ツキトジは初心者でも育てやすい多肉植物
ツキトジの和名は漢字で「月兎耳」と書くように、すべすべしてやわらかい触感はウサギの耳のようです。ベンケイソウ科カランコエ属のツキトジの原産地は赤道に近いマダガスカル。夏に生育するタイプですが、育て方は難しくありません。
大切なポイントは日の当て方と季節ごとの水やりの方法にあり、初心者も簡単に育てられる観葉植物です。株が大きくなるとこれまた可愛い花を咲かせるので、増やし方などもしっかりチェックして育てましょう。(この記事は2021年5月5日時点の情報です)
多肉植物とは?
ツキトジの育て方を知る前に、多肉植物全般に関してチェックしておきましょう。砂漠や海岸などの乾燥地帯で植生する多肉植物の最大の特徴は、葉・茎・根の内側に水を貯蔵していることです。そのため一般的な植物のように必要以上の水やりをしなくてもよいのです。
過分な水やりはしなくてもよい反面、充分な陽ざしは必要です。直射日光は避けなければいけませんが、日照時間が長いほど多肉植物は元気に育ちます。ツキトジはこの2点に注意して育てると難しくありません。
大株になると花が咲く
ツキトジは株が大きくなると触覚のように見える花茎が伸び、その部分から控えめな花が咲きます。ツキトジの開花時期は春ごろとなり、ツキトジの種類によっては紅葉して変色する仲間もあります。
ただし5年ほど経った大株でも咲かないこともあるので、ツキトジの開花は珍しいこととされているのです。大切に育ててツキトジの可愛い花に出合いましょう!
ツキトジの育て方のコツ
ツキトジは陽ざしが大好き
ツキトジの育て方で大切なポイントは陽ざしの管理です。太陽がさんさんと当たるマダガスカルが原産の多肉植物なので、陽をたっぷり浴びせてあげましょう。そのため一年をとおして日当たりのよい場所に置いてください。
注意点は、真夏の直射日光が当たらないようにすることです。夏だけは葉焼けが起きないように日陰に置きましょう。夏以外は直射日光が当たっても問題ありません。枯れない最低温度は5℃とされていますが、やはり温かいお部屋で管理するのがベストです。
冬のツキトジの置き場所
夏、春、秋は屋外でも元気に育ちますが、冬だけは霜が当たらないように屋内に置いてください。寒風が当たらなければベランダでも大丈夫とされています。
霜の害にやられたり陽が入らない場所に置き続けたりすると、色味が悪くなって元気がない姿になってしまいます。くれぐれもツキトジは太陽が大好きな多肉植物ということを忘れないでおいてください。
ツキトジは水やりが肝心
ツキトジに限らず多肉植物は水やりも肝心なポイントです。普通の草本植物と異なり多肉植物は、水が不足してもクタッと萎れることはありません。そのため一見では元気がないことがわからないのです。
しかし水を与えなくてもすぐに枯れる心配がない性質なのでご安心ください。多肉植物の種類によっては水やりの時期などに注意しなければいけませんが、ツキトジはポイントを押さえれば難しくないのでチェックしておいてくださいね。
①春と秋にする水やりの注意点
春と秋のツキトジの水やりのタイミングは「土が乾いてから」となります。土の表面が乾いたら鉢底の穴から水が流れるほどの量をたっぷり与えてください。生育期の春と秋の時期には、水やりは欠かせません。
ただし乾いていないのに水やりをする必要はありません。ツキトジに必要以上の水やりをしてしまうと鉢の中で根腐れを起こしてしまい、枯れる原因となってしまうからです。
②夏の水やりの注意点
夏の時期にツキトジに水やりをするタイミングは、「土の表面が乾いている」ときで、時間は夕方ころです。夏の日中は陽ざしが強いため、日中に水やりをするとツキトジが傷んでしまうのです。
土の表面が乾いていることをしっかり確認して、土の表面が濡れる程度の水やりをしましょう。
③冬の水やりの注意点
冬はツキトジを始めとする多くの植物にとって休眠期間となります。一年をとおして栄養を吸収する元気がない期間となるため、水やりの回数は控えてください。水やりをするタイミングは他の季節と同じように「土の表面が乾いてから」にしましょう。
ツキトジの水やりの目安は「半月から1ヶ月に一度だけ」で問題ありません。水やりをし過ぎてしまうと春、夏、秋の季節に比べて土の表面が乾きにくいのです。土が一週間以上も乾かない状態にならないようにご注意ください。
ツキトジの土
ツキトジに使う土は多肉植物を育ててくれる土が含まれている、多肉植物用の培養土です。安めの価格で販売されているホームセンターや園芸店で気軽に入手できます。他の種類の土は必要なく、簡単に用意できる点が多肉植物のよいところです。
少し凝って自分で配合するところから始めたいという人は、小玉の赤玉土とピートモスを7:3の割合で混ぜ、さらに緩効性化成肥料を与えてください。難しくないので挑戦してみるのもおすすめです。
ツキトジの肥料
ツキトジには肥料を与える必要がありますが、肥料の種類は「液体肥料」となります。与える時期は「春と秋の生育期」で、目安は月に一度だけで充分です。
生育期間ではない夏や冬に肥料を与えると反対にツキトジの成長の妨げになるので、うっかり与えることのないようにご注意ください。
ツキトジの植え替え
