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コマツヨイグサとは?海辺に小さな黄色い花を咲かせる植物の特徴を解説!

海岸のそばで黄色い花びらが印象的なコマツヨイグサ。小さなマツヨイグサの仲間で、その可憐な姿が特徴の植物です。根茎は食べることもできますが、毒性を示すこともあるというコマツヨイグサ。雑草として駆除されることもあるその花の由来や種類についてご紹介します。
2020年8月27日
水木誠人
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海岸で見かけるコマツヨイグサをご紹介

Photo by Starr Environmental

海岸などの水際でよく見かける黄色い花びらが特徴のコマツヨイグサ。マツヨイグサの仲間で、その花びらの小ささが特徴的で、その名の由来にもなっています。そんな可憐な花ですが、生態系被害防止外来種にされているだけではなく、駆除の対象にもされています。さらに、食用として利用する際、毒性があるとも言われています。

コマツヨイグサの特徴とは?

Photo by Starr Environmental

コマツヨイグサは、その学名が示しているように、花の小ささが特徴です。実際、花びらの長さは2cm程度で、草丈は50cmほどまで生長するため、ひょろっとした草姿が印象的です。花びらの色は黄色ですが、しおれると赤くなります。花期は春先の4~5月ごろから秋が深まる10~11月ごろまでなので、わりと長い期間、花を楽しむことができます。

月見草の別称も

Photo by 阿橋花譜 KHQ Flower Guide

コマツヨイグサは月見草とも呼ばれることもあります。同じ属のアレチマツヨイグサやオオマツヨイグサなども同じ呼び名で呼ばれます。この呼び名の由来は、月見草の名が示すように、いずれの花も、夕方になると花を開き、夜明けにしぼんでしまうという特徴があるからです。ただ、薄い白色の花びらが印象的な月見草と呼ばれる花も実在します。この花も、夕方から花を開き、明け方には赤くなりながらしぼみます。

コマツヨイグサの由来

Photo byNennieinszweidrei

コマツヨイグサの名は、コ=小+マツヨイグサで、名が体を表していると同時に、由来ともなっています。マツヨイグサの由来については、漢字を当てれば一目瞭然で。マツ(待)ヨイ(宵)クサ(草)となり、宵を待つ、言い換えると、日が暮れると花びらを開き、夜明けになるとしぼんでいくその特徴を示しています。

宵待草とマツヨイグサは由来が同じ?

Photo by norio_nomura

明治から昭和を生きた画家であり詩人であった竹久夢二が歌った歌に「宵待ち草」があります。この花はマツヨイグサの一種で、この歌は「待てど暮らせど来ぬ人を/宵待ち草のやるせなさ」とあり、花の特徴をうまく織り込んだ歌となっています。ひと昔前の文学作品に現れるほどマツヨイグサ属の植物は古くから身近な存在だったことがわかります。

コマツヨイグサはどこに住んでいる?

Photo by Starr Environmental

海岸の近くの砂地や、海岸のそばの草地、河原といった水際でよく見られるコマツヨイグサ。最近では、海岸のそばではなくても、道端や空き地などでも見ることがあります。しかし、原産は日本国内ではありません。アメリカ大陸の北部から帰化した植物で、野生化して日本国内の海岸近くに住み着きました。

海岸のそばの浜辺が好き

Photo by Starr Environmental

海岸のそばでも波が届くような場所ではないところにコマツヨイグサが集まって生息する姿を見かけます。でも、海岸から離れた場所ではあまり見かけません。また、河原などでもよく見かけることから、水辺の環境を好んでいるとも言えますが、雨との関係は報告がありません。実際、海岸のそばであっても砂地などの水はけのよい場所で群生することから、乾燥した環境にも強い種であると言えます。


コマツヨイグサの特徴①花びら

コマツヨイグサの直径数cmという小さな花びらは、一見すると花弁が8枚あるように見えます。でも、よくよく見てみると、1枚の花弁がハート型になっていて、このかわいらしい花弁が4枚ついています。また、メシベにも特徴があって、先端が四方に分かれています。

しぼむと赤色に変わる

コマツヨイグサの大きな特徴に、しぼむと赤色に変わるというものがあります。この特徴は、アカバナ科に属している植物の性質としてあげることができます。つまり、花がしぼむと赤くなるから「アカバナ」ということです。海岸や道端で、黄色くて小さな野花のそばに、しぼんだ赤い花があったら、それはコマツヨイグサかもしれません。

コマツヨイグサの特徴②種子

コマツヨイグサの花の下には萼筒(がくとう)や子房があります。この子房の中に小さな丸い粒上の胚珠があり、ここで受精が行われると果実になり、種子ができます。コマツヨイグサの種子は表面が滑らかではない小さな種です。直径は1~2mm程度で、ひとつの果実からたくさんの種子ができます。

種から栽培するためには種まきの季節を選ぶ

コマツヨイグサの種ができる秋になったら、種を保存しておきましょう。早春に種をまくと、翌年、花が咲きます。海岸の砂地や荒れ地などでも育つ植物のため、とくに土作りを気にする必要はありません。日の当たり場所に植え付け、乾燥気味に育てていきましょう。

コマツヨイグサの特徴③根や葉など

コマツヨイグサの葉は、一般に細長い形をしています。長さは2~5cm程度で、ふちはノコギリのようにギザギザしています。葉には茎につく葉のほか、根出葉(こんしゅつよう)があります。これは、茎の根元につく葉のことで、根から葉が伸びているように見える葉のことです。なお、てんとう虫がコマツヨイグサの葉を好み、よく食べることも知られています。

ロゼットで冬を越すという特徴

コマツヨイグサの茎は、根元で分かれ、地面を這うように伸びていきます。なかでも、花がつく茎はオレンジ色のような色をつけて長く伸びていきますが、根元から枝分かれをするように広がっていきます。また、秋に芽生えると、ロゼットで冬を越すという特徴があります。ロゼットとは、ローズ、つまりバラが由来で、薔薇の花びらのような形を意味し、葉が放射状になるのが特徴です。

コマツヨイグサには薬効がある?

