すいかずらって何?
すいかずらは、日本の山野で普通に見られる常緑性つる性植物です。初夏に甘美な香りを放つ花をつけることから、古くから庭木、花木として親しまれてきました。生命力と繁殖力が強く、初心者でも育てやすい点も魅力でしょう。
すいかずらは海外でも高い人気を得ており、ヨーロッパでは観賞用に改良された園芸品種が流通しています。一方で繁殖力の強さから、アメリカでは自然環境を破壊する恐れがある外来種に指定されました。
すいかずらの基本情報
学名 | Lonicera japonica |
科名・属名 | スイカズラ科スイカズラ属 |
別名 | スイカズラ(吸葛)、ニンドウ(忍冬) キンギンカ(金銀花)、ハニーサックル |
形態 | つる性植物 |
草丈・樹高 | 3m~5m |
原産地 | 日本~東アジア |
開花時期 | 5月~6月 |
花色 | 白、黄色 |
特性・用途 | 常緑性、庭木、花木、薬用、若い茎は毛が生えている |
名前の由来
和名の吸葛(すいかずら)は、甘い物が高価で入手しにくかった時代の子どもが、花の奥にある蜜を吸っていたことが由来です。英名のハニーサックル(honeysuckle)も、蜜が吸えることに由来しています。honeyは「蜜」、suckは「吸う」を意味する言葉です。
別名のニンドウ(忍冬)は、寒い季節になっても緑葉を茂らせる性質からとられました。もう一つの別名キンギンカ(金銀花)は、白と黄色の花色が由来です。
すいかずらの特徴
特徴①さわやかな甘い香り
すいかずらは香水や精油の原料として利用されるほど、香りがよい花です。その香りは「フローラル系の甘い香りに、柑橘系の清涼感が混じる」「ジャスミンやミュゲに近い」と表現されています。すいかずらが見頃を迎える初夏の季節に、よく似合う香りといえるでしょう。
また、すいかずらの花の奥に甘い蜜があることから、「蜜のような甘い香り」と表現されることもあります。
特徴②白~黄色へと変わる花色
すいかずらには、咲き進むと花色が変化する特徴があります。初夏の季節に咲く純白の花は、時間が経過すると明るい黄色に変わっていきます。満開時には白と黄色の二色の花が同時に見られますよ。「金銀花(キンギンカ)」の別名は、白を銀、黄色を金に見立ててつけられた名前です。
特徴③生薬になる
すいかずらは薬効があるとされる植物です。漢方の世界では、古くから解熱・抗菌・利尿に効果がある生薬として用いられています。日本でも民間療法として、すいかずらの全草を薬酒や茶にしていました。
ちなみに戦国時代の天下人徳川家康は、すいかずらの葉や花を焼酎に漬けこんで作る「忍冬酒」を愛飲していたと伝わっています。すいかずらは、天下人にも認められるほどの健康効果を持っているのです。
特徴④若いつるは毛が生えている
すいかずらの若いつるは灰赤褐色で、粗い毛が密生しているのが特徴です。すいかずらの仲間で見た目も似ている品種のなかには、毛が生えていないものがあるため、若いつるの状態で見分けられる品種もあります。しかし2年以上たったつるは太くなり、色も灰褐色へ変わっていきます。
すいかずらの種類・品種
種類・品種①ハマニンドウ
ハマニンドウ(浜忍冬)は本州~沖縄と、暖地を中心に分布している品種です。名前の由来は、海辺に自生する特徴からきています。咲き始めは白、やがて黄色に染まる花色や甘い香りなど、外見はすいかずらにそっくりですが、海辺近くで繁殖する性質や、茎が無毛であることなど細かい違いが見られます。
開花時期は、すいかずらよりもやや遅い5月~7月です。地域によっては晩秋まで開花していることもあります。
種類・品種②ハニーサックル・ミントクリスプ
ハニーサックル・ミントクリスプは、すいかずらの改良品種です。緑色の葉にマーブル状の斑模様が入ります。斑模様の色はおしゃれなクリーム色です。花がない季節でも、カラーリーフとして楽しめます。
ハニーサックル・ミントクリスプが開花する時期は6月~10月です。季節でいえば初夏~秋まで、白から黄色に染まる花が咲き続け、甘い香りをただよわせます。
種類・品種③キダチニンドウ
キダチニンドウ(木立忍冬)は、すいかずらの近縁種です。日本の本州以西のほか、中国、ベトナムにかけて分布しています。花色はすいかずらと同じで白から黄色に変わりますが、長い雄しべと、葉の先がとがった葉先が大きな特徴です。若いつるは紫褐色ですが、成熟すると褐色に変わり、縦にひび割れて縦縞模様になります。
キダチニンドウが開花する時期は5月~6月です。開花後に小さな実をつけ、10月~11月頃に黒く熟します。
種類・品種④ニオイニンドウ
ニオイニンドウ(匂い忍冬、匂忍冬)は、ヨーロッパ~北西アフリカを原産とする品種です。日本へは昭和初期に渡来しました。名前はこの種が放つ強い香りに由来しています。園芸品種が多く、白、オレンジ、赤と豊富な花色がそろっているのが大きな特徴です。基本種も内側がクリーム色、外側が紫紅色という鮮やかな花色を持っています。
ニオイニンドウが開花する時期は、6月~8月です。
種類・品種⑤ツキヌキニンドウ
ツキヌキニンドウ(突貫忍冬、突抜忍冬)は、北アメリカの東部と南部を原産とするつる性植物です。日本へは明治時代に渡来しました。外側はオレンジがかった赤、内側は黄色という鮮やかな花色が大きな特徴です。たまに黄色や深紅の花をつける個体があります。
開花時期は6月~9月です。ツキヌキニンドウの香りはスイカズラよりも弱く、蜜もあまりありません。耐寒性と耐暑性が強く、育てやすいことから人気があります。
種類・品種⑥ベニバナスイカズラ
ベニバナスイカズラ(紅花吸葛)は名前のとおり、花の紅色が特徴的な園芸品種です。特につぼみと咲き始めは、とても鮮やかな濃い紅色をしています。葉脈と茎も、ほかの品種と比べると赤みがかった色です。葉にはツヤがあります。
ベニバナスイカズラの開花時期は5月~7月です。優しく甘美な香りもあります。
すいかずらの花言葉
すいかずらの花言葉は「友愛」「愛の絆」「献身的な愛」です。「友愛」「愛の絆」は、すいかずらの性質からつけられました。すいかずらのつるは、さまざまな物に絡みつきながら成長していきます。しかもひとたび絡みつくと、簡単に離せません。この性質から愛情や絆に関する花言葉がつけられました。
「献身的な愛」は、すいかずらが薬に用いられることに由来する花言葉です。
すいかずらの花色と香りを楽しもう
すいかずらは、甘い香りと個性的で清楚な花が人気の植物です。生命力が高くて育てやすく、初心者でも問題なく栽培できます。色鮮やかな園芸品種も多く、好みに応じて選べる点もよいですね。すいかずらを育てて、身近な場所で清楚な花と甘い香りを楽しみましょう。
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すいかずらの生態や特徴など「すいかずらのことを、もっと詳しく知りたい!」と思ったときの参考にしてみてくださいね。
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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1624774