はじめに:初心者でも出来るソラマメ栽培
プランターでも可能なソラマメ栽培
家庭菜園でソラマメを栽培してみませんか。プランターでも手軽に作ることができる作物として採れたての旬の味がすぐに食卓に並べられるソラマメはうってつけの植物で自分で楽しむのも家族の笑顔のためにもピッタリの食材となってくれるでしょう。今回はこの野菜の栽培方法を水やりや肥料といった日常管理からソラマメ特有ともいえる剪定方法のコツやポイントを知るためや気をつけたい害虫や病気の対策や予防の指針としても是非ご活用ください。
ソラマメ栽培の前に基本情報を確認
ソラマメの栽培方法を見ていただく前にまずはこの植物の分類や原産地といった基本的な知識と見た目や家庭で栽培する場合の旬の時期・気をつけたい害虫と病気について知っておくことで、この後の育て方解説が頭に入りやすくなるでしょう。
ソラマメの基本情報
科・属:マメ科ソラマメ属
原産地:地中海など
英語名/学名:broad bean/Vicia faba
ソラマメの見た目の特徴は
ソラマメは豆の仲間ですので、ツル植物だと思っていらっしゃる方も少なくないようですが、栽培してみると他の豆類とは少し違うことにすぐ気づきます。茎はしっかりとしていて自立しやすくひとつの種からたくさんの芽が出てきます。株全体の雰囲気はどちらかというとじゃがいもをイメージしてもらった方がしっくりくる方も多いのではないでしょうか。
自宅でソラマメ栽培した場合の旬の時期
そんなソラマメですが、旬の時期はスーパーで初物として並ぶよりも1-2ヶ月遅いのが家庭栽培した時の収穫(食べごろ)時期となります。これはお住まいの地域の暖かさにもよりますが、市販される野菜類はハウスなどを用いて本来の時期よりも早く収穫できるようにしているためこのようなズレが発生します。
ソラマメ栽培の天敵!虫や病気は
ソラマメに限らず植物を栽培する場合気をつけなくてはいけないのは虫や病気の被害でしょう。苗が健康であれば多少の虫・病気が発生しても植物の成長の方が早くあまり被害は起こりませんが、まだ株が弱いうちだとそうはいきません。
ソラマメ栽培はアブラムシに注意!
アブラムシはどんな植物でも発生する可能性が高いいわば植物の天敵ともいえる虫です。主な被害は植物の汁を吸い栄養を奪うこと。少しくらいついただけならば、見つけ次第捕殺することで大きな被害には至らないことも多いです。
しかし何しろ数が多い・病気の原因ともなる場合があるということで最悪の場合アブラムシで植物が枯れることもあります。対策は捕殺のほかには作物に影響のない農薬を株元に散布して虫に吸わせ駆除するのが一般的な方法です。
ソラマメ栽培に必要な道具と種選び
ソラマメの基本情報や見た目の様子・気をつける害虫など確認していただいたところで、次に栽培のために必要な道具とソラマメの人気品種についてご紹介します。栽培のためにはまず種選びと道具を用意しておくことが必要です。
栽培のヒントに!ソラマメの種の種類と選び方
ソラマメを栽培していると必ず1つのさやに3個の豆が入っているわけではないというのがおわかりいただけるでしょう。しかしタキイなどの人気の種苗会社から出ている優秀な種であれば品種改良によりこの3粒出来る確率を大幅にアップさせることも可能です。おすすめなのが一寸と呼ばれるタイプのソラマメ。仁徳一寸は3粒の確率がかなり高い優秀な種といわれています。
冬の寒さ対策に春蒔き種もおすすめ
一般的なソラマメは秋に種まきをして苗の状態で冬越し翌年に収穫というおおまかな流れとなります。しかし日本は南北に長い島国なので北と南の栽培方法が同じというわけにはいきません。
冬が厳しい地域で無理に秋まきでハウス栽培にするよりも春まきも可能な種(主に早生種でその年の秋まで収穫が可能)を選んで植え付けるのもひとつの方法です。こちらもタキイのたねから秋春そらまめ・早生そらまめなどの名前で販売されています。
ソラマメ栽培に特に必要な道具
ソラマメは栽培してみるとわかるのですが上へ上へとどんどん伸びていきます。また茎が1本出て枝分かれしていくという種類の植物でなく株元からいくつもいくつも芽が出てきてそれぞれ伸びていくため外側へ向けて成長するという特徴もあります。そのため基本的な道具の他に用意しておいて欲しいものがいくつか出てくるでしょう。
ソラマメ栽培には剪定ハサミは必須
ソラマメは放置しておくとどんどんと上に大きくなったり、地面からたくさんの芽が出てきて何本も枝を伸ばしひとつひとつの実の養分不足に陥りやすく美味しい豆を収穫するのが困難になります。栽培にはその枝の数や高さを制限するための剪定は必須です。何度もハサミを使うお世話が出てきますので、剪定バサミを用意しておきましょう。
倒れがちな枝を支える支柱も準備する
上にどんどん伸びるソラマメの性質からあまり高くなりすぎるといくら茎がしっかりしていても倒れてくることがあります。そのために土よせなどのお世話もするのですが、それだけでは不十分になるため栽培には支柱や麻ひもなどで支えてあげましょう。プランターならば支柱を立てる穴が付いている野菜用のものが便利で使いやすくおすすめ!
