魅惑の黄色い花・マツヨイグサとは
マツヨイグサ(待宵草)は、マツヨイグサ属の草花です。同属の黄色い花色をした品種すべてを指す場合もあります。原産地では海辺~高山と、幅広く分布している品種です。
原産地以外の地域ではおもに、河原や砂浜、荒れ地や瘦せ地で生息しますが、ほかの植物が繁殖してくると、たちまち姿を消してしまいます。一日で黄色い花がしぼみ、しぼんだ後で黄赤色に変わるのが大きな特徴です。
マツヨイグサの基本情報
学名 | Oenothera odorata |
科名・属名 | アカバナ科マツヨイグサ属 |
和名 | 待宵草 |
原産地 | 南アメリカ |
園芸分類 | 草花 |
草丈・樹高 | 10cm~30cm |
開花時期 | 5月~9月 |
花色 | 黄色 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
誕生花 | 6月21日、7月22日 |
名前の由来
和名のマツヨイグサ(待宵草)の由来は、開花の様子です。マツヨイグサは夕方に咲き始め、朝方にしぼんでしまいます。そのさまが宵、つまり日が暮れて暗くなるときまで待って、開花している印象を与えることから「待宵草」となりました。
なお、ツキミソウがマツヨイグサの別名とされていますが、実際は違います。マツヨイグサとツキミソウは仲間であり、同一植物ではありません。
マツヨイグサの花言葉
マツヨイグサの花言葉は「浴後の美人」「移り気」「気まぐれ」「ほのかな恋」です。「ほのかな恋」「移り気」「気まぐれ」の花言葉は、日没後、暗くなってから開花するマツヨイグサの特徴に由来しています。
「浴後の美人」は、大正時代の人気画家・竹久夢二氏に由来する花言葉です。竹久氏は、成就しなかったひと夏の恋を題材にした歌曲「宵待草」を作詞しています。画家としては、浴衣姿の美人を好んでモデルにしていました。
英語圏のマツヨイグサの花言葉
「無言の愛情」を意味する「mute devotion」と、「移り気」という意味の「inconstancy」が、英語圏のマツヨイグサの花言葉です。宵闇のなか、ひそやかに開花する姿に重ねた花言葉なのでしょう。
黄花品種のマツヨイグサに、色別の花言葉はありません。しかし同属の植物が多く、いずれも花が美しいため、さまざまな花言葉がつけられています。
マツヨイグサの花言葉まとめ
- 全般の花言葉:「ほのかな恋」「移り気」「気まぐれ」「浴後の美人」
- 英語圏の花言葉:「inconstancy(移り気)」「mute devotion(無言の愛情)」
- 色別の花言葉はなし
種類別の花言葉【ツキミソウ】
ツキミソウ(月見草)は、メキシコ原産の草花です。夕方以降に開花し、翌朝にしぼみますが、その際に白~淡いピンク色と、花色が変化する特徴があります。はかない美しさが人気です。
マツヨイグサと同じ植物と思われることが多いですが、原産地も花色も違います。近代文学の文豪・太宰治が著した「富嶽百景」に出てくるツキミソウも「黄金色」の描写から、ツキミソウではなくマツヨイグサであろうといわれています。
ツキミソウの基本情報
和名 | 月見草 |
別名 | 白花夜咲月見草(シロバナヨルサキツキミソウ) |
原産地 | メキシコ |
開花時期 | 5月~9月 |
花色 | ピンク、白 |
誕生花 | 6月21日、8月30日 |
ツキミソウの花言葉
「無言の愛情」「ほのかな恋」「うつろな恋」「移り気」がツキミソウの花言葉になります。はかない意味の花言葉が多いのは、咲き進むごとに白~ピンクへと変化していく花色が由来です。
「無言の愛情」は宵闇の暗いときに開く花が、人目を避けながら、ひそかに愛する人を想う美人を連想させることから生まれた花言葉です。
種類別の花言葉【オオマツヨイグサ】
オオマツヨイグサ(大待宵草)は、もとは北アメリカ原産種でしたが、その後ヨーロッパで品種改良された草花です。日本へは明治時代に渡来しましたが野生化しました。
マツヨイグサの基本種よりも大きい花をつけるのが名前の由来です。草丈も高く、基本種が10cm~30cmに対して、オオマツヨイグサは50cm~150cmに成長します。
オオマツヨイグサの基本情報
和名 | 大待宵草 |
別名 | 待宵草、月見草 |
原産地 | 北アメリカ |
開花時期 | 7月~9月 |
花色 | 黄色 |
誕生花 | 6月2日、6月21日、6月28日、7月22日、7月24日 |
オオマツヨイグサの花言葉
オオマツヨイグサには「無言の恋」「打ち明けられない恋」「美人」「移り気な人」「うつろな愛」「自由な心」の花言葉がつけられています。これらの花言葉の由来は、人気画家・竹久夢二氏の作詞した歌曲「宵待草」にあります。
「待てど暮らせど来ぬ人を 宵町草のやるせなさ~」と、かなわぬ恋をうたった切ない内容から「打ち明けられない恋」「移り気」など、はかなく物悲しい意味の花言葉がつけられました。
種類別の花言葉【コマツヨイグサ】
北アメリカ原産の帰化植物として、アジアやアフリカに分布していった草花がコマツヨイグサ(小待宵草)です。日本へは1910年代に渡来しました。マツヨイグサの仲間うちで、特に小さい花をつけることが名前の由来です。
