デルフィニューム(デルフィニウム)とは
デルフィニューム(デルフィニウム)はキンポウゲ科の植物です。和名ではオオヒエンソウ(大飛燕草)とも呼ばれ上品で涼やかな見た目が人気を集めています。
デルフィニュームの特徴①花色
メジャーなデルフィニュームの花色は青ですが、ほかにもピンク、白、紫、それらがあわさった複色など品種によってさまざまです。
一口に「青色」といっても中央が白いものや、全体が真っ青なもの、空色のような薄い青など、花色がバリエーション豊富なのも特徴でしょう。
デルフィニュームの特徴②開花期
デルフィニュームの開花期は5~6月です。5月の心地よい気候の中で、風にデルフィニュームがそよぐ様は大変美しく、ガーデナーたちから人気があるのもうなづけるでしょう。
こういった美しさから、デルフィニュームは愛好家も多く、毎年の開花期を心待ちにしている人も多い花です。
デルフィニュームの特徴③草丈
デルフィニュームは品種によって花色がさまざまあると前述しましたが、草丈も同様にさまざまあります。
小さいものであれば草丈20cmほど、大きなものだと150cmを超えるものもあり、自分が思い描く庭の姿にあったものを選ぶ楽しみが大きい植物といえるでしょう。
八重咲き品種など花の形も様々
デルフィニュームは花の形にもバリエーションがあります。一重咲き品種や八重咲き品種など花の形でがらりと印象が変わるのも大きな特徴です。
デルフィニュームの特徴④寒さは強い・暑さには弱い
デルフィニュームの原産地はヨーロッパのアルプス山脈など標高の高い冷涼な大地です。そのため、寒さには非常に強いという特徴があり、日本の寒冷地であっても難なく冬越しできます。
しかし、その一方で夏の暑さや蒸れには非常に弱く、日本の梅雨や夏を越せないため、本来は多年草でありながら一年草扱いされるのが一般的です。
デルフィニュームの育て方
花色や形、草丈とバリエーション豊富なデルフィニュームですが、日本の環境で開花させるには栽培方法にコツがあります。水やりや剪定といった必要な手入れについてチェックしましょう。
育て方①植え付け時期
デルフィニュームのポット苗が出回るのは初春と晩秋の年2回です。植え付け時期もポット苗が出回る時期同様、3~4月と10~12月上旬が適期。
秋に植える場合は、冬越しの必要があります。耐寒性が非常に高いデルフィニュームですが、根付く前に霜の被害にあうと、冬を超せない恐れがあるため植え方には注意が必要です。
育て方②用土
デルフィニュームは水はけがよく、栄養分に富んだ土を好みます。地植えする場合は、土に堆肥や腐葉土、緩効性化成肥料を混ぜ込んで用土としましょう。
鉢植えの場合は、赤玉土7割、腐葉土3割に緩効性化成肥料を少し混ぜる配合でブレンドします。肥料があらかじめブレンドされたプランター用の土などを使用しても構いません。
土作りの注意点
デルフィニュームは酸性の土は避けましょう。日本の環境では、土に植物を植えて繰り返し栽培すると、土は弱アルカリ性から酸性へと傾いていきます。
そのため、何度も繰り返して使ったプランターの土などは使用しません。地植えの場合は事前に苦土石灰をまいてアルカリ性に整えておきましょう。
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育て方③鉢の置き場所・植え付け場所
デルフィニュームの鉢植えの置き場所や植え付け場所は、日当たりと風通しのよいところを選びます。
寒冷地での植え付けであれば、場所次第で夏越しできる可能性も。風が通しがよく、木漏れ日が差し込むような場所にしてみましょう。鉢植えの場合は、寒冷地、温暖地問わず西日が当たる場所は避けます。
植え付けの注意点
デルフィニュームは多湿を嫌います。そのため、水はけがやや悪いような場所に地植えする場合はほかの地面よりもやや高めに土を盛るとよいでしょう。
育て方④水やり
暑さが苦手なデルフィニュームの栽培で重要なのが水やりの方法。地植えしたものは、植え付け時にたっぷりと水を与え、そのあとは土の様子をみながら乾いていたら水やりします。
鉢植えの場合も鉢の土に乾燥が見られたら水やりします。鉢植えの水やりでとくに必要なのが、鉢受けの水を毎回捨てることです。これによって過湿を防げます。
水やりの注意点
土が乾いたら水をやるのがデルフィニュームの栽培の基本です。そのタイミングも注意する必要があります。
開花期である梅雨前の時期は雨が少なく、乾燥することも珍しくありません。その一方で、日中は真夏日を記録する日もあるでしょう。そのため、水やりは温度が上がりきらない朝の涼しい時間にします。
育て方⑤肥料
