はじめに:ミヤコグサとはどんな植物か
ミヤコグサの花や葉の様子と別名を紹介
ミヤコグサは非常に花期が長い植物で、日本でも明るい日なたの野原や道端で見かける野の花です。とても小さな花であるため見逃しがちと思いきや、その花色が鮮やかな黄色であること・1本の茎が地を這うように長く伸びる矮性多年草植物であるため意外とひと目を引く存在となっています。
散策の途中で摘んで持ち帰り、活け花として和風・洋風にアレンジしている画像もSNSなどでよく見かけることがあるでしょう。
ミヤコグサの種まきから育て方も解説
今回はこのミヤコグサの植物分類からその見た目・花言葉だけでなく、よく似たセイヨウミヤコグサという植物との簡単な見分け方も解説します。
また野生に生えているものから種を採種して、種まきからの栽培方法もご覧いただきましょう。庭を植物で埋めたい・ほかの雑草を防ぐために何かグランドカバーを育てたいという方は必見です。
ミヤコグサとは植物分類などの基本情報
それではまずこの非常緑多年草であるミヤコグサの生息場所・植物分類や花言葉をご紹介します。よく似た花にセイヨウミヤコグサという植物がありますが、あまりに似ているために自生しているものではなかなか見分け方も大変です。
花の付き方や葉の様子など見た目の特徴に触れつつその違いについても詳しく解説していきましょう。
ミヤコグサの基本情報
科・属 | マメ科ミヤコグサ属 |
原産地 | 東アジア |
英語名/学名 | birdsfoot trefoil/Lotus japonicus |
育て方難易度 | 簡単から普通 |
ミヤコグサはマメ科多年草植物
ミヤコグサは道端や空き地に自生しており、矮性で長く茎を伸ばして這うように固まって咲いている姿を見ることができます。果実のこぼれ種で増えるので一年草のように思われていますが立派な多年草植物です。
冬になると地上部はすっかりと枯れてしまい春になるとまた芽吹くので種からの発芽か曖昧で、これも多年草に見られない理由のひとつとなっています。
ミヤコグサの見た目の特徴
草そのものの大きさは30-50cmと長いですが、地面を這うように伸びるのでそれほど草丈は大きくなりません。マメ科の植物ということで左右対称で上下が非対称な蝶形花(ちょうけいか)という独特の形をしています。
ひとつの茎から2-3個の花を咲かせ、その花後には草笛の材料でもあるカラスノエンドウとよく似たさやができて、そこにたくさんの種子が作られます。
ミヤコグサとセイヨウミヤコグサの違い
ミヤコグサと見分けが付かないくらいよく似ている植物にセイヨウミヤコグサというものがあります。
どちらも花の色は黄色・草丈も矮性でぱっと見の雰囲気はまるで同じ花ですが、よく見るとセイヨウミヤコグサには葉や茎など緑色の部分に白っぽい細い毛がたくさん生えているところが違いです。
1本の茎につく花の数も違う
セイヨウミヤコグサと日本のミヤコグサは1本の茎からでる花の数も大きく違います。ミヤコグサが2-3個が限界のところセイヨウミヤコグサは5個くらい花が付くこともあり、どちらかというとこちらの方が見栄えはとてもよい植物です。
侘び寂びを感じたいのであればミヤコグサ。より華やかな印象を求めるのであればセイヨウミヤコグサがよいといえますね。
ミヤコグサの開花期の長さ
ミヤコグサはとても開花期が長くて春先4月から7月くらいまで咲き続けます。春から咲いているなら結実は早そうに見えても、花期が終わるくらいになってやっと緑のさやを付け始めます。
ミヤコグサは3枚小葉の多年草植物
ミヤコグサはその葉の付き方にも特徴があります。これは3枚小葉と5枚小葉のどちらともいわれているのですが、基本は3枚と考えるとよいでしょう。これは1本の茎から2-3個付く花茎の付け根部分にも見られます。
葉の方は3小葉を枝分かれしている部分までたどると小さな2枚の葉があり、これを合わせて5小葉とする方と3小葉の複葉2枚と見る考え方で意見が分かれるところです。
ミヤコグサの花言葉は「また会う日まで」
ミヤコグサにはいくつか花言葉が存在しますが、その中で一般的なものとしてまた会う日までというものがあります。これはミヤコグサの名前が由来といわれており、都から離れる人の気持ちを表しているものです。
このほか気まぐれな心・復讐・恨みを晴らすがあり、特にネガティブな復讐や恨みを晴らすという花言葉はほかのマメ科植物にも見られるもので、そのツルで巻き付いていく姿から連想されたといわれています。
ミヤコグサの誕生花は7月8日
この花に付けられた誕生花は7月8日。この日が誕生日の人に贈る花に選んだり、その日が誕生日の人のラッキーフラワーなどとして刺繍やイラストとして身につけると運気があがると信じられています。
複数あるミヤコグサの別名とその由来
ミヤコグサにはいくつかの別名が存在します。有名なものからあまり知られていないものまで、その別名にはそれぞれそう呼ばれた理由があるので、ここではそのミヤコグサの名前の由来についてご覧ください。
