コットンフラワー(綿花)ってどんな植物?
コットンフラワーとはどんな植物?
花屋のお店でときおり見かけるコットンフラワー。綿花(めんか)やワタとも呼ばれ、本来は、毎年実をつける多年草の部類になります。ですが、寒さに弱いので冬を越せないことも多く、秋には実を収穫するので、植物栽培の分類は一年草です。
ふんわりと白いワタの部分は、糸になり、布になり、身近な素材の綿(コットン)になります。色の種類は白だけではなく、茶色やモスグリーン色もあり、コットン独特のやわらかな色合いです。
コットンフラワー綿花って呼ばれても本当は実です。
一般的にコットンフラワーと呼ばれるため、てっきり花と勘違いしますが、本当は「実」の部分です。花が散り、実が熟されて茶色になり膨らみはじめると、ポンっと弾け中から白いコットンがあらわれます。開いた花のようにふんわりした綿の中にかくれた粒は、新たに生まれたコットンフラワーの種です。
コットンフラワーの本当の花とはどんな花?
綿の部分が花ではなかったら、本当の花とはどんな花でしょう?こちらの画像がコットンフラワーの花の画像で、レースのような花びらが特徴です。この花びらは太陽の光をたっぷり浴びると、花びらが薄いピンクに色が変化します。
色の変化の理由は、夏の強い紫外線を受けて、植物に多く存在する色素「アントシアニン」が出るためです。紫外線の量が少ない室内だと、色が変わらないこともありますので、日当たりのよい場所に移動させましょう。日光を浴びると、色の変化が楽しめます。
コットンフラワーが生まれた国
コットンフラワーが栽培された原産国はアフリカと言われますが、そのあと、インドから中国へ、そして日本へやってきました。昔から服の素材などでも親しまれてきた綿ですが、今では栽培の主な国はインドや中国、アメリカなどで、日本での栽培は多くありません。ですが、オーガニックが注目を集める最近では、自然由来の材料としてコットンフラワーの人気が再び高まりそうです。
コットンフラワーの育て方ガイド
コットンフラワーの種まきの時期は?
育て方もコツを覚えれば難しい植物ではありません。寒さが苦手なコットンフラワー種まきの時期は、寒さを感じなくなった春の4月~5月ごろがおすすめです。地域によっては温度差もあるので、最低気温が12℃以下にならないくらいを目安にすればよいでしょう。
種まきをする1日前に、種はまとった綿(ワタ)をとって、水につけて1晩おくと発芽しやすくなります。
コットンフラワーが喜ぶ土の作り方
日本の土壌は酸性雨の影響で、植物には苦手な酸性土壌が多いです。苦土石灰(くどせっかい)という肥料を土に混ぜると、コットンフラワーが好むアルカリ性に中和されます。しっかりと土を安定させるには、種をまく2週間前に混ぜるのが適切でしょう。
日当たりが良く風が通るところが丈夫に育ちます。寒さは苦手ですが、夏の暑さは強い耐暑性の植物です。
コットンフラワーの水やりは?
春は、コットンフラワーの種まきのあと、丈夫な芽が出てくるまで、枯れないように水を与えてください。芽が出てきたら根が弱いので、あげすぎると土の湿度が高くなり根腐れを起こしやすくなります。芽が出る前とあとのバランスに気を付けましょう。春が過ぎ、開花時期の夏になると、根はたくさん伸び、多くの水を欲します。夏場の水やりは涼しい朝と夕方ごろがたっぷりめがおすすめです。
コットンフラワーにぴったりの肥料とは?
種まきのときは、丈夫な芽が出るように肥料をあげて栄養を補います。コットンフラワーが元気になるのは、肥料の三要素(チッソ・リン酸・カリ)を含み、ゆっくりと効果が出る緩効性肥料です。追肥しなくても育ちますが、状態を見ながら花を咲かせる時期までは追加してもいいでしょう。ただし、あげすぎると背丈だけ成長し、花が咲きにくくなるので、気をつけましょう。
コットンフラワー育て方、2つのポイント
じっとしているあいだに支柱をたてましょう。
”コットンフラワーの育て方”ポイントの1つ目として、コットンフラワーは順調に伸びはじめると、そこからしばらくじっとしています。心配になりますが、根をはっている時期なので、安心してください。夏になると急に成長しはじめて、枝が折れやすくなってしまいます。じっとしているころに、支柱を立ててあげましょう。
摘心をして花を咲かせやすく。
”コットンフラワーの育て方”ポイントの2つ目は、ぐんぐん成長する開花時期の前に、摘心(てきしん)をすることで花に栄養がいき、咲きやすくなります。摘心とは、新しく出る芽をカットすることです。少し可哀そうな気持ちになりますが、背丈が成長しすぎると花が咲きにくくなってしまうので、本葉が6~7枚ほどになったら、摘心をしてあげましょう。
摘心するときは枝ごと切ると、花瓶でも花を咲かせることがあるので、おすすめですよ。
コットンフラワーの敵、害虫や病気とは?
コットンフラワーによってくる害虫たち
コットンフラワーは、夏になるとハマキムシやハダニがつきやすい植物です。ハマキムシとはガの幼虫で、くるくるっと葉を糸状に丸めて中に身を潜めます。光合成がうまくいかなくなり、元気がなくなるので、見つけたら歯の根元からカットします。急成長する開花時期に向けて増えてくるので、市販の園芸用殺虫剤などで駆除しましょう。
若苗時期には梅雨と重なりナメクジ被害もあいやすいので、ナメクジ駆除剤で予防することもおすすめです。
コットンフラワーがかかりやすい病気とは?
