つる性植物の女王クレマチスの花言葉を解説
「つる性植物の女王」とも呼ばれるクレマチス。英語では「旅人の楽しみ」という名をもつほか、ヨーロッパでは「乙女の休息所」、イタリアでは「ごま塩ひげ」、また日本でも「風車」「鉄線」などと色々な名で呼ばれています。
そんなクレマチスの花言葉を解説します。世界のあちらこちらに分布しており、種類も多いことで知られるクレマチスですが、その種類についてもご紹介します。
クレマチスの花言葉
「旅人の喜び」
クレマチスの代表的な花言葉「旅人の喜び」。これは世界のあちこちに分布していて、道端に木陰を提供することから付いた言葉だと言われています。
昔は、ヨーロッパの宿の玄関先などによく植えられていて、旅人の疲れを癒す花として愛されていたそうです。聖母マリアが小さなキリストを連れてエジプトに逃れた際も、クレマチスの木陰で休息をとったという伝説が残されています。
「安心」
クレマチスの「安心」という花言葉も同じような意味です。ヨーロッパの旅宿の玄関先や、道端でもよくみかけ、高い生け垣を覆い旅人に涼しい日陰を提供することが由来し「安心」という言葉でイメージされているのだと言われています。
英語の別名「旅人の喜び(Traveller's joy)」と呼ばれるように、昔はクレマチスの咲く宿は安心して一夜を過ごすことができ「休息」「安心」を約束する花と慕われていました。
「美しい心」「精神的な美しさ」
クレマチスには「美しい心」「精神的な美しさ」という素敵な花言葉もあります。これは細いつるをグングン伸ばして大きな鮮やかな花を次々に咲かせることから、内側に秘めるパワーをたたえ、このような言葉でイメージされているのだと言われます。
改良品種も多く、見た目や色もさまざまですが、どんなに外見が変わってもあり続ける真の美しさを説いている植物であるからこのような言葉でイメージされているという説もあります。
花色が多いことが由来した説
「精神的な美しさ」という花言葉の由来の1説には、白や紫、濃いピンク、そして青色などの寒色系の色など、花の色が多いことが由来して「美しい」という言葉が付く花言葉でイメージされているという説もあります。
特に鮮やかな青いクレマチスは綺麗な洋服に身を包んだ上品なマダムの姿を思わせ、内に秘めた「気高さ」「清らかさ」を表すと言われています。
「策略」「ずる賢さ」
クレマチスのちょっと怖い花言葉ですが「策略」「ずる賢さ」という花言葉もあります。ツル性植物の女王と呼ばれるほど美しいクレマチスですが、実は毒性植物のトリカブトと同じ仲間で、葉やつる、樹液などに触れるとかぶれることもあるそうです。
クレマチスは中国の本草学史の「本草網目」に生薬名として「威霊仙(いれいせん)」と記載されています。「効力は神のようにすばらしい」と記されているとはちょっと怖い話です。
中世のヨーロッパの貧民の知恵が由来
中世のヨーロッパでは、貧しい人たちがそんなクレマチスの性質を知ると、哀れみを誘うために、自分の体にその葉をすり込んでわざと皮膚を腫らしたのだと。そんな人をだまそうとする悪賢さを表す怖い言葉が花言葉としてイメージされているそうです。
ちょっと怖い話が由来となったクレマチスの花言葉もありますが「策略には気をつけなさい」とクレマチスが諭してくれていると想像力を働かせるとよい暗示の花として観賞できます。
クレマチスの特徴
キンポウゲ科クレマチス属の常緑低木
日本にも古くから自生しているクレマチスはキンポウゲ科クレマチス属(センニチソウ属)のツル性の低木です。葉が落ちる落葉性のものや常緑性の種類があります。学名はClematisと表記。ギリシャ語の「klema=つる性植物」が語源です。
クレマチスは3m~5mくらいの草丈が一般的ですが、中には30cm程の矮性種のものもありその種類は豊富です。花の形は広がって咲く種類や、釣り鐘型、つぼ型などがあります。
世界に数多く分布している
クレマチスの原産地はヨーロッパ、中国、北アメリカ、日本。世界に数多くの野生種や原種があり、交配によって多くの品種が誕生しました。特にヨーロッパで品種改良が盛んに行われたそうです。
どの種類もとても丈夫です。ただクレマチスを育てる時は、その種類によって剪定の仕方や手入れの仕方が異なるので、タイプによる性質を知って管理することが必要です。
咲い方も種類によって違う
種類がたくさんあるクレマチスは、その種類によって咲き方も一季咲きと四季咲きのものがあります。花の開花時期も種類によってさまざまです。
前の年の枝に蕾をつけて花を咲かせる旧枝咲きの種類、春に伸びた新しい枝に蕾をつける新枝咲きの種類、また前の年の枝から新しい枝が伸びて開花する新旧両枝咲きの種類もあります。
種類によって花の大きさも違う!
