山野草の土
ヤグルマソウ(矢車草)とは?
日本やアジアが原産地の山野草
ヤグルマソウ(矢車草)と聞くと、ヤグルマギク(矢車菊)を連想する人が多いのではないでしょうか。ヤグルマソウは、ヤグルマギクがヨーロッパ原産のキク科なのに対し、ヤグルマソウは日本や朝鮮半島などが原産地のユキノシタ科として区別されています。
ヤグルマソウの基本情報
【和名】 | ヤグルマソウ |
【学名】 | Rodgersia podophylla |
【分類】 | ユキノシタ科ヤグルマソウ属 |
【草丈】 | 0.8~1.5m |
【花期】 | 5~7月 |
【植え付け時期】 | 9~10月 |
【原産地】 | 北海道、本州、中国 |
ヤグルマソウは日本の山奥の涼しい地域に50cm~1.5mほどの草丈で群生していて、花期には、白い小さな花をたくさん咲かせています。5つ葉が「矢車」を連想させるような特徴的な形であるため、自然の中でヤグルマソウを探すときも「葉の形」に着目すると見つけやすいでしょう。
ヤグルマソウの花言葉は「清楚」「幸福感」「出発」
ヤグルマソウの花言葉は「清楚」「幸福感」「出発」という意味が込められています。花言葉は花のイメージシンボルとして連想されるため、大切な人に花を贈るときはぜひ花言葉を意識したいものです。ヤグルマソウの花言葉は喜ばしい意味ばかりなので、育てる花としても人に贈る花としても縁起のいい植物でしょう。
ヤグルマソウの特徴
育てやすく、プランターでの栽培も可能!
ヤグルマソウはもともと自生する力の強く病害虫も少ないのが特徴で、湿度管理と日光条件をしっかり調整をすることで簡単に育ってくれます。そのため初心者の方でも挑戦しやすいでしょう。また庭での栽培だけでなくプランターでの栽培が可能です。
草丈が伸びやすく、群生しやすい
またヤグルマソウは地下茎で増えるので群生しやすい特徴のある植物です。草丈が伸びやすく、高いものだと1.5mほど伸びることもあります。草丈を抑えてプランターなど小さな規模で育てたい場合には、鉢を小さめのものを選ぶといいでしょう。
冬越しができる多年草
ヤグルマソウの特徴の最後は、冬越しができることです。多年草なため、一度育てると2~3年ほど成長を楽しめます。植え付け時期から花期、収穫時期や冬越しなど1年を通して手入れは必要ですが、しっかりと下準備をすることで長く元気に育ってくれるでしょう。以下では育て方を解説していくのでぜひ参考にしてください。
ヤグルマソウの特徴
- 病害虫も少なく初心者でも育てやすい
- 草丈が伸びやすく群生しやすい
- 多年草なので冬越しができて長く楽しめる
ヤグルマソウを育てるための下準備
ヤグルマソウは植え付けの時期に手に入れよう!
ヤグルマソウは種自体を販売していることが珍しく、苗から育てることがほとんどです。苗は9〜10月ごろの植え付け時期に店頭や通販などで流通するためチェックしてみてください。実際に実物を手にとって選べる場合には、葉が5つ揃っていて株元が強い苗を選んで購入しましょう。
水はけがよい土を選ぶことがポイント
山野草の土
比較的どんな土でも問題ありませんが、市販の培養土の選ぶときは「山野草の土」を購入しましょう。ブレンドする場合は、赤玉土と鹿沼土、川砂または軽石を同じくらいに混ぜ合わせた土にします。プランターで育てる場合は、鉢の大きさを小さくすると水はけがよくサイクルを保てるので、試してみてください。
ヤグルマソウの育て方
育て方は湿気がポイント!水やりはこまめに
ヤグルマソウの育て方のポイントとなるのは湿度と温度のバランスです。ヤグルマソウは乾燥に弱く湿気を好む植物なので、土が乾くことのないように毎日水やりは小まめにしっかりと行いましょう。特に日差しの強い夏の間は直射日光で育てるよりも、風通しがよい日除けができる場所で育てた方が元気に育ちます。
日の当て方
ヤグルマソウを庭で直に植える場合は、直接日が当たらない日陰のある場所を選び、プランターの場合は季節ごとに置き場所を変えて温度調節をして育てます。春や秋の涼しい季節は日の当たる場所で育て、暑くなってきたら半日陰に移動させましょう。
肥料の与え方
ヤグルマソウを育てる上で肥料与えるのは月に2回が妥当です。庭で育てる場合には、成長期にあたる春と秋は肥料を多めに与えましょう。肥料を与えすぎると成長しすぎて草丈が伸びやすいため、プランターなどの小さい鉢で育たい場合には量を調節し過度に与えすぎないのがポイントです。
ヤグルマソウの育て方
- 水やりはこまめに行う
- 半日陰の環境で育てる
- 草丈が伸びやすい場合は肥料を調節
ヤグルマソウの季節ごとの手入れ
花期の手入れ・切り戻し
ヤグルマソウは基本的に大胆に根元からの切り戻しは必要ありません。けれども咲き終わった花ごと花がらや枯れた部分は切り戻してあげましょう。自生する本来の状態に任せて、枯れた部分を小まめに手入れすることで元気に育ちます。
地域によっては蛾の幼虫が害虫になるので注意
ヤグルマソウは病害虫の心配が少なく育てやすい植物でしょう。しかし植物地域によっては害虫として、蛾の幼虫の食害があるため注意が必要です。害虫となる蛾は7月から8月が産卵時期となるため、花期に卵がないかを良く観察してみましょう。病害虫対策としては、湿度と同時に通気性を考えることで元気に育ちます。
植え付け・植え替え時期の手入れ
ヤグルマソウは、9月~10月には植え付けや植え替えの時期なので、この時期に土の入れ替えや場所の移動ができます。植え替えは2~3年に1回の目安に行うのが適切です。株分けや増殖するのも最適な時期となります。
季節ごとの手入れ
- 枯れた部分や花がらはこまめに切り戻しする
- 花期は病害虫に注意して通気性がよい環境にする
- 植え替えは9月~10月に2~3年に1回が目安
ヤグルマソウの冬越し
ヤグルマソウの冬越しは、冬でも日当たりがよく暖かい場所が適切です。野外の冬越しの場合は、霜が当たらない場所で管理します。室内で冬越しする場合には、湿度の管理ができる昼夜の気温差がない場所が適切でしょう。
水やりの頻度に注意
室内の暖かい場所での冬越しは、通常と変わらない頻度で水やりを行いましょう。野外では、ヤグルマソウが休眠状態にあるため水やりの頻度を下げるようにします。また、冬場は午後に水を与えてしまうと、気温が下がり水が凍ってしまう恐れがあるため、午前中に水やりを済ませましょう。
ヤグルマソウの冬越し
- 日の当たる温かい場所で管理する
- 水やりの頻度や時間帯に注意!
