はじめに:庭でハナショウブの花を咲かせよう
ハナショウブのお手入れ・育て方は意外と簡単
ハナショウブといえば少し暑くなりかけた時期に咲く花。青系の紫色の花は水辺に咲いていることも多いため、そのイメージか見ているだけで気分がクールダウンするという方も少なくありません。
水生植物と思われていることも影響して栽培が難しい植物と思われていますが、植え付けに注意すれば庭の地植えでも美しい花を咲かせてくれるでしょう。育て方を知れば意外と簡単な植物だとわかりますよ。
プランターや鉢植えでも育つハナショウブ
地植えのほかにも鉢植えやプランターでもハナショウブの花を育てることがでますので、都会のマンションなどの集合住宅でも遠出することなく花によって季節を感じることができるでしょう。
青系の花色もさわやかなハナショウブのお手入れ方法や適した土壌などの育て方を是非参考にされて、ご自宅で日本を代表する美しい花をお楽しみください。
栽培の前に知りたいハナショウブの基礎知識
ハナショウブの花の育て方の前に植物分類や育て方難易度・特徴や性質を解説していきます。はじめてハナショウブという植物をお手入れしていくという方には知っておいた方が役立つ情報ばかりです。
また花言葉や誕生花はプレゼントや自分のラッキーフラワーとしたいという方に、是非ご覧いただきたい情報です。
ハナショウブの基本情報
科・属 | アヤメ科アヤメ属 |
原産地 | 日本・朝鮮半島など |
英語名/学名 | Iris sanguinea/Iris ensata |
育て方難易度 | 簡単 |
ハナショウブの花色は豊富
原種であるノハナショウブは青から紫色をしていますが、現在確認できている種類で日本国内で2000、海外で品種改良されたものも含めると5000種類とも言われています。
花色は白やピンク・黄色やそれぞれの混色なども含めてとても豊富に揃っているだけでなく花の咲き方にも個性があり、栽培も簡単なためコレクションされている方も少なくありません。
ハナショウブの見た目の特徴や品種
ハナショウブの花は大きく分けて目立つ花びらの数で3つに分類されています。3つの弁が確認できるのが三英咲き(さんえいさき)。6つなら六英咲きで更に多くなると八重咲きというわけです。
地域によって品種も江戸・伊勢・肥後と分かれますが、勘の良い方ならこれらが古い地名であることがおわかりいただけるでしょう。現在ではこれらの品種分けだけでは収まりきれないほど品種改良種も分岐して多種多様な様相を見せていますので、お好みの花色や咲き方のものをお選び下さい。
アヤメやカキツバタとの見分け方
ハナショウブの花の特徴は花びらの根元部分に黄色いカラーが入っていること。また葉の表側に1裏に2本の目立つ葉脈も確認できるでしょう。また自生している場所にも特徴があってアヤメは乾燥した土の上でハナショウブは水辺に生えているのも見分ける方法。
カキツバタにおいては一目瞭然で花に網目模様が入っています。これは他の似た花には見られない特徴ですのでハナショウブとの見分けも簡単におこなえるでしょう。(画像はカキツバタ)
ハナショウブと菖蒲は違う植物
端午の節句で使う菖蒲の葉。これをハナショウブの葉と勘違いされることもあるのですが、まったく別の植物であるので注意しましょう。こちらはアヤメ科の花をみるためのショウブで、菖蒲湯はサトイモ科の植物である菖蒲の葉を使います。
ハナショウブの開花時期
ハナショウブというと端午の節句の菖蒲と混同されて5月の連休に咲く花と思われがちですが、実際の花期は6-7月ころで梅雨に見ごろを迎える植物となっています。
ハナショウブの花言葉は「うれしい知らせ」
ハナショウブには花がよく似ているアイリスの花言葉にも通じる花言葉が付けられています。アイリスの場合は恋のメッセージで使う場面が限られてきますが、ハナショウブはもう少し広義で使いやすいものとなっているのが特徴です。
ハナショウブの誕生花は5/4など
花言葉とともに使いたいものに誕生花がありますが、ハナショウブには5/4から5日8日10日、5/20・5/31・6/8とだいたい開花時期に合わせたものが設定されています。
4日ですと自分で育てたものはまだ咲いていない場合も多いので鉢植えにしてプレゼントするのがおすすめです。
植え付け時期に注意!ハナショウブの育て方
ハナショウブの基本情報もご覧いただいたところで、早速栽培方法について解説していきます。この植物を育てる際に特に気をつけていただきたいのは好みの土壌についてです。これはこの植物を誤解されている方が多いため、失敗される人が多い部分といえるでしょう。
ハナショウブの育て方:日当たり
この植物は日当たりの良い水に使った土壌と思われがちですがそれは少し違います。公園などで水辺に植えられているのは見た目をよくするだけで、ハナショウブの成長は水に浸かっている必要はありません。
耐暑性も耐寒性も高い植物ですので日当たりはよいに越したことはありませんが、水に浸かりっぱなしというような環境は避けましょう。
ハナショウブの育て方:植え付け植え替え
