ジャガイモは種まきではなく種芋で行う
家庭菜園で簡単に育てられることから初心者にも大人気のジャガイモの栽培方法は、種まきではなく種芋による植え付けで行います。ジャガイモの栽培は春植えと秋植えの2回ありますが、今回のご紹介は秋に植える方法です。植え付けの期間は8月下旬頃からで収穫は12月頃となります。
育て方は初心者でも簡単ですが、種芋に肥料を付けない、成長途中で日光を当てないなどの管理面でのポイントがあるので注意して育ててください。(この記事は2021年8月12日時点の情報です)
ジャガイモの育て方①:畝づくり
ジャガイモのベッド"畝"をつくる
ジャガイモの育て方で最初のポイントが畝(うね)立てです。畝とは、土を盛り上げた細長い台形スペースのことをいい、野菜のベッドと表現する人もいます。"畝立て"は、平地の畑では東西方向に、傾斜地の畑では土の流出防止として等高線に沿って畝立てをすることが多いようです。
まず種芋を植えつける畑に深さ10~15センチメートルの溝を掘ってください。そのあとの土寄せ作業を考え、必ず一条(一列)植えにします。
畝の幅と長さ
畝の幅と長さは、家庭菜園内にジャガイモを植える畑のスペースによって決めてください。育て方のポイントとして幅は、通路側からジャガイモの管理をしやすい60~70センチメートルがおすすめです。長さは、植えるジャガイモの種芋の個数とその間隔を考慮します。
水はけの悪い畑は高い畝にする
畑の性質によっては水はけが悪い土壌もあるはずです。その場合の上手な育て方のコツは、畝を高くすることにあります。通常の畝の高さは10センチメートルほどですが、高くする場合は20センチメートルほどがよいでしょう。畑の状態に合わせて工夫するのも上手なジャガイモの育て方のコツとなります。
ジャガイモの育て方②:種芋の準備
必要個数の購入とサイズ選択
種まきではなく種芋によるジャガイモの上手な育て方のポイントは、植え付け予定数に合わせて種芋を2~3日前に購入しておくことです。サイズを大小に分けるのも、種まきではなく種芋による育て方のポイントです。
春に植えるときは大きいものを切り分けますが、秋に植えるときは切らずに大きなまま植え付けます。大きな種芋は病気にかかりやすくて小さなものは丈夫に育つといわれており、ジャガイモの育て方で大切なポイントです。
春に植える場合
ちなみに春に植える場合は、種芋を1片30~50グラムに切り分けます。春に植える育て方のポイントは、種芋の芽の数を均等にすることで2~3芽付くようにし、必ず縦に切り分けることです。芽が集中しているジャガイモの頂部から基部に向けて包丁を入れると、美しく切り分けられた種芋になることでしょう。
種芋の腐敗防止の準備
種まきではなく種芋によるジャガイモの育て方のポイントとして、切り分けない秋植えの種芋はそのままで問題ありませんが、切り分けたときは腐敗防止に乾かすほうが安心です。種芋の切り口がコルクのようになるまで2~3日陰干しにします。
乾かす時間がないときは、種芋の切り口に草木灰(そうもくばい)をまぶすのも育て方のコツです。手に入らないときは、市販されているジャガイモ専用の切り口処理剤をまぶす方法でもよいです。
食用の芋は種芋にしない
育て方の重要なポイントとして、食用のジャガイモはウイルス病などに感染している可能性があるため、種芋にしないようにご注意ください。食用ジャガイモを種芋代わりにすると、栽培途中で枯れたり収穫量が少なくなる可能性があるためです。
もちろん食用なので食べるのは問題ありませんが、ジャガイモの栽培には必ず「種芋用」のものを園芸店などで購入したものを使いましょう。
ジャガイモの育て方③:植え付け
植え付け前の土壌づくり
ジャガイモの育て方のポイントとして種芋を植え付ける前には、土壌づくりを行う必要があります。ジャガイモが好む土壌は弱酸性のため、㏗5.0~5.5になるように酸度を調整してください。
㏗は7.0が中性となり、それ以上がアルカリ性土壌で、それ以下が酸性土壌です。多くの野菜は㏗6.0~6.5の弱酸性土壌でよく育ちますが、ジャガイモは少し特別な弱酸性土壌で栽培するのが上手な育て方のポイントとなります。
土壌酸度の測定方法
雨の多い日本の土壌は、ミネラル分が流れやすいため酸性傾向の土壌になります。そのため多くの野菜の栽培管理では、アルカリ性の石灰資材をまいて酸性土壌の改良を行うのです。
