はじめに:ワトソニアとは?育て方も解説
ワトソニアは日本人に馴染みの深い花
ワトソニアといわれると新しい花かな?と思われる方も多いかもしれませんがヒオウギズイセンとして古くから日本にある、見かけることも多い植物です。白・ピンク・赤・オレンジなど切り花として使いやすい花色が揃っているのが特徴。
球根から栽培するので芽が出てつぼみを付けるまでは肥料などあまり必要とせず失敗も少ないため、自宅で育てる場合に気になるのは耐寒性だけでしょう。
ワトソニアは鉢植えが育てやすい
開花時期が長くまた切り花としても長持ちする人気の高い植物ですので、自宅で育てられたら嬉しいですね。基本的に上にすらっと伸びるタイプの植物ですが近年は品種改良も進んでおり矮性種の球根も多く出回っています。
温かい地域であれば地植えで植えっぱなし栽培が簡単です。しかしこれら矮性品種を使って鉢植えで育てると、寒い地域でも簡単にワトソニアを咲かせることができます。
育て方の前に知りたいワトソニアとは
市販の成熟した球根を使えばはじめての人でも肥料要らずで花まで楽しめるワトソニア栽培。育て方の前にまずはこの植物の分類や特徴・開花時期や花言葉をご紹介しましょう。
ワトソニアの基本情報
科・属 | アヤメ科ワトソニア属 |
原産地 | 南アフリカ |
英語名/学名 | Bugle lily/Watsonia |
育て方難易度 | 簡単 |
ヒオウギズイセンとして出回っている
日本では古くから仏花としてよく使われている植物。ヒオウギズイセンという名前で売られていることもよくあります。この場合品種分けなどされておらず、花色(ピンク・白など)表記のみで売られているものの中にあるのがワトソニアです。
ワトソニアの見た目の特徴や性質
ワトソニアの特徴で一番目立つのは葉の様子(厚み)です。植物には中央に1本太い葉脈がありますがこの部分が盛り上がっているため葉が厚いという印象を受けます。
葉の長さ・大きさも根元から花茎の半分くらいまでの位置までありますので植物の下半分が葉・上が花とはっきり分かれているのも大きな特徴でしょう。
耐寒性も高く育てやすい種類
同じような秋に植え付け冬を越して春咲きの花として、香りも高く切り花としてフラワーショップでよく見かける花にフリージアがあります。フリージアは見事な花を咲かせるのは難しい花です。
しかしそれと比較するとワトソニアは大変栽培が楽な、初心者の方でも失敗しづらい種類といわれています。
ワトソニアの花について
春の季節の花
ワトソニアの花の季節は春から初夏。4-5月に見ごろを迎える植物です。似たような花を咲かせる植物は有名なものでも夏のグラジオラス・春のフリージアなどがあげられますが、それらと比べるとシンプルで野趣を感じるもの。
英語名のbugle lilyのbugleは軍隊の使用するラッパのこと。ここからも繊細なユリの花などとは少し違う、親しみやすさを感じられますね。
花言葉は「豊かな心」
ワトソニアの花言葉は豊かな心というとてもポジティブなもの。鉢植えを贈り物にしても多くの方に喜ばれる花言葉でしょう。この由来は細い花茎にたくさんのラッパ型の花を付けるところから。このほかに知性という言葉もワトソニアの花言葉として付けられています。
水はけと日当たりが重要!ワトソニアの育て方
ワトソニアの日当たり
地植えであれば冬の寒さで成長が自然に調整され、冬越ししやすい状態を植物自身が作ってくれますが鉢植えの場合は冬の間の日当たりや気温はあたたかすぎないようにしましょう。
春になって気温の心配がなくなったらできるだけ日当たりのよい明るいところが花が咲きやすい状態となります。
土は水はけのよいものを
日当たりだけでなく植物の成長には水はけのよい土も大切。地植えにする場合は粘土質で雨後にいつまでも水たまりが残っているような場所は避け、花壇など土を耕して植物栽培に適した土に植え付けるのがおすすめです。
ワトソニアの植え付けや植え替え
植え付け時期は秋10月ころ。地植えだとそれよりも1ヶ月ほど遅れた11月が球根の植え付け適期となります。これは鉢植えなら移動して冬場の霜対策ができるからです。
鉢植えの場合も屋外におきっぱなしにするというときは、地植えと同じく秋も深まり気温も十分下がった11月に植え付けをしてください。
地植えと鉢植えで変える植え付け方法
使用する土などは地植えでも鉢植えでも変わりませんが、球根の植え付けの深さは植える場所により調整した方が失敗を防ぎ、後の育て方を簡単にしてくれます。
地植えの場合は少し深めの5-6cm。鉢植えの場合はそこまで深くする必要はなく4cm程度で十分です。
植え付け・植え替え用の土の作り方
鉢植えならば市販の球根植物用の培養土をそのまま使用できます。自分で配合する場合は赤玉土7に腐葉土を3の割合いで混ぜたものを使いましょう。赤玉土も腐葉土も水はけをよくする役割りがありますので、ワトソニア向けの土といえます。