ヤグルマソウの全国の名所と咲く時期
北海道や本州の湿地を原産地とするヤグルマソウ
育て方を中心に解説してきましたが、ヤグルマソウはもともとアジアが原産地とされ、日本では北海道西南部や本州の高山に多く分布していてるとても身近な植物です。以下ではヤグルマソウが見られる名所やおすすめの植物園を紹介するので参考にしてください。
※2021年8月現在の情報をもとに記事を作成しています。
山形市野草園(山形県)
山形市野草園は、山形県駅からバスで30分のところにある植物園で約1200種の野草が鑑賞が可能です。園内にある自然学習センターでは自然観察ガイドや体験講座、イベントも行われています。大人料金は300円ですが、高校生以下は無料で楽しめるので気軽に野草鑑賞ができるでしょう。
山形市野草園
- 公式サイトURLhttps://www.yasouen.jp/
- 住所〒 990-2406
山形県山形市神尾832−3 - 営業時間9:00~16:00
ヤグルマソウの開花期は?
山形市野草園のヤグルマソウは大体5月下旬〜6月下旬に観察日記などで報告されています。咲く時期である園内ではヤグルマソウ以外にもニッコウキスゲやハクウンボク、クリンソウの湿地地帯の野草が多く見頃を迎えるので訪れてみてはいかがでしょうか。
東京都薬用植物園(東京都)
東京都薬用植物園は、国内から世界各国の薬草まで多くの珍しい植物が栽培されていていて、観覧が無料なことから気軽にヤグルマソウを鑑賞できるだけでなく、資料館の展示やハーブの販売なども楽しめます。最寄駅から徒歩2分という立地もアクセスしやすくおすすめです。
東京都薬用植物園
- 住所〒187-0033
東京都小平市中島町21-1 - 営業時間【4月~9月】:9:00〜16:30
【10月~3月】: 9:00〜16:00
ヤグルマソウの開花期は?
東京都薬用植物園のヤグルマソウは、平均的に5月上旬〜6月上旬に開花していて、咲く時期である園内の見頃の花は230種あるので、そのほかにもたくさんのハーブや薬草を楽しめるでしょう。植物の種類によって栽培場所を区分けされているので、薬草について学ぶ場所としても最適です。
白馬五滝高山植物園(長野県)
白馬五滝高山植物園は 標高1515mの高山に作られた植物園で、ゴンドラに乗って山々展望できます。普段は味わえない、山頂の眺めや花々を楽しめるでしょう。ゴンドラやリフトの乗車には料金がかかりますが、山頂まではリフトを利用せずに歩くことも可能です。
白馬五頭高山植物園
- 公式サイトURLhttps://www.hakubaescal.com/shokubutsuen/
- 住所〒399-9300
長野県北安曇郡白馬村北城飯田
ヤグルマソウの開花期は?
白馬五滝高山植物園のヤグルマソウの開花期は7月上旬〜7月下旬が通例で公式サイトでも記載があります。ヤグルマソウが咲く時期には他の珍しい高山の花もたくさん鑑賞できるでしょう。白馬五滝高山植物園では普段では高山植物を中心に栽培しているため、観光スポットの一つとしておすすめです。
ヤグルマソウの原産地と名所
日本でのヤグルマソウの名所は北海道や東北各地の湿地地帯、日本アルプスの高山地帯に分布しています。日本以外では東アジアを中心に5種類の品種が存在し、中国が原産地の「チョコレートウイング」は季節ごとに葉っぱの色の変化が楽しめることで人気なので、日本のヤグルマソウと合わせて育ててみてはいかがでしょうか。
ヤグルマソウを育てよう
まとめ
ヤグルマソウの花の特徴から原産地や花言葉、育て方を中心に紹介しました。ヤグルマソウは、日本古来の奥ゆかしさと大和撫子のような強い生命力のある植物です。ぜひこの機会に育ててみてはいかがでしょうか。
ユキノシタ科の植物が気なる方はこちらをチェック
暮らしーのではヤグルマソウの他にもユキノシタ科に属する植物の記事を配信しています。同じユキノシタ科は属性が似ているため、一緒に育てる上では相性のいい植物でしょう。ユキノシタの植物の育て方や花言葉について知りたい方はぜひ以下の記事を参考にしてください。

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出典:pixabay.com