フサスグリとは
フサスグリとは、レッドカラントとも呼ばれるスグリ科スグリ属の植物です。低木に分類されるため、樹高は1mから1.5m程度なので庭木だけでなく鉢植えでも育てやすい植物といえるでしょう。
アカスグリやシロスグリ、別の種類の植物に分類されるクロスグリなどの種類がありますが、一般的にフサスグリと呼ばれるのはアカスグリです。実を食べるだけでなく、その美しい宝石のような実は観賞用としても親しまれています。
フサスグリの特徴
フサスグリは樹高が低く耐寒性に優れているため、日本では北海道などの寒い地域で多く栽培されいます。とはいえ耐寒性がある代わりに耐暑性は弱く、温暖な地域で育てるにはやや難しい植物であるといえるでしょう。
フサスグリは、1本植えておけば自家受粉して実をつけることができるので家庭菜園ではおすすめの植物です。名前の通り房状に実をつけるのが特徴で、主にジャムやクッキーなどといった加工食品として利用されます。
薬効は不明
フサスグリは昔から「目にいい」とか「風邪のときに食べるといい」などといわれていますが、実際のところ薬効があるとは証明されていないためその真偽は不明です。とはいえ、酸味があるものは体にいいともいわれているので、まったくのでたらめというわけでもないでしょう。
フサスグリの花
フサスグリは、薄い黄色のかわいらしい花を咲かせます。花が咲く時期は春の終わりですが、切り花として流通しているのは夏の初めの時期につくグリーンの実か主に真っ赤に色づいた実です。宝石のように輝く実がついた枝は、花束に1本あるだけで非常に豪華な花束に仕上がるでしょう。
「珍しい」や「予想を裏切る」、「新しい経験」などの花言葉を持つフサスグリは、鉢物が贈り物としてもよく使われます。
フサスグリの実
フサスグリの実は美しい色合いですが、生食ではなく主に加工用として使用されます。非常に酸味が強く、そのままで食べるのには向いていないからです。ケーキやジャムとしてよく売られていて、お菓子作りが趣味の人には贈り物としてもいいでしょう。
真っ赤な実は太陽を浴びると美しく、観賞用として育てることも多くあります。食べる以外にも切り花や生け花として楽しめるのも、フサスグリの特徴といえるのではないでしょうか。
生食はできるの?
基本的に赤い実をつけるフサスグリは酸味が強すぎて生食には向きませんが、白っぽい実をつけるシロスグリであれば多少甘みがあるので生食することができます。また、カシスとも呼ばれるクロスグリも酸味は強いものの生食されることがある植物です。
とはいえ、好みがわかれる味なので酸っぱいのが苦手、という人は果実酒やゼリーなどに加工して食べることをおすすめします。
フサスグリの育て方
フサスグリは土壌や日当たりなどに気を付ければ、そこまで育てるのが難しいというわけではありません。とはいえ越冬や病気など注意するべき点がいくつかあるので、どのような土壌がふさわしいかや肥料を与える時期なども知っておくことが大切です。ここでは、基本的なフサスグリの育て方を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
フサスグリの育て方①苗の選び方
フサスグリは落葉樹なので、植える時期は12月から2月の葉が落ちている時期に行います。とはいえ、地植えにするならいくら耐寒性があるとはいっても雪の多い厳冬期はなるべく避けたほうがいいでしょう。地植えでも鉢植えでも育てやすく、樹高もそれほど高くはないのでインテリアとしてもおすすめです。
土壌を作ろう
フサスグリをうまく育てるためには、土壌をきちんと整える必要があります。地植えの場合は、植え付ける2週間ほど前から元肥を入れてなじませておくといいでしょう。元肥には堆肥や腐葉土を入れます。鉢植えの場合には、ホームセンターなどで市販されている培養土で問題ありませんが、できるだけ水はけと水持ちの良い土を選ぶようにしましょう。
植え替えが必要
鉢植えの場合は、2年に1度くらいの間隔で植え替えをする必要があります。放っておくと根詰まりを起こして、ひどいときに履かれてしまうこともあるからです。樹高が高くなりすぎないため、植え替え自体はそこまで手間がかかるわけではありません。
植え替えをするときには、今の鉢植えよりも一回り大きなものを選んで新しい土壌を作ります。根は深くに植えるのではなく浅く、広げるようにして植えるようにしましょう。
植え替えの季節
植え替えの季節は、植え付けと同じく冬になります。実を収穫し終わり、葉が完全に落ちたころに行いましょう。季節柄冷え込む日が多いとはいえ、できるだけ気候のいい時期を選んで植え替えするようにしてください。植え替え直後は、たっぷりと水やりすることも忘れないようにしましょう。
フサスグリの育て方②水やり
フサスグリは高温多湿に弱い植物なので、水のやりすぎは危険です。根腐れの原因や病気を引き起こす原因になりかねないため、注意しましょう。地植えの場合は、よほど日照りが続かない限り水やりは必要なく雨水だけで十分大きく育ちます。
鉢植えの場合は、土が乾燥してから水を与えるようにしましょう。水やりをするときには、受け皿にしっかり水が出てくるくらいにたっぷりとやります。
受け皿の水は破棄