この植物の栽培をはじめるときは園芸店でポット苗の状態で買ってきます。苗が出回っている時期はその地域での植え付け時期となりますので、このような育て方ガイド記事よりもそちらの方を優先した方が失敗なく根がつくでしょう。
植物によっては本当に植え付け植え替えタイミングは微妙で、ほんの少しずれたただけでも季節を逃してしまうということも少なくありません。またハナショウブは購入した苗と株分けでも、植え付け植え替え時期は変わってきますのでご注意ください。
ポット苗の植え付け植え替え
春3月から夏7月ころまで苗が出回っています。ポット苗はその時期に育つものが売られていますので、3-7月のいつ植え付けても可能です。土は一般的な植物用培養土でOK。特に湿潤な土壌である必要はありません。
自分で増やした株や植え替えの場合
ここでは株分けして増やす場合の植え付けになりますが、これは花が咲きはじめのころが適期です。というのもハナショウブは花の咲く向きがあります。
庭に地植えにする場合は特に花が自宅から見て後ろ向きになってしまわないようこのような時期に植え付け植え替えするのがよいといわれています。鉢植えならば向きは関係なく毎年鉢増しをして植え替えていきましょう。
ハナショウブの育て方:日常管理
水やりのコツ
開花時期の水やりは大切です。水が切れると花がうまく開かないだけでなく、しおれてしぼんでしまうこともあるでしょう。花はせいぜい3日ほどしか開いていませんのでその間だけでも水は切らさないようにするのが水やりのコツです。
それ以外の時期には春暖かくなったら土が乾いたら十分な量をあたえるというスタンスでよいでしょう。冬場は株を休ませる意味でも雨水程度で水やりの必要はありません。
肥料の時期ややり方
花の時期を目安に肥料をあげていく方法がわかりやすいです。まずは花が咲く前に1度。7月ころに花が終わった株にお礼肥えとして1度。そのあとは真夏の時期には肥料はあげずに、秋涼しくなったら翌年の花芽を育てるという意味で最後の肥料をあげてください。
病気や害虫
気をつけるのは葉や茎を食い荒らす食害をする害虫です。時期は5-9月くらいまでで葉が透けたり茎が倒れてしまったりするので発見することが多いです。どちらもスプレー式の食害害虫用の薬が効きますので散布して退治してください。
ただしヨトウムシに関しては活動時間が夜間であるのと群生しているときに駆除するのが効果的であるため、暗くなってからを狙って農薬散布するとよいでしょう。
ハナショウブの育て方:剪定
ハナショウブは花がら摘みはしますが葉は株を充実させるために必要ですので切り戻しなどはしません。ただし株分けをする予定がある方は次の株を育てるために葉を半分ほどの丈に切って葉からの水分の蒸発を防ぎます。
花が終わったあとの花がらは茎ごと剪定してしまうとよいでしょう。増やし方で実生苗をつくりたいという方は実を作らせるため花がら摘みはしません。
ハナショウブは球根ではなく実で増やす
ハナショウブは多年草ですが植物には寿命がありますので何年かすると自然と絶えてしまいます。それ以上に長持ちさせるためには株の更新というものをおこなってください。
やり方は株分け・種まきのどちらかです。株分けであれば翌年も花が咲く確率が高いですが、種まきは翌年花が咲くかは確定ではありません。ハナショウブの球根が欲しいといわれる方がいますがハナショウブは球根ではなく実で増やします。
株分け・種まきのやり方
自家採種した種は秋に種まきします。株元に種が落ちても増えるので実生苗を作るのは難しくはありません。育苗箱などにまいて春に大きくなったらポリポットなどにあげて市販の苗程度の大きさまで育ててから植え付けます。
株分けの時期は花が終わったころが適期。株元に花が咲かない小さな株があるのを確認できるためです。花が終わった株はもう咲きませんので花が咲いていない若い株を選んで分け、鉢植えやプランターなどに別に植え付けてあげれば数が増やせます。
まとめ:ハナショウブを栽培しよう
ハナショウブ栽培は植え付け場所に注意
いかがでしたでしょうか。今回は庭でも育てられる水辺の花ということでハナショウブの基本情報や栽培方法について解説してきました。アヤメやカキツバタ・アイリスとよく似た花もありそれぞれ日本では昔から人気が高い植物ですが、水の中でしか育たないと勘違いされている方も多いようです。
その勘違いのまま育ててしまうと失敗してしまうので植え付け場所や時期・適した土などはよく確認して庭の地植えや鉢植え・プランターなどでもきれいな花を咲かせましょう。
ハナショウブが気になる方はこちらもチェック
今回はハナショウブの基本情報や栽培のやり方・増やし方を解説してきましたが、暮らしーのではこのほかにもハナショウブとよく似たアヤメやアイリスの花言葉・違いなどをピックアップして詳しく解説した記事もご用意しています。気になるという方はこちらの記事も是非見てくださいね。

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出典:https://photo-ac.com/