カシス(クロスグリ)とは
クロスグリはお酒で有名な果物
日本ではカシス(Cassis)を生の状態で見かけることは少ないですが、加工食品としてジャムやお菓子がスーパーに並ぶことも多くどんな風味の果物か知っている方も多いのではないでしょうか?特にクレーム・ド・カシスのようにリキュールやカクテルで使われていることが多くお酒で有名な果実です。
日本では青森で栽培されている程度にとどまり生カシスを見かけることは非常に少ないですが、家庭でも簡単に育てられる植物できちんと収穫もできますよ。
クロスグリ・クロフサスグリ・ブラックカラント?
カシス(Cassis)はヨーロッパ原産の植物で各国で呼び方が変わります。種類はクロスグリとなり、アメリカではブラックカラント、フランスではカシスの名前で親しまれていますよ。果実は黒く、ぶどうのように房状に実ることからクロフサスグリとよも呼ばれます。
また、フサスグリには赤い実を付けるもの白い実をつけるものもあり、クロスグリは黒い実をつけることからクロスグリと名づけられました。漢字で書くと黒房酸塊となり果実の酸味の強さがよく分かる和名です。
クロスグリの食品としての栄養
クロスグリは食品としての栄養価が非常に高い特徴があります。抗酸化作用、疲れ目にいいと言われているアントシアニンはブルーベリーより多く、酸味のもとになるビタミンCも豊富です。ブルーベリーは皮は紺色、黒っぽいですが果肉は緑になります。一方クロスグリは果肉は緑でも皮が濃い黒、紫です。
そのため栄養にはビタミンA、βカロテンなどが含まれていて加工食品にしても栄養が豊富です。また、カリウムやマグネシウムなどのミネラルも栄養と一緒に含まれています。
クロスグリの花言葉
クロスグリの花言葉は「あなたを喜ばせる」などです。実が収穫できた喜びという意味になります。一方でネガティブな花言葉もあります。基本的に可憐な花ではなく、樹木のため贈り物として添えることはないでしょう。
カシス(クロスグリ)の基本情報
クロスグリは低木で育てやすい
クロスグリはスグリ科の低木となり、ヨーロッパ原産で大きくなっても樹高は1.5m前後となり日本の狭い庭でも栽培しやすく、管理しやすい植物です。冬になると葉が落葉する落葉樹になり冬から早春までは枯れたように見えますが、根は生きているので春になると新しい芽が出てきますよ。
食用としてリキュールに加工されたのが1841年前後と言われていてお酒で有名ですが、食品としては比較的最近食べられるようになった果実です。
クロスグリは受粉木・人工受粉不要
ブルーベリーと少し似ていますが、ブルーベリーはツツジ科、クロスグリはスグリ科ということで性質は大きく異なります。ブルーベリーのうちラビットアイ種は受粉のために品種の違うラビットアイ種のブルーベリーが受粉木として必要になりますが、クロスグリは自家受粉できるため2本植える必要はありません。
また、メロンやスイカは雌しべを取り出し人工受粉させる必要あり手間がかかりますが、クロスグリは人工受粉不要で収穫まであまり手間のかからない植物です。
クロスグリの注意点
低木で人工受粉などの手間が不要など育て方が、比較的わかりやすいクロスグリですが、注意点もいくつかあるので紹介しますね。特に育て方に関する注意点は重要です。
クロスグリは関東以南での栽培は注意
育て方がわかりやすいクロスグリですが、関東以南の暖かな地域では育て方が正しくても収穫までたどり着くのは大変と言われています。クロスグリは暑さにあまり耐性がなく、強い日光にも耐性がないため寒い地域に向いている植物になります。寒さには比較的強い植物です。
そのため栽培難易度としては簡単という方も、やや難しいと評価する声もあります。連作障害は少ない、ないと評価されていて小さいためベランダなどの限られたスペースでも栽培可能です。
クロスグリは傷つくと臭いがする
クロスグリの仲間には赤や白の実をつけるレッドカラントなどの種類がありますが、クロスグリは枝が傷ついたり折れたりすると猫のおしっこのような強烈な臭いがする特性があります。普段は無臭ですが傷つくと臭うため何らかのアクシデントが発生したと考えられますよ。
もしクロスグリを育てている最中に臭いを感じたら枝が折れていないか確認してみましょう。低木で幹が太くならない樹種のため雪の重みや雨風の影響などで枝が折れることもあります。
クロスグリの臭いはオイル
クロスグリの新芽の部分は精油(オイル)が採取でき、クロスグリ特有の臭いは、このオイルが原因と言われています。強い臭いですが、少量を香水に混ぜる場合もあると言われていますよ。
カシス(クロスグリ)の育て方
1:栽培する環境について