ワトソニアの日常管理
冬越しをさせるために水やりは控えめにするのですが、冬を越せるくらいの植物の体づくりをあらかじめさせておく必要があります。球根植え付け後2ヶ月程度はその株つくりのための時期として水やりは普通におこないます。
2ヶ月後くらいからはすでに寒くなっていて地域によっては霜の心配もあるので水やりは控えめに。土が乾いて白くなったら1-2日おいて水やりというあげ方をしてください。春以降は通常の水やりに戻します。
花後の水やり方法
花の後も球根を育てるために葉の1/3程度が黄色く枯れるまでは水やりを続けてください。その後は水やりを続けても休眠期で逆に球根が腐る原因ともなるため、水やりは一切せず土を乾かして休ませてあげましょう。
開花後は掘り上げてもよい
そのまま植えっぱなしで数年は球根を育てるのもひとつの方法ですが、花壇など他の花に水をあげるのでどうしても水を与えてしまうという場合は掘り上げて乾燥させ管理させるという方法もあります。
そのためにも掘り上げた球根の中の水分が少ない方が腐敗しにくいので、しっかりと数日は水やりをせず土を十分に乾かしてから掘り上げるようにしてください。
ワトソニアの肥料のあげ方
球根植物は球根の中に栄養を蓄えていますので、余計な養分を与える必要はありません。翌年も花を咲かせたい(球根を育てたい)というケースは、花後に球根を充実させるために液肥を2週に1度程度の割合いで40日ほど続けます。
背の高い種類は支柱も考えて
ワトソニアには草丈が高くなるものと矮性の品種があります。鉢植えは背が高くなると倒れる危険性があるので矮性種がおすすめですが、地植えならば草丈の高いワイルドでゴージャスなワトソニアを栽培することも可能。
その場合茎が横に倒れてしまわないよう、様子を見ながら支柱を立て麻ひもなどで株全体を支えるようにします。
ワトソニアの剪定
ワトソニアは花の時期が長いので忘れてしまいがちですが、終わった花がらはこまめに剪定することで余計な養分を消費せず、その分球根が育ちます。剪定は花がら摘みという感覚でおこなってください。
花を放置すると種を作るので実生苗を作ることもできますが、花を咲かせるまで育てるのには何年もかかります。一般的には翌年用の球根を充実させ数年に1度程度の割合いで分球をして株を増やすのがおすすめです。
花がら摘みのやり方
ワトソニアの花がら摘みは簡単です。花が咲いている花茎を根元付近までたどり、できるだけ根元に近い部分で茎ごと手折ってしまいます。もちろん清潔な剪定バサミを使って切るのも可能です。
このとき注意したいのは茎もしっかりと取り除いておくということで、残っていても何の役に立たないばかりかわずかではありますが栄養も使います。
ワトソニアの増やし方
ワトソニアの増やし方は先程も申し上げたとおり種まきからの実生苗と数年に一度の分球の2通りがあります。時間もかからず早く開花時期を迎えさせることができる分球方式を取られる方が多いでしょう。
球根を育てるための開花後のお手入れ
花は開花したらすぐに花茎を根元までたどり剪定・切った花は花瓶などに差し活け花として活用できます。切った後でも花持ちがよいワトソニアだから長くできる楽しみ方です。この方が球根にまわる養分は多くなり株が成長し分球もしやすくなるでしょう。
開花をはじめてから40日の間が一番球根が育つ時期といわれています。この間は前述の水溶性肥料を与える・花がら摘みをこまめにするなど花を楽しみつつ球根を育てていきましょう。
花後葉が枯れるまでの管理方法
開花時期が終わったあと6月くらいになると、日差しの強さに比例してワトソニアは休眠期に入ります。休眠してしまうと当然球根も育ちませんので、いかに休眠を遅らせるかによりその年の球根の成長も変わってくるのです。
そのためにできることは鉢植えならば午後は日陰に移動させる・地植えであれば移動は無理なので遮光してあげることで、まだ夏にはなっていないと球根に勘違いさせ休眠をさせないようにできるでしょう。
まとめ:自宅でワトソニアを育てよう
ワトソニアの育て方は簡単
いかがでしたでしょうか。球根植物は全般的に市販のよく太った球根を使用することで失敗なく翌年春の開花を見ることができる植物ですが、2年め3年めにもなるとそうはいきません。
そんな中でもワトソニアは続けて育てやすい管理が簡単な部類の春先の花です。地植えと鉢植えで植え付け時期が1ヶ月ほど異なるためそこだけ注意しましょう。
ワトソニアが気になる方はこちらもチェック
ワトソニアと同じように長い茎に並んでいくつものラッパ型の花を咲かせる植物はいくつかあります。暮らしーのでもそれらの植物の花言葉や育て方をご紹介・解説しているので、こちらも是非ご覧くださいね。

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出典:https://photo-ac.com/