ストックの花色豊かなガーデニングのすすめ
南ヨーロッパから訪れたカラフルな花色のストック
ストックは、南ヨーロッパ、マデイラ諸島やカナリア諸島、北アフリカなどで自生するアブラナ科の植物です。伸びた茎に小さな花がつきますが、花色が豊かで、3月ごろから見頃を迎え、赤やピンク、白や紫や黄色などの花が咲き、花形も一重咲きと八重咲きがあり、香りが強いことでも知られています。
日本では秋に種をまき、夏の暑さに耐えられずに枯れてしまう一年草で、草丈は20cm程度のものから1m近くまで大きくなるものまでいろいろです。
育て方は鉢植えでも地植えでもOK
ストックには、さまざまな品種や花色があるため、鉢植えでも地植えでも育てることができます。また、ほかの花と寄せ植えにしてもかわいらしく、さまざまな楽しみ方が可能です。
草丈の低いストックであれば、軒下の花壇や鉢植えなどで育てやすく、草丈が高く、ゴージャスなタイプのストックは、庭で伸び伸びと育てて切り花としても楽しむことができます。ストックは、切り花でも長持ちするため、そのすばらしい姿と芳香が人気です。
切り戻しで開花時期が延びる
ストックの花の大きな特徴には、開花時期が長いことが挙げられます。ストックは開花がはじまると、徐々に花を咲かせ、3月ごろに見頃を迎え、花が終わった後、切り戻しを行うことで、新芽が出て、つぼみができ、再び花を咲かせることが可能です。
ストックの開花時期が訪れたら、花を楽しみながら花柄を取っていき、花の管理を続けていくことで、花の命が伸びていきます。手をかけた分、美しい花姿を見せてくれますので、ぜひ挑戦してみたいです。
日本では一年草だけど原産地では多年草
ストックには、耐寒性がわりとあります。発芽して生育していく際の適温は、15~25度ぐらいです。気温が25度以上になる日本の夏は、ストックにとって暑すぎてしまうため、ストックは夏になると枯れてしまいます。このため、ストックは日本では一年草ですが、原産の国では夏越しできるため、多年草に数えられているのです。
ストックの冬越しは、鉢植えの場合、ベランダや軒下に移動させて管理し、地植えの場合、霜が降りる場所では寒さ対策が必要です。
ヨーロッパに関連のあるストックという名の由来
ストックという名前は英語のStockで、幹などを意味する言葉です。この名前の由来には諸説がありますが、茎がまっすぐでしっかりと太いことからこの名前が付いたという説もあります。実際、ストックの花はまっすぐに伸びた先に花をつけます。
ちなみに、学名はMatthiola incanaで、Matthiolaはイタリアの植物学者の名、和名のアラセイトウはポルトガル語が語源であるという説もあるなど、ヨーロッパと関係が深いことがわかります。
ストックの育て方のコツ
種まきは地域によって時期が異なる
ストックの種まきの適期は、育てる地域によって異なります。温暖地では夏の終わりごろ、9月のはじめごろがおすすめです。順調に育っていけば、12月ごろに花が咲きはじめます。
ただし、寒冷地では冬に花が咲かないため、春を待って3月~4月ごろに種まきを行いましょう。順調に育てば、夏ごろには花を見ることが可能です。
育苗させてから植え付けを
ストックは移植が嫌いなので、育苗ポットに種まきします。乾燥しないように注意して、日陰で管理しましょう。発芽したら日当たりのいい場所に置き、本葉が2枚ほど出てきたら、元気そうな株を植え付けます。
植え付けの際、注意したいことは、根を傷つけないように植え付けることです。ストックは直根性なので、根を傷つけてしまうと、うまく育たなくなります。植え付けの際、適切な土を準備し、なるべく根を崩さないように植え付けましょう。
市販の培養土でも十分に育つ
ストックは、水はけのいい土が好みです。このため、市販されている培養土で十分に育ちます。ご自身で用土を準備される場合は、赤玉土を少し多めに、腐葉土を混ぜ合わせた土がおすすめです。植え付ける前に必要な用土を準備しておきましょう。
なお、植え付け時の肥料について、元肥として緩効性の肥料を土に混ぜておくと、追肥などをせずに育てていくことができます。市販の培養土には、すでに肥料が配合されているものもありますので確認しましょう。
根腐れに注意した水やりを
ストックは、湿っぽい場所が苦手です。このため、水を与えすぎてしまうと、根腐れを起こし、元気がない状態になってしまいます。とくに鉢植えで育てる場合、土の表面が乾いてから水やりをするように心がけましょう。
一方、地植えのストックは、とくに水やりの必要はありません。しかし、晴れの日が続いた際、株の様子を見て水やりを行いましょう。また、冬の水やりは、水が凍らないように注意して行うことが大切です。
春先の追肥でストックに元気を
秋に植え付けたストックは、春先の3月ごろ、緩効性の肥料を与えて、きれいな花を咲かせましょう。春に植え付けたストックは、とくに追肥の必要はありません。ただし、元気がない株には、速効性の肥料を与えて、様子を見てあげましょう。
