夜のツーリング:はじめに
バイク乗りだからこそ感じられること
私は朝寝坊が大好きな夜型人間です。朝早くからツーリングへ行く人は多いようですが、私は10時を過ぎてから出発して夜中に帰宅します。太陽光を浴びた景色がモッタイナイ…そう思うこともありますが、夜のツーリングもなかなかの風情です。
春の生温かい空気、夏のまとわりつくような湿気、秋の騒がしい草むら、冬の透明感のある闇…どうも!暮らし~のでライターをしておりますhosokawa_takaです。
モノトーンの世界
おや?夜のツーリングの思い出には華やかさがありません。ヘッドライトの灯りを頼りに狭路を通過し、ノーマルマフラーですら排気音を潜めたくなり、自動販売機の青白い灯りで休憩する…夜は景色が闇にのまれていますので、余計な情報が入りづらく、ツーリングを純粋に楽しめます。
えぇっ?景色も見えないのに夜のツーリングが楽しいって?うーん、楽しいというとちょっと違うような気がします。
持ち物や注意点、楽しみ方
しかし、ツーリングで夜間走行した記憶は思いのほか残っています。大抵の場合、お尻の痛みが伴うツーリング後半の記憶なのですが、悲しい記憶はありません。
では本題!ここでは夜のツーリングについて語ります。注意点や持ち物、距離を稼ぐための夜中出発、夜景を楽しんだ思い出について記します。なお、この記事は2021年4月28日現在の私の心境をもとに作成しますことをご了承ください。
夜のツーリング:持ち物
昼間も便利に使えるものばかり
私は日帰りツーリングでも夜の備えを持ち物に入れています。コンパクトなLEDハンドライト、疲れて仮眠するときに敷くシート、ゴーグルのクリアレンズです。
私は渋滞した道路が嫌いですので、夕方から8時頃までは休憩を多めに入れます。頑張っても距離を稼げないのなら、交通量が少なくなるまで休憩したほうが得策だからです。帰宅を急ぐ人たちの邪魔をしたくありませんし。
LEDハンドライト
LEDハンドライトは地図を確認するときに使います。バイクのヘッドライトで地図を照らしてもいいのですが、LEDハンドライトのほうが地図を確認しやすいからです。原因は40代半ばから始まった老眼。明るいとそれなりに見えるのですが、暗くなると地図が極端に見えにくくなります。LEDハンドライトはバイクの点検にも使えて便利です。
仮眠用シート
ツーリングの夜間走行は安全確認で神経を使って疲れます。無理な走行で事故をするよりも、帰宅時間が遅くなるほうが迷惑をかけないので、疲れたら迷わず横になります。都合よく横になれる場所があればいいのですが、そんな保証はありませんので、仮眠用のシートを持ち物に加えています。眠れなくても横になるだけで体力は回復しますよ。昼間は休憩でも使います。
ゴーグルのクリアレンズ
ゴーグルのクリアレンズは夜のツーリングで必需品です。昼間に使っているオレンジやスモークのレンズは夜になると見えにくくなります。以前はクリアレンズだけでツーリングをしていましたが、昼間にオレンジやスモークのレンズを使うと手放せなくなりますね。クリアレンズは悪天候でも使います。
夜のツーリング:注意点
昼間より危険が増える
夜のツーリングは昼間より危険が増えます。暗くなると路面状況を把握しにくいですし、安全確認で神経を使うからです。かといって、夜のツーリングがおすすめできないわけではありません。
夜のツーリングはおすすめできないという情報も見かけますが、それではヘッドライトの存在意義を否定しているのと同じです。注意点さえ知っておけば、夜のツーリングは楽しめます。
注意点①野生動物の飛び出し
夜に山間部を走行すると野生動物が飛び出してくる可能性があります。タヌキやキツネは俊敏ですのでバイクを避けてくれますが、鹿は群れで行動しますので、1頭横切ったら2頭目3頭目もくると考えて間違いありません。
野生の鹿はたくましいので衝突すると確実に転倒します。奈良公園の鹿と衝突した人の話では、乗用車でもフロントが大破したとのこと。
注意点②スピードは控えめに
