はじめに:初心者にもできる菊の育て方解説
春植え秋咲き!菊を自宅で栽培して楽しむ
菊にもたくさんの種類がありますが、その大部分が春に種まきまたは植え付けをして秋に開花時期を迎えるという育て方です。展覧会などに出品される大輪のみごとな菊は生産者さんがそれこそひとつの花ごとにお世話・管理されています。
しかし野菊のようなベーシックな菊であれば園芸初心者の方でも、100均などで売られている好みの菊の種を買ってきてパラパラと花壇にまいておけば、秋には勝手に咲いて雨水だけでも何年も耐えずに花を咲かせるという丈夫な多年草の一面をもつ植物です。
切り花や花壇に最適な菊の種類の育て方
今回は難しい菊の育て方ではなく、誰にでも簡単に育てられ開花時期は花壇や鉢植えで楽しむほか切り花として飾ったりほかの方にお分けできるような簡単な菊の育て方を解説していきます。
菊の仲間の花がお好きな方や、これからキク科の難しい花を栽培される予定があるという方の小手調べ的な栽培練習としても、まずは育ててほしい簡単な菊の育て方をご覧いただきましょう。
育て方の前に知りたい菊について
菊の育て方の前にまずは植物分類などの基本情報と菊の種類の共通する見た目の特徴・開花時期と花言葉を紹介いたします。
菊の基本情報
科・属 | キク科キク属 |
原産地 | 中国 |
英語名/学名 | florists’ daisy/Chrysanthemum × morifolium Ramat. |
栽培難易度 | 品種によるが野生菊は簡単 |
菊は主に和菊と洋菊に分けられる
和菊は主に日本で観賞用として品種改良されたもので、花火のように外側に行くにしたがって花びらが長く花全体もボリュームのあるものが有名です。一方洋菊はヨーロッパに中国から渡った菊と日本で品種改良されたものをさらに掛け合わせたものとなっており、見た目は和菊に比べて地味なものの豊富な花色や切り花としての使いやすさが特徴。
洋菊は和菊と中国の菊により作られた
というのもヨーロッパでは菊は伝えられた当初はあまり人気がなく、地味な花として扱われていたせいです。来日したイギリスの植物学者が日本の菊花展を訪れた際に日本の菊に感動し、それを本国に持ち込んだため注目されることとなり大ブームメントが起こり、一足遅れて菊の園芸種の開発が盛んになったためといわれています。
菊の見た目の特徴と性質
菊だけでなくキク科とすると非常に多くの園芸用の花が含まれます。それは世界三大花と呼ばれるくらい菊の花はどの国においても評価が高いため。18世紀くらいからその人気は衰えていません。どれも特徴として中央から放射状にたくさんの花びらがつくゴージャスな姿があげられるでしょう。
野菊として自生している種類はありますが実は菊には原種と呼ばれる花がありません。交配によって中国で作られたものがヨーロッパや日本に渡りそこから進化しているからです。
菊の開花時期や花言葉について
菊の開花時期は10-12月
菊は秋の季節の花です。育て方が優秀であれば9月くらいからちらほら咲くものも見かけますが、開花時期としては10月からが本番。菊花展や菊人形など美しく仕立てられた菊の花は自宅で育てるほか、秋の楽しみとして地域のイベントに役立っています。
菊の代表的な花言葉は「高貴」
菊の花の花言葉は高貴。その美しい花言葉は古くから日本人に好まれておりその花の姿をかたどった紋としても使われています。日本人の菊への好感度は平安時代から現代まで続いているもの。
有名な源氏物語に登場する花トップ3の中で二番目に多いのが菊の花といわれています。
植え付けから増やし方まで!菊の育て方
基本的な情報をご覧いただいたところで、早速菊の育て方を解説していきましょう。菊の育て方も種類によって変わってきますがここでは簡単な野生菊の栽培方法のご紹介となります。
しかし育て方の手間がかかるだけでキク科の植物であれば基本的に注意点はほぼ同じ。違う菊の仲間の育て方にも役立つ情報です。
菊の育て方1.日当たり
育て方で最初に重要なポイント
菊を植え付ける場所や鉢植えを置く場所は日当たりのよいところを選んでください。冬は上部が枯れてしまいますが根が生きていて春になると新芽が出てくるタイプの植物ですので、冬越しの心配はありません。夏場の直射日光にあたっても平気です。
とにかく日当たりがよくできるだけ風通しもよいところが菊の育て方には向いているおすすめの場所となっています。
どちらか選ぶなら風通しを優先する
この選択には育て方に対する考え方の個人差もあるでしょうが、菊の育て方で気をつけたいのは病気や害虫被害です。害虫や病気になっても花は咲きますが見た目が著しくわるくなるのは避けたいですので、半日陰くらいでも風通しを優先した方がこれらの発生を防げるでしょう。
さらに午前中と午後どちらかしか日が当たらない場所で選ぶなら、断然午前中に日光があたる半日陰にしてください。植物が成長するのは朝から午前中だからです。
