デンファレとは
デンファレは、オーストラリア北部やニューギニア一帯を原産地とする南国の花です。花色は白やピンク、黄色などさまざまな色があり、開花の見頃の時期は夏から秋にかけてで、一年を通して切り花として出回っています。
デンファレは、ガーデニングとして栽培するのはいささかむずかしい品種ではありますが、その南国風の美しい姿に引かれて挑戦する方は後を絶ちません。挑戦してみたいという方はぜひ参考にしてみてください。
デンファレという名前の由来とは
デンファレの名前には、その属名が関係しています。デンファレは、ラン科のセッコク属(セ英語でDendrobium=デンドロビウム)の花木で、その一系統であるデンドロビウム・ファレノプシス((D. phalaenopsis)などと交配してできた交配種をデンファレ系と呼ぶのです。
コチョウランに似た洋ランの花姿が特徴的で、気高く可憐な花タイプとなっています。なお、デンドロビウムには実に多くの種類があり、ノビル系も観賞用として人気です。
人気の洋ラン・デンファレに挑戦してみよう
デンファレは、数あるランの品種の中でも、洋ランに分類されます。洋ランとは、熱帯から亜熱帯地域が原産で、おもに欧米で改良されたラン科の花のこと。一方、洋ランの対になるのが東洋ランで、こちらは日本や中国でも温帯地域が原産のラン科の花となっています。
ラン科の植物は元来、耐寒性に弱いため冬の育て方がポイントとなります。デンファレは洋ランの中では比較的育てやすい品種ですので、ぜひラン栽培を挑戦してみましょう。
デンファレの人気の品種をご紹介
デンファレ エカポールパンダ
紫色と白の大きな花がつく代表的なデンファレです。日本でデンファレといえば、このエカポールパンダを思い浮かべる方も多いかもしれません。花が大きくゴージャスで、花弁が丸いのが特徴です。
デンファレソニア
花弁が少しとがっていて、花茎が長いデンファレソニア。濃い紫色と白の色味が典型的なデンファレです。切り花でもよく出回っているタイプで、高貴なイメージの花が印象的。
ミニデンファレ
オーストラリア原産の小型のデンファレがミニデンファレです。小さくて育てやすく、冬の寒さにもわりと強いため、花が咲きやすいタイプとなっています。
デンファレの育て方のポイントとは
デンファレは栽培環境が重要な鍵
デンファレを栽培する際、栽培環境をまず決めることが大切です。というのも、デンファレは熱帯地方が原産の多年草なので、寒さが大の苦手だからです。デンファレの栽培温度は18度以上が理想で、日当たりがよく、冬でも元気に過ごせて、安心して冬越しできる場所を見つけましょう。
また、デンファレは真夏の炎天下では直射日光を避け、明るい半日陰で育てましょう。日差しが強すぎて葉焼けすることもあります。
植え付けは4月~5月ごろ
デンファレの植え付けは、気温が上がってくる春の時期、だいたい4月ごろから5月ごろに行いましょう。デンファレは耐寒性が低く冬越しがむずかしいため、地植えではなく鉢植えで栽培し、冬になったら室内に取り込むのが一般的です。
デンファレは、ミズゴケなどと寄せ植えで販売されていることが多いのですが、根腐れしていることもあります。鉢から取り出して植え付ける際、深植えにも浅植えにもならないように注意が必要です。
バルブの根元を軽く埋めるように
デンファレには、水分や養分を蓄えるバルブがあります。このバルブの根元をかるく埋めるように植え付けるのがポイントです。ただし、浅く植えすぎると根がふらついてしまうので、程よい加減で植え付ける必要があります。
デンファレは鉢の中が蒸れると、根腐れを起こします。根腐れによって枯れてしまうことが多いため、鉢内が蒸れないようにすることも重要です。風通しのよい場所に置き、温度に注意して栽培していきましょう。
デンファレに適した用土や鉢とは
デンファレは着生植物であるため、ミズゴケなどに巻いてある鉢もありますが、洋ラン用の土なども市販されています。
ミズゴケを使う場合、通気性がよい素焼きの鉢を使うのが一般的です。洋ラン用の土を使う場合、素焼きの鉢で植え付けると、土の渇きも早くなるため、プラスチックの鉢などで育てる方が管理しやすいかもしれません。またデンファレは、小さな鉢を好みます。大きな鉢に植え付けると、元気がなくなることもありますので注意しましょう。
植え替えも4月~5月ごろ
デンファレは小さな鉢で育てていくため、1~2年おきに植え替えが必要となります。ミズゴケでデンファレを育てている場合、ミズゴケが劣化していくため、とくに注意しましょう。植え付けの時期と同じ、4月~5月ごろに植え替えます。夏の開花時期を楽しみましょう。
デンファレの植え替えでは、古い土や傷んだ根を取り除きます。新しいバルブが伸びても、古いバルブはしばらく残し、デンファレの好みの用土であるミズゴケや洋ラン用の土などに植え替えましょう。
失敗しないデンファレの管理方法とは
肥料を施して生長を促す
