ショウガの栽培方法の時期やポイントをご紹介
さまざまな料理に利用し、その薬効のすばらしさで知られる香辛野菜、ショウガ。これまでショウガはスーパーで購入する野菜と思われていた方、ぜひご自身の家庭菜園で栽培してみてはいかがでしょうか。育て方は想像されてらっしゃるほどむずかしくなく、芽出し、種まきや植え付け、肥料や乾燥対策など、ショウガを植えるにあたって注意するべきポイントはいくつかありますが、収穫時期に寄ってさまざまな楽しみを経験できる野菜でもあります。収穫後には、しっかりと保存する方法もありますので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
ショウガの収穫時期による種類と特徴
ショウガは、収穫時期によって、収穫できる野菜が異なります。本場が数枚開いた7~8月ごろには矢ショウガ、もう少し成長させて8~9月ごろになると葉ショウガを収穫することができ、すっかり成長した秋には根ショウガを収穫することができます。また、保存方法によっては、ひねショウガとして利用することができます。このため、ショウガの栽培は、季節を通してさまざまな種類の収穫を楽しめるという大きな特徴があります。
ショウガはショウガ科の多年草
ショウガには、土の下に根茎が、土の上に葉のみが伸びるという特徴があります。地上に伸びる葉は、茎のように見えますが、実は葉が重なり合ったもので、茎ではありません。このため、別の茎が根茎から伸びて花が咲き、品種によって白やオレンジ色の花が咲きます。ちなみに、ショウガのことを英語でGinger(ジンジャー)と呼び、炭酸飲料水のジンジャーエールはショウガ風味の飲み物として知られています。
ショウガの栽培時期カレンダー
ショウガを植える時期はおよそ4月下旬です。通常、ショウガの種まきは、種ショウガと呼ばれるショウガの根を植え付けます。発芽までに時間がかかりますが、6月おわりごろに芽が出てしばらくすると、矢ショウガとして収穫することができます。収穫せずにそのまま栽培していく場合、夏までに追肥と土寄せを数回行い、8~9月ごろに葉ショウガ、葉先が枯れはじめ、黄色くなった11月ごろになると、根ショウガを収穫することができます。
ショウガは寒さや乾燥が嫌い
ショウガの原産はインドをはじめとする熱帯アジアだといわれています。このため、ショウガは寒さに弱く、温が15度以下になると生育が止まることから、種まきの時期は十分に温かくなってからがベター。さらに重要なのが湿度で、ショウガは乾燥を嫌います。土が乾燥してしまうと、根茎がしっかりと育ちませんので、湿度をしっかりと保たせるように、可能であれば敷き藁を使うほか、湿気の多い場所で育った植物を使ったピートモスなどを使うようにします。
ショウガの栽培の準備とは
ショウガを植える際、種ショウガと呼ばれるショウガを購入することからはじめます。一般に、春先に種ショウガとして店頭に出回ります。また、スーパーで購入するショウガを種ショウガとして利用するのであれば、15度前後の寒すぎず暑すぎないところに保存しておくことが重要。冷蔵庫に入れっぱなしのショウガを種ショウガはうまく発芽しない可能性が高いです。
ショウガは大きさによって風味が異なる
ショウガには、小ショウガ、中ショウガ、大ショウガと、大きさによって種類が異なります。小ショウガは早く生育し、初心者や家庭菜園におすすめですが、根茎が小さく、風味は辛みが強いのが特徴です。中ショウガは、小ショウガよりも遅く生育し、根茎は大きいのが特徴で、風味は同様に辛みが強くなっています。一方、大ショウガは、ゆっくり大きく育ち、風味は辛みが少ないため、スーパーなどで出回る品種として知られています。いずれにせよ、種ショウガは、ショウガを植える際にその後の成長を大きく左右させるため、見た目にきれいで、ツヤのあるものを選ぶようにしましょう。
ショウガの育て方①芽出し
ショウガの種まきの前に重要なのが、芽出しという作業です。種ショウガをそのまま植えてももちろん芽が出ますが、発芽するのに時間がかかるため、芽出しをしておくと早く発芽します。芽出しの方法は、植える数日前に、種ショウガを太陽の光に当てて乾燥させるという方法が一般的です。ただし、寒い地方などでは、保温させながら箱植えし、芽出しの後、畑に植えるという方法もあります。いずれにせよ、芽出しをすることで育てやすくなるので、芽出しをする必要はないと思ってらっしゃる方以外は、芽出しを行ってから種まきをしましょう。
土の準備も忘れずに
