はじめに:常緑樹センリョウの栽培難易度は
赤い実が美しい品種センリョウを育てよう
お正月の飾りなどによく使われる緑色の葉に赤い果実のコントラストが美しい植物にセンリョウがあります。お正月でも緑の葉であることからもわかるとおり常緑の花木。育て方難易度もちょっと気をつけることがあるくらいではじめてという方でも育てやすい庭木でしょう。
近年は品種も増えてきて赤だけでない実の色や葉の形・斑入りなど楽しみ方バリエーションも豊富なのが魅力です。
センリョウの育て方は剪定がポイント
センリョウの魅力といえばその赤い果実ですね。よく実らせるためには花を付けなければいけませんが、そのためには剪定が重要なお世話となってきます。ここでは特にセンリョウの美しさを維持するためのお手入れ方法として剪定についてスポットを当てて栽培方法をレクチャーしていきましょう。
育て方の前に知りたいセンリョウの基礎知識
早速育て方といいたいところですが、まずはこの植物がどんな地域原産であるのか、花や果実の季節はいつかということを知ることからはじめてください。特徴や性質を知ることでお世話が楽になりますよ。
センリョウの基本情報
科・属 | センリョウ科センリョウ属 |
原産地 | 日本、台湾・中国など |
英語名/学名 | Senryo/Sarcandra glabra |
育て方難易度 | やや簡単 |
センリョウの特徴や性質
原産地が日本をはじめとするアジアの地域ですので、栽培に関して特に気候は気にかけず地植えでもそのまま株が増えていきます。一般的には緑の葉に赤い果実が付く品種が昔からあり有名ですが、近年は実が黄色いものや葉が斑入りのものなどお正月飾りだけでなくより広く鑑賞の幅が広がった品種も売られています。
日本の本州関東以西であれば地植えにしっぱなしで放置でも地下茎から新しい株が増えてきて広がっていくでしょう。そのため枝を切り花として使用しても、しっかり根付いている株であれば絶えてしまうことはごくごく稀です。
センリョウと間違えやすいマンリョウとの違い
どちらも常緑樹で赤い実を付けることからお正月のおめでたい飾り物として人気が高いマンリョウとセンリョウ。パッと見た感じではあまり見分けが付かないという方も多いようです。
まずは株を見ると一目瞭然。根元からたくさんの幹が出てきているのがセンリョウで1本だけ幹がすっくと伸びているのがマンリョウとなっています。何本も枝が出た株全体に赤い実が付くのがセンリョウで1本の木にたわわに赤い果実がなるのがマンリョウという見分け方もできるでしょう。
センリョウの花と開花時期
センリョウは特に美しい花が咲くわけではありませんがこの花がたくさん付いているようであればその冬の赤い実の数も期待できるというものです。開花時期は6月ころ。枝の先端に小さくて白いこまかな花が咲きます。
この花が赤い実となるのが秋11月すぎた頃から。お正月や冬の庭を飾るセンリョウの実を楽しみに小さな花も愛でていきまょう。
鳥の被害に注意
センリョウを切り花としないでそのまま庭で楽しむために置いておくといつの間にか鳥に全部食べられてしまいます。鳥が食べて種を運び新しい場所に新しいセンリョウの株が生えるので悪いことではないのですが、いつまでも赤い実を楽しみたいという方にとっては少しがっかりしてしまいますね。
そんな場合は鳥よけのネットを株全体にかぶせてしまうと良いでしょう。見た目は少し悪くなりますが赤い実を守れますよ。
剪定で高さ調整!センリョウの低木での育て方
それでは早速センリョウの植え付けから水やりや肥料・剪定の方法から挿し木での増やし方と、この植物を育てるにあたってポイントとなるやり方を解説していきます。
センリョウの日当たり日陰での管理は可能か
植物はそれぞれ好む場所がちがいます。多くは日当たりがよく風通しが良い場所が好まれるのですが、このセンリョウに関してはどちらかというと日陰でじめっとした場所が好きな樹木。庭に地植えで植え付けるのであれば日陰に植えてあげてください。
鉢で管理する場合も半日陰程度のところに置くようにしてあまり土を乾燥させないようにするのが上手な鉢での育て方です。
センリョウの植え付け植え替え
鉢から地植えに植え直したり鉢増しする場合は4-5月か秋10月ころが植え付けに適した時期となります。センリョウの苗を購入してきた場合はその根鉢の部分よりも倍以上大きな穴を掘ってから植え付けていきます。
鉢植えの場合は2-3年に1度くらいの頻度でひとまわり大きな鉢に植え替えていく方法が一般的ですが、成長度合いを見て1-2年周期でもよいでしょう。地下茎で子株を増やしていく植物なので気づかないうちに鉢が根でいっぱいになってしまっていることも多々あります。
センリョウの水やりと肥料