スピードを控えめにすれば道路状況を把握しやすくなり、安全確認も確実にできるようになります。人間の判断速度や反射神経には限界がありますので、速度を落とすことで行動に余裕をつくるためです。
道路の制限速度は最悪な状況を想定して設定されています。雨の降る夜に不慣れな道路を走行すると、スピードメーターは制限速度付近を指していることが多いですよね。
夜のツーリング:夜中出発
目的地に早く着ける
夜は交通量が少ないので、夜中に出発すると目的地に早く到着できます。見慣れた近所の景色をパスできるのもメリットです。朝寝坊の夜型人間に適したツーリングスタイルだといえます。
しかし、夜中に出発するツーリングは体力的な負担が大きいのがデメリット。走るだけ走って疲れたら仮眠をするのですが、仮眠だけでは体力を回復できません。結局、昼間に昼寝をはさんでツーリングを続行するので、走行距離は似たり寄ったりです。
日帰りでは仮眠道具を積載するのが面倒
ツーリングで夜中に出発するのはキャンプツーリングでのアクセスルートのみです。日帰りツーリングで仮眠用の寝袋やマットをバイクに積むのは面倒だからです。
いや、かっこいいかも!寝袋とマットだけバイクに積んで、夜中出発の日帰りツーリング!家族がいると夜中に出発するのが難しくなりますが、独身時代ならチャレンジする価値がありましたね。ネットカフェや24時間営業のスーパー銭湯で仮眠する方法もあります。
早起きが得意ならおすすめしません
これから何かが始まろうとするワクワク感、ほどよい疲労、バイク乗りが少ない道の駅…夜中出発のツーリングには普段とは違う新鮮さがあります。何気なく利用しているコンビニがオアシスのように感じるから不思議です。しかし、おすすめはできません。
朝早く起きられるバイク乗りなら早朝に出発したほうが得策です。夜はヘッドライトの灯りに頼らざるを得ないですし、安全確認に神経を使います。明るいと景色を楽しめますし、何よりも健全です。
夜のツーリング:夜景を楽しむ
スターダストだけが夜景ではない
私はバイクで夜景を眺めに行くことはありません。ソロツーリングが基本の私、おっさんひとりで夜景を楽しむ姿ってどうですか?若いカップルからすると目障りな存在でしかありません。妻をバイクの後に乗せて夜景を見に行く?うーん、XR250のリヤサスがフルボト…いやいや、あり得ません。
しかし、三重県四日市市の工場夜景はツーリングで訪れたいと思っています。家族とのドライブ旅行で通過し、いつも気になっているのです。
日本海沿いの高台で見た漁火
ツーリング先で見た忘れられない夜景があります。日本海沿いの高台で野宿をしたときに見た漁火です。
漁村を照らす緑がかった街灯、鈍く光る海に縁どられた海岸線、数隻の漁船が放つ漁火…ダイナミックではないものの、人の営みが放つ灯りは旅情にあふれ、ツーリングの実感を高めてくれました。バターピーナッツをポリポリとかじりながらコーヒーを飲みながら考えたことは…内緒です。
モノトーンの世界が「何か」を引き寄せる
日本海沿いの高台で見た漁火には華やかさやダイナミックさがありません。カップルが集まることもなく、アマチュアカメラマンの長玉が並ぶこともありません。心を奪われる人も少ないでしょう。いや、今の私が見ると色あせているかもです。
しかし、バイクでのツーリングでは神経を研ぎ澄ませる何かが憑依します。余計な色や光が省略された夜景を見ると、憑依した何かが静かに暴れるのです。バイク乗りのあなたなら理解していただけるでしょうか。
夜のツーリング:まとめ
昼間にはないことがある
夜のツーリングでは昼と違った景色を楽しめます。注意点はあるものの、速度を1割ほど落とせば安全性を確保できますし、持ち物は昼間にも便利なものばかりです。夜中に出発すると目的地に早く到着できますが、早起きが得意なバイク乗りにはおすすめできません。夜景にはバイクでのツーリングだからこそ感じられる「何か」が見つかります。
「何か」って何?それはあなたの中にしかありません。ですので、ここでは「何か」についての説明を省略します。
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出典:ライター撮影