと株の周りに肥料を与えましょう。追肥したあとは、株の周りの土と追肥を軽く混ぜるようにしましょう。株を傷つけないように注意して行います。2回目の追肥の時期は、本葉が5~6枚に育った頃に肥料を与えます。間引きをして株を1本にしてから、株の片側に溝を作って溝に肥料を与えましょう。株元を傷つけたり、株元がぐらついたりしないように注意して行いましょう。3回目の追肥の時期は、根が生育してきた頃に行います。2回目の追肥の際とは反対側に溝を作って肥料を与えます。根を傷つけてしまわないように注意して追肥しましょう。
大根の栽培方法・収穫
大根は種を蒔いてから、60~80日で収穫地期を迎えます。夏の大根は60日前後、秋の大根は60~90日ほどの時期を目安に収穫を行います。収穫の時期が遅くなってしまうと、大根に「す」という穴のような空洞ができてしまいます。春と夏の大根はすが早く入るため収穫の時期には注意が必要です。 大根の収穫の時期は、葉を目安にしましょう。葉全体が立っている状態では、まだ収穫時期にはなっていません。大根の外側の葉が垂れて広がり、中央部分の葉が開いてきたことを目安に収穫しましょう。収穫の時期を見逃さないようにすることで、栽培した大根を美味しく食べることができます。
大根の栽培方法・連作のポイント
連作とは、同じ野菜を同じ場所に続けて植えてしまうことで、病害虫が集まったり野菜が育ちにくくなったりしてしまうことです。連作の被害を起こさないためには、同じ種類の野菜は同じ場所に植えずに、位置をずらして植えることが基本です。しかし大根は連作の被害がない野菜のひとつです。大根は連作することで、甘みが強くなったり、育ちやすくなったりします。大根を連作する場合には、収穫したあとすぐに元肥を施すことをおすすめします。
季節に合わせて植える品種を選ぶ
大根は一年中収穫することが可能です。植える時期に合わせて品種を選ぶことで、しっかりと成長した大根を収穫することができます。
大根の栽培方法・病害虫
大根の病気は、ウイルス病と軟腐病に注意が必要です。害虫はアブラムシやアオムシなどの発生に注意しましょう。大根の病害虫の防ぎ方と対処法をご紹介します。
ウイルス病
大根の病害は、ウイルス病と軟腐病(なんぷびょう)の被害が比較的多いでしょう。ウイルス病はウイルスを病原菌としていろいろな症状を引き起こす病気です。ウイルス病は、アブラムシが原因で引き起こされることが多いと考えられています。ウイルス病になった汁液を吸ったアブラムシが、次の汁液を吸うことでウイルスを媒介してしまいます。ウイルス病になってしまった場合には、治療する方法はありません。病気になってしまった株は抜き取って処分しましょう。ウイルス病はアブラムシが原因で発生する場合が多いため、アブラムシの防除を徹底することで予防できます。
軟腐病
軟腐病は細菌が原因で起こる病気と考えられています。軟腐病は、土壌により伝染してしまう病気です。軟腐病は温度が高かったり降水が多く湿っていたりする場合に発生しやすくなります。軟腐病は栽培して生育中にいつでも発生してしまいます。葉が枯れたり黄色くなったりして枯死してしまいます。根の部分が軟腐病に感染すると、根の中心部が腐敗して空洞になったり、悪臭を発生したりします。発病してしまった大根は、抜き取って処分しましょう。軟腐病が発生した場所で、大根を連作しないようにします。軟腐病は土の中の温度が高い場合に発生しやすくなるため、抵抗性の強い品種を栽培したり、秋に育てる場合にはできるだけ種を蒔く時期を遅くしたりしましょう。
大根の栽培方法・家庭菜園におすすめ
大根は畑がない場合にもプランターでも植え付ける植え方ができるため、家庭菜園におすすめです。プランターでの植え方で大根を家庭菜園する場合には、深さのあるプランターを使いましょう。畑での植え方と同様に、株の間は25~30cmの間隔を開けましょう。プランターでの植え方で間引きを行う際は、間引く株の根元をハサミで切ることをおすすめします。プランターは株同士の間が狭いため、残したい株を間違って傷つけないように注意して間引きしましょう。プランターでの家庭菜園で大根を植えつける場合には、ラディッシュなど小振りな種類の大根を選んでも良いでしょう。
家庭菜園におすすめの大根の種類
大根は地方によってもたくさんの種類があります。大きく分けて、日本大根・ヨーロッパ大根・中国大根の3種類の品種に分けることができます。家庭菜園におすすめの大根の種類と植え方についてご紹介します。
青首大根(あおくびだいこん)
青首大根は、季節を問わずに栽培できるため、最も多く栽培されている種類です。根と葉の間の首の部分が青いことから、青首大根と呼ばれています。青首大根は植え方が簡単で育てやすいため、家庭菜園にもおすすめです。
ラディッシュ
ラディッシュは別名をヨーロッパ大根や二十日大根といいます。植え方は簡単で、20日程度で収穫が可能なことから、家庭菜園におすすめの種類です。小さくて丸い形をしていて、鮮やかな赤い色が特徴です。
大根の栽培方法・まとめ
家庭菜園におすすめの大根の栽培方法について、おわかりいただけたでしょうか?大根は一年のうちに何度も植えることができるため、何度も収穫を楽しむことができます。大根は煮たり焼いたりするだけでなく、生でも食べることができて、いろいろな料理に使うことができます。大根は青首大根と呼ばれる品種が主流ですが、プランターでも簡単に育てることができるラディッシュなど、たくさんの種類があります。家庭菜園でいろいろな大根を育ててみてはいかがでしょうか?