ミヤコグサの名前の由来
別名の前にまずはミヤコグサというこの植物の名前の由来からお話します。ミヤコと聞いて思い出すのは東京でしょうか?京都や奈良も立派な古都ですね。
牧野日本植物図鑑という書籍では、ミヤコグサが差すミヤコとは京都。大仏前の耳塚という場所に多く生えていたためミヤコグサと呼ばれたと説明されています。この説が正しいとするとミヤコグサのミヤコは京都ということになるでしょう。
ミヤコグサの別名1.コガネバナ
ミヤコグサの花色はとても鮮やかな黄色一色です。黄色は黄金に光輝くさまを表現する色としても使われますね。このコガネバナという別名はミヤコグサの花色から来ているものです。
ミヤコグサの別名2.エボシグサ
ミヤコグサの別名で有名なものがこちらのエボシグサ。漢字で書くと烏帽子草となり、烏帽子とは昔奈良時代から江戸時代までの長きに渡って貴族の被り物とされてきた帽子のことです。
ミヤコグサの花がこの烏帽子に似ていることからこのような名前が付きました。この烏帽子にもいろいろな形があり花びらの形のようでもあり、長いさやの姿に似ているものといろいろです。
ミヤコグサの別名3.ヒャクミャッコン
これはミヤコグサという名前の元として考えられている中のひとつですが、漢方の百脈根(ヒャクミャッコン=ミヤコグサの漢方での名前)がミャッコンと縮められたもの。
それがいいにくいため呼ばれ続けていくうちにミヤコになり、それだけでは都と間違われてしまうことが多いので、植物であることを強調する目的でクサが付いたという説があります。
ミヤコグサの種まきからの育て方
野に咲くミヤコグサのさやが黒くなっていたら、中の種も熟していますので持ち帰り種まきからの栽培を楽しむことができます。最後になりますが簡単にミヤコグサの育て方も解説しましょう。ポイントは種まきの前の準備方法です。
ミヤコグサの日当たり
野原や道端など遮蔽物のない日当たりのよいところを好んで自生するのがミヤコグサです。家で庭のグランドカバーや鉢植えで育てる場合でも、できるだけ自生している状態に近いような常に日光が降り注いでいるような場所に置いてください。
ミヤコグサの種まき
ミヤコグサのさやが黒くなったら中の種も熟しています。さやを手で割るとたくさんの種が簡単に手に入るので、自宅でミヤコグサを育てはじめるのはとても簡単です。
この種の特徴は殻が硬いこと。確実に発芽させるにはこの殻をサンドペーパーなどで剥いてしまい、ぬるま湯につけて2倍ほどの大きさまでふやかしてから種まきします。
覆土はほぼしない好光性植物
ミヤコグサは野の花ですのであまり肥沃な土ではなく肥料分がない方がむいています。土質はこだわりませんので庭の土にそのまま植え付けたり、鉢植え用の土として使うとよいでしょう。
ミヤコグサは植え替えをせず育てる
マメ科の植物はどれも根をいじられるのを嫌いますので、種まきをして間引きをしたらそのまま植え付けや植え替えはせずに育てた方が失敗を防げます。春に咲く花ですので前年の秋(9-10月ころ)に種まきをしたら、その場所で栽培してください。
水やりと肥料
庭に地植えしているものであれば、水やりの必要はありません。鉢植えにした場合は土が十分乾燥してから、たっぷりと与えるようにしてください。
肥料はあげると徒長します。元々茎が長い矮性の植物ですので間延びしてしまうと花よりもグリーンが目立つことに。できるだけあげないことが好ましいですが、花つきが悪いなどの場合は有機肥料を株元に埋めることであまり徒長させずに花の数を増やすこともできます。
果実の結実時期と収穫時期
さやは比較的早い時期にできてきますが、薄く平べったい形で成熟するまで時間がかかります。熟れる時期は初夏から夏にかけて。若いさやのうちに収穫したいと感じるかもしれませんが、種取りをする目的であれば株が枯れかけてさやが真っ黒になる秋まで待ってください。
まとめ:野に咲くミヤコグサの植物図鑑
野草だが印象深いミヤコグサの花
ミヤコグサの生息する場所など基本情報やセイヨウミヤコグサとの違い・開花期の長さなどの特徴から名前・別名の由来とご紹介してきました。
道端や野原などで見かける野草でも、かわいらしく心ひかれる植物はたくさんあります。そのひとつとしてミヤコグサとはどんな花かを知っておくことで、より散策や庭でのガーデニングが楽しくなるでしょう。
ミヤコグサが気になる方はこちらもチェック
ミヤコグサと同じくマメ科の植物についても暮らしーのではいろいろな種類のご紹介・育て方解説記事をご用意しています。同じマメ科といっても個性はいろいろありますので、ミヤコグサの花と見比べてみるのも楽しいですよ。

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出典:https://photo-ac.com/