ストックは、肥料を多く与えなくても、十分に育ちます。元気よく育っているのであれば、とくに追肥をせずに育てていきましょう。
ストックの管理方法のポイント
ストックは日当たりのいい場所で管理
ストックは、芽が出てきたら日当たりがよく、風通しのいい場所で育てていきましょう。日当たりが悪いと、花が元気に育たないこともあります。徒長して弱々しくなり、花があまりつかなくなるほか、花の色が褪せてくることもあります。
とくにストックを室内で育てている場合、窓際やベランダ、軒下など、日光に当たる場所に移動させて管理するようにしましょう。寒くなってきたら、室内で管理し、冬越しをします。
地植えのストックは冬に防寒対策も
ストックは耐寒性のある植物ですが、冬に霜が降りる地域では、根が凍ってしまい、枯れてしまいます。本格的に寒くなる前に、防寒用のネットや腐葉土などでマルチングして、しっかりと冬越しに備えましょう。
なお、ストックは、原産地では多年草です。夏の暑さを乗り越えられれば、夏越しすることもありますが、基本的には夏になると枯れてしまいます。枯れたら抜き取り、処分するようにしましょう。
ストックは花柄摘みして切り戻してみよう
ストックは、小さな花をいくつも付けてゴージャスに咲き誇ります。花が終わったら、花柄を摘むことで、これから咲く花に栄養を回し、花柄が腐ることで病気になることを予防することが可能です。
花が終わった茎は、根元あたりから切り戻しをすると、新しい茎が伸びてきます。この切り戻しの作業によって、花を長い期間、楽しむことが可能です。花が終わったら、ぜひ試してみましょう。
元気がないストックは害虫が原因かも
ストックにつきやすい害虫はアブラムシやコナガです。アブラムシは、茎や葉にくっついて、栄養を吸い取り、株を弱らせます。見つけ次第、駆除し、必要に応じて殺虫剤などを使いましょう。
また、コナガは花や葉を食べてしまう害虫です。花や葉に虫食いの跡を見つけたら、コナガの発生を疑い、こちらも見つけ次第、駆除し、必要に応じて殺虫剤などを使いましょう。
立ち枯れ病は湿気が原因
ストックが起こしやすい病気に、立ち枯れ病が挙げられます。この病気は、気温が上昇するころに起こりやすく、土壌などに湿気が多くなると全体に雑菌が繁殖し、ストックにも感染してしまうというものです。
感染すると、ストックの葉が黄色くなり、株全体が枯れてしまい、茎が腐って倒れてしまいます。もしも立ち枯れ病になってしまったら、すぐに根を取り除き、土も一緒に処分しましょう。ストックを植え付ける際、新しい土を用意することで予防できます。
ストックの増やしかたとは
ストックは植え替えの必要なし
ストックは、日本の暑さに耐えられないことから、夏には枯れてしまいます。このため、花が終わる夏ごろには、黄色くれてくるので、抜き取ってしまいましょう。株を植え替える必要はありません。
なお、ストックを育てている途中で植え替えるのはなるべく避けたほうがいいです。ストックは直根性なので、根が傷つくと育たなくなります。一度植え付けたら、そのまま育てていくようにしましょう。鉢植えで育てていけば、夏越しも冬越しも、比較的、簡単にできます。
ストックの増やし方は種まきで
ストックは、花が終わると、種ができます。ストックの種は、細長いさやの中に入っていて、この種を巻まいて増やします。種まきのタイミングは、温暖地で夏の終わりごろ、寒冷地では翌春ごろで、発芽の適温は15~25度ほどです。
なお、ストックには、一重咲と八重咲の品種がありますが、八重咲の品種には種がつきません。しかし、一重咲の種から八重咲の花を育てることができます。八重咲の花は子葉が大きく、葉色が薄いのが特徴です。
花色鮮やかなストックを楽しもう
ストックはさまざまな花色や花姿、芳香が印象的で、寄せ植えの鉢植えや日当たりのいい地植えで育てたい花のひとつです。水はけのいい土を使い、乾燥気味に水やりをすれば、冬から春の間、その美しい姿が楽しめます。一年草なので植え替えの面倒もありません。
ストックが大きく育ったら切り花として楽しむもよし。株を増やしてカラフルなストックのお花畑を作るもよし。ぜひ花色豊かなストックを楽しんでみましょう。
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もっとストックの育て方が知りたい方、花言葉などについても知っておきたいという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。また、ストックの中でもバージニアストックについても参考になる記事がありますので、チェックしてみると、ストックの知識が膨らむはずです。

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