ハギ(萩)はどんな花?
ハギ(萩)は滝のように茎を伸ばし、細かい花と葉をたくさん咲かせる植物です。樹木図鑑に載っていて庭木として古くから愛されてきました。日本だけでなく、東アジア全土からアメリカ大陸にまで全世界の広い範囲で生育しています。
落葉低木なので、草丈がそれほど大きくなりすぎず冬場は葉が落ちて枯れてしまうので管理の手間も比較的少ない初心者向けの植物です。
ハギ(萩)の魅力とは
ハギ(萩)の最大の魅力は、なんといってもその樹形と花姿です。根元から伸びあがるように、何本もの茎を出し下に向かって滝のように流れる茎、そしてその茎に小さい花や葉がたくさんつくハギ(萩)はまさに秋の風情にぴったりな植物でしょう。
育てやすさと、生育が盛んなハギ(萩)の特徴を生かしてあちこちの神社やお寺の境内で見ることができます。
ハギ(萩)の名前の由来とは
ハギ(萩)という名前は、前年の株の根元からたくさんの茎が伸びてくる特徴からつけられました。ハギ(萩)は根元からかなり短く剪定しても、春には伸びてきます。昔はこの新しい茎を生え芽(はえぎ)と呼んでいたので、そこから転じてハギ(萩)という名前がつきました。
落葉低木なのでお手入れも簡単
ハギ(萩)は落葉低木なので、秋から春にかけては葉が落ちて茎や枝だけになってしまいます。常に葉が茂っているわけではなく、冬場に葉が落ちてリセットするので剪定も簡単にでき、庭木としてもすっきりとした印象を与えてくれます。
葉が落ちた翌年の5月には、またたくさんの茎や芽が出てくるので冬場に何もなくなってしまっても心配ありません。
ハギ(萩)の開花時期と品種
ハギ(萩)の開花時期は秋
ハギ(萩)は秋の七草にも数えられているポピュラーな植物です。その開花時期も、7月から10月の秋の時期でお月見のときにススキやハギ(萩)の花を飾る風習が残っている地域もあります。
また、ハギ(萩)の品種によっては6月の早い時期から花を咲かせるものもあります。図鑑に載っているハギ(萩)の品種について、詳しくご紹介します。
ハギ(萩)の代表的な品種①宮城野萩(ミヤギノハギ)
ミヤギノハギは宮城野萩という漢字が当てられているとおり、宮城を代表する東北に自生することが多い品種です。鮮やかなピンク色の花と生育の旺盛さが最大の魅力で、短く剪定しても翌年の4月から5月には新しい芽がたくさん出てきます。
ハギ(萩)の代表的な品種②江戸絞り
江戸絞りは白い花びらにピンク色の模様が入った、とても珍しいハギ(萩)の品種です。庭木としてだけでなく、切り花や茶花としても愛されている品種です。白い花びらがさわやかな印象を与えてくれます。
ハギ(萩)の代表的な品種③木萩
木萩は盆栽として扱われることが多いハギ(萩)の品種です。全体的にコンパクトな木萩ですが、庭植えにすれば大きく成長します。茎が枝のように木化することから木萩という名前がつけられました。花が小さく細かいので控えめな印象を与えてくれます。
ハギ(萩)の代表的な品種④ヤマハギ
ヤマハギは日本の山野に自生していて簡単に見つけることができます。野生種なので草丈が大きく、花がまばらなので庭木として取り入れられることは少ない品種です。開花時期が早く、6月の梅雨明けには花を見ることができます。
ハギ(萩)の代表的な品種➄シラハギ
シラハギ(白萩)はその名のとおり白い花を咲かせます。シロハギとも呼ばれていて、本州の日本海側の地域で主に自生しています。
ハギ(萩)の育て方
まずは栽培スケジュールを確認
ハギ(萩)は、7月から10月の開花時期に向けて1月から2月に肥料を与え、秋に剪定を行います。植え替えをするときは剪定後の冬場に行いましょう。
耐寒性も耐暑性も強い植物なので、一年の管理スケジュールが忙しくないのも魅力です。
植え付け方法と用土
水はけのよい用土に植え付けを行います。庭植えのときは、腐葉土を混ぜ込んで肥やしておくとよいでしょう。鉢植えは、市販の培養土か赤玉土と腐葉土を混ぜ込んだものを用います。晩秋か初春の土が凍っていない時期に植え付けを行い、たっぷり水を与えましょう。
水やりと肥料
庭植えにしている場合は、夏場の高温期以外は特に水やりの必要はありません。乾燥状態が続くと弱ってしまう特徴があるので、鉢植えのときは朝と夕方に水やりを忘れないように行いましょう。
やせた土地でも育つことができるので、たくさんの肥料を必要としません。冬場に緩効性の化成肥料を寒肥として与えるだけで十分ですよ。
鉢植えは肥料不要?
