ハゼランは15時頃に1時間ほど開花する!
草丈が1メートル前後になるハゼランは、北海道以外の地域では道端や石垣のすき間などで観られ、ほぼ雑草化している多年草です。原産地は南米などの暖地で、明治初期に観賞用として日本に導入されました。
花径が6ミリメートルほどしかないのでよく観ないと分かりませんが、サクラのような五弁の濃いピンク色の可愛い花を付けます。花とほぼ同時に赤い実も付け、熟すと裂けるのもまた風流です。多肉質の葉が食用できるというハゼランを育ててみましょう!(この記事は2021年5月22日時点の情報です)
ハゼランの基本情報
分類 | スベリヒユ科ハゼラン科 |
原産地 | 南アメリカや西インド諸島などの暖地 |
学名 | Talinum crassifolium(タリヌム クラッシフォリアム) |
英名 | coral flower、jewels of opar |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
開花時期 | 8月末~10月 |
茎や葉は多肉質で柔らかく、円柱状の茎はまばらに枝分かれし、線香花火のようなハゼランの特徴が表れています。互生する一枚葉は、幅が1.5~5センチメートル・長さ3~10センチメートルほどあり、全体的に華奢で繊細なイメージの花です。
本来ハゼランは多年草の熱帯性植物ですが、日本では越冬できないことが多いため一年草扱いになっています。しかし旺盛な生育力があり、種で簡単に増やすことが可能です。今ではすっかり秋を彩る季節の花として定着しました。
ハゼランの別名
ハゼラン(爆蘭)のハゼは漢字の「爆ぜる」から来ており、実が熟すと種子が爆発したように飛び出す様子が由来とされています。
ハゼランの特徴はピンク色の花にもあります。円錐状に線香花火のようにたくさんの小花を付ける点と、午後2時~3時頃の間にしか咲かない点が挙げられます。「江戸の花火」「三時花」「三時草」「三時の天使」などの風流な別名もあるのです。
他の名称
ハゼランには、ご紹介した以外にもまだ別名があります。英名と同じ「コーラルフラワー」、小花がお米のようにも見えることが由来とされる「米花蘭」、ひたむきで一途な姿がNHKの朝ドラを思わせる「オシンソウ(おしん草)」、星に関係する「ヨヨノホシ(夜々の星)」や「星月草」「星の雫」などです。
星に関係した別名はとてもロマンチックです。ハゼランというよりも別名のほうが、この花の名前にふさわしく感じられます。
ハゼランの育て方
ハゼランは優しい日当たりが好き!
ハゼランは野生化してることから察せられるように、北海道のような寒冷地以外では比較的生育が旺盛といえるでしょう。日当たりのよい場所を好みますが、半日陰でも丈夫に生えているため、適度な日当たりがあれば充分といえます。しかし基本的には乾燥には強く過湿に弱い性質なため、水はけのよい場所に植えましょう。
午前中は日が差す場所で午後は半日陰の場所にして、直射日光を避けたほうが無難です。鉢植えの場合は、冬には10℃以上の暖かい場所で保管します。
ハゼランは水はけのよい土が好き!
ハゼランは、市販されている園芸用の培養土でも丈夫に育ってくれます。自分で用土から作ってみたいというこだわりがある場合は、水はけのよい環境になるように土作りをしましょう。
赤玉土・腐葉土・パーライトを5:1:4の割合でブレンドすることで、水はけのよい用土となります。水やりは表土が乾燥したらたっぷり与えますが、保水性の低い土壌にしてあげることがポイントです。
ハゼランの水やりは表土が乾燥してから!
ハゼランの水やりは、土の表面が乾いてからでOKです。南米や西インド諸島の乾燥気味の暖地が原産のハゼランは、湿った場所よりも乾燥した場所が好みとされています。日本でも野草化していることが示しているように、地植えする場合は日照不足でない限りは水やりをする必要はありません。
鉢植えの場合は、土の上面が乾いてからにしましょう。根腐れ防止のために鉢受けの皿にたまった水は捨ててください。冬は休眠期に入るため、水やりは控えめで問題ありません。
ハゼランは肥料がなくても育つ!
野生化していることからもお分かりのようにハゼランは、特別に肥料を与えなくても元気に育ちます。しかし花付が心配な場合は、開花時期の前から開花時期の6月~10月頃に液肥を月に一回与えて栽培してください。
肥料は、特別に必要としない植物に与えすぎてしまうとかえって弱らせてしまう原因になります。ハゼランのように肥料が無くても旺盛に育つ植物には与え過ぎないように注意しましょう。
ハゼランの植え替え時期は6月~8月!
ハゼランを植え替える時期は成長期の6月~8月となります。植え替えるときは、根鉢を崩さないように丁寧に古い土を取り除くなどの注意をしましょう。植え替えるときの鉢は、ハゼランの株より一回り大きめで問題ありません。
地植えでも冬は鉢に植え替えて10℃以上の部屋で管理すれば、北海道のような寒冷地でも無事に越冬させられます。あまりにも大きめの鉢は水はけが悪くなり、根腐れを引き起こす原因になるので注意してください。
ハゼランの種子採取は実が黒くなってから!