ポピュラーな種類とされているクレマチスの花の大きさは5cm~8cmくらいの中輪種ですが、大輪の花を咲かせる種類もあります。花びらの数も4枚~8枚、八重咲きの種類が楽しめます。
たとえば「テッセン」は四季咲きの花びらが6枚の中輪種、「モンタナルーベンス」は花びらが4枚の中輪種、「ドクターラッペル」は14cm~15cmの大きな花を咲かせる旧枝咲きの大輪種、「ダッチェスオブエジンバラ」は一季咲きの八重咲きの大輪種などです。
クレマチスの種類
バテンス系
日本ではクレマチスを「カザクルマ(風車)」と呼びことがありますが、これはクレマチスの和名ではなく、日本原産のクレマチスの品種名です。「カザクルマ」はパテンス系のクレマチスです。よく見かけるドクターラッペルもパテンス系です。
パテンス系のクレマチスはポピュラーにみられる花の形をしている種類。8枚の花びらをめいっぱい広げて咲かせる一重の大輪種です。前年の枝に花を咲かせる旧枝先で一季咲きの種類となります。
フロリダ系
日本でクレマチスを「テッセン(鉄線)」とも呼ぶこともありますが、これも「カザクルマ」同様にクレマチスの和名ではありません。「テッセン」は中国から江戸時代に渡来してきたクレマチスで、フロリダ系に分類されている有名な種類です。
フロリダ系の特徴は新枝咲きで四季咲きです。新枝咲きとはその年に伸びてきた新しい枝に花芽が付く種類。四季咲きなのでほぼ一年中花を咲かせます。
モンタナ系
モンタナ系のクレマチスは、十字の花びらが特徴の、花数の多い種類です。ツルが長く伸びるのでたくさん花が咲きます。旧枝咲きのタイプで、開花時期は4月~5月。花に心地よい香りを持つ特徴があります。
開花時期にはたくさんの花に覆い尽くされ、見事な景観を呈します。アーチやフェンスに這わせて楽しめる種類です。
インテグリフォリア系
インテグリフォリア系のクレマチスは、ツル性のものが多い中で、珍しく株立ちの種類です(一部、半つる性のものもあります)。比較的暑さに強く育てやすいのが特徴。四季咲きの種類です。
冬の間は地上部は枯れ、翌年、株元から新しい芽が伸びて花を咲かせる新枝咲きの種類となります。
花言葉を知ってクレマチスを観賞しよう!
「旅人の喜び」「精神的な美しさ」という花言葉を持つクレマチスは、世界のあちこちに分布している花で、その種類もたくさんあります。日本には真っ白い花の「カザクルマ」と呼ばれる野生種がありますが、どの種類のクレマチスもそれぞれ綺麗な花を咲かせます。
伸縮性のトレリスを利用すればベランダでも自在に誘引でき大きく育てて楽しめます。エントランスに植え、花言葉を想いながらクレマチスの花に癒されてみては如何ですか。
クレマチスについてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」ではクレマチスの情報をほかにもまとめています。ガーデニング初心者向けのクレマチスの育た方や、種類別の特徴、モンタナ系の育て方など、クレマチスの情報をもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。

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