鉢植えで育てているときは肥料を与える必要がありません。ハギ(萩)は根に窒素成分を取り込む性質があることに加え、鉢植えのハギ(萩)に肥料を与えると必要以上に大きく育って倒れやすくなってしまうからです。
ハギ(萩)の剪定
園芸品種として流通しているハギ(萩)の品種は、秋の終わりに花が散ったくらいが剪定のタイミングです。たくさん出ている茎や枝を根元からばっさりとカットしましょう。翌年の春には、カットした根元から新しい枝が伸びてきます。
ハギ(萩)の病害虫対策は
他の植物に比べて強いハギ(萩)ですが、4月から5月の新芽が伸びる時期にアブラムシが発生しやすいので注意しましょう。見つけたら市販の薬剤を散布するか、牛乳をかけてまとめて退治しましょう。
ハギ(萩)の植え替えと増やし方
ハギ(萩)の植え替えの頻度と方法は?
ハギ(萩)の植え替えは、鉢植えの場合のみ2年に一度の目安で冬場に行います。繁殖力が旺盛なので、枝と同じように根っこも伸びやすく根詰まりを起こしやすいので少し大きめの鉢に植え替えましょう。
庭植えの場合は、根詰まりを起こす可能性が低いので特に植え替えは必要としません。
増やし方
増やし方は、以下の三種類があります。最も失敗しない初心者向けの挿し木から順番に、詳しくご紹介します。種まきでも増やすことができますが、品種によっては実ができにくいのであまりおすすめではありません。
ハギ(萩)の挿し木
挿し木は10月から11月に行います。春に伸びてきた新しい枝を30㎝ほどの長さでカットして用いましょう。下の葉は半分以上、とってしまいます。その後、1時間ほどバケツなどで水揚げしたあとに、挿し木専用土に倒れないように植え付てください。発根するまでは、半日かげで乾燥しないように管理しましょう。
ハギ(萩)の挿し芽
5月から6月のぐんぐん芽が伸びる生育期の新芽を使います。15㎝ほどの長さにカットしたら、蒸散を防ぐために半分ほどの葉をとってしまいます。黒いポットなどの小さめな容器に、カットした芽を挿したら乾燥させないように管理してください。
ハギ(萩)の株分け
冬場に剪定して短くなったハギ(萩)の苗を掘り出して株分けを行います。スコップやハサミなどで、半分にカットしてしてください。寒い地方では、冬場に傷んでしまうことがあるので2月から3月の間に行います。株分けしたあとは乾燥しないように管理しましょう。
ハギ(萩)は乾燥が苦手!栽培の注意点
ハギ(萩)の栽培の注意点①乾燥
ハギ(萩)は梅雨明けから秋にかけての暑い時期に、頻繁な水切れが発生すると弱ってしまいます。庭植えよりも気をつけなければいけない鉢植えは大量の用土が入らず、水切れを起こしやすいので注意しましょう。夏場は雨の日以外は、朝と夕方に必ず水やりを行います。
ウッドチップやワラで乾燥対策
ハギ(萩)の苗の根元にウッドチップや枯れ葉、ワラなどを敷き詰めることで土の水分が蒸発してしまうのを防ぐことができます。乾燥がひどい場合は、そういった方法で根元を保護してあげるとよいでしょう。
ハギ(萩)の栽培の注意点②花が咲かない
ハギ(萩)の葉ばかりが茂ってしまい花が咲かないという場合は、窒素成分の多い肥料を与えすぎてしまっていることが考えられます。窒素を取り込む特徴があるので、肥料は控えめにするように心がけます。また、日当たりが悪いと花つきが悪くなってしまうので注意しましょう。
ハギ(萩)をお庭に取り入れてみましょう
やせ地でもぐんぐん成長して、肥料も多く必要としないのがハギ(萩)の最大の魅力です。育て方も難しくなく、ピンクや紫だけでなく絞りの入った珍しい品種もあります。
病害虫にも強く、剪定の手間も少ないハギ(萩)の花をぜひお庭に取り入れてみてください。
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