菊の育て方2.植え付けと植え替え
植え付けの時期
植え付ける場所がきまったら早速菊の苗を植えていきましょう。植え付け方は簡単で植え付け適期は6-7月。複数株を近くに植え付ける場合は株間を15cmほど取るようにします。
植え付けのやり方
鉢植えの場合は地植えの場合よりも少しだけ育て方のコツが必要で、底の穴から害虫が侵入しないようネットを置いた上に水はけをよくする鉢底石、根鉢の周りを培養土で埋めて植え付けます。鉢のふちぎりぎりまで土がこないよう(ウォータースペース:水やりのための空間)に土を入れてください。しっかり水やりをして植え付けは完了です。
鉢植えは植え替えも必要
地植えの場合は株が増えすぎて困るという事態にでもならない限り、強制的に植え替えなければいけない理由はありませんが、鉢植えの場合は根が回ってきて手狭になってくるので2-3年に1度を目安に植え替えるという育て方をしてあげてください。
植え替え方は株分けと一緒におこなうのがよいでしょう。1本1鉢ではなく3本程度に分けてそれぞれ少し余裕のある鉢に移植してあげるのが植え替えのやり方です。
菊の育て方に適した用土は
植え付けや植え替えのたびに土は新しいものと交換してあげます。土は水はけのよい土であればあまり土の質は選ばず、初心者の方や集合住宅で庭のないお宅なら市販の草花用培養土のみで十分です。
菊の育て方3.日常管理
水やりの方法とコツ
菊は乾燥させてもすぐに株が枯れる植物ではありませんが、水切れをおこすと葉が茶色く枯れてきてしまいます。あたえすぎに注意しながら鉢植えの土が乾いたらあげるような育て方にすれば問題ありません。庭植えにしている菊に関しては雨水だけでも十分成長してくれます。
育て方に重要な肥料
肥料は春から秋の間真夏を除いて週に1度水やりのついでに薄めた水溶性肥料を与えましょう。地植えの場合は特に肥料も必要としません。菊は花を咲かせるだけであれば、地植えにしてしまえばほとんど育て方の手がかからない植物です。
菊の育て方4.気をつけたい病気と害虫
気をつけたい病気の種類は
菊の葉にはよくうどんこ病が発生します。特に発生しやすい気をつけたい時期は梅雨時から夏にかけての季節です。うどんこ病は葉の表面に白い粉がついているような状態になるカビの一種。
うどんこ病にかかった株のお手入れ
放置しておくと他に広がっていきますが、菊のうどんこ病が関係ないまったく別の植物に感染する心配はありません。育て方は軽度であれば薬剤散布をして様子を見て。極めて重度の場合はうどんこ病の株は掘り上げて処分してしまい、その土は菊の仲間の植物を植え付けるのは避けてください。
菊に付く害虫の予防と対処
菊は害虫が多い植物ですが、日当たりと風通しがよい場所で健康的に育っている株ならば少しくらいの害虫がついてもだめになることはありません。
ただしアブラムシは大量に付くことがあり、切り花に活用する場合は家の中に入れたくない害虫ですね。捕殺するかまたは春先に薬剤散布して吸虫害全般をまとめて予防対策してしまいましょう。
菊の育て方5.剪定
剪定の時期とやり方
初夏5月ころに切り戻し剪定をしてあげることで花の数を増やすことができます。やり方は簡単で高さを目安に切りそろえてあげるだけです。半分から1/3程度が切り戻しに適した高さといわれています。
きれいな株に仕立てたい場合は、剪定後に特に徒長して1本だけ飛び出ているようなものも随時剪定してしまってもよいでしょう。
菊の育て方6.挿し木や株分け
挿し木の時期とやり方
挿し木は剪定の時期と同じくらいが適期ですので、剪定した枝野使い回しで増やすことができます。やり方は十分に湿らせた清潔な鹿沼土や赤玉土に、若々しい緑の枝の先15cmくらいを選んで下の方の葉は取り除き鋭角にカットしたものを水あげしてから差します。
その後は土の表面を乾燥させないように気をつけながら日陰で管理しましょう。新しい葉や芽が出て成長してきたら根が付いてきている目安。少しずつ日光に当てる時間を長くしながら大きくしていきます。
株分けの時期とやり方
株分けは植え替えの時期と同じくしておこなうと手間がかからず楽をできます。掘り起こした株を清潔なハサミで3株以上になるように切り分けてそれぞれ植え替えてください。
まとめ:簡単にできる菊の育て方
育て方に気をつけて菊の花を楽しむ
菊の花はたくさんの花色・形が選べて和風な庭にも洋風な庭にも合う便利な植物です。鉢植えや花壇に植え付けるだけでなく切り花として室内を飾ったり、仏花としても使えます。
地植えであれば植え替えの手間もかからずお手入れも簡単で水やり・肥料ともにそれほど神経質にならずにのんびりとマイペースにお世話しつつ共存できる初心者にも適した植物。気になった方はお好みのキク科の花を見つけて是非育ててみてはいかがでしょうか。
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