はじめに:多年草植物フクジュソウの育て方
日本人に親しまれてきたお正月の花フクジュソウ
フクジュソウといえばお正月に飾る花としておめでたいとされている植物です。漢字で書くと福寿草の花となりこの文字からも縁起の良さが伝わってきますね。日本の各地で自生する地域は天然記念物として指定されている場所も少なくありません。
その開花時期である季節の風景とマッチする様子が好まれて、日本画のモチーフとしてもよく見かけることができるでしょう。名前は知らなくても誰でもどこかで一度くらいは目にする有名な植物がフクジュソウです。
フクジュソウの開花時期や育て方を紹介
多年草植物なので上手に管理してあげれば何年も楽しめるフクジュソウ。寒い時期だけの花と思われがちですが、実は4月くらいまで長く楽しめる鉢花としても人気があります。
今回はこのフクジュソウの花の鉢花としての出回り時期や種まきから自分で増やす育て方を解説していきます。
育て方の前に知りたいフクジュソウについて
フクジュソウ栽培をはじめる前にまずはこの植物の分類や特徴を知っておくと、慣れてくるほど簡単にどうしたらよく育つのかがわかってきます。フクジュソウについてまずは知っておきましょう。
フクジュソウの基本情報
科・属 | キンポウゲ科フクジュソウ属 |
原産地 | 日本・中国・シベリア |
英語名/学名 | Far East Amur adonis/Adonis amurensis |
育て方難易度 | 中級者程度 |
フクジュソウの特徴
フクジュソウは何といってもその鮮やかでこっくりとした黄色い花が印象的な植物です。草丈はそれほど大きくなく最大まで成長しても2-30cmほど。
多年草植物ですが落葉性で花が終わり6月ころになると枯れて根だけが生きている状態になりますので、翌年のために生えていた場所を忘れずに何か印を付けておくと、不用意に掘り返してしまうという心配がなくなります。
お正月が鉢花の出回り時期
フクジュソウの花を一番見かける時期や場所といえばお正月の床の間飾りではないでしょうか。赤い実を付けるマンリョウなどと一緒におめでたい意味がある植物として寄せ植えの鉢植えが作られ市場に出回るからです。
プロが育て素敵に仕立てられた花を育てたいという方は、この時期に鉢花を買い求めるとよいでしょう。
フクジュソウの開花時期や花言葉
開花時期
フクジュソウの花は早春に咲く花です。旧暦ではお正月に開花時期を迎えることから元旦の花とも呼ばれています。フクジュソウの開花期間は長く2-3月・涼しい地域の山間であれば4月くらいまで花が見られることもあります。
花言葉と誕生花
フクジュソウの花言葉は日本では幸せを招く・永久の幸福と漢字で書く福寿草という名前とほぼ一致しています。しかし一方海外で付けられた花言葉は悲しき思い出(sorrowful remembrance)というメランコリックなもの。
とはいえそれほどネガティブな意味ではないので、そのときの気持ちに合わせて使うことができるでしょう。フクジュソウの誕生花は1月1日となっています。
場所や水やりに注意!フクジュソウの育て方
フクジュソウについて基本的な知識をご覧いただいたところで早速育て方を解説していきましょう。フクジュソウ栽培のコツは植え付ける場所選びと水やり(土質)です。
フクジュソウの日当たり
フクジュソウは少し適した日当たりにコツがあります。夏に枯れる地上部から新芽が出て花が終わるくらいまでの時期には日光を多く求めますが、それ移行は涼しい半日陰のような木漏れ日程度の日当たりがよいからです。
フクジュソウを植える場所として木の根元などがよく選ばれるのはこのためです。
フクジュソウの種まき
フクジュソウは花後に種ができます。一般的な種まきから発芽・開花というスケジュールとは少し違いますので、まいてその年に開花するということはありません。
まず種まき用の土は親と同じ山野草用の土が適しています。また腐りやすいためはじめは覆土はせず、1週間ほど置いてから軽く土をかぶせるようにして明るい日陰で管理しましょう。フクジュソウの発芽には時間がかかり夏ころまいても翌年になります。
フクジュソウの植え付け植え替え
フクジュソウの鉢植えや株分けしたものを植え替える作業に適している時期は9-11月ころ。種まきからの成長は遅い植物ですが、成熟した株まで育ったら1-2年に一度は植え替えてあげてください。
植え替えのときに行うのは後述で株分けを詳しくご説明しますが、このほか根の剪定があります。フクジュソウの古い腐った根は植え替えのときに清潔な剪定バサミで切り取り整理して、株を新しい土に植え替えるというのが定期的なお世話となるでしょう。
フクジュソウの日常管理
水やり
フクジュソウの特徴としてまだ寒さが厳しいうちから開花する花というものがあります。このため冬場も水やりをしてください。この水やりを失敗してしまうと花が枯れることにもなります。
花の上から水やりをしてしまうと、花びらが凍ってだめになってしまうため水をかけるのは土のみにして優しくフクジュソウを扱ってあげるようにしてあげましょう。
肥料
フクジュソウは山野に自然と生えてくる植物なので肥料はあまり要らないと考えられがちですが、意外と肥料を必要とする植物ですので注意しましょう。
特に植え付け時の元肥・芽吹いてきた時の追肥は長期間しっかりと効果がある緩効性化成肥料がおすすめ。そのほかの時期は花や葉の様子をみながら水やりのときに液体肥料を規定量薄めてあげるとよいです。
フクジュソウの増やし方
フクジュソウは成熟した株であれば植え替え時期に掘り上げたとき、手で分けていくつかの株に増やすことが可能です。コツは手で分かれる部分から無理せず分けることと、新芽が密集している部分は無理してわけようとせずまた来年という気持ちでおこなうことです。
種取りをする場合に試してみたい交配
フクジュソウはアマチュア園芸家の方もこぞって新種の交配を試している植物です。種からの増やし方をされる方は受粉の際に別の種類のフクジュソウの雄花から花粉を持ってきて、雌花につけてみましょう。
そのあと花に水をかけないように屋根の下などで水やりにも気をつけて管理することで、うまくいくと親とは違った花が付くことがあります。
まとめ:春を感じさせるフクジュソウを栽培しよう
フクジュソウは家庭で新種の交配も可能
鉢花として購入したものでも地植えにしたものでも、フクジュソウは6月ころには地上部は枯れてなくなってしまいますが、また気温が低くなってくる頃には新芽が伸びてきて翌年もまた花を咲かせてくれる多年草です。
休眠期のあげすぎない水やりが大切
この根だけの時期にも土は常にわずかに湿っていることがフクジュソウの上手な管理方法となります。何も見えないとついうっかりと水やりを忘れてしまいそうですが、来年の早春にまた黄色い可憐な花を見たい方は6月からの休眠期にもしっかりと水やりを続けてくださいね。
フクジュソウが気になる方はこちらもチェック
フクジュソウのような可憐な山野草。このほかにももっといろいろな花のことを知りたいという方にはこちらの記事もおすすめです。このほかの植物に関しても上の検索窓に名前を入力すると、気になる植物の育て方や花言葉・植物図鑑などを探すことができますので、ぜひご活用くださいね。

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