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ミヤマクワガタの産卵方法をご紹介!飼育ケース内のベストな環境や、割り出し期間も!

クワガタムシの飼育産卵方法はいろいろありますが、ミヤマクワガタの産卵は特殊なので要注意です。今回はミヤマクワガタの産卵を目的とした、温度や乾燥させない水分補給など環境注意点と、ミヤマクワガタ用土(マット)産卵セットの作り方から幼虫割り出し期間など育て方も解説します。
更新: 2022年8月3日
佐藤3
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はじめに:ミヤマクワガタの産卵飼育

ミヤマクワガタを自宅で産卵育成しよう

出典:https://photo-ac.com/

真夏を前にするといろいろな甲虫が成虫に羽化して、虫好きな方は昆虫採集や山遊びも楽しくなってくることでしょう。それぞれ角や大あごに特徴があってどれもかっこいい甲虫類。その中にミヤマクワガタという種類の昆虫がいます。

頭部の突起が他のクワガタムシ類にはない大きなミヤマクワガタの魅力。オスの大あごもとても巨大で強そうです。野山で捕獲したミヤマクワガタのオスメスをペアリングして、産卵させて今年は卵からクワガタムシ飼育をしてみませんか。

ミヤマクワガタの産卵ケースの決まりを解説

クワガタムシ類は種類もたくさんあるのですが、ミヤマクワガタにおいては、ほかのクワガタムシの飼育産卵ケースとセットの作り方が少しだけ変わってきます。それはミヤマクワガタが産卵する場所が決まっているからにほかなりません。

知らないと失敗してしまうこともある、ミヤマクワガタの飼育産卵セットの作り方と、温度や水分など飼育環境・育て方とともに解説していきます。

産卵環境の前に知りたいミヤマクワガタのこと

産卵セットや飼育ケースの作り方の前にまずは育て方に役立つミヤマクワガタの分類や分布情報・オスメスの見分け方特徴から御覧ください。

ミヤマクワガタの基本情報

出典:https://photo-ac.com/

分類 クワガタムシ科クワガタムシ亜科ミヤマクワガタ属
分布 特定の離島を除く日本のほぼ全土と中国・台湾・朝鮮半島
学名 Lucanus maculifemoratus
よくいる場所 山岳部のクヌギ・ナラなどの林

ミヤマクワガタという名前の由来

ミヤマクワガタのミヤマとは漢字で書くと深山となります。深い山の中にいるクワガタムシという理由でこの名前が付けられました。

樹液を食料とするため好む木は、クヌギなどほかの甲虫類と同じなのですが、山の奥深く暗く静かで涼しい気温の環境を好み、あまり人里では発見できないクワガタムシという意味となっています。ただし暗い場所に住むとはいえ光に集まる習性はあるため、ライトで集めて捕獲するという方法は可能です。

ミヤマクワガタの特徴・オスメスの違いも

出典:https://photo-ac.com/

オスのミヤマクワガタといえば先程も少し触れましたが、頭部の突起がほかのクワガタムシにはない大きな特徴です。大あごの歯のような部分も複数あり、これもミヤマクワガタを見分ける大きな目印となるでしょう。

体の大きさは大きな部類ですが、ノコギリクワガタよりは小さめの23-78mm(オス)が一般的なサイズとなっています。

ミヤマクワガタのオスメスの違い

観賞用ではなく産卵させる目的で飼育するのであればメスも必須です。メスとの違いもご説明しましょう。メスのサイズはオスよりも小さく25-48mmが一般的。

産卵数はメスのコンディションに大きく左右されるため、たくさん産卵させたいなら、できるだけ健康で体もしっかり大きなものを選ぶのがコツ。オスメスの見た目の違いは、大あごだけでなくツヤがあるのがメスの特徴。オスは体全体にメスは腹部にのみ毛が生えています。

ミヤマクワガタの産卵セットで用意するもの

ミヤマクワガタの基本情報やオスメスの特徴をご覧いただいたところで、次は早速産卵を目的とした飼育ケースの作り方の解説に移っていきましょう。まずは用意するものからです。

ミヤマクワガタの産卵セット準備1.

産卵用飼育ケース

コバエシャッター 中ケース

出典:楽天
サイズ298×195×210mm
材質プラスチック

産卵木を最低でも1本入れられるサイズの飼育ケースをご用意ください。入れるのはオスメスのつがいで2匹だけなので、衣装ケースのような大きなものは土を余分に多く使ってしまうため、コストもかかり産卵用飼育ケースには向きません。

かといって観賞用の小さなケースでは産卵木が入らないため、適した入れ物とはならないでしょう。産卵木を埋めるため深さのあるものが適しています。

ミヤマクワガタの産卵セット準備2.