デルフィニュームは肥沃な土を好みます。植え付けの際に緩効性肥料を用土に混ぜ込みますが、3月ごろにもう一度追肥すると花を多く咲かせるでしょう。葉が展開し、3枚、4枚と増えだしたころに肥料を与えます。
緩効性肥料を土に混ぜ込む方法で構いません。ほかの方法としては、手軽な液肥を水に混ぜえて与えるのもおすすめです。
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育て方⑥剪定
デルフィニュームの花を少しでも長く楽しみたいのであれば、剪定をしましょう。1番目の花が終わったら、花の付いた茎を根元で剪定し、切り戻します。
そうすると脇芽から新しい花茎が立ち上がってきて、新しい花を楽しめるでしょう。
デルフィニュームの増やし方
日本の多くの地域では夏を越せず、一年草扱いとなってしまうデルフィニューム。毎年楽しみたい人は最初の一株から種を取ってできる増やし方もあります。
主な増やし方は「種まき」
デルフィニュームの主な増やし方は種まきです。ポット苗で咲かせた花の後にできる種をとっておけば、来年も同じ花を楽しめるでしょう。
また、ポット苗よりも種の方が品種が豊富で、ポット苗では手に入らない品種を楽しめることも種まきのメリットでしょう。
種まきの時期
デルフィニュームは花後に鞘をつくります。そのなかに種が入っているので採集しましょう。種まきの時期は、温暖地は10月ごろ、寒冷地は1~2月と5~6月です。寒冷地で1~2月におこなう種まきはマルチや温室などが必要です。
デルフィニュームの発芽温度
デルフィニュームの開花温度は15~20℃で、それを下回ると発芽しません。また、種まきしてから発芽まで2週間ほどかかるため、水切れに注意しながら栽培します。
種まきの方法①播種
デルフィニュームの種は小さいので、育苗箱を使った栽培がおすすめです。また、デルフィニュームは暗発芽種子といって光がない環境で発芽します。そのため、覆土は5mmほどの厚さが必要です。また、覆土した上からさらに新聞紙をかぶせ、光を防ぎましょう。
種まきの方法②育苗
発芽したら日光に当てて成長を促しましょう。デルフィニュームはやや直根性のため、苗が大きくなってからの移植が苦手です。そのため、本葉が2~3枚になったものからポットへの移植を開始し、栽培します。
ポットへ移植した苗は週に1回ほどのペースで液肥を与え、定植に耐える大きさまで育苗を続けましょう。
種の管理方法の注意点
デルフィニュームから種を採集したあと、保存方法に注意が必要です。
デルフィニュームの種は寿命が短いので、常温のそのままの状態で保存していると発芽率が下がります。乾燥材と一緒に紙封筒などにいれ、冷蔵庫で保存しましょう。
デルフィニュームの人気品種
デルフィニュームの特徴に品種の豊富さがあると前述しました。世界中のガーデナーたちから愛されているデルフィニュームのなかでも、日本で人気のある品種を最後にご紹介します。
デルフィニュームは華やかで大株になるエラータム系、可憐でコンパクトなシネンセ系、両者の中間タイプのベラドンナ系に大別されるので、品種選びの参考にしましょう。
人気品種①プラチナブルー
プラチナブルーは、淡いブルーの花色が特徴の品種です。シネンセ系なので、野に咲く可憐な花のようなイメージがあります。ブライダル花材では「サムシングブルー」としても人気です。
小さめの花ですが、枝分かれしながら咲くためボリュームも感じられます。ナチュラルガーデンにおすすめ。
人気品種②ハッピーピンク
ハッピーピンクはまさにその名の通り、心がうきうきするような淡いピンクの花色をもつ品種です。寄せ植えやブーケでも人気で、どんな花とあわせてもそっと華やかにしてくれるような色合いが魅力でしょう。
青以外のデルフィニュームを育ててみたい人にもおすすめです。
人気品種③オーロララベンダー
オーロララベンダーはエラータム系の品種のため、見ごたえある草丈と豪華な八重咲きの花が魅力です。紫系の花が、まるでオーロラのようなグラデーションで広がります。草丈は最大で120cmほど。数株植えて群生させると見事な仕上がりになるでしょう。
バラなどとの相性も抜群なのでイングリッシュガーデンにもおすすめです。
デルフィニュームの涼やかな花色を楽しもう
まっすぐと空に向かって茎をのばし、可憐な花を咲かせるデルフィニュームはどんなスタイルの庭との相性がいいのが魅力。
ブルーや淡いピンクの花は、暑さを感じ始める季節に涼やかさを感じさせてくれるでしょう。品種が非常に多いので、毎年新しい品種に挑戦してみるのも楽しいですよ。
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