ショウガは、乾燥に弱いものの、水はけが悪い土でもしっかりと成長しません。根腐れを起こすこともありますので、ショウガ栽培に適した土を準備することは非常に重要です。ショウガ栽培に適した土は、水はけがよく、肥料の持ちがいいやわらかい土です。市販の野菜用の培養土のほか、植え付けの2週間ほど前に畑の土に切開を混ぜ、さらに1週間後に堆肥を混ぜ、土の酸性土を調整しておくことで、ショウガが立派に成長します。
ショウガの育て方②植え付け
ショウガを植え付ける時期は4月中旬以降となります。地温が15度を超えないと生長しませんので、必ず植え付けの時期を確認してから行いましょう。プランターに植え付ける場合、プランター一杯に土を入れる必要はありません。6~7割程度を目安としましょう。大きめのプランターにいくつかの株を植える際は、株と株の間は30cmを目安とします。芽出しした芽の方を植えにして植え付け、軽く土をかぶせるようにします。植え付けが終わったらたっぷりと水やりをすれば終わりです。
庭植えの際の注意点とは
ショウガを庭植えで植える際、数年、ショウガを作ったことのない畑に植えるようにします。種ショウガは、畝に対して縦方向に植えることが重要です。種ショウガの芽が少ないと、株が小さくなってしまうので、2.3芽ほどありそうな種ショウガを選びます。切り口が腐っている種ショウガはその部分を切り取っておくようにします。芽出し作業をほどこした種ショウガを植える場合は、必ず芽を上向きにするように植えましょう。
ショウガの育て方③種まきから発芽まで
ショウガの芽出しをする・しないに関わらず、適切な時期に種まきを行えば、ショウガは十分に育ちます。芽出しをした方が早く発芽しますが、適切な時期に種まきを行い、発芽して本葉が数枚出てきたら、土寄せという作業を行います。土寄せとは、ショウガの根基に土を盛ることで、こうすることによってショウガがしっかりと生長し、品質もよくなります。
種まき後の土寄せのタイミングは
ショウガの育て方で大切なのは、種まきをしてからの土寄せです。土寄せの際に肥料も与えるようにして、土寄せと肥料を同時に行うようにしましょう。土寄せや肥料のタイミングは、発芽して本葉が数枚出てきたときに、1回目の土寄せと肥料を施します。草丈はだいたい15cm程度です。肥料を株のそばの土と混ぜながら、土寄せをしていきます。草丈が倍になったら2回目の土寄せと肥料を施し、それ以降は月に一度のペースで土寄せと肥料を与えていきましょう。
ショウガの育て方④肥料
ショウガに施す肥料は、有機肥料を使うか、化成肥料を使うかによって、与える量が多少異なります。有機肥料の場合、1平方メートルに80g前後、化成肥料の場合、1平方メートルに40g前後の肥料を施します。肥料を施した後は、土を株の方に寄せましょう。新ショウガは、種ショウガの上にできるため、新ショウガが日に当たると緑色に変色し、味が落ちてしまいます。
肥料の施しすぎにも注意
ショウガの肥料は、ショウガの生長にともなって施していきます。芽が出てくる6月ごろ、さらに生長した8月ごろに施します。9月上旬ごろまでは、肥料を施すことで実が充実していきますが、以降も肥料を施しつづけていくと、ショウガの充実が悪くなってしまいますので、肥料を与えつづけるのもよくないということを覚えておくようにしましょう。
ショウガの育て方⑤収穫
ショウガの収穫は、夏ごろから矢ショウガ、葉ショウガとしてはじまります。種まきから半年ほど経ち、10月ごろには葉が黄色くなると、ようやく新ショウガの収穫となります。ショウガは寒さに弱いため、霜が降りる前に収穫を終わらせましょう。
それぞれのショウガの収穫の方法
矢ショウガは、葉が3~5枚程度開いた初夏から収穫できます。根の付け根を押さえて芽をかき取るように収穫しましょう。葉ショウガは、根茎が大きくなりはじめた頃、晩夏に収穫します。根の付け根を押さえ、若い根茎を抜き取るように収穫します。種ショウガを傷つけないように注意しながら行いましょう。根ショウガは、10月以降、霜が降りる前に収穫します。株の周囲を掘り、一気に収穫します。
ショウガの育て方⑥保存方法
収穫したショウガを保存したい場合、収穫した土を洗い落とさず、土がついたまま、数日、乾燥させます。ショウガを株ごとに新聞紙などで包み、水をつけて湿った状態で密閉させます。ショウガを保存する場合、湿度も重要ですので、必ず湿らせて保存するようにしましょう。
保存適温を忠実に守るように