繁殖力が強く生態系を壊す恐れがあることから、鳥取砂丘の緑化問題など、各地で問題を引き起こしています。要注意外来生物にも指定されました。
コマツヨイグサの基本情報
和名 | 小待宵草 |
別名 | 切れ葉待宵草(キレハマツヨイグサ) |
原産地 | 北アメリカ |
開花時期 | 6月~11月 |
花色 | 黄色 |
誕生花 | 設定なし |
コマツヨイグサの花言葉
「入浴後の乙女」「浴後の美人」「物言わぬ恋」「ほのかな恋」「移ろいやすさ」「魔法」がコマツヨイグサの花言葉です。入浴後の女性に関する花言葉は、歌曲「宵待草」の作詞者である竹久夢二氏が、浴衣姿の美人画を得意としたことに由来します。
「移ろいやすさ」などの、はかない意味の花言葉は、一夜でしぼんでしまうコマツヨイグサの花の寿命の短さに由来しているのでしょう。
種類別の花言葉【メマツヨイグサ】
メマツヨイグサ(雌待宵草)は北アメリカ原産の草花です。日本では雑草扱いされていますが、アメリカの原住民は傷薬として利用していました。花姿はオオマツヨイグサに似ていますが、メマツヨイグサのほうが花が小さいです。
ほかのマツヨイグサの品種と同じく、夕方に咲き翌朝にしぼみます。しかし、基本種はしぼむと花色が赤くなる特徴がありますが、メマツヨイグサの花はしぼんでも赤くなりません。
メマツヨイグサの基本情報
和名 | 雌待宵草 |
別名 | 月見草 |
原産地 | 北アメリカ |
開花時期 | 7月~9月 |
花色 | 黄色 |
誕生花 | 7月24日 |
メマツヨイグサの花言葉
メマツヨイグサの花言葉は「浴後の美」「恋に恋するお年頃」「無言の恋」「ほのかな恋」「移り気」「静かな恋」「和」「協調」です。「ほのかな恋」「移り気」など、ほかのマツヨイグサの品種と同じ意味の花言葉が多い特徴があります。
花言葉「恋に恋するお年頃」は、オオマツヨイグサよりも小さい花を、宵闇のなかでひっそりと咲かせる控えめな花姿が、厳しい現実を知らず、ただ恋の甘さに憧れる乙女と重なったのでしょう。
種類別の花言葉【ユウゲショウ】
ユウゲショウ(夕化粧)は夕方にローズピンクの花を咲かせることから、つけられた名前ですが、近年は昼から咲く品種も見られます。日本へは明治時代に渡来しました。
別種の草花オシロイバナ(白粉花)の通称がユウゲショウであるため、「アカバナユウゲショウ」と呼ばれる場合があります。ピンクの花色が一般的ですが、白い花をつける個体もあります。野草として扱われていますが、可憐なピンク色の花が人気です。
ユウゲショウの基本情報
和名 | 夕化粧 |
別名 | 赤花夕化粧(アカバナユウゲショウ) |
原産地 | 北アメリカ南部~南アメリカ |
開花時期 | 5月~9月 |
花色 | ピンク、まれに白 |
誕生花 | 7月22日 |
ユウゲショウの花言葉
ユウゲショウには「臆病」「移り気」「浴後の美人」「ほのかな恋」という花言葉があります。「移り気」「浴後の美人」「ほのかな恋」は、マツヨイグサの花言葉と共通です。
花言葉「臆病」は、夕方以降の暗い時間帯に、ピンクの花をつけるユウゲショウの特徴からつけられました。暗くなってからピンクの花を咲かせる様子を、人目に触れないように、こっそりと化粧を施す女性と重ねたものといわれています。
種類別の花言葉【ヒルザキツキミソウ】
ヒルザキツキミソウは、北アメリカ原産の帰化植物です。日本へは大正時代に渡来しましたが、繁殖力が強いため、現在では野生化している個体も見られます。マツヨイグサの仲間としては珍しく、日中に開花する品種です。
つぼみのときは下を向いていますが、開花すると上向きになる特徴があります。花色は白、またはピンク色です。しかし白花品種も、しぼむとピンク色に染まります。
ヒルザキツキミソウの基本情報
和名 | 昼咲月見草 |
別名 | 昼咲桃色月見草(ヒルザキモモイロツキミソウ) |
原産地 | 北アメリカ東部 |
開花時期 | 5月~7月 |
花色 | 白、ピンク |
誕生花 | 6月21日、7月7日、9月2日 |
ヒルザキツキミソウの花言葉
ヒルザキツキミソウには「清純」「新しい恋人」「自由な心」「固く結ばれた愛」「奥深い愛情」「無言の愛」という花言葉がつけられています。いずれの花言葉も、ヒルザキツキミソウの可憐な花姿と、見た目によらない丈夫さに由来しているのでしょう。
ヒルサキツキミソウは人気がある草花です。日中に花が咲く特徴、清楚で可憐な花、丈夫な性質もありますが、よい意味の花言葉が多いことも人気につながっています。
マツヨイグサの花色と花言葉を楽しもう
マツヨイグサとその仲間の草花類には、花が美しく魅力的な品種が多いです。野草扱いされている品種もありますが、園芸植物として流通している品種もあります。おもな花色は黄色、白、ピンクですが、どの花も魅力的です。
「移り気」「気まぐれ」など、微妙な意味の花言葉がある一方で、「ほのかな恋」「無言の愛」など、ロマンティックな花言葉が存在するのもマツヨイグサの魅力です。美しい花姿とともに楽しみましょう。
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出典:photo-ac.com