ハゼランの栽培は、日本の場合は種子で行います。ハゼランの種子を採取するタイミングは、ハゼランの実が乾燥して黒色に変色してから行います。種子は軽く指でつまむだけで落ちてきますが、1ミリメートルの小さい粒なのでこぼさないように、袋やお皿などの受けるものを用意します。
ハゼランの発芽率はよいため、種子を採取してすぐに蒔いても発芽します。乾燥防止のために果実ごと保管しておき、春に種まきをするのもよいでしょう。土の上にばら蒔くだけで発芽します。
ハゼランの花言葉と誕生日
ハゼランの花言葉は、「真心」「永遠にあなたのもの」などがあります。日本でも雑草化しているハゼランではありますが、注意して花を観察すると、サクラのような形をしたピンク色の可愛い花を咲かせます。花と同時に付ける赤い実も可愛く、とても愛すべき花なのです。
そんな花を(自分を)見つけてくれた人に対してだけ、真心でお返しする、そして心変わりせずに一途にその人を大切にするといった状況が思い浮かべられそうです。
ハゼランは10月3日の誕生花
ハゼランは10月3日の誕生花とされています。花と実をほぼ同時期に付けるハゼランは、地域にもよりますが10月でもまだ美しい姿を見せてくれるのです。
10月3日が誕生日の恋人がいたら、ぜひ「真心」「永遠にあなたのもの」の花言葉を添え、切り花などにしてプレゼントしましょう。しかし、恋人以外の人には重すぎる花言葉なのでご注意くださいね。
ハゼランは食用にもなる!
食用になるハゼランは全草が食用OKですが、若くてやわらかい葉を調理します。調理方法は、ほうれん草などの青菜と同様に下処理はしなくてもよいので、とても簡単です。生でサラダ、軽く湯がいてお浸し、お好みの味のスープの具材に、天ぷらやゴマ和えやバター炒めも好評です。
またハゼランの根は、中国やインドネシアなどでは漢方薬としても用いられているのです。見た目だけではなく食べても美味しいハゼラン、これはもう栽培するしかないですね!
ハゼランの栄養価
ハゼランはビタミンAやC、鉄分、カルシウムなどを多く含有しています。そのためセイロンほうれん草ともいい、南米や西インド諸島などの原産地では栄養豊富な食材として活用されてきたのです。日本ではあまり食用する習慣がないのが残念ですね。
しかしハゼランは、昔から日本の一部の地域でも食べられてきた、水稲と同じ史前帰化植物のスベリヒユの仲間なのです。
史前帰化植物のスベリヒユ
日本でハゼランよりも古い歴史があるのが「スベリヒユ」です。スベリヒユは日本全国の田んぼのあぜ道や道端などのあらゆる場所に放射状に生え、ちょっと厄介な雑草としておなじみの植物です。
食用としての習慣があるのは、山形県や沖縄県などといわれています。酸味があり、ぬめりのある食感、鉄分が多く含まれているスベリヒユは、ハゼランと同じようにお浸しやサラダなどにおすすめとか。食べる栄養のスベリヒユにぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
要注意!ハゼランに似た2つの花
ハゼランは全草が食用できますが、注意したいのが、似た花の中に有毒植物があることです。ハゼランに似ている花に「ゲンノショウコ」と「サフランモドキ」が挙げられます。
ゲンノショウコは「現(験)の証拠」とも書くように、下痢止めや胃腸病の緩和に生薬として利用されてきました。しかしゲンノショウコの若葉と似た花に、トリカブトやキンポウゲ科の有毒植物があるため、やはり要注意です。
サフランモドキは有毒植物!
キジカクシ目ヒガンバナ科の「サフランモドキ」は有毒植物で、下痢や腹痛、吐き気を催します。紛らわしいのですが、キジカクシ目アヤメ科の「サフラン」は食用されており、パエリアなどの黄色に着色するなど着色料や調味料として利用されています。
サフランモドキとサフランの花径は共に4~6センチメートルなので、花径が6ミリメートルほどのハゼランと間違うことは少ないかもしれません。しかし念のためにチェックしておき、採取するときはくれぐれも注意しましょう。
ハゼランと同属のクサハナビも似ている
花茎を長く伸ばしてピンク色の小花を付けるクサハナビ(草花火)は、ハゼランと同属のスベリヒユ科ハゼラン属のため、ほとんど見分けがつきません。午後3時近くに開花する点も同じです。
しかしクサハナビの葉は、松葉ボタンのように細いことから見分けられます。いろいろな違いをチェックしておきましょう。
栽培が簡単なハゼランを6月から愛でよう!
「三時草」や「三時の天使」などの別名を持つハゼランは、暖かい地域であれば簡単に栽培できる植物です。育て方は、水はけがよい土の半日陰の場所がよいとされています。特別な肥料もいらないことから野生化もしており、鉢植えだけではなく地植えでも自然に種で増えていくというたくましさ。
草丈は1メートル前後あり、開花時期の6月~10月にはピンク色の小花を咲かせます。花と同時に赤い実も付け、秋の季節には趣深く演出してくれるので、ぜひ栽培してみましょう!
花と実が同時に付く植物が気になる人はチェック!
花と同時に実を付ける植物は、ハゼランの他にヤマゴボウ科のジュズサンゴがあります。ハゼランとは別の趣があるジュズサンゴの育て方などについてもチェックしておきましょう。また赤い実が気になる人はツルウメモドキなどの樹木も要チェックです!
寒さに弱いので注意!ジュズサンゴの育て方をご紹介!開花時期や種まきの季節も解説。
暖かい地域で育つジュズサンゴは、北米南部や南米などが原産のヤマゴボウ科の常緑多年草です。種まきは5月以降で、6月~10月の開花時期には白い小...
果実と果皮のコントラストが美しい!ツルウメモドキの特徴や見頃の時期をご紹介!
北海道から沖縄まで自生するツルウメモドキは、黄色と赤の果実の色合いが美しく、ガーデニングでも大人気。見分け方は果実が熟す秋にならないと難しい...
出典:photo-ac.com