はじめに:家庭で柿の木を栽培しよう
収穫の喜びを味わおう!初心者の柿の木栽培
甘くて美味しいフルーツ。家庭菜園で栽培して収穫できれば採れたての旬の味が楽しめます。家庭菜園で栽培できる果樹はいろいろありますが日本に古くからある馴染みの深い柿の木を植えてみてはいかがですか?
甘柿ならそのまま渋柿でも干し柿にすれば冬の甘いおやつになります。何よりも柿は年によって収穫量の上下はあるものの、実がならない時がないといわれる栽培に失敗しづらい果樹として人気です。
柿の木の栽培方法をわかりやすく解説
柿の木をこれから栽培してみようかとお考えの方へ。初心者でもわかりやすく管理や栽培のコツを解説していきましょう。柿のお手入れ作業は意外と簡単。注意点を意識しながら栽培スケジュールに沿ってお世話していけば、収穫時期には美味しい柿がいただけますよ。
栽培前に知りたい柿について
柿栽培のスケジュールに沿った管理方法の解説の前に、まずはこの植物について知っておきましょう。柿とはいったいどのような植物なのか。知っていそうで知らなかった柿の木の生体に迫ります。
柿の基本情報
科・属 | カキノキ科カキノキ属 |
原産地 | 日本を含む東アジア |
英語名/学名 | Persimmon/Diospyros kaki |
育て方難易度 | 普通から少し難しい |
柿という植物の特徴や性質
柿の花を意識せずに見たという方が珍しいほど柿の花は目立ちません。開花時期は夏頃ですが、実は柿は受粉せずとも結実する単偽結果性という果樹。雄花がなくても必ず実がなる植物なので初心者でも失敗することなく果実を収穫できます。
しかし柿の当たり年やはずれ年の言葉が一般的になるくらい、年によって結実の多い少ないが激しい果樹としても有名です。このことから育て始めの年の収穫が少ないからといって今後ずっと毎年そうであるとは限りません。
家庭栽培での柿の収穫時期
柿は夏に開花時期を迎え受粉せずともそのまま青い実をたくさん付けます。付いた実がすべて実るわけではなく、台風や自然落下で落ちる実も少なくありません。
一般的には付いた柿の実が赤く甘くなるのは気温が低くなった10-11月ころ。甘柿はカラスなど野鳥がつつきに来てしまうので、どちらが早く柿の実を取るか競争です。緑の部分がなくなったら少し早めかな?というタイミングで採ってしまうのがコツです。
初心者でもわかる柿の栽培作業のコツ
軽く柿の基本情報をご覧いただいたところでさっそく柿の木栽培のスケジュールやコツを紹介していきます。柿は果樹ですから植え付けが成功してしまえば、あと行うのは肥料(追肥)と剪定・病気や害虫も発生しやすい樹木ですのでこちらも気をつけたいですね。
柿の木栽培:苗の選び方
柿は基本的に渋柿の台木に甘柿を接ぎ木したものが苗として出回っています。渋柿の方が丈夫で根づきやすく栽培も楽になるからです。そのため市販の苗を購入すれば確実に柿栽培は簡単になります。
避けたいものはひょろひょろと幹が細くて、健康とはいえないもの。接ぎ木の部分を気にされる方もいらっしゃいますが、接ぎ木はわざと少し成長点をずらしておこなうのが一般的。少しずれているのがあたりまえですのであまり気にせずよいでしょう。
柿の木栽培:日当たり
植物は光合成をする生き物ですので栽培にあたって日当たりはとても重要です。柿の木を植え付ける場所として日当たりには留意しましょう。地植えする場合はできれば庭の中でも西日があたるところは避けて、南側の日当たりのよい場所に植え付けるのがおすすめ。
梅雨どきの株の注意
梅雨や台風シーズンの長雨で柿の木に病害虫が付く場合があります。梅雨で雨の日が続く場合は鉢植えの柿ならば雨水があまり当たらないような場所に移動するのも育てやすい置き場所の注意点です。
育て方のコツ
日当たりと並んで栽培の第一歩となる土質ですが、これはよほど粘土質などの水はけの悪い土でない限りはあまりより好みしない植物といわれます。心配であれば水はけと水持ちをよくする土壌改良素材を混ぜてあげることで、たいていの庭土で栽培可能となるでしょう。
そのままでは庭の土質が不十分な場合は、腐葉土や元肥肥料として完熟堆肥を庭土に混ぜ込めば、柿栽培用の土になります。
柿の木栽培:植え付け
栽培する場所を決めたら早速苗木の植え付け作業です。植え付け適期は温かい地域で11月・寒冷地では3月ころまで。購入した根鉢より大きな栽培用の穴を掘り、出た土に前述のように腐葉土と完熟堆肥を混ぜて用土を作っておきます。
植木鉢に植え付けるときは苗木が植えてあるポットよりも2まわり程度大きなものを用意します。最初からあまり大きな鉢にしてしまうと水の管理が大変なので、植え替えて鉢増ししながら栽培するのが定石です。
