薬味の定番「ミョウガ」とは
ミョウガ(茗荷)は独特の香りが特徴の植物です。日本ではそうめんや冷ややっこなどさまざまな料理の薬味に使用され、広く食べられています。当たり前のように見かける薬味のミョウガですが、あらためてその植物の特徴を見てみましょう。
特徴①ショウガ科の植物
ミョウガ(茗荷)はショウガ科ショウガ属の多年草植物です。葉や茎の形はショウガ(生姜)に非常によく似ており同じショウガ科であることもうなづけるでしょう。ショウガ(生姜)は日本では一年草扱いですが、ミョウガは多年草です。一度植えると毎年同じ場所から芽を出します。
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ミョウガと同じ属に分類されるショウガ(生姜)。葉や茎で両者を見分けるのは難しいほどよく似ています。ミョウガと同じく、薬味として大定番のショウガの特徴や栽培方法について詳しく解説した記事はこちらからどうぞ。

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特徴②栽培しているのは日本が主
ミョウガは日本では薬味に使用され家庭菜園用の苗が流通するほど一般的な栽培用植物です。森や里山などに自生していることも珍しくありません。
原産地は東アジアといわれており、日本のほかでは中国、朝鮮半島などに自生しています。そんな広くアジアに分布するミョウガですが、食用に栽培している国は日本や朝鮮半島、台湾など限定的です。日本人がいかにミョウガを薬味として重宝しているかがうかがえる事実といえますね。
東京「茗荷谷駅」はミョウガにちなむ
ミョウガが日本で広く栽培されていた事実は駅名や地名にも残されています。たとえば、地下鉄・東京メトロ「丸ノ内線」の「茗荷谷駅」はその土地がミョウガ栽培で盛んだったため駅名や地名に「茗荷」が残されました。
特徴③薬味として食べられているのはつぼみ
刺身のツマや豆腐の薬味に使用されている多くはミョウガのつぼみに当たる部分です。ミョウガのつぼみを縦に切り分けてみるとよくわかりますが、中に開花前のつぼみがはいっています。
この状態をそのままおいておくとつぼみの先端から花が咲きます。買ってきたミョウガを置いておいたら知らないうちに花が咲いたという経験をお持ちの方も多いことでしょう。
「花みょうが」は花なの?
スーパーなどでミョウガが「花みょうが」として販売されていることもあります。名前から花を食べているように思るかもしれませんが、「花みょうが」はミョウガのつぼみに当たる部分です。
では「みょうがたけ」は何?
「花みょうが」のほかに「みょうがたけ」があります。これは、ミョウガの茎(偽茎とも呼ばれ、正式には葉)に土寄せし、日光を遮って軟化栽培したものです。
特徴④地下茎で増える
地上部の姿は茎と葉のように見えますが、実はミョウガの茎は地下に伸びています。地上部に出ている茎のようなものは偽茎とよばれるもので、葉の1種です。
アスパラのようにミョウガは地下茎を地面の中に広く張り巡らせ、そこから地上部へ偽茎と葉を伸ばします。1株ミョウガを植えると一面に広がったというのもこの地下茎による繁殖能力の高さ所以です。ミョウガのつぼみはこの偽茎の根本から土をかき分けるようにして芽吹きます。
ミョウガの花の特徴
トマトやナスなど家庭菜園で育てられる野菜や植物は、茎の先端やわき目からつぼみが出てくるのが一般的です。しかしミョウガのつぼみは独特な位置に出し、これも特徴の1つでしょう。地下茎から茎や葉(偽茎)を出すように、直接地面からつぼみが顔を出します。
このつぼみを収穫すれば薬味のミョウガとなるわけですが、そのまま放っておくとつぼみから花が咲きます。これはほかの植物と同じといえるでしょう。
特徴①花の色は白
つぼみの色は薄い紅色をしていますが、そのつぼみから咲く花の色は白~薄黄色。花びらは薄くひらひらと繊細な印象ですね。花は1日で枯れてしまいますが、同じつぼみから次々と毎日新しい花びらが出てきます。
また、ミョウガの花は、雌雄同株です。花が咲くことはめずらしいことではありませんが、染色体数の関係からそこから実(種)を付けることはほとんどなく主に地下茎で増えます。
開花時期
7~8月に収穫されるものを夏ミョウガ、それ以降に収穫されるものを秋ミョウガと呼びます。薬味として食用されるミョウガのつぼみの旬は7~10月です。このミョウガのつぼみをそのまま収穫せずにしているとやがて花が咲きます。
ミョウガのつぼみを食用とする場合、花が咲くとつぼみの風味が落ちるため花が咲かない間に収穫してしまうのが基本です。
特徴②香り
薬味として頻繁に食べられるミョウガのつぼみは独特の香りが特徴ですが、そのつぼみから咲く花には独特の香りはありません。ミョウガの独特の香りの成分は「アルファピネン」や「カンフェン」に由来します。
つぼみの状態にこれらの成分がもっとも多く含まれるため、花が咲くとつぼみにあった香りの成分量は減少し花はほとんど香りを持ちません。
特徴③花も食べられる
ミョウガ独特の香り成分はつぼみに多く含まれるため、花に香りはほとんどありませんがつぼみのように食用可能です。白っぽい色が涼やかでつぼみほどクセなく食べられるため、育てているミョウガの花がついたときは食べてみるのも興味深いかもしれませんね。
葉は食べられる?
つぼみ、花、軟化させた偽茎が食べられるミョウガですが、葉は食用に向きません。ただし、香りがよいため団子や押し寿司を包むのにはよく利用されます。笹の葉のようなものをイメージするとわかりやすいでしょう。
ミョウガの花言葉と意味
地面からタケノコのようにして花が咲くミョウガ。白色で薄い花びらははかなげで繊細な印象を与えるでしょう。ひっそりと地面に花を咲かせるミョウガにも花言葉はつけられています。どのようなものなのかご紹介しましょう。
花言葉は「忍耐」
ミョウガの花言葉は「忍耐」です。これは、ミョウガの栽培環境にちなみところが大きいといわれています。
ミョウガは強く日差しが降り注ぐような場所よりは湿っぽく日陰の環境でよく育つ植物です。また、つぼみは地面から人知れずそっと顔をし花が咲くときも一晩で枯れてしまいます。そんな健気さから「忍耐」という花言葉がつけられました。
ミョウガの栽培方法について気になった方はこちらもチェック
ミョウガは日当たりや水はけに注意するとよく育ち、苗からでも根からでも栽培可能です。さらに、一度根付けば毎年収穫できます。また、プランターでも手軽に栽培できるため、マンションにお住まいの人でも収穫可能ですよ。ミョウガの栽培方法について解説した記事は以下からどうぞ。