ショウガを保存するにあたって、保存適温を守ることが重要です。保存適温は13~15度。10度以下の冷所で保存すると腐ってしまいますので、冷蔵庫などでの保存はNG。10度以下にならない室内などで保存しましょう。スーパーなどで購入したショウガも同じように、冷蔵庫で保存せず、湿らせた状態で10度以上の場所で保管するようにします。
ショウガの栽培のポイント①日頃の管理
ショウガの育て方で気を付けたいのが水やりです。ショウガは乾燥に弱いため、水やりは非常に重要ですが、水をあげすぎると根腐れを起こしてしまうため、水のあげすぎにも注意しましょう。とくに夏の盛りの間は土が乾燥しないようにしっかりと水やりを行いましょう。
水やりは朝夕の涼しいときに
とくにプランターでショウガを栽培する場合、朝夕の2回は水やりをするように心がけましょう。庭植えで栽培する場合、毎日、水やりをする必要はありません。週に一回程度、朝夕の気温が低いときに行いましょう。プランターも庭植えも、ショウガの育て方としては、土が乾燥したら水やりをすることを心がけましょう。
ショウガの栽培のポイント②病害虫
ショウガ栽培で起こりうる病害は、根茎腐敗病という病気です。この病気は、病原菌の被害に遭った種ショウガや畑の土から伝染します。多くの場合、畑の土と接した茎の地際部から感染し、葉の色が変色していきます。症状が悪化すると、葉茎が腐敗していくため、葉や茎に異常が見られたら、すぐに除去するなどの対策を取ることが必須となります。また、ショウガを栽培する際、畑の土を改善し、感染していない種ショウガを選ぶことも重要です。
害虫の被害もあなどれない
ショウガを育てる際、注意したい害虫の中に、ハスモンヨトウがあります。7月ごろから発生しはじめ、ショウガの葉を食べる害虫です。また、アワノメイガは6月ごろから発生し、7月後半から目立ってきます。幼虫が茎に寄生し、茎葉を枯らせてしまいます。ほかにもネコブセンチュウ、イネヨトウなど、さまざまな害虫がありますが、いずれの場合も、早期発見することで早期防除することができますので、日頃からショウガの様子を確認することも大切です。
ショウガの栽培のポイント③連作障害や乾燥対策
ショウガの植え付けで注意したいのが連作障害です。連作障害とは、前年と同じ場所にショウガを植えることでショウガに害が生じることで、病害虫などの被害に遭うほか、土の栄養分が悪くなって収穫できなくなるなどのトラブルが発生します。このため、前年、ショウガを育てた畑とはちがう畑で植えるなどして、連作障害を起こさないように植え付けの際は工夫するようにしましょう。
乾燥に弱いショウガにおすすめの育て方とは
ショウガは乾燥が苦手な野菜です。このため、発芽した後、乾燥しないように株元に敷き藁をする方法が有効です。ただし、プランターでショウガを栽培している場合、敷き藁を準備するのはむずかしいこともあります。そんなときは保水力の高いピートモスなどを利用して乾燥予防をすることもおすすめです。土寄せの際、うまく利用して失敗しない育て方を目指しましょう。
ショウガをおいしくいただくために
その辛み成分であるジンゲロールの効能によって、殺菌作用、抗炎症作用、細胞の活性化といったさまざまな薬効で知られるショウガ。さまざまな料理に加えることで、辛み成分を楽しむと同時に、身体の健康にも効果が期待できるすばらしい食材です。収穫時期によって、さまざまな食べ方があるため、ぞんぶんにショウガを楽しみましょう。
収穫時期で楽しめるショウガ料理とは?
矢ショウガは、甘酢に漬けて、魚の添え物として使われます。甘酢も美味ですが、梅風味にすると食べやすくなりますし、醤油に漬けてごはんといっしょにいただくのも美味。葉ショウガはもろ味噌につけるほか、天ぷらにしてもおいしくいただけます。新ショウガは、さまざまな料理といっしょに利用できるほか、はちみつといっしょに混ぜて飲むと咳止めにもなります。
ショウガをたくさん収穫しよう
春になり、温かくなってきたら、ぜひはじめてみたいショウガ栽培。今回は育て方のポイントや収穫時期によるショウガのちがい、保存方法などについてご紹介しました。乾燥対策や病害虫など、気を遣うことはいくつもありますが、さっそく栽培してみましょう。上手に保存すれば、しばらくの間、ショウガを楽しむことができます。
ショウガの効能やレシピなどが気になる方はこちらもチェック
収穫後のショウガの利用方法をはじめ、効能などが気になる方はこちらの記事もご参照ください。きっと役に立つはずです。日頃の食生活を充実させて、ショウガとともに健康ライフを目指しましょう。
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