Photo by Starr Environmental

マツヨイグサ属の植物には、種子油に必須脂肪酸が多く含まれているほか、花や葉に鎮静効果があるといわれるほか、さまざまな症状を軽減するなどの薬効で知られています。しかし、ヒトの有効性についての報告は確認できないほか、有害事象として胃痛や吐き気などが起こる可能性もあるという報告もあることから、薬効として使用するには十分に注意する必要があります。

薬効を期待せずにおいしくいただくのもあり


Photo by Starr Environmental

昔から言われているような薬効が現代の科学で証明されなくても、おいしくいただくことは大事なことです。コマツヨイグサは、ゆでておひたしでいただくほか、天ぷらなどとして揚げたり、炒め物の食材として利用したりなど、さまざまな食べ方があります。食べ過ぎに注意していただいてみましょう。

コマツヨイグサはなぜ駆除されるのか

Photo by Starr Environmental

コマツヨイグサは、そもそも日本に生息する植物ではありません。日本でその存在を確認されるようになったのは明治時代の終わりごろからで、現在、日本の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種として駆除の対象となっています。とくに問題となっているのは鳥取砂丘で、コマツヨイグサが集まって咲くようになると、砂丘が砂丘ではなくなってしまうのです。このため、コマツヨイグサを駆除して砂丘を守っています。

増えすぎたら駆除しなければ

Photo by Starr Environmental

コマツヨイグサによる問題が生じているのは鳥取砂丘だけではありません。河原や海岸などでも在来種の植物と競合してしまうことがあるため、駆除していかなければならないのです。ただ、コマツヨイグサは観賞用としても利用されているため、その必要に応じて駆除していく必要性があると考えられています。

コマツヨイグサの毒性の真偽はいかに?

Photo by Starr Environmental

コマツヨイグサは食用として利用されることからもわかるように、明らかな毒性はないと考えられます。根茎を根菜としていただくほか、おひたしや天ぷらなどで食べることもあります。したがって、毒性があるかどうかについては、答えはNOだと言えます。

毒性の症状が出ることもある

Photo by Starr Environmental

ただ、人によっては摂取によって吐き気といった毒性に対する症状が現れることもあるという報告があります。このため、胃腸が弱い方、健康状態があまりよくない方は摂取を控えるか、様子を見ながら摂取していくことをおすすめします。健康状態のいい方も、毒性の症状が出ることもあるということを認識しておいたほうが安心できます。

コマツヨイグサにはどんな花言葉があるのか?

コマツヨイグサの花言葉には、「ほのかな恋」や「もの言わぬ恋」のほか、「浴後の美人」や「入浴後の乙女」といった水辺にひっそりと咲く小さな花というその姿から想像できるものがあります。また、花の終わりに赤く色が変わることから「魔法」や「移ろいやすさ」といった花言葉もあります。いずれもコマツヨイグサの特徴をよく踏まえた花言葉です。

贈る相手やシチュエーションを選びたい

花言葉は相手に気持ちを伝えたいときにその助けとなってくれるものです。うまく伝えられない思いをぶつけたいとき、海辺や河原におもむいて、砂地に咲くコマツヨイグサを見ながら気持ちを表現してみるのもいいかもしれません。

コマツヨイグサと同属の植物

Photo by treegrow

マツヨイグサ属の植物には非常に似た特徴の植物がいくつもあります。その多くが北アメリカを原産とする帰化植物です。花の色や大きさなどが異なりますが、ほとんどその姿が変わらないため、見間違えることもあります。ぜひ確認してみましょう。

オオマツヨイグサ

Photo by Peter O'Connor aka anemoneprojectors

オオマツヨイグサは、ヨーロッパで生まれた園芸品種で、原産は北アメリカです。夕方に花が開き、朝になるとしぼむ特徴は、コマツヨイグサと同じ黄色い花を咲かせますが、花の大きさが異なります。その名の通り、花径は大きめで、7~8cmほどにもなります。山間でも見られることから、必ずしも海岸近くに生息しているわけではありません。

ヒナマツヨイグサ

Photo by Doug_McGrady

ヒナマツヨイグサには、マツヨイグサ属の植物とはちがう特徴がいくつもあります。たとえば、夜ではなく、昼間に開花します。また、しぼんでも色を変えることはありません。花の色は黄色ですが、コマツヨイグサよりもさらに小さく、1~2cmほどしかありません。花が咲く季節は夏で、山草として育てられています。

メマツヨイグサ

Photo by FritzFlohrReynolds

北アメリカが原産のメマツヨイグサは、現地原住民はケガの治療に利用する植物で、種は月見草油として利用されています。コマツヨイグサと同じように、夕方になると花を咲かせますが、しぼんでも色を変えることはありません。

コマツヨイグサを見つけよう

Photo by treegrow

水際で見かける小さな黄色い花、コマツヨイグサ。あちこちで見られる野草であると同時に、在来種と競合し、生態系被害防止外来種にリストアップされている植物でもありました。河川敷や砂丘などでは駆除の必要があるものの、その姿にやさしい気分になるコマツヨイグサ、さっそく見つけに出かけましょう。

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