ブラックべリーについて
ブラックベリー(blackberry)は、バラ科キイチゴ属の一種で、樹高が1.5m~3mのつる性の低木果樹です。温暖な北アメリカが原産です。虫がつきにくく、ほとんどが無農薬で作ることができます。場所もとらないので簡単に楽しめます。果実の酸味の少ないものは生食として、酸味の強いものはジャムなどの加工に最適です。
ブラックベリー育て方|特徴
ブラックベリーは、丈夫で育てやすく害虫にも強いので、地植え(庭植え)でも鉢植え(プランター植え)でも高品質の果樹を楽しむことができます。まずは、コンパクトに育てやすく、管理のしやすい鉢植え(プランター植え)がおすすめです。また、自分の花粉で結実できるので、苗木一本で果実を楽しむことができます。花をたくさんつけて、果実を実れせるには、やはり日当たりの良い場所が必要です。増やす場合は挿し木やとり木で行うのが一般的です。ベリー類は茎にとげがあるのものですが、最近ではとげのないものが多く出て、品種も豊富です。とげのないボイセンベリー、マートンソーンレス、ソーンフリー、サテンブラックなどが育てやすいと思いますが、樹姿も大別されるので、それによってどのように仕立てるかを決めるとよいでしょう。
樹姿
ブラックベリーの樹姿は、ほふく性・半直立性・直立性に大別されます。ほふく性は地面を這うように成長する性質で、ボイセンベリーなどがその例です。半直立性は、初めは茎がしっかり育ち半直立に伸長して、ある程度の長さを超えると、枝が下向きに垂れます。マートンソーンレスやサテンブラックなどがあります。直立性は、支柱などがなくても茎がまっすぐしっかりと成長します。
ブラックベリー品種

果実は光沢のある黒色です。半直立性のとげ無しで、成熟期は7月~8月です。

とげなしの半直立性の品種です。成熟期は晩成で8月になります。香りのよい大きな果実をつけます。
ブラックベリー育て方|苗を選ぶ
園芸店などでは、苗のポットに品種名が記載されています。苗木は新梢がしっかりと太い状態のものを選びましょう。根がポットの中に張っているほうが品質がよいでしょう。地植え(庭植え)の場合は土地に合った品種や種類を選ぶ必要があります。鉢植え(プランター植え)の場合は、置き場所や土を選ぶだけで育てられます。
ブラックベリー育て方|植え方・仕立て方
鉢植え(プランター植え)
苗の植付けは2月~3月か、10月~11月の休眠期が適しています。4号~5号のポット苗には6号~8号の鉢(プランター)などがよいでしょう。鉢底を網でふさぎ、ゴロ土を敷きます。川砂1、赤玉土小粒6、腐葉土3程度を混ぜた配合土を、鉢の3分2程度まで入れます。ポットを抜き、根元を痛めない程度にほぐしていきます。根を広げながら鉢に入れます。配合土を足します。枝先を1/3程度、芽のすぐ上で剪定します。枝がぐらぐらしないように、支柱を立て、誘引ひもで固定します。芽の上で結ばないように気をつけます。緩行性化成肥料をぱらぱらとまきます。最後に水をたっぷり与えます。地植えも鉢植えも日当たりの良好な場所を選びましょう。2月~3月頃に苗木を購入して植え付けると、4月下旬に花が咲き、5月下旬に果実を収穫することも可能です。
仕立て方
ブラックベリーは直立性やほふく性のものなど種類も豊富なので、場所や品種によって仕立て方を楽しめます。例えば、一本の棒に絡ませて棒仕立てにしたり、バスケットで、高いところから吊るしたり、支柱を使って円形に仕立てるあんどん仕立てにしたりできます。ほふく性のものはバスケットに吊るしてもいいと思います。