育て方のコツ
鉢植えの場合は水やりも乾いたらあげればよいのでタイミングがわかりやすいですが、地植えの場合は地中の乾燥具合はわかりません。あまり浅く植えてしまうと水不足になる場合があるのでやや深めに植え付けるのが柿栽培のコツとなります。
柿の木栽培:水やりと肥料のやり方
柿は乾燥が苦手な植物なので栽培するときは土の水分には気をつけます。鉢植えの場合は土が乾いたら水をやるという他の草花と同じ方法で水切れしないよう管理してください。
地植え栽培の場合は基本的に水やり作業の必要はありません。もし水切れするようであれば植え付けの深さが足りないので、植えてすぐ(冬の休眠期の間)であるならばもう一度慎重に掘り起こしてやや深めに植苗してしまった方が簡単です。
肥料・追肥の時期とやり方
柿の木の肥料(追肥)は寒肥を1回のみです。時期は2-3月ころ。株から少し離れた土を少し掘って完熟堆肥など有機肥料を軽く埋める形でおこなってください。3月は果樹に多い広葉樹の栽培に関してはやることが多い時期となります。
育て方のコツ
柿の肥料(追肥)については花が咲きみどりの実を成熟させるためにもう一度夏に与えるやり方もありますが、この分量を間違えてしまうと実が落ちる・結実しないということも起きてしまいます。
初心者の方は寒肥のみで夏の追肥作業はしない方が無難です。失敗をしたくないという方は夏の追肥は上げない方を選んでみてください。慣れてきて自分の持っている柿の様子も毎年見ていてわかるようになってきたというときに、はじめてあげはじめてよいものです。
柿の木栽培:剪定
柿栽培は剪定をしながら枝を増やして収穫量を調整します。主軸(太くてメインとなる枝)を2-3本決め、2年目の苗から剪定していきます。植え付けてはじめの年は剪定しないでください。
柿の木栽培で剪定はとても簡単で主軸さえ残していればそこから実がつく枝が出てきますので、その年はその枝を切りすぎないようにすれば必ず収穫できます。
柿の木の剪定時期
柿の木のような多くの果樹落葉樹の剪定は休眠期におこないます。柿の場合は12-2月が適期。前述のとおり2年目までは切り戻し剪定を主におこなって主軸を育てることに注力してください。
柿の実の数管理
柿の実がみのる前に日本だと例年多くは台風が1度や2度はやってきます。これによって落果したり運が悪いと枝ごと落ちてしまうということもあります。
鉢植えなど屋根や小屋の中に退避できる株であれば、それらの必要がないので摘果をおこなって実の数管理をするのも甘くて大きな柿収穫のコツです。目安として葉15枚程度に1個といわれています。
育て方のコツ
桃栗3年柿8年という言葉がありますが、実際はそれほど柿の収穫に時間はかかりません。上手に実らせるコツですが、柿の苗は3年目までは収穫はしないでください。
柿の実がなる枝をつける主軸を2年かけて育て、3年目からは実を付けさせてもok。主軸から伸びている枝をよく見て前年に伸びてきた新しい枝に実が付きますので、新しい枝は切り戻し剪定は控えめに。不要な枝を中心に剪定してください。
柿の木栽培:収穫時期とやり方
果樹栽培の楽しみはなんといっても収穫時期でしょう。青い状態の実ではその中のいくつが赤く熟して食べられるのかはあまり予想はできません。
赤く熟してはじめて果樹栽培の喜びを感じられます。甘柿であると鳥がついばみに来るので早めにとってください。渋柿はそのまま放置すると自然と落果せずに真冬になってもそのまま残っているので注意が必要です。早めに果実は取ってしまわないと休眠中の木の負担となってしまいます。
育て方のコツ
甘柿は鳥よりも先に人が食べるために・渋柿は木の負担にならないようにという意味でどちらの場合も早めの収穫が栽培のコツ。甘柿はそのまま置いて食べごろになったら皮をむいていただきます。
渋柿の場合は干し柿にすると美味しくいただくことが可能です。干し柿の作り方はとても簡単なのでその方法もご紹介しましょう。
収穫した柿の美味しい利用方法
柿レシピ1.干し柿
渋柿(動画では四ツ溝柿という品種) 5kg
吊紐 6本
渋柿にはタンニンという成分が多く含まれるため食べると口の中に長時間渋い感覚が残ります。そのままではとても食べにくいですが天日にあてることでこのタンニンを分解すると非常にあまくて美味しい干し柿になります。
甘柿よりも渋柿の品種の方が糖度が高く甘いという方も多いですが、干し柿にしてみるとその甘さを実感できその説も納得できるでしょう。
渋柿の処理方法としておすすめ!