センリョウの特徴的な美しさといえば実ですので、この実付きをよくする水やりの方法をご紹介しましょう。まずは夏場と冬の乾燥時期の水やりに気をつけること。水切れを起こすと実付きに影響が出ます。
地植えであればよほど乾燥しすぎるような土でない限りは水やりの必要はありませんが、植え替えてすぐ根付いていないような場合はこの限りではなく地植えでも土が乾かない程度に水やりをしてください。
センリョウの肥料の時期とやり方
水やり同様肥料もそれほど気を使わずに、できればあげない方が赤い実のバランスがよく育つのがこのセンリョウの特徴といえます。肥料が多すぎると葉ばかり茂ってしまって赤い実が付いても目立たなくなってしまうためです。
もし樹勢がないなど肥料をあげたい場合は初夏ころの時期に緩効性の化成肥料を株元に置くくらいでよいでしょう。年に何度もあげるのは避けてください。
センリョウの病気と害虫
カイガラムシが付く場合もありますがこれはごくごく稀で付いたら歯ブラシなどでこそげ落としてしまいましょう。それほど心配はする必要はありません。
逆に気をつけて欲しいのは立ち枯れ病という病気。幹が黒くなって枯れてしまうだけでなく伝染しますのでかかった株は根ごと引き抜いて早急に隔離・処分してください。またその場所には植物を植え付けないようにするのも大切なポイントです。
古い幹と立ち枯れ病を見間違えない
センリョウは古い枝が枯れるというのはよくあります。これを立ち枯れ病と間違えて株ごと全部抜いてしまうのはかわいそう。見分け方は簡単で枯れた枝には葉も花も実もついておらずただの枯れ枝状態になっていれば、それは自然な寿命で株ごと処分することではありません。
まだ青々として元気な葉を付けた幹がだんだんと黒ずんで枯れてきたらそれは病気を疑った方がよいでしょう。立ち枯れ病は怖いので後述の剪定の時に挿し木で子株を増やしておいたり、実の中から種を取り出し種まきで株の更新をしておくことをおすすめします。
センリョウの剪定時期とやり方
センリョウの剪定はとても簡単ですがやらないと実付きに大きな影響が出てきます。というのも古い枝には実はもちろん花や葉すら出てこずそのまま枯れてしまうからです。枯れ枝をいつまでも付けているのはみっともないですね。毎年2月になったら剪定をしてあげるとよいでしょう。
やり方は根元から見ていって枯れている幹を引っこ抜いて取り除きます。そのあと木の姿を丸くするイメージで思い切ってバッサリとカットしてしまってOK。根元の風通しもよくなり小さな株ながらたくさん花が咲いて実がなるきれいな株に整えることができました。
剪定枝で挿し木をすることもできる
センリョウは剪定枝を挿し木にすることで根を出し増やすことが可能です。剪定時期と挿し木時期も合うことから試すのにもちょうどよいタイミングでしょう。
先端2節くらいで葉は2枚残しそれぞれ大きかったら半分にカットしてしまいます。この方が水分の蒸発を防げるからです。水ぎれに注意しながら半日陰の場所で3-4ヶ月くらい管理して発根が確認できたらポットにあげて大きく育ててください。
種まきでの増やし方も紹介
センリョウはその特徴的な赤い実の中から種を取り出し種まきでも増やすことができます。やり方は簡単でまずは赤い果肉部分を取り除き中から種を出します。
出した種は乾燥させないようすぐに土に植え付けてください。あとは水やりをしながら土を乾かさないよう翌年の春まで待てば芽が出てくるでしょう。センリョウは種まきも簡単なので大きくなるスピードは挿し木と比べてゆっくりではありますが、気長に楽しめるという方にはおすすめの増やし方です。
まとめ:常緑樹センリョウでお正月飾りを楽しむ
センリョウは高さを揃えることで見栄えがよくなる
日本や中国原産なので栽培環境には困らず簡単に育てやすいセンリョウ。名前が縁起がよいということでおめでたいお正月飾りなどにもよく使われる植物です。その基本情報から育て方・美しく果実を付けるための剪定の方法やコツを解説しましたがいかがでしたか?
あまり手がかからず冬のあまり色がない季節にも緑や赤といったカラフルな色合いで庭を飾ってくれる貴重な植物。このセンリョウという植物が気になったという方はこの機会にぜひ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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今回はセンリョウの育て方を中心にご紹介しましたが、この植物には花言葉も付けられています。そちらも気になる方は下の記事も是非合わせて見てくださいね。

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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4184626