飼育用土(マット)

フジコン カブト育成マットPRO 10L

出典:Amazon

産卵後の卵が幼虫に孵化したあとのエサにもなりますので、栄養のある甲虫飼育用マットをご準備ください。甲虫飼育用であればよほど無名メーカーの安価なマットでない限り、割り出しまでの期間のエサですので、それほど気にする必要はありません。

ミヤマクワガタの産卵セット準備3.

産卵木

㈱MIKU 5つ星★★★★★産卵材

出典:Amazon

後述で詳しくご説明しますが、産卵は土におこなうミヤマクワガタでも産卵木は必要です。できれば2本入れられるとよいですね。

この産卵木はほかのクワガタムシの仲間と違い皮付きで使用しますので、樹皮は剥がずにそのままで用意しましょう。樹皮が剥いてある産卵木は買い求めず、必ず皮付きのものにしてください。

ミヤマクワガタの産卵セット準備4.

メスだけでもよいエサを

プロゼリー

出典:Amazon
出典:楽天
1個あたりの量16g

飼育ケースの中でオスメスをペアリングしていくので、その間のエサは必須です。昆虫ゼリーを1日1個くらい置いておけばよいでしょう。ただし産卵数を増やすためには、メスには栄養を付けておくのが得策です。

オスメスのエサ

おすすめの虫用のゼリーエサはプロゼリーです。多少高価な昆虫ゼリーとなってしまいますが、無添加でタンパク質が豊富なので産卵数に差がでやすくなっています。メスだけでもプロゼリーを食べさせてあげるとよいですね。

ミヤマクワガタの産卵セットの作り方と環境

準備も整ったところで、次は産卵用の飼育ケースをセットしていきましょう。作り方はほかのクワガタムシの産卵用セットとほぼ同様ですが、いくつかミヤマクワガタだけに行う特別な方法をポイントとして紹介します。しっかりチェックして失敗を減らしていってくださいね。

ミヤマクワガタ産卵セット作り1.

土(マット)のベースと産卵木セット

出典:https://photo-ac.com/

マットは下から5-10cm(ケースの深さによって変わる)はカチカチになるくらい、硬くマットを圧迫して敷きます。この深さの目安は産卵木を入れて地上に生活スペースができるくらいです。

産卵木は皮付きのまま水に浸さず、ジョウロなどで水を掛けるだけでOK。少し振って表面の水を落として、そのままケースに設置しましょう。

ミヤマクワガタ産卵方法ポイント

使用する土(マット)は乾燥している状態ではいけません。霧吹きなどで水分を与えて、乾燥した土に水分を与えてからケースにセットしてください。乾燥具合は手で握ってみるのがおすすめの方法です。

握って軽く形ができ、動かすと崩れるくらいの湿り気具合が適度な乾燥加減。握って水が滴るのは湿りすぎているので、少し乾燥させてから使ってください。

ミヤマクワガタ産卵セット作り2.


土(マット)で産卵木を埋める

セットした産卵木を埋める土はカチカチに固めるのは、土中に空気が入らないため飼育にはNGです。産卵木の2/3程度までマットを入れたら、軽く手で押す程度にならしてマット敷きは完了とします。

ミヤマクワガタ産卵方法ポイント

ミヤマクワガタの産卵セットに産卵木を使用するのは、そこに卵を産ませるのではなく、その下に成虫が隠れつつ、下の土に産卵させるために使用します。そのため皮付きのものが理想的。

土だけよりも産卵木を入れて隠れさせたほうが、メスにとって居心地がよく、産卵確率がアップしますので、必ず1本は入れてください。

ミヤマクワガタ産卵セット作り3.

転倒防止材も入れるとなおよし

出典:https://photo-ac.com/

マットのままでペアリングしても構わないのですが、できればメスの転倒防止のために落ち葉(枯れ葉)を置いておくことをおすすめします。置く葉は必ず枯れたものを。期間が短いためあまり期待はできませんが、細かく砕かれた枯れ葉が土の栄養になる期待があるからです。枯れ葉の代わりに小枝などでも代用可能となります。

ミヤマクワガタ産卵セット作り4.