受け皿に水が出てきたときには、必ず捨てるようにしてください。そのまま残しておくと、根腐れの原因になるためです。特に夏場は水が腐りやすく、フサスグリが病気にかかりやすい季節でもあるので十分注意しましょう。
また、季節的に夏の水やりは夕方に行うようにしてください。朝や昼間に水やりをすると、土壌が高温で見されてフサスグリにダメージを与えてしまうからです。
フサスグリの育て方③肥料
肥料はフサスグリの成長にとって、重要なものなので必ず与えるようにしましょう。植え付けの際に与える元肥は堆肥などの有機肥料と腐葉土が望ましいです。追肥の時期としては、花が咲く前の3月ごろと収穫後の9月ごろにします。
地植えの場合には有機肥料でも化成肥料でも好みのもので問題ありませんが、鉢植えの場合には害虫が寄ってくることを防ぐためにも化成肥料にしておくといいでしょう。
フサスグリの育て方④日当たり
フサスグリは日光に充てなければ実がならない植物であるため、日差しの柔らかい午前中は日に当たる場所に置いておく必要があります。ただし、耐暑性はあまりないのでとくに日差しが強い季節や午後の時間帯などは、日陰に置いておくのがいいでしょう。基本的には季節を問わず、風通しのいい半日陰に置いておくのがおすすめです。
フサスグリの育て方⑤剪定
フサスグリは、剪定をしておくことで翌年もよく実をつけるようになります。また、剪定で風通しを良くしておくと、病気の予防にもなるでしょう。季節は葉が落ち切った冬にするのが一般的で、前年に実を付けた枝を株元から切り落とします。
フサスグリの育て方⑥収穫
フサスグリを収穫する季節は、夏の初めから終わりにかけてです。ブドウのように房状に実がつくので、色づいたら一粒ずつ収穫するのではなく、房全体が赤くなったら収穫しましょう。非常に実が柔らかいため、乱暴に扱うとつぶれてしまいます。そのため、収穫は素手でやさしくするようにしてください。
フサスグリの育て方⑦増やし方は挿し木
フサスグリを増やしたいというときには、挿し木が一般的です。挿し木が一般的なのは、失敗することが少ない方法だからであって、葉っぱから増やす葉挿しや株分けでも増やせるのでやりやすい方法を選ぶといいでしょう。そのほか、実生でも増やせるので挿し木にこだわることなくいろいろ試してみるのもおすすめです。
フサスグリの管理のコツ
フサスグリの管理には、いくつかコツがあります。コツを知っておくことで、元気で勢いのいい木が育つので、ぜひ管理のコツを覚えておくようにしましょう。ここでは育てる上で気になる夏越しや越冬、収穫に関してのコツを解説します。
管理のコツ
- 越冬より夏越しに注意
- 収穫時は優しく丁寧に
夏越しと越冬に関しての注意
フサスグリは耐寒性があるので、越冬に関してはとくに何かをする必要がありません。問題なのは夏越しであり、耐暑性が弱いので強い日差しが当たる場所はできるだけ避け、過湿にも注意が必要です。鉢植えの場合は、夏は涼しくて風が通る半日陰に置いておくようにしてください。
収穫に関しての注意
フサスグリの実はとてもきれいではありますが繊細で非常に柔らかく、すぐに傷ついたりつぶれたりしてしまいます。そのため収穫のときには手袋などはせず、優しく丁寧に手を添えていくつかの房をまとめて軸をつまむようにしてむしり取るといいでしょう。もちろん収穫した後も傷つけないように、トレイなどに入れるようにしてください。
注意したい病気と害虫
フサスグリを育てるときに、最も注意したい病気はうどんこ病です。たいていの植物がそうであるように、フサスグリも高温多湿になってしまうと病気が発生しやすくなります。とくに湿気の多い梅雨の時期や、秋の長雨の時期にはうどんこ病が発生しやすくなるので注意しましょう。
葉に白い斑点が見つかったら、すぐに症状の出ている葉を処分するか薬剤を使って早めの対処を心がけてください。放っておくと果実まで病気が広がります。
注意したい害虫
病気だけでなく、カイガラムシなどの害虫にも十分注意しましょう。風通しや日当たりが悪いと害虫は発生しやすくなりますが、とくにカイガラムシは生育が悪くなるだけでなくひどいときには木が枯れてしまうこともあるので、見つけたらすぐに駆除するようにしてください。
発生してからでは対処が間に合わないこともあるので、剪定や置き場所を考えるなどして病気や害虫が発生しないように予防することが重要です。
まとめ
フサスグリは、ケーキやジャムなどの加工品として人気のある果物です。酸味が強いため、生食よりは加工した方がおいしく食べることができます。
また、加工品として食べるだけでなく、切り花としても人気のある植物です。インテリアとしてもすぐれていて、部屋に1本でも鉢植えを置いておくと実がなる時期には部屋全体が明るく華やかになるでしょう。ぜひフサスグリを育てて、さまざまに活用してみてください。
フサスグリの仲間について気になる人はこちらもチェック
当サイトでは、フサスグリだけでなくその仲間にあたる植物の育て方も掲載しています。フサスグリには、クロスグリという仲間がありこちらも実を収穫して食べることができるので庭木などにはおすすめです。耐寒性があるため、寒い地域で育てやすい植物なので気になる人はぜひクロスグリの育て方に関する記事も見てみてください。

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