初心者にもわかりやすいソラマメ栽培方法7選
ソラマメ栽培は虫や病気に気をつけるだけでなく種まきの方法や水やりや肥料もそれぞれ失敗しづらいやり方があります。ここではソラマメ栽培のコツとも言える育て方を7つのポイントに分けて解説していきましょう。
育て方1.日当たり
植物栽培には日当たりは大切です。畑で栽培するような作物は日当たり・風通しがよい場所で栽培するのに向いています。ソラマメは植え付け時期にも影響されるため、冬はハウス内で栽培され日当たりだけでなく暖かさを求められています。
ハウスがない場合は温かいところに植え付け(プランターを置き)土に敷き藁やマルチなどで霜対策はしっかりとしてください。もしそれでも霜や低温被害を受けるのが心配な北の地域であれば無理して秋植えにせず春になってから種まきをはじめてもOKです。
育て方2.土づくり
ソラマメ栽培はプランターであれば野菜用の培養土を買ってきて使うのが手軽でおすすめですが、畑や庭のために土を自分で作ろうとお考えの方は、栽培をはじめる(種まき)前2週間くらいに苦土石灰でphの調整をしてください。
その後1週間後くらいに堆肥・元肥として化成肥料を畑の広さによってパッケージの通り混ぜ合わせて酸性に傾いたphを下げ養分を元の土になじませておくのが土づくりのコツです。
育て方3.種まき
ソラマメは畑に直にまくのではなくポットでまず苗を作ってある程度の大きさになってから植え付けるのがおすすめ。種まきの時期は気温が下がって安定して涼しい日が続くようになってころ。具体的には10月から12月くらいが適期です。
気温が高い時期に種まきをすると、特に地植えの場合は種が腐りやすく発芽率が悪くなりますので20度を目安にポットまきをすることで、この問題点はかなり改善されるでしょう。
ソラマメの種まき方法
ひとつの穴に2つの種を植え付けていきます。深さは2cmほど。豆をよく見ると黒い筋のようなものがありますので、それが下向きになるようできれば斜めに置き覆土してください。
植え付け時期までは豆を鳥が餌として狙ってきますのでネットや寒冷紗・ポットなら新聞紙などで覆い取られないようガードしましょう。植え付けは本葉が2-3枚大きくなったころ。畑やプランターに十分な間隔(35-40cm程度を目安にする)を開けて植え付けるのがコツです。
育て方4.水やりと肥料
ソラマメ栽培の水やりはやや乾燥させぎみにするのがポイント。ただし種まきして発芽するまでは他の植物同様乾いたら十分に土を湿らせる水やり方法でお世話してください。
追肥はほとんど必要ありません。逆に肥料分が多いと茎や葉が茂って結実しないこともあるからです。成長が悪いなど追肥が必要と判断できる場合は春、暖かくなってきて成長をはじめる4月ころに1度だけ株元に化成肥料を与えましょう。
育て方5.ソラマメは整枝と剪定が必須
ソラマメ栽培は追肥もほぼ必要なく水やり頻度も少ないので日常管理は手がかかりませんが、ふっくらとした大きな美味しい実にするためには剪定を2種類おこないましょう。
ひとつめの剪定は整枝(せいし)と呼ばれる茎の本数を減らすこと。これは気温が高くなってきて豆の株が大きくなってきた3月ころ。1株の茎の本数を7-8本を目安にして傷んでいない健康で丈夫そうなものを残してあとは株元からハサミで切り取ってしまいましょう。
育て方6.摘心の時期とやり方
整枝をしてからしばらくすると枝を厳選したことにより、ぐんぐんと上に伸びてくるでしょう。まずこの時期に枝が倒れないよう支柱を立て麻ひもなどで囲むお世話をします。それと同時におこなうのが2回めの剪定となる摘心。これはソラマメ栽培ではとても大切な作業で必ずやってほしいこと。
おこなう時期は花が咲きいくつかさやが付いてきたころ(4月頃)です。さやが付くまで待つのは一番下のさやから摘心する位置を計るため。茎から葉や花が付く部分を1節とかぞえ上に15節のこしてその上は剪定してしまうのがソラマメの摘心です。
育て方7.収穫時期と見極め方・収穫方法
摘心まで終わったらあとは畑や庭に地植えにしている場合は、アブラムシに注意をしながら収穫まで待ちます。収穫時期の見極め方は品種によって少し違います。一般的な見極め方はぷっくりとさやが膨らんできて光沢があり黒っぽい筋が見えてくれば美味しい豆ができている目安。