甘柿でも作れますが接ぎ木した干し柿の遺伝子が出てしまい、渋い柿が実ってしまったときの対処方法としておこなうことをおすすめします。
もちろん甘柿を干し柿にしてはいけないという決まりもありませんので、余った柿の利用方法として渋柿と甘柿両方の干し柿を作って食べ比べてみるのも楽しいでしょう。
干し柿の作り方
作り方は簡単で柿はできれば紐を結ぶ用に枝を少し残す・ヘタの部分を取り除かないようにして皮だけをむきます。紐はビニール紐などで十分です。住宅の軒下に吊るすのであれば邪魔にならず適度な数干せる120cmほどの長さが1本の目安。
その紐の長さであれば1本あたり8個の干し柿が作れます。適度に間をあけてどのような結び方でもよいので柿を結び軒下に吊るしましょう。
出来上がりまでの日数と長期保存方法
毎日もんでおくと中がやわらかいぐじゅぐじゅの干し柿になります。10日を目安に吊るのをやめ長期保存ならラップをして冷蔵庫へ。
柿レシピ2.柿プリン
柿 3個
牛乳 71g
柿に含まれるペクチンは牛乳のタンパク質と混ざることによりとろりとした触感によい感じに固まります。これを利用することで柿と牛乳だけでとろとろプリンのようななめらかなやわらかデザートを簡単に作ることができるでしょう。
柿がたくさん収穫できて余ってしまったという時にはお子様のおやつなどにさっと手軽に作れて重宝します。急な来客のときにお出ししても珍しがられて喜んでいただけるのではないでしょうか。
柿プリンの作り方
作り方は簡単でまずは柿から皮や種を取り除き重さを測ります。これは牛乳の分量を決める大切な作業。柿の重さを2として牛乳を0.6-0.8にするのがもっとも固まりやすい比率です。
あとは柿の果実と牛乳をいっしょにミキサーに入れて撹拌するだけ。柿の種類やその年のできによってかたまり具合も変化します。甘いのが好みの方や柿があまり甘くない場合は混ぜ合わせる時に分量外の砂糖を加えてもOKです。
柿レシピ3.柿なます
大根 200g(15cmぐらい)
柿 1個
塩(分量外)
酢 大さじ3
砂糖 大さじ2
塩 ふたつまみほど
最後にご紹介するのは柿と大根のなますの作り方です。紅白で縁起の良い食べ物としてお正月などにもいただくなますですが、人参ではなく柿を使うレシピにも挑戦してみてくださいね。
柿なますの作り方
材料は皮や柿の種を取り除いてから、すべて千切りにします。大きさの決まりはありませんが各食材どうしの大きさは揃えた方が味の染み方・見た目のきれいさの点でおすすめです。
調味液の材料をボウルなどでよく混ぜ合わせ(主に砂糖が溶けたかで判断します)切った材料を混ぜるだけ。ラップをして冷蔵庫で30分ほどで調味液がよく材料に染みて食べごろとなります。
まとめ:柿の木栽培は簡単
柿の木を自宅で栽培して採れたてフルーツを
今回は柿栽培とその基本情報・収穫した柿の利用方法と3本柱でご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。柿栽培において大切なのは控えめな肥料(追肥)です。柿は化学肥料などのなかった時代から家庭に1本といわれるくらいよく栽培されていた果樹。
あまり養分にこだわりすぎると実よりも枝や葉の方を育ててしまうので、人から見て足りないくらいが結実にはちょうどよいといわれます。あげすぎにはご注意くださいね。
柿の木栽培が気になる方はこちらもチェック
今回は柿の木を自宅に植えて栽培する方法を解説してきましたが、暮らしーのではこのほかにもたくさんの庭や鉢植えで栽培できる果樹の育て方・おすすめの果樹の種類などもたくさんご紹介しています。果樹についてもっと知りたいという方は是非こちらも見てくださいね。

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