注意点として紹介したようにクロスグリは収穫までの難易度は低いですが、暖かな地域には向いていません。また、雪が降るような寒い地域でも夏の直射日光が当たり続けるような場所は避けましょう。季節や時期問わず、半日陰で育てるようにして夏でも涼しいところで栽培するというのが基本です。
午後からの強い光(西日)が当たらない場所、強い風が吹かない場所を選びましょう。暖かな地域でも栽培自体は可能ですが難易度がぐっと高くなります。
クロスグリは完全な日陰はNG
常に日陰の中で育てると元気がなくなる可能性があります。日陰でも育つ植物もいますがクロスグリは日当たりが必要です。季節や時期によって西日が当たる場合は遮光ネットなどを利用して午後からは当たらないようにするなど工夫して育てましょう。
ベランダでの栽培など容器を利用して育てる場合は、移動して午後からは陰に栽培してくださいね。強い日光を浴びてしまうと葉が焼けてしまい調子を悪くする原因になります。この部分は少し管理が大変ですね。
2:クロスグリの土の準備
アントシアニンを含む果実だったり、小さくベリーのような酸味のある果実ということでブルーベリーとよく似ていますが、種類が全く異なる植物のため酸度の高い土を用意する必要はありません。花や野菜、ハーブの土として市販されているもので大丈夫です。
ポイントとなるのは通気性、水はけ、水持ちのバランスです。乾燥にもあまり強くはないので適度に水持ちがあり、水はけが悪くならないように注意しましょう。他の野菜が育てられる場所なら問題ないです。
水はけがいい・水持ちがいいとは
水はけがいいというのは砂地のように水を与えるとすぐに染み込んで水がたまらないような土です。逆に水持ちがいい土とは、水を与えると乾きにくい土になります。水持ちがよすぎると常に根が濡れている状態になり根が腐ってしまう可能性がありますよ。鉢植えなどで育てる場合は市販の土を使ったほうが簡単です。
クロスグリを畑に植える場合は、水はけが悪い土地は土壌改良して高温多湿にならないように注意しましょう。
肥料を混ぜる・マルチング
庭植えにする場合は腐葉土などをまぜておくと効果的です。また有機肥料を混ぜておくのもいいでしょう。元肥が配合されている土を使う場合は、特に肥料を混ぜなくても大丈夫です。ナスのように肥料を大量に消費する植物ではなく年に2回ほどの施肥で問題ありません。肥料については後述しますね。
西日本などの暖かな地域、乾燥が強い地域ではクロスグリの株元に腐葉土やわらを敷いて乾きすぎないようにマルチングしましょう。
3:クロスグリの植え付け時期
クロスグリ(その他スグリ)の植え付け時期は落葉する12月から3月ぐらいまでとなり、季節にすると冬から新芽がでる春までの間です。日本ではほとんど生のカシスが市販されていないため苗木から栽培するケースが多いですよ。苗木はホームセンターでも取り扱っている場合もあります。また通販でも苗木は購入可能です。
植え付け時期は多少過ぎても大丈夫ですが、基本的に落葉した頃に植えつけましょう。耐寒性落葉低木のため寒い時期に根を晒しても大丈夫です。
種まきについて
少し珍しいケースですが種まきからも育てられます。種まきの場合は実からタネを取り出した後、冷蔵庫に入れて冷気に当ててから種まきしましょう。クロスグリのタネは果肉に対し大きいため簡単に取り出せますよ。種まきで増やすよりも挿し木で増やすほうが一般的です。
4:クロスグリの水やり
クロスグリを植えたときに一度水をたくさん与え、その後は土が乾いてきたら与えましょう。乾燥に弱いため夏は特に注意しながら水を与えてください。また、水の与えすぎにも注意しましょう。土が乾ききらないうちに水を与えると根が腐る原因になります。
鉢植えでの栽培では土の量が少ないことから水切れ、乾燥のしすぎに特に注意しながら水を与えましょう。鉢上ので水の与え方は土が乾いてからたっぷり与えるのが基本となります。
庭植えは控えめでも大丈夫
庭植えの場合は夏などの乾燥時期以外は控えめでも大丈夫です。他の植木と同じようにある程度乾燥しても、土の量が多いため大丈夫ですよ。過度な乾燥になった場合は水やりが必須になるため土の様子に注意してくださいね。
5:追肥のタイミング
肥料は有機肥料、緩効性肥料などを新芽が出てくる前に与えます。また、10月頃にも同じように肥料を与えましょう。鉢植えでも庭植えでも同じように肥料を与えてくださいね。
追肥の考え方としては、落葉したあとに新たに芽が生えるためのエネルギーに肥料を与え、実った後の時期にお礼として肥料を与える感じになります。それぞれ時期があるので注意してくださいね。
6:収穫時期について