ジャガイモの上手な育て方のポイントは、土壌の酸度を調べることにあります。その方法は2通りで、土に挿して酸度を測定する「土壌酸度計」と、土壌に試薬を反応させて酸度を測る「㏗測定キット」です。㏗を調べたいときはいずれかで測定してみましょう。
酸性土壌にする方法
ジャガイモの育て方のポイントである酸性土壌にするには、カルシウムやマグネシウムが含まれている"苦土石灰"を園芸店などで購入し、種芋を植え付ける1~2週間前にまいてください。
育て方のポイントとして苦土石灰をまく量もあげられます。苦土石灰の量は、1平方メートルに対して150グラムが目安です。
植え付け作業
ジャガイモの育て方のポイントとして切ったジャガイモの種芋は切り口を下にし、密着するように土壌に押し込むように置きます。種芋の間隔は約30センチメートルです。メジャーが確実ですが、手を開いて親指から小指の長さ(約20センチ)を目安にします。苗が育った後を考えてしっかり間隔をあけてください。
種芋を置いたあとの育て方のポイントは、種芋と種芋の間に約300グラムの堆肥と30グラムの化成肥料を置いてください。
肥料を畑にまくときの注意点
畑に肥料をまくときの育て方ポイントとして、種芋に肥料が触れると腐りやすいため、絶対に種芋に肥料が触れないように注意するのも育て方の大切なポイントです。
どうしても心配な場合は、種芋を置いた後に土を軽くかぶせてから、種芋と種芋の間に肥料をやると安全です。少しの工夫をすることも、ジャガイモの育て方では大切なポイントとなります。
土を埋め戻す
次の育て方のポイントは、種芋を置いて肥料をまいたあとにジャガイモの上に土をかける埋め戻し作業です。土の分量は7~8センチメートルほどの厚さになればOKです。このときも、くれぐれも肥料が種芋にかからないように注意します。
畑の表面の土を平らにならしてジャガイモの種芋の植え付けが完了です。育て方のポイントとして腐敗を防ぐために水やりはしません。植え付けた場所の目印として、支柱を立てておくとよいでしょう。
ジャガイモの育て方④:芽かき
芽かきで生育のよい苗を残す
ジャガイモの育て方の大切なポイントとなる芽かきとは、勢いのよい芽とそうではない芽の選別作業です。ジャガイモの種芋は植え付けから一ヶ月もすると、10~15センチメートルの苗に育ちます。
ジャガイモの種芋が生長して一株に芽が三本以上ある場合は、勢いのある生育のよい芽を二本残し、他の芽はかき取ってください。こうすることで残ったジャガイモの芽に養分がいくため、残した芽はさらに生育がよくなるのです。
芽かきするときのコツ
育て方の大切なポイントである芽かきの注意点は、作業方法にあります。上手な芽かき方法は、ジャガイモの育て方の大切なポイントです。
抜いてしまう種芋の株元を片手で押さえながら、もう片方の手を土中に挿しこんで芽を横に引き抜くようにして摘み取ってください。丈夫なジャガイモの大切な育て方のコツです。
芽かきは3本仕立てが理想
上手なジャガイモの育て方のポイントである芽かきは、できれば3本仕立てにするのがおすすめです。そうすることでM玉サイズの適度な大きさのジャガイモが収穫できます。さらに大きなL玉サイズのジャガイモが欲しい人は2本仕立てにするとよいでしょう。
育て方のコツとして、収穫するときに欲しいジャガイモの大きさに合わせて芽かきを行ってください。
小さいジャガイモはソラニンが多い
ジャガイモは土の中でたくさん実をつけますが、その数は芽の数で決まるのです。芽かきをしないでたくさんの芽を付けるとジャガイモの数は増えますが、養分がすべてのジャガイモに行ってしまいます。そうするとひとつひとつのジャガイモが小さくなるのです。
小さいジャガイモは有毒物質のソラニンを多く含むため、芽かきの作業は必ず行いましょう。やはりこのように管理することも、ジャガイモの重要な育て方のポイントです。
ジャガイモの育て方⑤:土寄せ・追肥
芽かき後の追肥
次の育て方のポイントは追肥です。苗の芽かきをしたあとは、ジャガイモの苗が植わっている畑に一回目の追肥を行います。
1平方メートルに対して30グラムの化成肥料を苗の回りにまいてください。化成肥料は園芸店などで販売されているので、ジャガイモなどの家庭菜園用のものを購入します。
芽かき後の1回目の土寄せ