ツキトジを植え替えるタイミングは生育期に移る春の「暖かくなってきた頃」、または秋や梅雨入りする初夏が最適な時期とされています。くれぐれも元気がない夏や冬には行わないでください。
ツキトジの育て方をひと通りマスターしたら、ウサギの耳のように可愛いツキトジを大きくして花を咲かせましょう。
ツキトジの植え替えで用意するモノ
ツキトジを室内で植え替えるときは室内が汚れないように新聞紙とビニールシートもご用意ください。その他には、消毒済みのハサミ・ピンセット・割り箸・ひと回り大きめの鉢・鉢底ネット・鉢底石・培養土となります。
植え替えに必要なものを先に用意しておくと植え替えの作業がスムーズになり、時間もかからずに終わります。
ツキトジの植え替え方法①
植え替えるツキトジの根の部分に付いている土を崩さないように、鉢からゆっくり抜き出してください。茎に付いている土は落とし、根の部分は手で軽くほぐしておきましょう。
腐ったり傷んだりしている根があれば、消毒済みのハサミやピンセットで取り除いてください。病気を防ぐために必要な作業なので必ず行いましょう。
ツキトジの植え替え方法②
植え替え用のひと回り大きめの鉢の底には、鉢底ネットと鉢底石を敷いておきます。新しいツキトジの植え替え用の土を鉢の1/3ほどまで入れ、中心にツキトジを置きます。
土は、鉢の縁から2~3センチメートルほど下まで入れてください。仕上げに、ツキトジの根と土が馴染むように割り箸などで土の表面をつついて完成です。
ツキトジの増やし方
ツキトジの主な増やし方は葉と茎で増やす方法です。他の多肉植物もですが、ツキトジも株分けするよりは葉や茎で簡単に増やせるのです。
ツキトジの育て方と植え替えの方法をマスターしたら、次は増やし方をマスターしてどんどん多くしていきましょう。お友達にプレゼントするのもよいですね。
増やし方①「葉挿し」
ツキトジの増やし方で一番簡単な方法は「葉挿し」です。きれいな容器に多肉植物の培養土を入れ、茎から数枚取った葉の付け根部分を土に触れるように置きます。葉は、切れていなくて傷のついていないものを選んでください。
置き場所は日陰で管理し、芽と根が出てきたら芽の部分に土をかぶせて水やりをします。「葉挿し」のタイミングは、植え替えの時期と同じように生育期に入り始めた頃です。成長も早いので、おもしろいようにツキトジが増えていきます。
増やし方②「茎挿し」
ツキトジの簡単なもう一つの増やし方は「茎挿し」です。葉挿しの方法を葉ではなく「茎」に変えただけとなります。ただし茎の場合は葉よりも水分が多いので、茎を切り取った部分を日陰で乾かしてから土に挿して日陰で管理してください。
明るい日陰に置いとけば3週間ほどで根が生えてくるので、土が乾いていたら水やりをしましょう。時期は葉挿しと同じように成長期の春か秋となり、元気がない夏や冬は避けてください。
増やし方③株分け
ツキトジの増やし方は葉挿しや茎挿しが一般的ですが、株分けの方法もあります。株分けで増やすときは土が乾燥しているときに行いましょう。株分けする1~2週間前の水やりは避けてください。
鉢から抜いた後は株に根が付いた状態で、株を消毒済みのハサミでカットします。切り口が乾燥してから新しい土に植え、水やりは1週間ほど経ってからにしてください。
ツキトジの病気と害虫の対策
ツキトジがかかりやすい病気・対策
ツキトジがかかりやすい病気は「根腐れ」で、風通しの悪い場所での長期間の置きっぱなしが原因です。土が常に湿った状態にあるため、カビが生えてきてしまうのです。水やりのし過ぎも根腐れを起こしてしまうため、くれぐれも注意してください。
対策は風通しのよい場所へ移動し、水やりは控えます。黒斑病になることもあるので同様の対策が必要ですが、病気を広げないように必ず黒斑部分は取り除いておきましょう。
ツキトジにつきやすい虫・対策
ツキトジに付きやすい害虫は、カイガラムシ・アブラムシ・ワタムシなどですが、予防に浸透移行性の殺虫剤を散布することで発生を抑えられます。
殺虫剤をまくタイミングは春から夏、夏から秋などの季節の変わり目です。可愛いツキトジのため忘れないように殺虫剤を散布しましょう。
ツキトジを育てて癒されましょう!
- 直射日光は避けつつ(夏)、陽ざしをたっぷり与える
- 水やりは土の表面が乾いてから(夏は夕方)
多肉植物のツキトジはウサギの耳のような触り心地が大人気の観葉植物です。育て方のポイントは、直射日光を避けつつ充分な陽ざしを与えることと適切な水やりです。
大きくなってきたらひと回り大きめの鉢に植え替えてください。増やし方は、葉や茎を挿す簡単な方法と株分けの方法があります。ウサギの耳のように可愛いツキトジは価格もお安いので、上手に育てて癒されてくださいね。
他の多肉植物が気になる人はこちらをチェック!
観葉植物は、お部屋に一つあると癒し効果が高く、一つ二つと増えていきます。大きめサイズは場所を取ってしまうので、やはり小ぶりな多肉植物がおすすめです。ツキトジ以外の多肉植物についてもチェックしておきましょう。育て方に慣れてきたら寄せ植えにするのも素敵ですね!

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出典:.photo-ac.com