キキョウとは
万葉の昔から秋の風物詩として親しまれているキキョウは、毎年美しい姿を楽しませてくれる多年草です。 比較的初心者でも栽培しやすく、園芸ショップなどでも見かけられます。ただし、野生のものは環境省から絶滅危惧Ⅱ類に指定されるほど減少傾向にあります。
学名
キキョウの学名は、「Platycodon grandiflorum」といいます。その名称は、キキョウの花の形に由来しているといえるでしょう。 Platycodonは、ギリシャ語のPlatys(広い)という言葉とcodon(鐘)が結びついた言葉です。花のカタチが鐘のように見えるところからきているようです。
花名の由来
キキョウの名前の由来は、中国で使われていた桔梗(きちこう)から来ています。また、英語名は「Balloon flower(バルーン・フラワー)」です。この名前もキキョウのつぼみの姿が、膨らんだ風船のようだというところからそう呼ばれています。
キキョウ/品種・原種
原産地
キキョウの原産地は、日本・中国・朝鮮半島です。 中国では、古くからキキョウの根を乾燥させ漢方薬として使われてきた歴史があります。効能は、のどの腫れや咳止めなどに効果があると言われています。
分布域
キキョウの分布する範囲は広く、その分布域は熱帯から温帯にまで広がっています。北半球などでは、高山帯にまで及んでいるといえます。 特に、原産地である日本・中国・朝鮮半島を中心に東アジアに多く分布しているのが特徴です。
キキョウ/花言葉
ロマンティックな花言葉「誠実」「永遠の愛」
キキョウの花言葉の「誠実」や「永遠の愛」は、ただひたすら愛する人を一生涯待ち続けた娘の話から来ています。その娘の思いがキキョウに宿ったと伝えられています。 キキョウの花の色にも、それぞれ花言葉があります。 定番の「紫」は、その凛とした姿そのままの「気品」が花言葉です。「白」には、「清楚」や「従順」という花言葉があります。ただし、ピンク色には、「薄幸」という意味があるので花束などを送る場合には気をつけておきましょう。
キキョウ/特徴
キキョウは、そのつぼみが風船のような形をしているのが特徴的です。愛らしいその姿は、見ているものの心を和ませてくれます。 いにしえからキキョウを愛する人は多く、万葉集の中にもキキョウを歌ったものがあります。万葉集で山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ朝顔は、キキョウのことだといわれています。 キキョウの花は、5cmぐらいの大きさです。茎のところどころに花をつけ、その姿はまるでベルが連なっているようです。楕円形の葉の縁は、ギザギザになっています。花の色は、紫の他に白や薄ピンクがありそれぞれに趣があるといえるでしょう。 あまり丈が大きくならない矮性種と背が高くなる高性種があります。一般的に家庭で用いられるのは、高性種です。高さは、おおむね50~80cm程度に育ちます。高くなると、150cmまで育つものもあります。
キキョウ/育て方・栽培方法
難易度
キキョウの育て方は、さほど難しくはありません。初心者でも、無理なく取り組むことが可能です。キキョウを育てて、風情のあるお庭づくりにチャレンジしてはいかがでしょう。
時期
キキョウの開花時期は、6月~10月まであるから長い期間花の美しさを楽しむことができます。
植え付け
キキョウの植え付けには、水はけと保水力が程よく調整できる用土が最適です。 鉢植えにするなら、花の見た目より少し大きいサイズの鉢を選ぶといいでしょう。小さい鉢では、土が乾きやすく肥料を蓄えておく力も弱まります。植え付けの際には、粒状肥料をまんべんなく適量混ぜ込んでおきましょう。 直接庭などへ植える場合にも用土に肥料を混ぜ込んでおくと、キキョウの成長をサポートしてくれます。
種まき
キキョウの種まきの時期としては、4~5月が最も適しています。育苗箱などに5~6粒を目安に種をまきます。その上から土をかぶせた後、日なたで発芽するのを待ちましょう。この時注意する点は、土を乾燥させないことです。霧吹きなどで、水をこまめに与えることが大切です。 発芽が多くなれば、元気そうな苗だけを残し適当に間引きをおこないます。育苗箱の場合は、本葉が2~3枚程度になればポットへ植え替えましょう。ポットで育てた場合は、本葉が5~6枚になるのを目安に少し大きめの鉢や庭へ植え替えます。
水やり
キキョウの水やりは、鉢植えと地植えでは少し違います。 鉢植えの場合は、鉢の土の表面が乾いてきたら水を充分に与えてやりましょう。放っておくと、弱ってしまうので要注意です。 逆に地植えの場合は、夏のような炎天下以外なら放置しておいても心配がありません。キキョウが、自力で根をはり水分を吸収してくれます。
肥料
肥料のやり方は、鉢植えと地植えで少し違ってきます。 鉢植えでは、植え付け時にじっくりと効果が出る緩効性肥料を混ぜておく点が特徴です。その後、キキョウの開花する時期にあわせ液体肥料を2週間に1回程度与えるとよいでしょう。 庭などへの地植えの場合は、最初に土へたっぷりと肥料を混ぜておけばそれだけで大丈夫です。鉢植えのように追肥をおこなう手間もかかりません。 肥料を充分に与えてやると、茎も丈夫に育ち花付も良くなります。ただし、肥料をやり過ぎると丈夫になり過ぎ、可憐なキキョウの風情が失われる心配があります。肥料をやる際には、花の状態を見ながら調整するようにしましょう。
剪定
キキョウの剪定は、花が咲き終わる初夏の頃に「切り戻し」をするとよいでしょう。株元から1/3~1/2程度を残し、さっぱりさせるとその後もきれいな花を咲かせてくれます。草丈があまり高くなると、花の付きが悪くなるので適当に摘心をおこなうことをおすすめします。 花が咲き終える6月頃には、「花がら摘み」をおこないましょう。咲き終えた花を取り除き綺麗にしておくことで、秋の開花をより美しく楽しむことができます。
増やし方
キキョウの殖やし方としては、株分けと挿し木があります。 株分けの場合、キキョウの見える部分が枯れてきた頃におこないます。時期的には秋頃になるため、植え替えに合わせて行うとよいでしょう。秋頃には、キキョウの成長がしばらく止まるため少し傷をつけても心配いりません。株分けの際には、次の年に成長できる芽がついているかを確かめることが大切です。 長年育てた株は、人間と同じように老化しています。そんな時は、挿し木をおこない新たな株を作りましょう。キキョウの挿し木は、5月頃におこないます。キキョウの茎の先から5cmほどのところを切り、1時間ほど水につけ給水指すのがポイントです。その後、湿らせておいた土に挿し日陰で1週間程度置きます。この時、土を乾燥させないように注意しましょう。1週間たてば、3~4日おきにに当たりの良い場所へ移動させるます。1カ月たてば、そのまま日当たりのよい場所で育てましょう。
育てる場所
キキョウを育てるなら、日当たりのよい場所が適しています。おおむね半日程度日に当たるところであれば、育てる場所として問題ないでしょう。ただし、暑さに弱いため夏場などは直射日光を避けることが大切です。熱が滞らないように、風通しの良い場所がおすすめです。
まとめ
比較的簡単に育てることができ庭の彩としても素敵なキキョウは、ガーデニングの初心者にもおすすめのお花です。乾燥や暑さなどに気をつけておけば、こまめに手間をかける必要もありません。それでいて風情のある姿を楽しませてくれるから、お庭の一角やお部屋の鉢植えにキキョウは最適だといえるでしょう。