植物全般に被害がでやすい立ち枯れ病(苗立枯病)は、コットンフラワーもかかりやすく厄介です。土の中に発生する糸状菌(しじょうきん)というカビの一種が原因で、土の湿度が上がると発生しやすく、土も酸性寄りになってしまいます。
この病気にかかるとせっかく育てた苗は枯れ、根っこ回りの土と一緒に焼却するしか殺菌方法がありません。なかなか病状が改善しない場合は、総合殺菌剤を使いましょう。酸性寄りになった土も苦土石灰で改良してあげます。
コットンフラワーの収穫時期と保存方法は?
コットンフラワー収穫祭
夏の開花時期には、きれいに咲いた花の色の変化を楽しみ、実をつける秋には、弾ける綿の実を待つ楽しみがあります。ごつごつした茶色のワタガラから、ふんわりした白い綿が顔をのぞかせると、育てた苦労も吹き飛びそうです。ふんわり綿が顔を出したら、さっそく、収穫をはじめましょう。
コットンフラワーを収穫するタイミング
花が咲いてから約1か月半くらいが弾ける目安です。1個目が弾けだすと、次から次へとほかの実も弾けだします。少し茶色がかったガクが広がってきて、ふんわり綿が顔をのぞかせたら収穫時期の到来です。
ですが、雨が降って水にぬれるてしまうと、中に入っている種が発芽してしまったり、せっかくのふわふわの綿が固くなるので、天候には注意です。早めに収穫するか、枝ごと切ってしまっても、あとから実は弾けてくるので、ゆっくり収穫できますよ。
綿として収穫し保存する場合
綿の上手な収穫方法は、そっとつまんで抜くようにしましょう。まわりのガクが混ざらず、きれいな綿がとれます。抜いたあと、ほぐしておくと、あとから乾きやすいのでおすすめです。収穫したての綿は湿度が高く、カビに好まれます。中にかくれた種を取り出し、風通しのよい場所で十分に乾燥させましょう。
取り出した種の保存方法は、綿と同じく乾燥させ、ジップロックなどに乾燥剤と一緒にいれておくと、翌年の春にまた種まきができます。
コットンフラワーの楽しみ方
ドライフラワーの作り方
人気のあるドライフラワーの作り方はとても簡単です。通常のドライフラワーと同じように室内の風通しのよい場所に吊るしておくだけです。ただし、直射日光に弱いので、光が当たる場所は避けましょう。埃かぶったり変色しなければ、数年飾ることもできます。ドライフラワー専用コーティング剤もあり、保存方法としてはおすすめです。
画像のようにほかのドライフラワーと並べ、SNSで流行りのスワッグを手作りするのもおすすめです。スワッグとは壁飾りを意味します。
クリスマスリースの作り方
収穫が終わると、じきにクリスマスのシーズンがやってきます。ドライフラワーにしたコットンフラワーは、リースに暖かみを出してくれる花材として人気です。クリスマスを飾る時期になると、100均にもリースの材料になる松ぼっくりや木の実など種類も豊富に並び始めます。
作り方は、何もついていない籐のリースにグルーガンで付けるだけ。あっという間に出来上がりです。世界にたった1つの手作りリースでクリスマスを彩りましょう。
コットンボールの作り方
コットンボールとは、ドライフラワーにした実をいくつもまとめ、ボールにした飾りです。吊るすと温かみのある空間ができ、茶色のガクもつけたままで味があります。作り方は、ラタンボールと言って籐を丸めたボールに麻ひもを通し、グルーガンでコットンフラワーを付けていくだけです。グルーガンもラタンボールも100均で揃いますので、手軽に始められます。
画像のように、ドライフラワーと並べるとナチュラルさと温かさがプラスされた空間です。
コットンフラワーの綿の利用方法
コットンフラワーから糸を紡ぐのは簡単?
コットンフラワーから、糸を紡ぎませんか?糸ができるなんて驚きですが、わりと簡単に紡ぐことができます。作り方は、丁寧にほぐした綿を、少しつまんでこよりを作り、割りばしにクリップをつけてそこに通して、マスキングテープで固定。クルクル回しながら紡ぎます。糸紡ぎの道具”スピンドル”の代用です。
糸が切れそうになったら、綿を重ねてクルクルすればそのままつながります。温かみのある糸玉、実用的に使うもよし、飾るだけでもおすすめです。
そのままふわふわな綿として使う
ふわふわの部分は、乾燥させるとそのまま綿(ワタ)として利用できます。ポリエステルで作られた綿よりも暖かみを感じませんか?収穫した量にもよりますが、たくさん綿ができれば、「クッション」の中身として、少なければ「針山」など用途はいろいろです。紡いだ糸で編んだものに収穫した綿をいれ、ふわふわ100%の手作り作品ができれば素敵ですね。
まとめ
春に種をまき、夏には花を咲かせ、秋には収穫でき、冬には暖かなインテリアアイテムとして飾る時期がやってきます。春夏秋冬と1年中楽しませてくれるコットンフラワー。インテリアのアイテムだけではなく糸も紡げ、アイデアによっていろんな使い方が楽しめます。育て方も比較的に簡単で、ガーデニング初心者さんでも扱いやすい植物なのでおすすめです。
収穫できる植物が気になる方こちらもチェック!
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