開花時期は4~5月になります。開花する季節は春となりますが、桜のようにきれいで目立つ花ではなく緑のような淡い色の小さな花が咲きますよ。受粉木は不要で人工受粉も不要なため特に世話する必要はありません。
無事受粉すると実がどんどん大きくなり完熟するとクロスグリらしい黒い果実になってきますよ。収穫時期は7月となり夏に収穫できます。黒くなったのを見計らって収穫するといいでしょう。
7:剪定
クロスグリの剪定は大切です。適切な時期に枝を切り戻さないと収穫できなくるので注意しましょう。剪定する季節は冬となり混み合っている部分を剪定しましょう。また、その年に伸びた枝に花をつける傾向があるため収穫が終わる前に剪定しないようにしてくださいね。
基本的に内側に生えている枝、枯れている枝、弱々しい枝を剪定し、混み合わないようにしていきましょう。混み合っている状態だと株元が蒸れやすくなり育成不要になります。
より本格的な剪定について
新しく生えてくる元気な枝を2~3本残してほかは剪定していくというのを5回ほど繰り返していくという方法があります。後は株元や内側に生える枝を剪定してくことで樹形を維持しながら収穫できると言われていて、農家などがする育て方です。
8:病害虫について
基本的に病害虫に強い植物です。害虫も発生しにくいと言われていますが、風通しが悪かったり日当たりが悪かったりするとアブラムシやカイガラムシなどの害虫が発生することもあります。また、葉を食べるアオムシも発生する可能性があるので剪定して風通しよくし、日当たりがよく西日が当たらない場所で育てるようにしましょう。
日本ではあまり栽培されていないため登録されている農薬が見つかりにくいのも注意です。
カイガラムシは剥がすだけ
カイガラムシ対策は非常に簡単です。クロスグリに白っぽいものがついていたらカイガラムシの可能性が高く、カイガラムシは足が退化するのでいらない箸などで削ぎ落とすだけで駆除できますよ。
アブラムシは選定をする、テープで取るなどな対策で被害を抑えられます。
カシス(クロスグリ)の食べ方
カシスジャム
定番のカシスジャムは実は簡単です。基本的に他の果実と同じように砂糖と一緒に煮詰めていくだけで大丈夫です。冷凍のものでも同じようにジャムに加工できますよ。レモンなどを入れなくても変色することもなく簡単に作れるため初心者にもおすすめです。
作り方は鍋に砂糖と一緒にカシスを入れて弱火で煮詰めていきましょう。砂糖が入ることで水分が自然とにじんできて水分が蒸発することで硬さを調整できます。砂糖は好きな甘みになるように整えるといいでしょう。
カシスムースショコラ
材料 (パウンド型1個分)
ココアスポンジレシピID : 1133380
■ カシスムース
生クリーム100g
グラニュー糖20g
カシスピューレ(加糖)40g
ゼラチン2.5g
水(ゼラチン用)10g
■ カシスゼリー
カシスピューレ(加糖)20g
水10g
ゼラチン1g
水(ゼラチン用)4g
お菓子を作らない方からするとハードルが高くなりますが、カシスはお菓子との相性が非常にいい果物です。レシピではピューレを使っているため生のカシスは飾り付けなどに使いましょう。ジャムでも代用可能ですよ。材料が多いので大変そうですが、ゼラチンを使うお菓子は冷やせば固まるので意外と工程は少なめになります。
カシスの食べ方で困っている方である程度お菓子作りの腕前がある方は、ケーキなどに加工してみるのもおすすめです。
作り方
あらかじめスポンジケーキを焼いた後に生クリームを泡立てカシスピューレやゼラチンを混ぜスポンジケーキの方に流し込んで冷やすます。ゼラチンの作用でおいしいムースができますよ。ムースを冷やしている間にゼリーを作っていきましょう。ゼリーもゼラチンを使い固めていきます。
ゼリー部分の作り方は、カシスピューレと水を混ぜてところに溶かしたゼラチンを混ぜるだけです。ゼリーができたらムースの上に流し込んで冷やせば完成になります。
カシス(クロスグリ)のまとめ
ブラックカラントは栄養豊富
ブラックカラント(カシス)は、栄養豊富でアントシアニンも多い食品です。寒い地域なら栽培しやすく種まきからでも苗木からでも育てられます。季節問わず半日陰で管理して強烈な西日が当たるような場合は遮光ネットなどを活用して日陰を作るといいでしょう。
実は生食よりもジャムなどの加工に向きクレーム・ド・カシス (Crème de Cassis) のように人気のお酒にもなっていますよ。お菓子との相性もよくお菓子作りが好きな方におすすめです。
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