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花が咲いた後も食べられるミョウガ
ミョウガといえば甘酢漬けやそうめんの薬味が定番の食べ方ですね。つぼみのミョウガは香りがすがすがしく、毎年旬の季節を楽しみにしている人も多いことでしょう。
ミョウガの独特な香り自体は減ってしまいますが、つぼみのあとに咲いた花も食用できます。ミョウガの花の惜しい食べ方をご紹介しましょう。
食べ方①即席漬け
材料
みょうが:5~10個
塩:小さじ1杯
ミョウガの花をつぼみのように即席漬けにする食べ方は簡単で手軽です。花が咲いている箇所は腐りやすいのでミョウガのつぼみを縦に半分に切り分け、その断面が腐っていないか確認してから漬物にしましょう。つぼみとは違う食感が魅力ですよ。
詳しい作り方はクックパッドで
塩だけでさっと即席漬けにしておけば腐りやすいミョウガの花も長くおいしく食べられます。ほかにも塩昆布やお酢を加えてよりさっぱりさせる食べ方もおすすめです。ミョウガのすがすがしい香りはちょっとしたお茶請けや一品にも重宝しますよ。
食べ方②天ぷら
材料
山取りミョウガ:10個ほど
キノコ等、その他の天ぷら材料:適当
天ぷら粉:適当
高温・短時間でからりと揚げて天ぷらにすればミョウガの香りが損なわれません。ミョウガの天ぷらは人気の食べ方ですが、花も天ぷらにできます。ミョウガの花びらと季節のキノコ、野菜と一緒にかき揚げにするのもおすすめですよ。ミョウガは肉とも魚介類とも相性がよいので食材を選びません。
詳しい作り方はクックパッドで
ミョウガの天ぷらをおいしく作るコツは揚げ温度。180℃ほどの高温・短時間で揚げましょう。水気が残っていると油がはねて危ないので、キッチンペーパーでしっかりふき取ってから油にいれます。薬味を超えて主役級のおいしさですよ。
食べ方③サラダ
材料
ミョウガ:8本
ポン酢:3cc
白~薄黄色の花びらが美しいミョウガの花はサラダにもおすすめ。食べられる花のことをエディブルフラワーなどと呼びますが、ミョウガの花もその一つといえるかもしれませんね。季節の野菜の上に花びらを散らせば見栄えもよくなり、花に残るミョウガの香りが食欲をそそります。
詳しい作り方はクックパッドで
ミョウガの花をポン酢やお酢、フルーツビネガーにつけてサラダにトッピングする食べ方もおいしいですね。クルトンやシーズニング感覚でサラダの上にミョウガの花びらを散らしてお気に入りのドレッシングをかけるだけでもおいしく食べられるのもうれしいポイント。カツオやマグロ、サーモンなどのカルパッチョのトッピングとも相性抜群です。
つぼみも花も!ミョウガの香りを味わおう
世界広しといえども古くからミョウガの独特な香りを、わざわざ栽培してまで楽しんできたのは日本人が主だったというのも大変興味深いといえます。
ミョウガはつぼみが主な食用部位ですがそこから咲く花も食べられることがよくわかりましたね。香りはつぼみに劣るものの、やわらかな食感や色鮮やかな見た目は花ならではといえます。つぼみはもちろん、花もおいしくいただきましょう。
ミョウガの花について気になった方はこちらもチェック
うだるような暑さの梅雨時期にミョウガの収穫時期は幕を開けます。ミョウガの香りは食欲をそそるので夏バテしがちな時期に心強い薬味ですね。手軽に作れてさらりと食べられるミョウガうどんの作り方について気になった方は以下の記事もご覧ください。

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