品種によっては実が充実すると垂れ下がるものもある
ソラマメ栽培は収穫が遅くなってしまうと豆の味が落ちますので大きくしたい気持ちを押さえてさやの光沢と黒い筋が確認できたらすぐに収穫して新鮮なうちにいただきましょう。品種によっては上をむいていたさやがおじぎをしたら収穫目安のものもありますので種袋を見てどちらの収穫方法の品種なのか判断してください。
ソラマメ栽培で失敗しやすいところとその対策3選
ソラマメ栽培での失敗1.実が小さい
最後になりますが具体的な問題点とその原因として考えられることをご紹介しましょう。場合によっては今回は間に合わないこともありますので、問題が起こる前にチェックしておいて欲しいことです。
はじめはさやは立派なのに中身がとても小さくなってしまうケース。これは追肥はそれほど必要ではないソラマメでは実の付きすぎ(1株あたりの数が多い)が原因であることが多いです。ソラマメ栽培の剪定の仕方でご紹介した整枝と摘心で数をしっかりとセーブすると良いでしょう。
ソラマメ栽培での失敗2.枝が成長しない
ソラマメ栽培は1株からたくさんの枝が出てきて収穫量が増えるのが嬉しいところです。最初に整枝で良さそうな枝を選択したのにも関わらず、そのうちの数本がその後まったく成長しなくなったということも少なくありません。基本的に1本の枝から15個以上の実を収穫するのが目標値となりますので2本駄目になったら30個近く収穫量が減ります。家庭菜園でこの数は大ダメージですね。
枝が伸びない時考えられるいくつかの理由
ソラマメの整枝は冬の終わりから早春時期におこなうのが一般的。まだ寒い時期なのでハウスなどで囲んでおらずもし霜が降りた時に葉が寒さにやられてしまうことがあります。これは枝の芯の部分も同様で芯が駄目になってしまえばそれ以上成長することはありません。
またこれは単純なお世話の失敗なのですが支柱を立て忘れた場合枝が地面に付いて倒れて腐るということもありえます。整枝した後の霜はハウスで防げますし支柱も忘れずに立ててあげるようにすれば良いのでどちらも簡単に対策することができるでしょう。
ソラマメ栽培での失敗3.収穫量が少ない
ソラマメの栽培で虫や病気でもないのに収穫量が少ないときに考えられることは、まず肥料過多です。肥料もあげれば良いわけではなく既定値以上にあげすぎると花が咲かずに枝ばかりが伸びてしまいます。特に水溶性肥料を10日ごとくらいに上げていた方はまず肥料を控えてみてください。
個数は多いが実が小さなものばかりの場合
さやの状態だとわかりにくいですし、数はあるのですがひとつひとつの実のボリューム不足の場合は枝の本数が多すぎる・1本あたり20節以上の高さがあるこのふたつが考えられます。どちらもさやの数は多くて収穫が楽しみなのですがひとつひとつの実が小さくがっかりしてしまう結果に。
1株の枝は7-8本までで枝1本あたり15節(花・実の数が15個)を限度としてこの量を超えないよう剪定や整枝で収穫数を整えてあげることで解決するでしょう。
まとめ:美味しいソラマメを家庭で栽培しよう
ソラマメ栽培
いかがでしたでしょうか。ソラマメは家庭菜園でもポイントをおさえれば十分収穫が可能な作物です。具体的には種まき直後の鳥害の予防と春先のアブラ虫対策が重要なお世話となるでしょう。少しお金はかかってしまいますが、虫予防に銀マルチを敷いたりするのもひとつの方法です。枝の数や摘心などをおこないふっくらと充実したソラマメになるよう栽培してくださいね。
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今回はソラマメ栽培の指針となる時期や失敗を防ぐコツなどをご紹介してきましたが、暮らし~のではこの他にもたくさんの作物の家庭菜園での栽培方法を解説しています。こちらも合わせて是非見てくださいね。
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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1245265?title=%E3%81%9D%E3%82%89%E3%81%BE%E3%82%81