市販のトレリスやラティスに沿って誘引します。さまざまな形や大きさのものがあるので、どの品種でも楽しめます。枝が交差しないようにバランスよく誘引します。

市販の支柱を円柱に仕立てます。ほふく性や半直立性の品種の鉢植え(プランター植え)に適しています。あんどん支柱を立てて誘引します。

吊り鉢は、ほふく性のブラックベリーをコンパクトに楽しむことができます。ベランダの小さいスペースでもまとまります。
地植え(庭植え)
大きく育てたい方には地植え(庭植え)がよいど思います。やはり日当たりの良い場所を選びます。直径40cm、深さ30cmほどの植え穴を掘ります。掘り上げた土半分に、腐葉土、赤玉土小粒、堆肥を混ぜて植え穴に戻します。苗を植えながら残りの土も戻します。真中に支柱を立てて、枝を誘引します。枝先を1/3程度剪定します。最後に株元から少し離して固形肥料を置き、水をたっぷりとかけます。
ブラックベリー育て方|誘引
5月ぐらいから結果枝が伸びてくるので、風で倒れないように誘引します。樹姿のバランスを崩さないように配慮しましょう。あんどん仕立てなどは早めにしないと枝が曲がらないようになるので、こまめな誘引が必要です。そして結実の邪魔にならないようにします。鉢植え(プランター植え)の場合、地面がコンクリートなら地面に枝が下がって実がつかないように誘引しましょう。コンクリートの熱が直接影響を与えないように、鉢の下に敷物を敷くのもよいでしょう。地植え(庭植え)の場合は、地面の土が果実につかないように枝を誘引するとよいでしょう。
ブラックベリー育て方|収穫
ボイセンベリーなど早生の品種は、6月から収穫でいます。とげがある場合は、厚手の手袋などを準備しましょう。ブラックベリーは、着色してからの塾期があっと言う間なので、タイミングを逃すとすぐに腐敗してしまいます。指先で丁寧に果実を摘むか、ハサミを使います。傷みやすく品質を損ねやすいので、収穫は天気の良い朝や夕方が適期でしょう
ブラックベリー育て方|剪定
収穫後の結果母枝は、徐々に枯れてしまいます。冬季剪定でもいいのですが、果実を収穫した部分が、病気の発生につながることもあるので、先端部分は必ず切除します。剪定は夏季と冬季の2回行います。夏季の剪定は収穫後の7月~8月に行います。翌年の結果母枝となる強そうなシュートを残し、側枝の数本以外は剪定します。ひ弱そうなシュートや、絡まった結実枝を間引きします。風通りをよくして、光がはいるようにして害虫や病気の発生を防ぎます。来年、実をならせる勢いのある枝(結果母枝)以外の新しいシュートは除去します。収穫後の枝は枯れ、翌年は前年に伸びた新しい枝に実がなります。
冬の剪定は、1~2月に行います。夏に残した結果枝が枯れて、新しい枝も発生します。果実をつけたすべての枝を元から切り込みます。先端部分が灰色になっているのでわかりやすいです。結果母枝を決めます。側枝は1~2芽残して切り込みます。夏季剪定後に伸びた側枝は50cmぐらいでカットします。込み合った枯れた枝を取り除く作業になります。最後に実がなったことをイメージしながら支柱などで誘引します。
ブラックベリー育て方|挿し木で増やす
ブラックベリーの増やし方は、挿し木が一般的です。挿し木は、6月~7月が適期でしょう。5月くらいから新しいシュートがたくさん出てきます。そのつけ根から切り取ります。採取したらすぐ水につけ、新しい鉢やプランターに植えつければ容易に繁殖できます。挿し木の他にとり木という増やし方もあります。地植えやプランター向きで、シュートの途中を地面に埋めて根付かせるやり方です。
ブラックベリー育て方|水やりと肥料
夏の乾燥には特に注意が必要になります。鉢植えの場合は日中の高温時を成るべく避けて、一日一回は水やりをします。それ以外の時期は、土の表面が乾燥したらたっぷり水をやります。
冬季の剪定や整枝を終わらせた春先の2月頃に、元肥を施します。萌芽する前に、緩行性化成肥料を全体にまくようにします。収穫が終わった7月~8月に夏季剪定を行った後に一度お礼肥を施します。お礼肥には三要素等量の緩行性化成肥料を施します。翌年にたくさんの品質のよい果実を収穫できるようにするための作業です。そして、休眠期に入る前の11月~12月には堆肥や油かすなどの有機質肥料の補給をします。肥料のやり方は鉢植えも地植えもほとんど同じです。
ブラックベリー育て方|病気と害虫
ブラックベリーは、他の果樹よりも比較的病虫害の被害が少なくてすみますが、予防は大切です。6月~8月にかけて、果実にショウジョウバエなどの虫がつくことがあります。注意しましょう。雨が続くとに果実に灰色のカビがはえ品質に影響を与えることもあります。雨にさらさないように対策しましょう。病気が発生している実や葉はすぐ除去しましょう。また、収穫後に弱っている枝の葉や茎にハダニ類やマメコガネが発生します。病虫害の発生を防ぐには、環境づくりが大切です。日当たりや風通しを良くし、除草も心がけましょう。株全体の水やりも予防になります。
ブラックベリー育て方|おいしく楽しむ
ブラックベリーは、ビタミンEやアントシアニン色素を含むポリフェノールが豊富に含まれていることは知られています。また、ブラックベリーの種子には、エラグ酸というアンチエイジングや活性酸素の働きを抑える効果に期待できる栄養素も含まれています。生食は少々酸味がありますが、一番のおすすめはジャムやソースにすることです。また、品質を保持するには、軽く洗って冷凍するのがよいでしょう。形をきれいに残したいのなら、バットなどに一つ一つ並べて一度凍らせてから冷凍保存します。形もきれいに保存できます。
まとめ
ブラックベリーは、比較的育てやすいと言われています。種類も豊富ですが、まず自分が育てるブラックベリーの性質を知ることが大切です。つる性なので一度成長すると大きくなりますが、剪定や誘引を丁寧にすることで、品質の良いブラックベリーを末長く育てることができます。また挿し木を繰り返すことで比較的簡単に増やすこともできます。害虫にも強く、丈夫で育てやすいのですが、日々目をかけてあげることが一番だと思います。必ず自分だけのブラックベリーを育てることができるようになるでしょう。
ほふく性で、果実は大きく赤紫になります。最も早生の品種で、酸味も少なく品質も良好です。成熟期は6月~7月で、とげ有りととげ無しがあります。