デンファレは、3月~4月ごろの植え付けや植え替えの際に緩効性の肥料を施します。新芽が伸びる晩春から秋にかけて、2週間に一度ほど、液肥を与えて生長を促しましょう。猛暑の時期になると、生育が弱くなることもあるので、液肥を薄めて与えると、根を傷めません。
10月ごろにったら肥料は休ませます。冬の間はデンファレへの肥料は必要ありません。春になったらふたたび肥料を施すようにしましょう。
デンファレ栽培の最大のポイントは水やり
デンファレは着生植物で、樹木や岩盤などに根を付けて育つ花草です。このため、根よりも葉から水分を吸収するため冬の低温時、根腐れを起こさないように根は乾燥気味にし、葉水を与えるようにしましょう。
春になってデンファレの新芽が出てきたらしっかりと水やりし、生育中は合わせては水を与えるようにします。デンファレの開花時期は、土の表面が乾いたら水を与えるようにして、乾燥しないように保ちましょう。
花柄を摘み花後の処理を
デンファレは開花時期が長い花草です。花は下の方から咲きはじめ、だんだんと上のつぼみが開いていきます。花がしおれたら、花柄を摘まみ取ったり、ハサミで切ったりして、花柄をつけたままにしないように注意しましょう。花がついたままだと、つぼみに栄養がいかなくなることもあります。
デンファレの花が終わったら、細い花茎はカットしても、太い茎はそのまま残します。次の芽の水分や養分を蓄えているため、大切に育てていきましょう。
デンファレ栽培で気を付けたい病気とは
デンファレは、葉に白っぽい斑点が現れ、次第に黒くなる黒斑病や、夏の暑さや湿気、肥料の与えすぎなどで現れる炭疽病にかかる心配があります。病気の葉は取り除き、必要に応じて薬で治療することになりますので注意したいです。
こうした病気は、風通しが悪い場所で管理するとかかりやすくなるため、置き場所を見直しましょう。葉が落ちたらそのままにせず取り除いて清潔を保つなど、日ごろから管理をしっかりと行うようにすることで予防できます。
デンファレ栽培で気を付けたい害虫とは
デンファレは比較的害虫がつきにくい花ですが、気をつけた害虫はカイガラムシやナメクジです。カイガラムシは、茎やバルブにくっついて、デンファレの株を弱らせるため、見つけたらすぐに駆除するようにしましょう。葉水を与えると、カイガラムシの寄生が予防できます。
ナメクジは、葉や茎を食べてしまう害虫です。見つけ次第、駆除するようにしましょう。ナメクジは、湿っぽい環境で発生しやすいため、風通しのよい場所で管理して予防しましょう。
デンファレを増やす方法とは
デンファレは株分けで増やす
デンファレの増やし方といえば、株分けです。植え替えの時期に、株が充実した2年目以降に行います。すでに株が充実しているため、手で根を割るのは困難です。鉢から取り出したら、ハサミで切り分けるようにしましょう。バルブ3~4本ずつ程度に分けるようにするのを目安とします。
株分けが終わったら、それぞれの株を鉢に入れましょう。新しいミズゴケや用土を使い、植え替えれば終わりです。植え替えが終わったら、最後に水を与えましょう。
高芽は切り取り増やすことも可能
デンファレでは、本来、花がつくはずなのに、葉になってしまい、バルブができて、根が出てきてしまう芽が出てくることがあります。これが高芽です。この高芽は放っておくと、デンファレの株が弱ってきてしまいます。このため、高芽が出てきたら取り除き、鉢に植え付けましょう。こうすることで、デンファレの株を増やすことが可能です。
もしもデンファレで高芽が出てきたら、取り除いてみましょう。別の鉢に植え付けて、同じように育てます。
寄せ植えや切り花でプレゼントにしてみては?
育てているデンファレは、寄せ植えや切り花でプレゼントしましょう。寄せ植えを作る際、デンファレと相性のいい花をいっしょにひとつの鉢に植え替えましょう。同じラン科の花を3株ほど寄せ植えるほか、根元に好みの葉ものの植木を寄せ植えするのもすてきです。
切り花の場合、花茎を根元から斜めに切って、少なめの水に差しましょう。定期的に水を変えて、なるべく長く楽しめるようにしたいです。
デンファレでエキゾチックなガーデニングを
デンファレは、高級感あふれるラン科の花草で、鉢植えや寄せ植え、切り花として出回っています。ラン科の植物の中では比較的育てやすく、いくつかのポイントを押さえ、冬の寒さを何とか乗り切って冬越しがうまくいけば、一年を通じて楽しむことが可能です。
ラン科の植物を育ててみたいという方は、ぜひデンファレからはじめてみてはいかがでしょうか。水やりや置き場所をしっかりと考えて、管理の方法を徹底すれば、株を増やすことも可能です。
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デンファレをはじめとする洋ランのことがもっと知りたいという方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。お役に立つ情報が満載です。

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