ジャガイモがある程度の苗になる期間は1か月ほどですが、苗が大きくなるとともに苗の株元がぐらつきやすくなります。育て方のポイントとして、苗の根元に土寄せをして苗を安定させてください。
育て方のコツは、鍬(クワ)で先にまいた化成肥料と苗の周りの畑の土を混ぜてから株元に寄せることです。高さは10~15センチメートルが目安となり、苗がぐらつかないようにします。しっかりしたジャガイモの育て方のポイントです。
つぼみが出たら2回目の土寄せ
ジャガイモは土中で順調に育ち始めると、少しずつ地表に顔を出し始めます。ジャガイモは日光が当たると表皮が緑化し、品質も見た目も悪くなるのです。そこで育て方のポイントとして、2回目のジャガイモの土寄せ作業が必要となります。2回目のタイミングはつぼみが付き始める頃です。
一回目と同じように、化成肥料を1平方メートルに対して30グラムと土を混ぜてからジャガイモの苗の元に盛り上げるようにして土を寄せます。
緑化すると有毒物質のソラニンが作られる
ジャガイモは栽培方法が簡単なので初心者でも家庭菜園で作りやすい野菜ですが、育て方のポイントとして気を付けたいのが栽培期間中の緑化による有毒物質ソラニンの生成です。土寄せをせずに日光にさらされると光合成によって緑化してしまいます。
そのため大切な育て方のポイントとして、忘れずしっかりジャガイモに土寄せをしてください。花が咲いた後に実を付ける品種もありますが、やはりソラニンが含まれるため食用は厳禁です。
ジャガイモの育て方⑥:収穫
晴天が続いた日に収穫する
ジャガイモの種芋を植え付けてから収穫までの期間は、大体4ヶ月ほどです。ジャガイモの収穫は、掘り上げた芋が腐らないように晴れた天気の良い日に行いましょう。理想的なのは2日間以上の晴天が続き、土がしっかり乾燥している期間に行います。
上手な育て方ができれば、ジャガイモの収穫作業は初心者だけではなくすべての栽培者にとって家庭菜園の大きな楽しみです。
葉が黄色くなったら収穫のタイミング
ジャガイモの収穫のタイミングは、葉が黄色く変わってきた頃です。茎も地中のジャガイモに養分を取られるため、やはり元気がなくなり倒れてきます。
そのような状態になったら、ジャガイモの試し堀をしてみてください。手で苗の回りの土を丁寧に掘りながらジャガイモの状態を見ます。ジャガイモの大きさが揃っていたら、ジャガイモ堀りのベストタイミングです。
切断しないようにスコップや鍬を入れる
ジャガイモの苗から20センチメートルほど離れた場所にスコップを挿し、掘り起こしやすいように土をやわらかくしておきます。ジャガイモを傷つけないように充分に注意してください。
次に、ジャガイモを土ごと掘り起こしてから茎を持って引き抜きます。土の中にはジャガイモが残っているため、堀り残したジャガイモがないように丁寧に手で探ってください。
収穫後は風通しのよい場所で乾燥させる
掘り上げたジャガイモは水洗いはせずに、風通しのよい場所で乾かしてください。ジャガイモに付いている土は乾燥してから軽くこすり落とします。それから新聞紙などで包み、13~15℃の涼しくて暗い場所で管理してください。
ジャガイモは、芽が出ないように冷暗所でしっかり管理することで鮮度を保て、長い期間味わえます。
自分で育てたジャガイモを堪能しよう!
ジャガイモは、初心者でも簡単に育てられるため家庭菜園におすすめの野菜です。ジャガイモは種まきではなく、種芋で行います。温暖な地域で秋に植える場合は、8月下旬から9月中旬に種芋を植え付けて収穫は12月となり、栽培期間は約4か月間です。
育て方の細かいポイントはありますが、育て方に注意すれば丈夫なジャガイモを収穫できることでしょう。ぜひ自分で育てたジャガイモで美味しいお料理を作ってくださいね。
ジャガイモの種類が気になる人はこちらをチェック!
ジャガイモは土壌の性質にそれほど神経質にならなくても短期間で収穫できることから、世界中で栽培されています。人気の「男爵」や「メークイン」の他に「インカのめざめ」「キタアカリ」「デジマ」「アンデス」など多様です。育て方をマスターしたら、こちらの記事をチェックしてお好みのジャガイモを探してみませんか。

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出典:ライター撮影