エサを置きつがいをセット

エサは通常の昆虫ゼリーを3個程度ケースの中にセットして、健康そうなオスとメスをつがいで産卵セットに入れます。オスメスで飼育するのは最低1晩、一般的には3日を目安に、最長でも1週間を限度としてください。気性が荒い甲虫類なので、あまり同居させるのは好ましくないからです。

ミヤマクワガタ産卵方法ポイント

野山で採種したメスはペアリング済のものもいる可能性があります。特に涼しい気温下では、ミヤマクワガタの活動も活発になってくるため、まずはメスのみで産卵セットに入れて様子を見るのもひとつの方法です。

ミヤマクワガタ産卵セット作り5.

ミヤマクワガタの割り出し

メスを産卵セットに入れて1ヶ月ほどしたら、ケースから出して別に移動させてください。その後約1ヶ月ほどすると、産卵していれば孵化しているので、幼虫を取り出し、1匹ずつに飼育容器に分ける「割り出し」という作業をしてください。

ミヤマクワガタ産卵方法ポイント

幼虫の成長が早い菌糸ボトルですが、残念ながらミヤマクワガタには菌糸ボトルは使用できません。必ず幼虫はマット飼育にしてください。小さな1齢幼虫ならプリンカップ程度のものでOK。

脱皮して多くなったら、サイズに合わせてマットボトルもサイズアップさせていきましょう。

産卵しないのはなぜ?気をつけたい飼育環境

産卵セットの作り方も間違いないし、つがいで繁殖しているような行動も見られたのに、メスが産卵しないという場合もあります。それは産卵ケースの置かれている環境に影響していることもあるので、気温や置き場所を変えて、もう一度チャレンジしてみるとよいでしょう。

ミヤマクワガタの好む温度

ミヤマクワガタは低い温度で産卵しやすい

Photo byPublicDomainPictures

人が生活している里山などに生息するノコギリクワガタは、25-28度と比較的気温が高くても繁殖活動を活発にしますが、静かで暗く涼しい山間部を好むミヤマクワガタは、ほかのクワガタムシよりも低温の気温の方が好みです。

室温を調整できるのであれば、20-25度程度に気温を保つようにしてみてください。

ミヤマクワガタの好む湿度

ミヤマクワガタの水分補充のしかた

Photo bygeralt

さきほど飼育産卵セットの作り方でも、マットの乾燥具合についてご説明しましたが、これが乾燥しすぎ・濡れすぎでも産卵しづらく、カビなどの発生が心配になってきます。

土の表面は蒸発により乾いているようでも、土の中は適度に湿っていることがあるので、霧吹きを使うときは○日前にあげたからではなく、自分で少し掘って手で触れて、湿り気具合を確認してからにしてください。

ミヤマクワガタ産卵セットの置き場所

温度と暗さがポイント

Photo bypevank01

ミヤマクワガタが産卵するには温度と湿度の飼育環境が大切です。そのためには飼育ケースの場所を選ぶことは重要なポイントとなってきます。

主に夏場の飼育となるため、エアコンなど冷房を入れておけばと思われがちですが、静かな暗い場所という条件は達することができないだけでなく、エアコンの風は直接当たるとクワガタムシ飼育にはよくありません。

ミヤマクワガタの飼育ケースの置き場所

第一条件は静かで薄暗いところ。そんな場所が風通しが悪くて湿っぽい時は、押入れなどの除湿剤をそばに置くとよいでしょう。日が当たらないとそれほど気温も上がりませんが、温度計を設置して気温は時々チェックしてください。

外壁に近い場所だと、暗く静かな場所でも、日中は温度があがってしまう場合があるためです。そんなときは壁から少し離れた場所に置く・置く部屋を変えるなど対処します。

まとめ:ミヤマクワガタの産卵飼育方法

ミヤマクワガタを産卵させ飼育しよう

出典:https://photo-ac.com/

ミヤマクワガタは山間部の人のあまりいない温度の低い薄暗い場所を好む甲虫類です。このような場所によくある、少しじめっとした乾燥していない環境を好むミヤマクワガタ。メスに産卵させたい場合も飼育ケースの置き場所を、できるだけこのような自然環境に近づけてあげると成功率があがるでしょう。

菌糸ボトルが使えなかったり、産卵木には卵を産まないなど、ミヤマクワガタの独特の飼育方法も忘れずに、卵からの飼育にチャレンジしてください。

ミヤマクワガタが気になる方はこちらもチェック

今回はミヤマクワガタの基本情報から産卵セットの作り方と解説してきましたが、暮らしーのではこのほかにもミヤマクワガタのいる場所についても、解説や採集方法のポイントなどの記事もご用意しています。山野でミヤマクワガタを捕まえたいという方は、こちらも是非見てくださいね。